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「いえいえ、こちらこそ。対処に当たっていただきありがとうございます。」
互いに会釈を交わしたのち、これまで起きたことの情報を共有する。
島根の大部分で発生した地震、それに伴う通信障害。
そして今県境で何が起きているのか、一つ一つ確認していく。
「なるほど…。大規模な土砂災害が発生していると?」
「おそらくそうなのではないかと考えていますが…、ちょっと様子が変というか…。うーん…」
地震により、鳥取方面で地形が大きく変わるほどの土砂崩れが起きているとの説明をなされた寺山達。
地盤の脆弱な場所であれば土砂災害は決して珍しくはない事態だ。
だが説明する田中のぎこちなさに一同は違和感を覚える。
「様子が変、とはどういうことですか?」
「え、えーっとですねぇ…。土砂災害だとは思うんですけど、周囲に建物や道路が跡形もなくなるほどの被害が出てるんですよ」
「それはそのくらいひどい土砂崩れということですか?」
「まあ、普通だったらそうなんですけど…。本当に何一つ、元あったものの形跡が無くなってるんですよ。それこそ最初からなかったみたいに…」
田中の要領を得ない発言に一同困惑しつつも、それが過去に類を見ない大規模な災害であるということを皆理解した。
数々の被災地に派遣されてきた自衛隊ですら見たことがないような状態。
自衛隊の精強な通信設備をもってしても県外と連絡が取れないという状況と相まって事態の収拾は一向に見込めない模様だった。
その後自衛隊が設営した仮設のテントに移動した寺山達は、彼らが作成した資料を閲覧するなど、県庁にはなかなか届かなかった現場の情報を集めていった。
地震そのものの情報をはじめ通信状況の経過、県境で起きている土砂災害だと思われるものなどについて、パソコンの画面に文字と数字が示すような資料が次々と出てくる。
寺山を含め職員たちは画面をスクロールしながらそれらをつぶさに見ていく。
そんな中、突如画面に彼らの目を引く写真が現れた。
「あの、すみません。これはなんの写真なんですか?」
写真を指さしながら、寺山は近くにいた隊員に話しかけた。
「ああ、それは県境の近くから鳥取のほうを撮影した写真ですね」
「え!?これが鳥取…ですか?」
隊員の言葉に耳を疑い、二度三度写真を見返す寺山。
何度見たところで写真に写る異様な光景は何一変わらなかった。
だが寺山が驚くのも無理はない。
写真に写るのはとても島根と鳥取の県境とは思えないものだったからだ。
手前の島根側から奥へと続く道路が途中で途切れ、その先にはうっそうと生い茂る森が描かれた写真。
建物も道路も、なに一つなくなっている光景が描写されている。
一見すると合成された写真であると疑われてもしょうがないものだったが、隊員がまじめな顔をして話す以上寺山もそれが現実の写真であると信じるしかなかった。
「まあ、いきなりそんなこと言われてもびっくりしますよね。私だっていまだに信じられません」
「そ、そうですよね…」
突然それまであったものが消えてしまえばだれだって驚く。
寺山だけでない、ここにいる全員が写真の中のことを信じられないと思っているはずだった。
田中の説明によると土砂災害で建物が破壊されたといわれたが、とてもそのようには思えない。
本来なら土砂で覆われているはずの場所はあたかも最初からそこにあったような木々で覆われていたからだ。
互いに会釈を交わしたのち、これまで起きたことの情報を共有する。
島根の大部分で発生した地震、それに伴う通信障害。
そして今県境で何が起きているのか、一つ一つ確認していく。
「なるほど…。大規模な土砂災害が発生していると?」
「おそらくそうなのではないかと考えていますが…、ちょっと様子が変というか…。うーん…」
地震により、鳥取方面で地形が大きく変わるほどの土砂崩れが起きているとの説明をなされた寺山達。
地盤の脆弱な場所であれば土砂災害は決して珍しくはない事態だ。
だが説明する田中のぎこちなさに一同は違和感を覚える。
「様子が変、とはどういうことですか?」
「え、えーっとですねぇ…。土砂災害だとは思うんですけど、周囲に建物や道路が跡形もなくなるほどの被害が出てるんですよ」
「それはそのくらいひどい土砂崩れということですか?」
「まあ、普通だったらそうなんですけど…。本当に何一つ、元あったものの形跡が無くなってるんですよ。それこそ最初からなかったみたいに…」
田中の要領を得ない発言に一同困惑しつつも、それが過去に類を見ない大規模な災害であるということを皆理解した。
数々の被災地に派遣されてきた自衛隊ですら見たことがないような状態。
自衛隊の精強な通信設備をもってしても県外と連絡が取れないという状況と相まって事態の収拾は一向に見込めない模様だった。
その後自衛隊が設営した仮設のテントに移動した寺山達は、彼らが作成した資料を閲覧するなど、県庁にはなかなか届かなかった現場の情報を集めていった。
地震そのものの情報をはじめ通信状況の経過、県境で起きている土砂災害だと思われるものなどについて、パソコンの画面に文字と数字が示すような資料が次々と出てくる。
寺山を含め職員たちは画面をスクロールしながらそれらをつぶさに見ていく。
そんな中、突如画面に彼らの目を引く写真が現れた。
「あの、すみません。これはなんの写真なんですか?」
写真を指さしながら、寺山は近くにいた隊員に話しかけた。
「ああ、それは県境の近くから鳥取のほうを撮影した写真ですね」
「え!?これが鳥取…ですか?」
隊員の言葉に耳を疑い、二度三度写真を見返す寺山。
何度見たところで写真に写る異様な光景は何一変わらなかった。
だが寺山が驚くのも無理はない。
写真に写るのはとても島根と鳥取の県境とは思えないものだったからだ。
手前の島根側から奥へと続く道路が途中で途切れ、その先にはうっそうと生い茂る森が描かれた写真。
建物も道路も、なに一つなくなっている光景が描写されている。
一見すると合成された写真であると疑われてもしょうがないものだったが、隊員がまじめな顔をして話す以上寺山もそれが現実の写真であると信じるしかなかった。
「まあ、いきなりそんなこと言われてもびっくりしますよね。私だっていまだに信じられません」
「そ、そうですよね…」
突然それまであったものが消えてしまえばだれだって驚く。
寺山だけでない、ここにいる全員が写真の中のことを信じられないと思っているはずだった。
田中の説明によると土砂災害で建物が破壊されたといわれたが、とてもそのようには思えない。
本来なら土砂で覆われているはずの場所はあたかも最初からそこにあったような木々で覆われていたからだ。
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