【R18】劣等感×無秩序×無関心

Cleyera

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おまけ

SS 先生がおかしくなった!

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 職場の先生が、おかしくなった。

 先生、つまり医者の卵であって、直接話すような関係ではないけれど、困っている。
 つい最近まで、その先生に対する周囲の評価は、いつも淡々としていて、でも穏やかな人、だった。

 いつでも淡々として穏やかだった先生が、今では目の色を変えて、新しく入ってきた職員の男性を追いかけ回している。

 僕が働いているのは、超能力研究を医療に役立てるために色々している某大学と、大学院の医学部付属病院、のおまけみたいな研究所のさらに一角。
 そこの木っ端職員。
 研究機関としての規模は大きくないけれど、病院にくっついてるから情報が新鮮!という売りがある。
 らしいよ。

 先生はそこの院に所属する学生兼研修医で、現役の能力者。

 能力の使用許可資格は取得済みで、さらに普通の医者としての資格も持っているのに、その上で能力者としての特殊専門分野の資格を取得するための勉強を続けている人だ。
 勉強が好きな人なのかな。
 とにかく、頭が良いのは間違いない。

 先生の研究してる分野は、能力者の能力分類の発信と受信における精神分析とほにゃらら……ってすっごい長いやつ。
 僕は能力を持たない一般職員。
 研究者でもないから、あんまり詳しくない。
 施設の維持管理系の職員だから、そこまで頭は良くない。

 優秀な先生だから、きっと普通に研修をこなして資格を取得して、専門医になって……って思ってた。
 あと数年したら、付属病院の医者かな、って。
 高等級の能力者なのに、珍しいくらい普通の人だな、って思ってた。
 つい最近までは。

 能力者、それも高等級の人は変人が多い、って説は間違ってなかった。

 今の先生は、ちょっと狂犬じみてる。
 あの男の人が来てから。
 先生が追いかけ回している男性に、他の研修医や看護師が、声をかけるのすら気に入らないみたいだ。

 言葉には出さないけど、他の人と話してると、すっごい凝視してるもんな。
 なんだろあれ、嫉妬ではなさそうなんだけど。
 無表情になってる先生が、怖い。

 そんなことを思いながら、僕は男の人、もとい新人同僚の館鼻タチバナさんに声をかける。
 もちろん仕事で。

 先生からの熱視線(本当に燃えそう)を背中に感じながら、伝達事項をボイスレコーダーに吹き込みつつ、伝えた。

 館鼻さんは、会話の内容を忘れることがあるからって、いつもボイスレコーダーを持ち歩いてる。
 ちょっと変な人。
 話してると普通だけど。

 高等級の能力所持者でありながら、能力制御に難があるという館鼻さんは、能力使用許可資格を持っていない。
 さらに文字が認識できないという症状を抱えている。

 それなのに、先生と共鳴だったかなんだかを起こしていて、能力が上限突破してるらしい。
 超能力って上限突破するもの?
 能力が上限突破しても、制御能力に難があるままじゃ、かわいそうだなと思ってた。

 でも、実際は全然かわいそうじゃなかった。

「弘さんありがとうございます、ご馳走になります」
「どういたしまして」

 男が男に手作り弁当を渡す、ってどういう関係だ。
 と、僕は満面の笑みの先生と、照れ臭そうな館鼻さんを見て思うわけだ。

 まあ、完璧に恋愛関係とか、あとは弱みを握られてるとか、貢いでる?
 二人が視線を交わす様子を見てると、恋愛しか残らない。

 早く、一緒に暮らせよ。

 それが、僕たちの総意だ。
 先生が早く落ち着いてくれないと、僕たちは居心地が悪い。

 
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