極道恋事情

一園木蓮

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三千世界に極道の華

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「して、ここを乗っ取った組織とやらには見当がついたのですかな?」
「ああ。どうやらここを乗っ取ろうとしている輩ってのは、その昔岡場所を仕切っていた者たちの子孫らしいことまでが分かってきた」
「岡場所ですか……」
「源次郎殿はご存じだろうが、当時岡場所を仕切っていた連中の中には高嶺の花の吉原を快く思わない風潮も多かったのではという逸話が残っている。吉原で茶屋を営んでいた子孫たちがこの施設を作る構想を抱いていたように、岡場所の子孫たちもまた一丸となって現代の遊郭を仕切る目論みを描いていたということだろう」
「そうだったんですか……ではここの元々の経営者たちはどうされたので? 既に追い出されてしまったということですか?」
 それについては一概にそうとは言い切れないところがまた厄介なのだと丹羽は苦笑した。
「追い出されて完全に乗っ取られたというなら潰しに掛かるのはまだ容易だ。それこそ武力でカタがつくからな」
 だが、彼らは元々の経営者たちを追い出すわけではなく、商売はやらせたままで上納金だけを吸い上げるという汚い手口でこの街に居座ってしまったというのだ。
「そこがヤツらの賢いところでな。茶屋そのものを乗っ取ることはせず、経営はこれまで通りにやらせて莫大な所場代だけを巻き上げていくって寸法だ。逆らえば武力で制圧される。ヤツらは腕の達つゴロツキだけでなく、傭兵の訓練を受けたようなテロリストまでを抱え込みやがった」
 つまり、既存の茶屋の主人たちは逆らいたくとも儘ならないままに、必死で金を作らされているといった現状らしい。
「テロリストですか……。それで公安までが動いているというわけですな?」
「ああ。岡場所の子孫たちはともかくとして、ここに出入りしている輩の中には国際的に名が上がっているテロリストも確認できている。武力行使はお手のものというわけだ。茶屋の稼ぎが悪ければその店で働く遊女たちにも残酷な仕打ちが待っている。もはや花街の粋など関係なく、ただの女郎として使いものにならなくなるまで客を取らされる。茶屋の主人は遊女たちをそんな目に遭わせない為にも必死になって上納金を稼ぎ出さねばならないというわけだ」
 故に不本意ながらも少々強引なやり方で稼ぎ手となる遊女の数を増やしていったそうだ。外界に出て銀座や六本木で著名なホステスたちを勧誘したのもそれが理由らしい。
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