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16.意外と味方は多かった
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王宮での事情聴取と闇魔法の解呪確認を終え、わたくしは元の生活に戻れることになった。
いえ、元の生活以上ね。
護衛だと言って毎朝ロアン様が迎えにきてくださるし、もう悪役令嬢にならなくていい。
「ずっとごめんなさいね。わたくしのせいでたくさん嫌な思いをさせたでしょう」
わたくしはかつて友人だった令嬢たちに謝った。酷い態度を正面から諌めてくれた彼女たちにも、わたくしは罵倒を浴びせた。
許してもらえないにしても、謝っておきたい。
そう思ってのことだったが、彼女たちは首をぶんぶんと横に振った。
「謝らなければならないのはわたくしたちのほうです。申し訳ありません」
「ヒューバート殿下から聞きました。ヴェスカ様がおつらいときに、わたくしたちは何も支えになれなくて……」
「セノリィ様が恐ろしい企みをしていたなんて」
「皆様……そんな、お顔をあげてください」
涙をにじませて頭をさげる令嬢たちに、慌てて告げる。
ヒューバート殿下が説明してくださったおかげで、事情は伝わっているようだ。
彼女たちは、酷い態度をとるわたくしから離れたけれども、セノリィといっしょになってわたくしを非難するようなこともなかった。淑女と呼ぶにふさわしいご令嬢方だと思う。
もしかして……また友人に戻れるのかしら。
「あの……明日は食堂に行こうと思っておりますの。いっしょにお昼をいかがかしら」
尋ねると、皆様はほっとしたように笑ってくれた。
*
意外な味方はほかにもまだいた。
わたくしの罵倒にへこたれなかった、キッチンメイドのシェリーだ。
「今までごめんなさい」と謝るわたくしに、シェリーは驚愕の表情を浮かべた。
「これまでのご褒美は……態度が悪かったことへの謝罪のチップだったんですか……!?」
「そうよ、もちろん。お金で許されることではないけれど、せめてそのくらいはと……」
「いえいえいえ、逆です。嫌味を言うくらいでチップ渡してたら、世の中の貴族はみんな破産しますよ。なんでこんなにやさしくしてくれるんだろうと思ってたらそういうことですか。え、ていうかお嬢様、素はすっごくかわいらしい声なんですね」
「ん、んん?」
怒涛の勢いで話すシェリーについていけず、わたくしは眉を寄せた。
最初から、嫌われてはいなかった?
「でも、ほかのメイドは辞めてしまったでしょう」
どれほどご褒美をもらおうとも、こんな主人に仕えたくない……と思ったからではないのだろうか。
「そりゃ、金貨なんて私たちが一生に一度お目にかかれるかどうかの大金ですからね。ほかの二人……メルは病気の妹の薬が買えるって田舎にすっ飛んで帰りました。妹さんの病気は治ったそうですよ。二人で仲良く暮らしてるそうです。リナは安く売りに出てた建物を買って、念願の雑貨屋を開いたって。子どもの頃からの夢だったそうです。王都の外れにありますよ」
「そう、なの……?」
「はい。私は金貨の分のご奉公はしなきゃと思って残りましたけど、お嬢様はどんどん追加でご褒美をくださるし」
「……」
知らなかった。使用人たちもわたくしを嫌っていると思って避けていたから、知りようがなかったのだ。
ちなみに、会わないつもりだったのに、わたくしの部屋にロアン様が現れたのは、
「それまでのお嬢様なら会わないと思ったので『お会いにならないでよろしいですか』と確認したのですが、ものすごく悲しい顔をされたので、お通ししました」
ということだったらしい。有能すぎる。
わたくしにかけられた闇魔法はすでに解けていたから、しゃべらなくとも心の内が表情に出てしまっていたのだ。
「ありがとう」と言えば、「当然のことをしたまでです」とシェリーは胸を張る。
「生涯分のご褒美もらっちゃったんで、まだまだご奉公しますねっ!」
こぶしを握り、シェリーはにっこりと笑った。
***
「ほおら、ご飯ですよ~」
念願の台詞とともに、わたくしは抱えた木箱から餌をすくって地面にまいた。
待ってましたとばかりに鳴き声をあげ、集まってくる小鳥たち。ピーピーチーチーの大歓声はいつもと同じ。
もともと罵倒の言葉なんてわからないだろうからと始めた餌やりだけれども、リアクションが変わらないというのは安心する。
セノリィのことや、目を潤ませて謝ってくれた友人たち、満面の笑みを見せたシェリー……。
嬉しいことではあるのだけれど、環境の変化が大きすぎると少しだけ反応に困る。
「クアア」
かわいらしいのにふてぶてしい鳴き声が聞こえて、わたくしは顔をあげた。
左右に分かれた小鳥たちのあいだを、オレンジ色の胸を張ってのっしのっしと歩いてくるのは、いつぞやの謎ヒヨコ。
「あら、お久しぶり。今日もトウモロコシだけかしら」
くすくすと笑い、箱の中から小袋をとりだす。この子がきたときに備えて、干しトウモロコシの粒をよけておいたのだ。
「はい」
手のひらにのせてさしだすと、ヒヨコはきょとんとわたくしを見たものの、満足げに「クッ」と喉を鳴らして食べ始めた。
食べているあいだに反対の手で首のあたりを撫でてみる。……嫌がらない。
体温の高い羽毛の中は、あたたかくてなめらかで気持ちがよかった。
「クーちゃん」
呼びかけると、トウモロコシをついばんでいたクチバシがわたくしのほうへ向く。
「あなたの名前よ。クーちゃんでどうかしら」
「……クウ」
くり返すように鳴いてくれたのは了承の意味だろうか。でも顔がしかめっ面になっているので、『気に食わないが仕方ない』くらいかもしれない。
謎ヒヨコあらためクーちゃんは、すぐに興味を失ったのか、一心不乱に手のひらをつつく動作に戻った――と、半分も食べないうちに、ピクッと頭をあげる。
「クーちゃん?」
「ギュアッ」
その鳴き声が合図になったかのように、小鳥たちが飛び立つ。
「きゃっ!」
驚きに声をあげ、反射的に目を閉じる。
目を開いたときには、のしのしと茂みへ去っていくクーちゃんの背中が見えた。
「ヴェスカ嬢」
背後から声をかけられて振り向くと、ロアン様が立っていた。
クーちゃんはロアン様の気配を感じて逃げたのかしら。
いきなり手から餌を食べるくらいだから人馴れしているのかと思ったけれど、そうではないらしい。
「ロアン様。どうしたのですか」
わたくしは立ちあがって手を払い、ロアン様に向きあった。
セノリィの闇魔法が解け、ぼっち飯の必要がなくなって以降、昼食は食堂でとっている。
友人たちとテーブルを囲んだり、ロアン様と二人だったり、時にはそこにヒューバート殿下がご一緒になることもある。
今日はロアン様とお昼を食べた。
わざわざ放課後に裏庭へきたのはわたくしをさがしてのことだと思うのだけれど、用件がわからない。
わたくしは不思議そうな顔をしていたのでしょう、赤らんだ頬をかき、ロアン様ははにかんだ。
「どう……ということもないのだが。ここへくれば君に会えるかと思って」
「っ!」
どきんと胸が鳴り、わたくしの頬も熱を持つ。
「会えるのなら、会えるだけ、と思ってしまうんだ。一人ですごしたかったのなら申し訳ないが……」
「いえ、そんな」
気恥ずかしさにうつむくわたくしの視界に、小ぶりな花束が飛び込んでくる。
薔薇を中心にガーベラやスイートピーをあわせた花束は、いつもの白とは違ってうっすらとピンクに色づいていた。
それが、まるでロアン様の心を映しているようで。
「君の美しさには敵わないが……」
お決まりの台詞を、真っ赤な顔でロアン様が告げる。
ようやくわたくしにもわかった。
あの真顔の口説き文句は、緊張に緊張を重ねたロアン様がやっとの思いで口にしていたものなのだろう。
「週末に、町へ行かないか」
「……はい!」
実は案外照れ屋らしい婚約者から、花束を受けとって。
わたくしはにっこりと笑った。
いえ、元の生活以上ね。
護衛だと言って毎朝ロアン様が迎えにきてくださるし、もう悪役令嬢にならなくていい。
「ずっとごめんなさいね。わたくしのせいでたくさん嫌な思いをさせたでしょう」
わたくしはかつて友人だった令嬢たちに謝った。酷い態度を正面から諌めてくれた彼女たちにも、わたくしは罵倒を浴びせた。
許してもらえないにしても、謝っておきたい。
そう思ってのことだったが、彼女たちは首をぶんぶんと横に振った。
「謝らなければならないのはわたくしたちのほうです。申し訳ありません」
「ヒューバート殿下から聞きました。ヴェスカ様がおつらいときに、わたくしたちは何も支えになれなくて……」
「セノリィ様が恐ろしい企みをしていたなんて」
「皆様……そんな、お顔をあげてください」
涙をにじませて頭をさげる令嬢たちに、慌てて告げる。
ヒューバート殿下が説明してくださったおかげで、事情は伝わっているようだ。
彼女たちは、酷い態度をとるわたくしから離れたけれども、セノリィといっしょになってわたくしを非難するようなこともなかった。淑女と呼ぶにふさわしいご令嬢方だと思う。
もしかして……また友人に戻れるのかしら。
「あの……明日は食堂に行こうと思っておりますの。いっしょにお昼をいかがかしら」
尋ねると、皆様はほっとしたように笑ってくれた。
*
意外な味方はほかにもまだいた。
わたくしの罵倒にへこたれなかった、キッチンメイドのシェリーだ。
「今までごめんなさい」と謝るわたくしに、シェリーは驚愕の表情を浮かべた。
「これまでのご褒美は……態度が悪かったことへの謝罪のチップだったんですか……!?」
「そうよ、もちろん。お金で許されることではないけれど、せめてそのくらいはと……」
「いえいえいえ、逆です。嫌味を言うくらいでチップ渡してたら、世の中の貴族はみんな破産しますよ。なんでこんなにやさしくしてくれるんだろうと思ってたらそういうことですか。え、ていうかお嬢様、素はすっごくかわいらしい声なんですね」
「ん、んん?」
怒涛の勢いで話すシェリーについていけず、わたくしは眉を寄せた。
最初から、嫌われてはいなかった?
「でも、ほかのメイドは辞めてしまったでしょう」
どれほどご褒美をもらおうとも、こんな主人に仕えたくない……と思ったからではないのだろうか。
「そりゃ、金貨なんて私たちが一生に一度お目にかかれるかどうかの大金ですからね。ほかの二人……メルは病気の妹の薬が買えるって田舎にすっ飛んで帰りました。妹さんの病気は治ったそうですよ。二人で仲良く暮らしてるそうです。リナは安く売りに出てた建物を買って、念願の雑貨屋を開いたって。子どもの頃からの夢だったそうです。王都の外れにありますよ」
「そう、なの……?」
「はい。私は金貨の分のご奉公はしなきゃと思って残りましたけど、お嬢様はどんどん追加でご褒美をくださるし」
「……」
知らなかった。使用人たちもわたくしを嫌っていると思って避けていたから、知りようがなかったのだ。
ちなみに、会わないつもりだったのに、わたくしの部屋にロアン様が現れたのは、
「それまでのお嬢様なら会わないと思ったので『お会いにならないでよろしいですか』と確認したのですが、ものすごく悲しい顔をされたので、お通ししました」
ということだったらしい。有能すぎる。
わたくしにかけられた闇魔法はすでに解けていたから、しゃべらなくとも心の内が表情に出てしまっていたのだ。
「ありがとう」と言えば、「当然のことをしたまでです」とシェリーは胸を張る。
「生涯分のご褒美もらっちゃったんで、まだまだご奉公しますねっ!」
こぶしを握り、シェリーはにっこりと笑った。
***
「ほおら、ご飯ですよ~」
念願の台詞とともに、わたくしは抱えた木箱から餌をすくって地面にまいた。
