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Daydream Candy 4話
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「黙って聞いてりゃいい気ンなりやがって……誰がてめえなんか……見てっかよっ! それにっ――、俺がアフターで誰と何しようがそんなん……てめえにゃカンケイねえだろ! 逐一誰とアフター行ったかなんて数えてっ方が普通じゃなくねえ!? 気があんのはてめえの方なんじゃねえのかよ!」
波濤は怒鳴り上げ、だがすぐに気を落ち着けるように大きく深刻級をすると、開かれた襟元を繕いながら龍に向かって椅子を勧めた。
「あー、信じらんね――! あんたのせいで熱くなっちまったじゃねえか……。まあいい……座れよ。ってもココ、あんたの家だけどよ? とにかく……今のこと、聞かなかったことにしてやるから……とりあえず仕切り直そうや。あんたとゆっくり飲むってこと自体は抵抗ねえから――。ま、仲良く語ろうぜナンバーワン同士!」
矢継ぎ早やに捲し立てると、またひとたび『ふぅ――』と深呼吸をし、
「何か飲むモンくんねえ? 酒は店で嫌ってほど浴びてっから……できれば他のがいんだけど!」
リラックスしたふうにソファにどかりと背を預けながら、明るめにおどけてみせた。
「それにしても……すげえ部屋な? あんたの雰囲気からして洒落た家に住んでそうだなぁとは思ってたけどさ。想像以上っつーか、これじゃ高級ホテルのスイートルームみてえじゃんか。このソファだってめちゃめちゃでけえし、座り心地も最高な! 羨ましい限りだわ」
今度は褒め言葉を並べながら朗らかに笑う。まるで軌道を正すかのように相手の非を責めようともせず、それは普段からの波濤の性質なのか、誰とでも上手く仲良く渡り合おうとする様がひしひしと滲み出てもいるようだった。
こう出られてはさすがの龍も意表を突かれたというところなのか、苦虫を潰したような顔で眉を引きつらせたが、とにかくは言う通りに従わざるを得ない。
致し方なくといった感じで龍はキッチンへと姿を消し、しばらくしてトレーに茶だのソフトドリンクだのの類をごっそりと乗せて戻ってきた。そして注文通りという意味なのか、波濤にはソフトドリンクを勧め、だが自身はボトルの酒をドポドポとグラスに注いだと思ったら、半ばふてくされたように乾杯の仕草をしてみせた。
「バーボンかよ? しかもストレートってさ、毎日酒と付き合っててよく家で飲む気になるな……」
呆れたように波濤が横目に訊いたのに対して、龍は更にふてくされたような無表情に拍車をかけると、
「別に――。飲まなきゃやってらんねーだけだ。なんせお前に振られちまったからな」
そう言って、恨めしそうにジロリと視線を投げた。
急に無口になって機嫌の悪そうにしながらも、おとなしく言った通りに従っている。そのギャップが何ともチグハグというか、何だか店で見る一面とは違った表情を見せつけられたようで、不思議と微笑ましさのような感情が湧き上がる。隙がなく、何をされても絶対に突き崩されないような雰囲気の男の意外な一面を垣間見てしまったような気分だ。むくれ気味の感情を隠すでもなく酒を煽る様子にも唖然とさせられる。
いつもは気障でクールな男が無邪気な子供のようにも思えて、波濤はそのコロコロと変貌を遂げる意外性に、何とも言い難い親しみを覚えるような気がしていた。
取っつきにくそうに見えて、実は案外御しやすい男なのだろうか。
仕方ない――少しなら付き合ってやるかという気になり、バーボンのボトルに手を掛ける。すると龍は今までの仏頂面を一転、ほんの一瞬だがフッとやわらかに口元をゆるめてみせた。
「何だ、やっぱりお前も飲むのか?」
「あ、ああ……ちょっとだけならな。付き合おうかなーとか……」
「ふん――。なら作ってやる。ストレートでいいか? それとも薄めるか?」
「あー、割ってくれる? さすがにストレートはキッツイ」
それからは店のこと、互いの失敗談、同僚たちのことなどを始め、たわいもない話題にしばし花を咲かせ合った。
高度数の酒は、少量を舐める程度でもほろ酔い気分にさせるらしく、波濤は先刻からの緊張も相まってか、奇妙でいて心地の好いような、不思議な疲労感に深くソファへと背を預けていた。
一方の龍の方もだいぶ酔いが進んでいるのか、反対側のソファの肘掛けに長い脚をだらしなく投げ出したりしている。相も変わらずの無表情のせいか、時折クスッと笑ったりするのが妙に新鮮で、その度にドキリとさせられるのを除けば、至って心地好いひと時だと思えた。
そんな仕草のせいで思い出してしまったのは、店での龍の接客態度だ。波濤はほろ酔い気分のままに、
「なぁ、さっき言ってたアレ――。店で俺があんたを見てるってやつ。あれって別にヘンな意味じゃなくってだな」
ふと、先刻の続きへと話題を振った。
波濤は怒鳴り上げ、だがすぐに気を落ち着けるように大きく深刻級をすると、開かれた襟元を繕いながら龍に向かって椅子を勧めた。
「あー、信じらんね――! あんたのせいで熱くなっちまったじゃねえか……。まあいい……座れよ。ってもココ、あんたの家だけどよ? とにかく……今のこと、聞かなかったことにしてやるから……とりあえず仕切り直そうや。あんたとゆっくり飲むってこと自体は抵抗ねえから――。ま、仲良く語ろうぜナンバーワン同士!」
矢継ぎ早やに捲し立てると、またひとたび『ふぅ――』と深呼吸をし、
「何か飲むモンくんねえ? 酒は店で嫌ってほど浴びてっから……できれば他のがいんだけど!」
リラックスしたふうにソファにどかりと背を預けながら、明るめにおどけてみせた。
「それにしても……すげえ部屋な? あんたの雰囲気からして洒落た家に住んでそうだなぁとは思ってたけどさ。想像以上っつーか、これじゃ高級ホテルのスイートルームみてえじゃんか。このソファだってめちゃめちゃでけえし、座り心地も最高な! 羨ましい限りだわ」
今度は褒め言葉を並べながら朗らかに笑う。まるで軌道を正すかのように相手の非を責めようともせず、それは普段からの波濤の性質なのか、誰とでも上手く仲良く渡り合おうとする様がひしひしと滲み出てもいるようだった。
こう出られてはさすがの龍も意表を突かれたというところなのか、苦虫を潰したような顔で眉を引きつらせたが、とにかくは言う通りに従わざるを得ない。
致し方なくといった感じで龍はキッチンへと姿を消し、しばらくしてトレーに茶だのソフトドリンクだのの類をごっそりと乗せて戻ってきた。そして注文通りという意味なのか、波濤にはソフトドリンクを勧め、だが自身はボトルの酒をドポドポとグラスに注いだと思ったら、半ばふてくされたように乾杯の仕草をしてみせた。
「バーボンかよ? しかもストレートってさ、毎日酒と付き合っててよく家で飲む気になるな……」
呆れたように波濤が横目に訊いたのに対して、龍は更にふてくされたような無表情に拍車をかけると、
「別に――。飲まなきゃやってらんねーだけだ。なんせお前に振られちまったからな」
そう言って、恨めしそうにジロリと視線を投げた。
急に無口になって機嫌の悪そうにしながらも、おとなしく言った通りに従っている。そのギャップが何ともチグハグというか、何だか店で見る一面とは違った表情を見せつけられたようで、不思議と微笑ましさのような感情が湧き上がる。隙がなく、何をされても絶対に突き崩されないような雰囲気の男の意外な一面を垣間見てしまったような気分だ。むくれ気味の感情を隠すでもなく酒を煽る様子にも唖然とさせられる。
いつもは気障でクールな男が無邪気な子供のようにも思えて、波濤はそのコロコロと変貌を遂げる意外性に、何とも言い難い親しみを覚えるような気がしていた。
取っつきにくそうに見えて、実は案外御しやすい男なのだろうか。
仕方ない――少しなら付き合ってやるかという気になり、バーボンのボトルに手を掛ける。すると龍は今までの仏頂面を一転、ほんの一瞬だがフッとやわらかに口元をゆるめてみせた。
「何だ、やっぱりお前も飲むのか?」
「あ、ああ……ちょっとだけならな。付き合おうかなーとか……」
「ふん――。なら作ってやる。ストレートでいいか? それとも薄めるか?」
「あー、割ってくれる? さすがにストレートはキッツイ」
それからは店のこと、互いの失敗談、同僚たちのことなどを始め、たわいもない話題にしばし花を咲かせ合った。
高度数の酒は、少量を舐める程度でもほろ酔い気分にさせるらしく、波濤は先刻からの緊張も相まってか、奇妙でいて心地の好いような、不思議な疲労感に深くソファへと背を預けていた。
一方の龍の方もだいぶ酔いが進んでいるのか、反対側のソファの肘掛けに長い脚をだらしなく投げ出したりしている。相も変わらずの無表情のせいか、時折クスッと笑ったりするのが妙に新鮮で、その度にドキリとさせられるのを除けば、至って心地好いひと時だと思えた。
そんな仕草のせいで思い出してしまったのは、店での龍の接客態度だ。波濤はほろ酔い気分のままに、
「なぁ、さっき言ってたアレ――。店で俺があんたを見てるってやつ。あれって別にヘンな意味じゃなくってだな」
ふと、先刻の続きへと話題を振った。
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