8 / 15
会議
しおりを挟む
数十人が入れるほど大きな部屋。
そこには半円形の机と椅子が階段状にいくつも並べられており、その多くに政治家をはじめとした要人が座っている。
彼らの目線は部屋の上部に設けられた画面に向けられており、そこにも彼らと同じような要人が大勢映っている。
画面が見やすいようにあらかじめ暗く保たれている室内ではあったが、会議の内容も相まってなにやら物々しい雰囲気が醸し出されていた。
「…賛成多数でこちらの議題は可決されました、よろしいでしょうか、大統領」
「…了解した。その案に決定しよう」
中段の席に座っていた人物が大統領と呼んだ人物、大きな画面の中央に映っている初老の男性がそういうと、手元の電子端末の契約書に記名する。
これで大統領が議会で提示された案を認可したということになる。
会議で議決された内容であるはずの議案。
参加者の多くが賛成票を投じたはずではあるが、あちこちでざわめきが聞こえる。
「…しかし、本当にうまくいくのでしょうか?我々、いや人類初ですよこんなの」
「そりゃそうだが、いつかは解決しないといけない問題だしなぁ…」
会議室中からそんな不安げな発言が漏れ出す。誰もかれもが眉間にしわを寄せ、首を傾げ、うつむくなど、鬱屈がその場を支配していた。
「それにしてもこんなこと、国民にはどう説明すればいいんだ。大混乱を引き起こしかねないぞ…」
外務省、内務省、総務省、防衛省…
各々頭を抱える悩ましい判断。しかしいずれは決断しなければならないということを皆理解していた。
「これよりいったん本会議を終了し、各担当部署単位で個別会議を行い、後日改めて具体的な計画の立案を行います。それでは参加者一同、解散してください」
会議の進行役の合図で簡潔に閉会が行われる。
薄暗かった室内に照明の明かりが戻り、参加者たちは順に会議室を後にしていく。
これでひと段落かと思いきや、皆それぞれ自分の仕事に戻らねばならないため足早に廊下を歩いていた。
そしてそんな中に彼もいた。
「二階堂大将!お疲れ様です!」
一人の男が、大勢の人の流れの中から二階堂を見つけて後ろから呼び止めた。
そこには半円形の机と椅子が階段状にいくつも並べられており、その多くに政治家をはじめとした要人が座っている。
彼らの目線は部屋の上部に設けられた画面に向けられており、そこにも彼らと同じような要人が大勢映っている。
画面が見やすいようにあらかじめ暗く保たれている室内ではあったが、会議の内容も相まってなにやら物々しい雰囲気が醸し出されていた。
「…賛成多数でこちらの議題は可決されました、よろしいでしょうか、大統領」
「…了解した。その案に決定しよう」
中段の席に座っていた人物が大統領と呼んだ人物、大きな画面の中央に映っている初老の男性がそういうと、手元の電子端末の契約書に記名する。
これで大統領が議会で提示された案を認可したということになる。
会議で議決された内容であるはずの議案。
参加者の多くが賛成票を投じたはずではあるが、あちこちでざわめきが聞こえる。
「…しかし、本当にうまくいくのでしょうか?我々、いや人類初ですよこんなの」
「そりゃそうだが、いつかは解決しないといけない問題だしなぁ…」
会議室中からそんな不安げな発言が漏れ出す。誰もかれもが眉間にしわを寄せ、首を傾げ、うつむくなど、鬱屈がその場を支配していた。
「それにしてもこんなこと、国民にはどう説明すればいいんだ。大混乱を引き起こしかねないぞ…」
外務省、内務省、総務省、防衛省…
各々頭を抱える悩ましい判断。しかしいずれは決断しなければならないということを皆理解していた。
「これよりいったん本会議を終了し、各担当部署単位で個別会議を行い、後日改めて具体的な計画の立案を行います。それでは参加者一同、解散してください」
会議の進行役の合図で簡潔に閉会が行われる。
薄暗かった室内に照明の明かりが戻り、参加者たちは順に会議室を後にしていく。
これでひと段落かと思いきや、皆それぞれ自分の仕事に戻らねばならないため足早に廊下を歩いていた。
そしてそんな中に彼もいた。
「二階堂大将!お疲れ様です!」
一人の男が、大勢の人の流れの中から二階堂を見つけて後ろから呼び止めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる