極道恋事情

一園木蓮

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倒産の罠

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「白龍、眠くないの? 明日も朝早いんで……」
 言っている途中でガバリと抱き締められて唇を塞がれた。
「白……」
 テレビをつけたのは隣の真田に対するカモフラージュだったのだ。
 重ねられた唇はみるみると押し開かれて、逸るような口づけで掻き回される。馬乗りになられ押し付けられた身体の中心は既に硬くなっていて、見下ろしてくる視線は熟れたように熱い。まるで余裕のないといったこんな周は初めてかも知れない。
「白……龍……ッ」
「冰――」
「い……いの? 明日早……」
「好きだ――」

 疲れてないの? 眠らなくていいの?

 体調を気遣う気持ちとは裏腹に、怒濤のようにあふれ出した欲情が身体中を呑み込んでいく。
 よく紫月が鐘崎のことを『猛獣』だの『野獣』だのと言っているが、まさに今の周は野生の獣の如く欲の塊のようだ。腕を強く掴まれ、首筋に鎖骨にと襲いくる荒々しい愛撫が、瞬時に冰を欲情の渦の中へと引き摺り込んでいった。
「……ッ、白ッ……あ……こ、声出……」
「だからテレビをつけた――。大丈夫だ」
「う、うん……あ……ッ!」
 まるで強姦さながら、逸ったように下着を毟り取られて、冰はそれだけで達してしまいそうにさせられた。
「好き……白龍……好きッ……! もっとして――」

 そう、もっとめちゃめちゃに――犯して!

「ああ――望むまま」

 めちゃくちゃにしてやる――!

 小さなテレビからはバラエティ番組の賑やかな笑い声。
 低い天井がみるみると天高く遠のいて――この狭い部屋がまるで留めどなく広大な宇宙と化していくような感覚に陥る。

 ああ、この人の側でなら、この強く激しい愛情の中でなら、どんなことも幸せと思える。隙のないダークスーツ姿も、雄々しい作業着姿も何もかもが愛しくて仕方ない。冰は逞しい腕の中で何度も何度も高みを与えられ、昇天に果てながら欲情と至福の渦に身を委ねたのだった。

 汐留にいる時は味わえなかった感覚だった。
 日々の生活で目一杯というくらいの少ない月給、狭くて築年数が経った部屋、傍から見れば貧乏暇なしのような状況の中でも愛はとてつもなく大きく激しく強い。まさに順風でも逆風でも、病める時も健やかなる時も手と手を取り合って離さない。彼と共に居られさえすればこれ以上望むものはない。
 真の愛が二人の絆を強く強く結びつける――そんな日々であった。
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