極道恋事情

一園木蓮

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ダブルトロア

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「ふぅ、上手くいったな。冰君、よくやってくれた!」
「いえ、紫月さんこそさすがです! 足蹴りだけで仕留めちゃうんですから」
 曹と鄧もやって来て、四人はとにかく縄をなんとかすることにする。
「この兄ちゃんたちの話だと、報酬の日本刀があるとかってことだったよな。まずはそいつを探すか!」
「そうですね。では二手に分かれて見て回りましょうか」
 紫月と冰、曹と鄧の二人二組で探し始めると、それはすぐに見つかった。いかにもな桐箱が天窓からの月明かりに照らされて、暗闇の中で仄白く浮かび上がっている。
「これか……。箱、開けられるか?」
 縛られた後ろ手で協力しながら開けると、たいそう見事な日本刀が出てきた。
「暗くてよく分からねえが相当な代物っぽいな」
「まずはこれで縄を切ろう。名品かも知れねえけど、背に腹はかえられねえ」
 左右に分かれて慎重に鞘を抜くと、暗闇でもドキっとさせられるくらいの刃が姿を現した。
「曹先生、刃をこっちに向けてちょっと柄を押さえててください」
 紫月が縄を刃に当てて少しずつ切り込みを入れていく。後ろ向きだから時間は掛かったものの、しばらくすると縄が解れてなんとか外すことができた。
「よしゃ! 外れた!」
 その後順番に全員の縄を切り、やっとのことで自由が戻った。
 よくよく見れば日本刀の他にも貴重な骨董品などがゴロゴロと出てきた。
「こいつぁすごいな。古代中国の置物に」
「こちらは翡翠でできた麻雀牌ではありませんか!」
 どれも相当価値のありそうなものばかりだ。
「なるほど。優秦嬢が犯人だとすれば、これらを報酬として手渡すつもりだったということですか」
「おそらくは親父さんの楚大人が趣味で集めてきたものだろうな」
 つまり父親が収集してきた高価な品々を勝手に持ち出してきたとでもいうわけか。
「お父上の楚大人はこのことをご存知ないのか」
「十中八九知らねえだろうな。あの方は周直下を治めていた時も非常に温厚で、できたお人柄の御仁だった。ボスも信頼を置いていたし、実際娘の不祥事がなければ今もファミリーにとって心強い存在だっただろう」
 そんな彼がまたしても娘の悪事を知ったとすれば間違いなく心を痛めるはずだ。
「ライ、楚大人の現在の住処は分からないのですか?」
 鄧が訊く。
「香港に問い合わせれば容易に割れるだろうがな。それより今は奥方の無事を確かめる方が先だ。スマートフォンなどの連絡手段が取り上げられているということは、周風たちにもこの状況を知らせられん」
 既に深夜だ。今頃は風たちもとっくに接待の会食が済んで、こちらのことを捜しているだろう。
「ここが何処かも分かりませんしね。見張りの男たちの話から察するに、街外れであることは間違いないでしょうが」
 四人は大急ぎで美紅の行方を捜すことにした。ちょうどその時だった。美紅を連れたアジア人の男が現れて、一同は咄嗟に身構えた。
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