待ってましたとばかりに鳴き声をあげ、集まってくる小鳥たち。ピーピーチーチーの大歓声はいつもと同じ。
もともと罵倒の言葉なんてわからないだろうからと始めた餌やりだけれども、リアクションが変わらないというのは安心する。
セノリィのことや、目を潤ませて謝ってくれた友人たち、満面の笑みを見せたシェリー……。
嬉しいことではあるのだけれど、環境の変化が大きすぎると少しだけ反応に困る。
「クアア」
かわいらしいのにふてぶてしい鳴き声が聞こえて、わたくしは顔をあげた。
左右に分かれた小鳥たちのあいだを、オレンジ色の胸を張ってのっしのっしと歩いてくるのは、いつぞやの謎ヒヨコ。
「あら、お久しぶり。今日もトウモロコシだけかしら」
くすくすと笑い、箱の中から小袋をとりだす。この子がきたときに備えて、干しトウモロコシの粒をよけておいたのだ。
「はい」
手のひらにのせてさしだすと、ヒヨコはきょとんとわたくしを見たものの、満足げに「クッ」と喉を鳴らして食べ始めた。
食べているあいだに反対の手で首のあたりを撫でてみる。……嫌がらない。
体温の高い羽毛の中は、あたたかくてなめらかで気持ちがよかった。
「クーちゃん」
呼びかけると、トウモロコシをついばんでいたクチバシがわたくしのほうへ向く。
「あなたの名前よ。クーちゃんでどうかしら」
「……クウ」
くり返すように鳴いてくれたのは了承の意味だろうか。でも顔がしかめっ面になっているので、『気に食わないが仕方ない』くらいかもしれない。
謎ヒヨコあらためクーちゃんは、すぐに興味を失ったのか、一心不乱に手のひらをつつく動作に戻った――と、半分も食べないうちに、ピクッと頭をあげる。
「クーちゃん?」
「ギュアッ」
その鳴き声が合図になったかのように、小鳥たちが飛び立つ。
「きゃっ!」
驚きに声をあげ、反射的に目を閉じる。
目を開いたときには、のしのしと茂みへ去っていくクーちゃんの背中が見えた。
「ヴェスカ嬢」
背後から声をかけられて振り向くと、ロアン様が立っていた。
クーちゃんはロアン様の気配を感じて逃げたのかしら。
いきなり手から餌を食べるくらいだから人馴れしているのかと思ったけれど、そうではないらしい。
「ロアン様。どうしたのですか」
わたくしは立ちあがって手を払い、ロアン様に向きあった。
セノリィの闇魔法が解け、ぼっち飯の必要がなくなって以降、昼食は食堂でとっている。
友人たちとテーブルを囲んだり、ロアン様と二人だったり、時にはそこにヒューバート殿下がご一緒になることもある。
今日はロアン様とお昼を食べた。
わざわざ放課後に裏庭へきたのはわたくしをさがしてのことだと思うのだけれど、用件がわからない。
わたくしは不思議そうな顔をしていたのでしょう、赤らんだ頬をかき、ロアン様ははにかんだ。
「どう……ということもないのだが。ここへくれば君に会えるかと思って」
「っ!」
どきんと胸が鳴り、わたくしの頬も熱を持つ。
「会えるのなら、会えるだけ、と思ってしまうんだ。一人ですごしたかったのなら申し訳ないが……」
「いえ、そんな」
気恥ずかしさにうつむくわたくしの視界に、小ぶりな花束が飛び込んでくる。
薔薇を中心にガーベラやスイートピーをあわせた花束は、いつもの白とは違ってうっすらとピンクに色づいていた。
それが、まるでロアン様の心を映しているようで。
「君の美しさには敵わないが……」
お決まりの台詞を、真っ赤な顔でロアン様が告げる。
ようやくわたくしにもわかった。
あの真顔の口説き文句は、緊張に緊張を重ねたロアン様がやっとの思いで口にしていたものなのだろう。
「週末に、町へ行かないか」
「……はい!」
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わたくしはにっこりと笑った。
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