借金まみれのダメ親だと思ってたら魔法界では英雄だった件について

ほうれん草

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始まり

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扉を強く叩く音が聞こえる。


(ああ、またこれか。)


一日の始まりはいつもこうだ、常々嫌になる。


俺、神染 海(シンゼンカイ)は普通の男子高校生だ。…周りから見ればな。帰宅部で、運動も勉強も顔も平均より少し下の地味を具現化したような感じ。友達も少なく、学校でも静かに過ごしている。
家に帰ると、怖そうなおじさんたちがマンションの入り口で立っている。おじさんたちの横をそろそろとすり抜けて家に帰る。そこに待っているのは泥酔した母と、ペットのうさぎのポルテだ。母は300万の借金持ちで生活保護の半分を酒に使うような人だ。いつか家を出てやろうと思っている。父さんは7年前に事故で死んでしまった。その頃から母さんは変わってしまったと思う。ポルテは小学生のときに拾い、母親に土下座をしお願いして飼っているうさぎだ。人懐っこくて唯一の心の拠り所である。

ポルテの水が少なくなっていることを思い出し、起きると借金の取り立てが来ているので母親を叩き起こす。

「母さん。取り立ての人が来てるよ。」

「ん…んぁ?机の上にある2000円渡しといて~。」

「やだよ!俺が殺されちゃうよ。」

「じゃあ、いないふりでもしといきな~」

「はぁ…。」

呆れて言葉も出ない。
ポルテに水をあげるとぴちゃぴちゃと飲み始めた。はぁ…かわいい。


取り立ての人も諦めたのか扉を叩く音が消えた。
その隙に学校へ行くのでいつも遅刻ギリギリだ。

(やばい…今日遅刻したらおしまいだ!)

後ろから特徴のある足音が聞こえる。

(ああ、最悪だ。遅刻なのか。)
そう思ったその時

「おっはよーーーーーー!!!海と遅刻できるなんておもってなかったよ!!」

でた。遅刻魔の笹岡愁(ササオカシュウ)。こいつに会ったら遅刻を覚悟しておけ、と学校では有名である。そして俺の数少ない友達で幼馴染だ。

「なんだよ愁か。ほら急ぐぞ。」

「ちょっと、海~!俺に冷たくなぁい??寂しいなあ~」


そして重度のかまちょである。


「いいからはやく学校行くぞ!遅刻するだろ!」

「そんなに怒るなよ~。てかあと一分で間に合うの?」

「うわああああああああ!!!!!!!まじお前のせいだからな!!!ふざっけんなあああ!!!!」


学校まであと100mの道路で海の叫び声が響き渡った



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