極道恋事情

一園木蓮

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謀反

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 ロンは一族の姿を目にすると、さすがにバツの悪い思いがあるのかタジタジと冰らの後ろに隠れるようにしていたが、意外にも当の周風から真っ先に声を掛けられて驚いた様子であった。
「ロナルド、此度は情報に感謝する。弟の様子が変だと教えてくれたお陰で、ここにいることが突き止められた」
 ロンにとってみれば元々はこの周風に対する逆恨みから拉致などという大それたことをしでかしたわけだが、いくら情報を提供したといっても、まさか風本人から感謝の言葉を掛けられるなどとは思ってもみなかった為、驚かされてしまったのだ。
「い、いやぁ……俺の方こそアンタには悪いことしちまって……。それに何と言っても尊敬する姐さんのご主人のことでしたし」
 拉致事件の時の冰の采配ぶりに感銘を受けたロンが舎弟にして欲しいと言ったのは記憶に新しいところだが、未だにその思いは変わっていないようで、冰の亭主の一大事なら是非とも役に立ちたいと思い連絡を入れようと思ったのだそうだ。
「それに……あんなことをした俺を頭領・周は許してくださった。鉱山での採掘の仕事まで与えてもらって、感謝するのは俺の方です」
 それこそ意外にもこの鉱山での仕事がロンにとっては性に合っていたようで、今では一つのチームを任される班長の立場になっていた。それには周隼たちの方が驚かされたといったところだった。
「頭領・周、息子さんを助けに行かれるなら是非俺に案内させてください! 鉱山のことは鉱山の男に任せていただければ幸いです!」
 ロンがチームを率いて捜索に当たってくれると言うので、厚意に甘えることになった。
「すまんな、ロナルド。助力に礼を言う」
「いえ、とんでもねえ! 山に入るにゃいろいろと装備も必要なんで、俺たちに任せてください」
 案内はロンに頼むとして、冰が是が非でも共に連れて行って欲しいと言うので、鉱山へはロンのチームと共に冰、鐘崎、紫月、そして兄の風が同行することとなった。むろんのこと坑道の入り口までは父の周隼と僚一に源次郎らも共に向かい、医療機器を積んだ車両と医師の鄧も入り口で待機することとなった。万が一怪我などを負っていた場合に即対応する為だ。それと同時に探索に入る部隊に何かあった場合は、すぐに応援に駆けつけられるようにと互いに通信機器を持って挑むこととする。
 そうして現場に着くと、羅辰が手配したと思われるトラックが連なっていた。積荷を確認したところ、やはり掘り出されたばかりの鉱物のようである。
「案の定か。ヤツらの狙いは原石を盗むことで間違いないようだな」
 だが辺りに人影は見当たらず、数あるトラックの内、その殆どがまだ空のようだ。
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