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6 草原で手淫 ※
しおりを挟むむぎゅ、と顔がリサンデの腹に押し付けられる。
まずい。
リサンデの腹の鱗は、最高の肌触りだ。
ひんやりと冷たくて滑らか。
高級な陶器のような質感で、永遠に撫で続けていられる。
快感で、じわりと鱗に滲む毒が、ぽ、ぽ、と青い小さな火の玉になって燃えるのが、俺は好きだ。
竜らしい在り方で生きる、器の底が見えないリサンデが、唯一、俺の下に敷かれた時に見せてくれる分かりやすい好意。
俺に乗られたい。
俺に乗って欲しい。
俺から乗ろうと思って欲しい。
口で言う割に、俺に強要はしない。
俺が興奮してしまえば、なし崩しになってしまうが。
今、はどうだろう。
『野花ちゃん、ごめんね、治るまではだめだよ』
「わ、わかってるからなっ」
胸が潰れそうだと錯覚してしまうほど悲しそうな声が、押し当てられている腹の奥から響いて届く。
乗って欲しいのに、俺がぶっ倒れてるから乗ってもらえない~!、と意訳してしまう。
悲しませたくない。
愛おしい。
可愛い。
俺の竜だ。
絶対に誰にも渡さないぞ。
僅かに動かせる手でリサンデの腹の鱗を撫でながら、うっとりとしていたら。
にぎゃぁあああ、にんぎゃぁああああっっぁぁ
変な鳴き声が聞こえた。
哀れっぽくて、悲しげで、苦しさを訴えてくるが。
『うるさい、オフォラティ』
これまで聞いたことのない、リサンデの刺々しい鳴き声がぶった斬った。
先ほどの言葉を思い出してしまう。
明日の天気を聞くように殺して良い?、と言われたけど、体調とか気分とか、俺の情けなさとか罪悪感とか、いろいろときつい。
◆
リサンデがオフォラティと呼んだ相手、そいつは竜だった。
今、そいつは身を守るように丸めていて、こちらを恨めしそうな目で見つめている。
俺を睨んでくるたびにリサンデが青炎混じりの毒の吐息を吹きかけて、長い尻尾で滅多打ちにしまくったら、こうなった。
広大な草原は、寝転がって見える範囲が荒地に早変わりしている。
こいつはどうやら、リサンデとは系統が違う竜らしい。
竜の姿のリサンデよりも小さくて、地竜よりは大きい。
背中には羽根があり、四つ脚、でも体を覆うのは鱗ではなく、獣のような毛だ。
長い上に毛の色が灰色がかった緑なので、手足を丸めていると、巨大な苔玉が転がっているように見える。
ふぎゃぁ、にぎゃあああっっっ
めちゃくちゃ俺に向かって訴えるように鳴いてくるんだが、残念ながらまったく聞き取れない。
番のリサンデが特別な存在で、俺に竜の言葉を聞き取る能力があるわけではない、と判明した。
『うるさい、知らない、いなくなってよ』
にぎゃんっ、うにゃあにゃあっ、ふぎゃあああんんっっ
『あぁそう、だからなに?、私には関係ない』
いつも俺に対して甘々なリサンデが、すごく冷たい対応をしている。
国王陛下に対面した時と同じ、塩対応ってやつだな。
なんだか見てるだけで可哀想になってくる。
でも、俺が毒を食らった状態なのは、こいつが原因らしいし?
俺が甘やかすのはリサンデだけだし?
今の俺は、竜の姿のリサンデの腹の下で仰向けに寝て、包まれるように守られている。
苔玉を尻尾で打ちのめす時に、土や草が飛び散って危なかったのだ。
リサンデの長くて美しい尻尾は、黒々とした鞭みたいだからな。
鉤爪と、本気の炎毒の吐息を使っていないから、まだ優しいってさ。
リサンデが大地に降りてしまったので、草原の草は全滅して、灰の上に転がっているようなものだ。
そういえば、リサンデのお腹側の小さな鱗って、手触りが最高なんだよな。
体の大きさは変えられても、竜の骨格では人で言うところの正常位では性交しにくいから、普段はあんまり触れない場所だ。
なでなで、すべすべ、すげーきもちいい。
うんぎゃああああっっ!?、ふにゃあああ゛あ゛っっ!!!
