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やがて寺山達の視察隊を乗せた車は松江市を出て安来市に入り、鳥取の米子へと迫っていた。
だが目的地である合流地点、そして鳥取との県境が迫ってくると徐々にではあるが車の流れが滞ってくる。
「なんだか混んできましたね…」
前方の様子をうかがいながら運転手がつぶやく。
それを聞いて寺山達も前後に続く車列に目を向けた。
もともと片側一車線しかない国道9号線。
松江中心部などに比べると渋滞の頻度こそ少ないものの、主要渋滞個所としてしばしば取り上げられることもある。
島根の県庁所在地と鳥取を結ぶ主要道路であるがゆえに、時間や曜日によって混みあうことはあるものの、今は通勤時間などではない。
寺山達はすぐに、これが地震の影響で起きた渋滞だと察した。
どのくらい先まで渋滞してるのか。
そんなことを考えながら進んでは止まり、進んでは止まりを繰り返す。
ほかの車とともにブレーキランプを点滅させることしかできないもどかしさを感じながらも、じわじわと前に進んでいった。
「あ、あそこ…。合流地点じゃないですか?」
運転手が指さした方向に一同視線を向ける。
そこにはパトカーのランプと、そのさらに奥には迷彩模様をした自衛隊のトラックが数台微かに映っていた。
どうやらそこで交通整理をしているようで、鳥取方面に向かっている車をUターンさせている警官たちも見える。
そんな光景を見ながら、寺山達を乗せた車もゆっくりとその場に忍び寄っていった。
そしてしばらくしたのち、交通整理をしている警察官のもとまでたどり着いた。
「あ、すみません。私たちは島根県庁から来たものなのですが…」
助手席の窓を開けて、そこに座っていた職員が警察官にそう告げる。
するとその警察官は奥にいたほかの警察官に事情を説明したのち、再び寺山達のもとに戻ってきた。
「連絡いただいております。今回の災害について視察に来られた方ですよね?寺山知事もいらっしゃるとのことですが…」
「はい、私が寺山です」
後部座席から自ら名乗り出る寺山。
すると警察官は納得したようにうなずく。
「ああ、そちらが寺山知事ですね。よくお越しいただきました。これから車両のほうを誘導するので、指定された場所に駐車してください。そこからは自衛隊が皆さんを被災地に案内します」
警察官がそういうと、車両の前方に設置してあった交通規制のロープを一時的にほどき、寺山達の車をその奥へと誘導した。
そのまま数十メートル移動すると、今度は迷彩服を着た自衛官が警察官の代わりに誘導を行う。
そうして車は、自衛隊が災害時ということで一時的に利用している道の駅の駐車場の一角に停められた。
自衛隊のトラックなどが多数停まっている、いつもと比べて異様な光景の道の駅にぎこちなさを感じながらも一同は車を降りる。
すると数人の自衛官が寺山達のもとに歩み寄ってきた。
「こんにちは。私は准尉の田中優斗です。現在発生している災害において第13偵察隊を指揮して対処に当たっております。寺山知事、わざわざ忙しい中視察ごくろうさまです」
そういって田中は深々と頭を下げた。
だが目的地である合流地点、そして鳥取との県境が迫ってくると徐々にではあるが車の流れが滞ってくる。
「なんだか混んできましたね…」
前方の様子をうかがいながら運転手がつぶやく。
それを聞いて寺山達も前後に続く車列に目を向けた。
もともと片側一車線しかない国道9号線。
松江中心部などに比べると渋滞の頻度こそ少ないものの、主要渋滞個所としてしばしば取り上げられることもある。
島根の県庁所在地と鳥取を結ぶ主要道路であるがゆえに、時間や曜日によって混みあうことはあるものの、今は通勤時間などではない。
寺山達はすぐに、これが地震の影響で起きた渋滞だと察した。
どのくらい先まで渋滞してるのか。
そんなことを考えながら進んでは止まり、進んでは止まりを繰り返す。
ほかの車とともにブレーキランプを点滅させることしかできないもどかしさを感じながらも、じわじわと前に進んでいった。
「あ、あそこ…。合流地点じゃないですか?」
運転手が指さした方向に一同視線を向ける。
そこにはパトカーのランプと、そのさらに奥には迷彩模様をした自衛隊のトラックが数台微かに映っていた。
どうやらそこで交通整理をしているようで、鳥取方面に向かっている車をUターンさせている警官たちも見える。
そんな光景を見ながら、寺山達を乗せた車もゆっくりとその場に忍び寄っていった。
そしてしばらくしたのち、交通整理をしている警察官のもとまでたどり着いた。
「あ、すみません。私たちは島根県庁から来たものなのですが…」
助手席の窓を開けて、そこに座っていた職員が警察官にそう告げる。
するとその警察官は奥にいたほかの警察官に事情を説明したのち、再び寺山達のもとに戻ってきた。
「連絡いただいております。今回の災害について視察に来られた方ですよね?寺山知事もいらっしゃるとのことですが…」
「はい、私が寺山です」
後部座席から自ら名乗り出る寺山。
すると警察官は納得したようにうなずく。
「ああ、そちらが寺山知事ですね。よくお越しいただきました。これから車両のほうを誘導するので、指定された場所に駐車してください。そこからは自衛隊が皆さんを被災地に案内します」
警察官がそういうと、車両の前方に設置してあった交通規制のロープを一時的にほどき、寺山達の車をその奥へと誘導した。
そのまま数十メートル移動すると、今度は迷彩服を着た自衛官が警察官の代わりに誘導を行う。
そうして車は、自衛隊が災害時ということで一時的に利用している道の駅の駐車場の一角に停められた。
自衛隊のトラックなどが多数停まっている、いつもと比べて異様な光景の道の駅にぎこちなさを感じながらも一同は車を降りる。
すると数人の自衛官が寺山達のもとに歩み寄ってきた。
「こんにちは。私は准尉の田中優斗です。現在発生している災害において第13偵察隊を指揮して対処に当たっております。寺山知事、わざわざ忙しい中視察ごくろうさまです」
そういって田中は深々と頭を下げた。
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