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8. Flame
Flame 7話
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堂々も過ぎる程の物言いに、場の誰もが唖然状態――、
「おい、龍……いきなり何だ……!」
こんなところで初対面の若者相手に暴露することじゃないだろうと、波濤は思い切り眉をしかめる。
「別に隠す必要ねえだろ。本当のことだ」
そりゃそうかも知れないが――!
苦虫を潰したような波濤の表情からは、文句を言いたいのが丸分かりだ。
この店のホストたちには現役引退を機会に二人の仲を公表していたので、辰也と純也は驚かないながらもタジタジと苦笑を隠せない。龍さんの”嫁自慢”がまた始まったよ――くらいに思っているのだろう。だが、入店の面接に来たばかりの若者相手に突如そんなことを打ち明ける神経が分からないとばかりに、波濤は今にも白目を剥きそうになっていた。
が、そんな波濤の懸念も若い二人には無用だったようである。
「あの……もしかして、お二人は付き合っていらっしゃるんですか?」
驚くというよりは興味津々な調子で茶髪の紫月の方が身を乗り出す。続いて、黒髪の遼二の方が二人の左手薬指にはまっている揃いの指輪に気が付いて、何とも興奮気味に瞳を輝かせた。そしてすかさず、
「分かりました。俺、ボーイじゃなくていいです。付き人でも用心棒でも何でもやります! やらせてください!」
遼二としては、先程この龍が言った『枕営業は必要ない』というひと言が絶大な信頼を生んだようである。目の前のテーブルに突っ伏すように頭を下げながらそう言った様子を見て、龍はこの上なく満足そうにうなずいてみせた。
「よし、決まりな! まあ、安心しろ。お前にはこの店の商品の仕入れとか経理関係なんかを主に手伝ってもらうようにするから。月の半分以上は”嫁”と一緒にいられるぜ?」
ニヤッと冷やかすようにそう言った龍の脇腹に、ゴツンと波濤の肘鉄が命中する。
「――っと! 相変わらず油断ならねえな」
嬉しそうに言いつつ、懲りないどころかもっと強く肩を抱き寄せては、頬摺りまでしてみせるオマケ付きだ。
(油断ならないのはどっちだ――!)
そう言いたいのを呑み込んで、
「と、とにかく……! ”こんな”オーナーの店だが、二人とも本当に入店……でいいんだな?」
龍の抱擁を押しこくりながら、波濤は若い二人に確認した。
「勿論です! 俺たちも……一日も早くオーナーと代表みたいになれるように、目標持ってバリバリ頑張りますんで!」
「よろしくお願いします!」
二人揃ってビシッと礼をする。これから勤める先の経営者が、自分たちと同じように男同士で恋仲であると知ったからなのか、はたまた龍と波濤の人柄そのものに惹かれたのかは定かでないが――彼らの表情は生き生きとして、青葉萌えるこの季節の如くだった。
◇ ◇ ◇
宵闇の降りる頃、街は煌めき出し、ネオンの海の中に幾つもの人生を紡ぎ始める。
先のオーナーだった帝斗も、その言葉通りにちょくちょくと店へやって来ては、取引先の接待などで盛り立ててくれている。
龍に気に入られた新入りの遼二は、大忙しながらもやり甲斐を見つけたようで、率先して仕事も覚え、精を出す。片や波濤の下でホストとしてデビューした紫月は、その美麗な容姿からしても目立つことこの上なく、しかも美形を鼻に掛けないフランクな天然さが客受けして、ぐんぐんと業績を伸ばしているらしい。
そんな紫月にあわやトップをさらわれては立つ瀬が無いと、現役ナンバーワンの辰也や純也らも根性を見せる。
今宵もホストクラブxuanwuには賑やかで明るい笑い声が満ちあふれていた。
嬉しいことがあった時、誰かにその幸せな気持ちを聞いて欲しい時、もしくは、寂しかったり辛かったりすることがあった時には――ふらりと此処を訪れてみませんか?
xuanwuのホストがいつでも全力であなたをお迎えします。
あなたと一緒に祝い、あなたと共に喜び、時にあなたを癒やし、あなたに元気を贈ります。
いつでもあなたが心からの笑顔に満ちて過ごせますように――!
「いらっしゃいませ! 今宵もclub-xuanwuへようこそ!」
心躍る煌めく世界を作るのは、街のネオンの輝きでも店内のシャンデリアの電球でもない。人を思いやる温かな気持ちが紡ぎ出すものなのだと思う。
いつの時代もそれは変わることのなく――この先も手と手を取り合って、永遠の輝きを貴女と共に――。
-FIN-
「おい、龍……いきなり何だ……!」
こんなところで初対面の若者相手に暴露することじゃないだろうと、波濤は思い切り眉をしかめる。
「別に隠す必要ねえだろ。本当のことだ」
そりゃそうかも知れないが――!
苦虫を潰したような波濤の表情からは、文句を言いたいのが丸分かりだ。
この店のホストたちには現役引退を機会に二人の仲を公表していたので、辰也と純也は驚かないながらもタジタジと苦笑を隠せない。龍さんの”嫁自慢”がまた始まったよ――くらいに思っているのだろう。だが、入店の面接に来たばかりの若者相手に突如そんなことを打ち明ける神経が分からないとばかりに、波濤は今にも白目を剥きそうになっていた。
が、そんな波濤の懸念も若い二人には無用だったようである。
「あの……もしかして、お二人は付き合っていらっしゃるんですか?」
驚くというよりは興味津々な調子で茶髪の紫月の方が身を乗り出す。続いて、黒髪の遼二の方が二人の左手薬指にはまっている揃いの指輪に気が付いて、何とも興奮気味に瞳を輝かせた。そしてすかさず、
「分かりました。俺、ボーイじゃなくていいです。付き人でも用心棒でも何でもやります! やらせてください!」
遼二としては、先程この龍が言った『枕営業は必要ない』というひと言が絶大な信頼を生んだようである。目の前のテーブルに突っ伏すように頭を下げながらそう言った様子を見て、龍はこの上なく満足そうにうなずいてみせた。
「よし、決まりな! まあ、安心しろ。お前にはこの店の商品の仕入れとか経理関係なんかを主に手伝ってもらうようにするから。月の半分以上は”嫁”と一緒にいられるぜ?」
ニヤッと冷やかすようにそう言った龍の脇腹に、ゴツンと波濤の肘鉄が命中する。
「――っと! 相変わらず油断ならねえな」
嬉しそうに言いつつ、懲りないどころかもっと強く肩を抱き寄せては、頬摺りまでしてみせるオマケ付きだ。
(油断ならないのはどっちだ――!)
そう言いたいのを呑み込んで、
「と、とにかく……! ”こんな”オーナーの店だが、二人とも本当に入店……でいいんだな?」
龍の抱擁を押しこくりながら、波濤は若い二人に確認した。
「勿論です! 俺たちも……一日も早くオーナーと代表みたいになれるように、目標持ってバリバリ頑張りますんで!」
「よろしくお願いします!」
二人揃ってビシッと礼をする。これから勤める先の経営者が、自分たちと同じように男同士で恋仲であると知ったからなのか、はたまた龍と波濤の人柄そのものに惹かれたのかは定かでないが――彼らの表情は生き生きとして、青葉萌えるこの季節の如くだった。
◇ ◇ ◇
宵闇の降りる頃、街は煌めき出し、ネオンの海の中に幾つもの人生を紡ぎ始める。
先のオーナーだった帝斗も、その言葉通りにちょくちょくと店へやって来ては、取引先の接待などで盛り立ててくれている。
龍に気に入られた新入りの遼二は、大忙しながらもやり甲斐を見つけたようで、率先して仕事も覚え、精を出す。片や波濤の下でホストとしてデビューした紫月は、その美麗な容姿からしても目立つことこの上なく、しかも美形を鼻に掛けないフランクな天然さが客受けして、ぐんぐんと業績を伸ばしているらしい。
そんな紫月にあわやトップをさらわれては立つ瀬が無いと、現役ナンバーワンの辰也や純也らも根性を見せる。
今宵もホストクラブxuanwuには賑やかで明るい笑い声が満ちあふれていた。
嬉しいことがあった時、誰かにその幸せな気持ちを聞いて欲しい時、もしくは、寂しかったり辛かったりすることがあった時には――ふらりと此処を訪れてみませんか?
xuanwuのホストがいつでも全力であなたをお迎えします。
あなたと一緒に祝い、あなたと共に喜び、時にあなたを癒やし、あなたに元気を贈ります。
いつでもあなたが心からの笑顔に満ちて過ごせますように――!
「いらっしゃいませ! 今宵もclub-xuanwuへようこそ!」
心躍る煌めく世界を作るのは、街のネオンの輝きでも店内のシャンデリアの電球でもない。人を思いやる温かな気持ちが紡ぎ出すものなのだと思う。
いつの時代もそれは変わることのなく――この先も手と手を取り合って、永遠の輝きを貴女と共に――。
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