血の涙を流しそうな鳴き声が響き渡る。
鳴き声の意味は分からなくても、俺がリサンデといちゃつくのが許せない、ってのは雰囲気で分かるので、あえてお腹をなでなで、さすさすを続けることにした。
俺だって怒ってんだ。
リサンデに乗りたい時に乗れないことに。
悪夢の内容は覚えてなくても、ものすごく頭にきたのは覚えてる。
この野郎!、ってな。
そこでがっかりしてろ。
『野花ちゃん、あんまり撫でないでぇ、いやぁ』
ちょっと溶けかけた声のリサンデが可愛い。
なに、竜の鱗ってめちゃくちゃ硬いのに撫でられると気持ちいいの?
動物みたいに、内臓を守るために急所で敏感だったりする?
俺の下腹をつんつんし始めたものがなにか、見なくても分かる。
体はまだ重いけれど、腕は動くようになったから、俺の足よりも太い巨大な陰茎を抱き締めることはできそうだ。
「リサンデ、たまには俺がなでなでしても良いか?」
『なでなで?』
陰茎を、俺が着ている革鎧に擦り付けても痛くなければ、だけどな。
にょっきりと伸びた陰茎を両腕で抱き締めると、ぶるっ、と俺を守ろうと伏せているリサンデが震えた。
『ふゃああっ!?』
なにその声、初めて聞く感じだな。
びっくりした、どうしよう、みたいな感じかな。
慌ててるのか。
腕を上下に動かして、リサンデの文字通り巨根をごしごしと擦り上げる。
『ひゃうっ、やぁっ、だめ、そんなのだめぇっ』
そうか、だめなのか。
だめなんだ。
なんだろうな、これ、すっごい楽しい!
体重をかけて俺を潰すわけにはいかないのに、気持ちよくて腰が勝手に動いちゃう、っ感じが可愛い!!!
にょきにょきと伸びて硬さを増していく熱が、ついに俺の口元まで届いた。
でかいな、長いな、すごいな。
少し無理をして頭を持ち上げて、べろん、と先端を舐めてみる。
やっぱり俺よりも体温が高いな。
『やあぁっ』
びっくん、と震えた陰茎の先端から、透明な体液が、とぷっ、と押し出されたように垂れ始めた。
なるほど、なるほど。
尻穴の周りの皮膚と違って、陰茎そのものは、ちょっと色が薄いんだな。
鎧越しの触感だが、中に骨が入っているのも間違いなさそうだ。
よし、やるぞ。
両腕でがっしりと抱きしめて包み込んだ陰茎を、よいしょ、よいしょ、と上下に擦る。
『ひぅっ、やあ、だめ、それ、ぃやあっ』
とぷっ、とぷっと先端から溢れる雫が、俺の喉元をぬるぬるにしていく。
上に乗られると、きもちいい、って喜ぶのに、どうして陰茎を擦られるのはいやなんだろうな。
腰がかくかくしてるし、気持ち良すぎてだめ、ってことかもしれない。
……ちょっとだけ、意地悪してみようかな。
「なにが嫌なんだ?」
『えっ』
「これ?、それともこれ?、それとも……」
両腕でごしごし、先端をぺろり、最後に両方。
『ふぁっ、ぜんぶ、ぜんぶだめぇっ』
なるほど。
リサンデは俺に乗って欲しいと頼むことはあっても、前を触って欲しいと言ったことはない。
もしかして、陰茎で気持ちよくなったことが、あまりないのか?
千年以上、生きてるのに?
……それ、たぎるな。
俺は、にんまり、と自分の顔が笑顔になるのを感じた。
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