8 / 74
2 ボク
ワレラノカミヨ
しおりを挟む
『ボク』の章はえっちがほとんど無いです
==
かみはかつて我が子らに言った
悪意を己の中に残してはならぬと
人は己の中に湧き上がる悪意を消そうとしたが、それはひどく難しかった
人は生きているだけで、腹の中に罪を溜め込んでしまう
暴食、色欲、強欲、憂鬱、憤怒、怠惰、虚飾、傲慢
人が集まれば人を憎み恨み、殺し合う結末のあまりに多いことよ
そのような暴乱をかみが望むはずもないと知りながら、人は人を許容しない
罪の全てを知らぬ者など、この世にいるはずもない
まるで生まれたての赤子
そうでなければ、そのような存在はかみそのものだろう
かみは人に道を示した
節制、剛毅、信仰、正義、希望、思慮、慈愛
これらを用いて、腹の中の罪を打ち消せと
誰一人として、今もなお、それはなされていないが
ただ一つ、腹の中の罪を消す方法は見つかっている
かみの身をもって罪をすすぐのだ
かみの身の内に罪を注げば、それを行った者は誰よりも清浄となり、腹の中に溜め込んでいた罪は消える
かみの身に注がれた人の罪は浄化され、人は許される
そう、信じられていた
かつてかみが大地に降りられていた間、人はそうやって罪を許されていた
だがかみは空へ帰った
その伝承が正しいのか、間違っているのか
疑う者などいない
かみが再び地に降りた
その話だけはずっと長く、何百年も連綿と人の口に登り続けている
けれどかみの身に罪を注ぎ許されたという話は流れてこない
なぜなのか
かみは人に試練を与えているのだ
かみの身に罪を注いで、罪を許される者は選ばれし者であろう
ならばかみに選ばれるようにと望んで、我こそはと立ち上がった者の誰一人として、まともなまま戻ることはなかった
近づいただけで化獣となりはて、かみの身を喰らいて破滅した者たち
かみの存在の清浄さに耐えられず、かみに危害を加えて破滅した者たち
かみに近づいた者たちは、みな同じように破滅した
かみの怒りに触れたわけではない
いついかなる時も、かみは人に哀れみと愛を向けてくださっている
その身を汚されようとも壊されようとも、かみは我が子を愛し続けている
ならばなぜ、人は許されぬのか
許されぬならば、許させればよい
巫がかみからの託をたまわる際に用いるゴマを焚き、ゴマの汁を飲み、ゴマの葉を薬として、道を繋げよ
かみであっても地を歩く身を持つのであれば、ゴマが効くやもしれぬ
かみを我らの手の内に
かみよ、我らはかみの子であるのだから、全てが許されるはずなのだ
長き悔恨の果てに再び地に降り立ったというのであれば、我らのために来たに違いないのだ
さあ、かみを我らの手の内に
==
かみはかつて我が子らに言った
悪意を己の中に残してはならぬと
人は己の中に湧き上がる悪意を消そうとしたが、それはひどく難しかった
人は生きているだけで、腹の中に罪を溜め込んでしまう
暴食、色欲、強欲、憂鬱、憤怒、怠惰、虚飾、傲慢
人が集まれば人を憎み恨み、殺し合う結末のあまりに多いことよ
そのような暴乱をかみが望むはずもないと知りながら、人は人を許容しない
罪の全てを知らぬ者など、この世にいるはずもない
まるで生まれたての赤子
そうでなければ、そのような存在はかみそのものだろう
かみは人に道を示した
節制、剛毅、信仰、正義、希望、思慮、慈愛
これらを用いて、腹の中の罪を打ち消せと
誰一人として、今もなお、それはなされていないが
ただ一つ、腹の中の罪を消す方法は見つかっている
かみの身をもって罪をすすぐのだ
かみの身の内に罪を注げば、それを行った者は誰よりも清浄となり、腹の中に溜め込んでいた罪は消える
かみの身に注がれた人の罪は浄化され、人は許される
そう、信じられていた
かつてかみが大地に降りられていた間、人はそうやって罪を許されていた
だがかみは空へ帰った
その伝承が正しいのか、間違っているのか
疑う者などいない
かみが再び地に降りた
その話だけはずっと長く、何百年も連綿と人の口に登り続けている
けれどかみの身に罪を注ぎ許されたという話は流れてこない
なぜなのか
かみは人に試練を与えているのだ
かみの身に罪を注いで、罪を許される者は選ばれし者であろう
ならばかみに選ばれるようにと望んで、我こそはと立ち上がった者の誰一人として、まともなまま戻ることはなかった
近づいただけで化獣となりはて、かみの身を喰らいて破滅した者たち
かみの存在の清浄さに耐えられず、かみに危害を加えて破滅した者たち
かみに近づいた者たちは、みな同じように破滅した
かみの怒りに触れたわけではない
いついかなる時も、かみは人に哀れみと愛を向けてくださっている
その身を汚されようとも壊されようとも、かみは我が子を愛し続けている
ならばなぜ、人は許されぬのか
許されぬならば、許させればよい
巫がかみからの託をたまわる際に用いるゴマを焚き、ゴマの汁を飲み、ゴマの葉を薬として、道を繋げよ
かみであっても地を歩く身を持つのであれば、ゴマが効くやもしれぬ
かみを我らの手の内に
かみよ、我らはかみの子であるのだから、全てが許されるはずなのだ
長き悔恨の果てに再び地に降り立ったというのであれば、我らのために来たに違いないのだ
さあ、かみを我らの手の内に
10
あなたにおすすめの小説
ふたなり治験棟
ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。
男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!
朔の生きる道
ほたる
BL
ヤンキーくんは排泄障害より
主人公は瀬咲 朔。
おなじみの排泄障害や腸疾患にプラスして、四肢障害やてんかん等の疾病を患っている。
特別支援学校 中等部で共に学ぶユニークな仲間たちとの青春と医療ケアのお話。
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
二日に一度を目安に更新しております
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる