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22話 決死のペグ作戦!
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【ペグ忍者】が攻撃しているときにあることに気づいた。
「おい、【槌鍛治士】」
「なんだ!
また変なことでも思いついたのか!?」
また、とはなんだ。
いつも真っ当なことしか思いついてないだろうに。
「【ペグ忍者】が持っているあのペグをお前の槌でジェーに撃ち込むことって出来ないか?
ペグって地面に撃ち込む器具ということを聞いたんだが、同じ感じで体の内部まで差し込めたら面白くないか?」
妙案を思いついてしまって思わずにやけてしまった。
「あっ、これが狂人の笑みっ!?
これから私PKされちゃうんだ!?」
うるさいぞ【モブ】包丁1!
「なるほどな、ペグを撃ち込むのは問題なさそうだな!
ただ、少しでも刺さっている状態じゃないと常に動き回っているジェーに槌をピンポイントで当てるのは難しいぞ!」
……少しの間でも動きが止められたらいいのか……
あっ!
「【釣竿剣士】のあれと俺のあれの力を合わせたら少しの間動きを止めることができるかもしれない!」
「何っ!
それなら【釣竿剣士】を近くに呼んで作戦会議でもするか?」
それがいいと俺も同様に思ったが、あることが脳裏によぎった。
その瞬間俺の笑顔が消えた。
「いや……、そういえば【検証班長】から【ペグ忍者】を【釣竿剣士】の近くに置くとあのペド娘が完全に無能と化すらしい。
一人でジェーを足止めできているほどの戦力を失ってまでやる作戦なのか自分ながら自信がなくなってきた……」
自分で盛り上がって、自分で盛り下がるとは器用なやつだと自分で思ってしまった。
ぐぬぬ、どうすればいいんだ?
「それ、本当に2人でやらないと無理なのか?
ワシからするとなんとなくお前なら出来そうな予感もするがな!
まあ、作戦の内容すら聞いてはおらんが!」
なんだその俺に対する信頼感!
やっぱり【槌鍛治士】は最高だぜ!
「なーに、μ素材のこのムチで足のひとつをぐるぐる巻きにして封じるだけさ。
2人居れば両足封じれるんだが……」
そう呟いたとき、さっぱり頭から抜けていた【モブ】包丁2が後ろから声をかけてきた。
いや、本当に忘れてた。
「あのー、おれのチュートリアル武器ムチなんでそれならイケるぜ?
【包丁戦士】、おれと2人でやろう!」
ほ、包丁2っっっ!!!
お前は使える右腕だ!
「そ、それなら【モブ】包丁2さんの鞭を補助で引っ張りますね……」
俺を恐れているのか、【モブ】包丁1は俺から離れられる方法を考えていたみたいだ。
俺たちとは逆方向でよくわからないリアルスキルを使い、岩を砕いている光景を作り出している【釣竿剣士】と比べると流石に見劣りするが、【モブ】2人の使い方としては及第点だろう。
「頼むぞ、包丁1包丁2!
はい!よーい、どん!」
「「はやっ!?」」
体が闘争を求めている。
【モブ】包丁たち(いや、これからは【モブ包丁】という2つ名がつくようにしたいので区切るところを変えよう。)には悪いが、このまま順調にいくと【釣竿剣士】にラストアタックが取られそうだし、焦る焦る。
ラストアタック報酬みたいなのがあるのかは知らないが、今までジェーに執着してきたので、止めくらい自分で刺したいという欲はあるのだ。
そうして【モブ包丁】たちを若干置き去りにしつつ、包丁を逆手に持ちながら先行してジェーの右前足のしたに潜り込み、足をムチでぐるぐる巻きにした。
【ペグ忍者】が連続攻撃を受けていて全ヘイトを受け持っているので、前にやってみた時よりも格段にやりやすい。
そして、後追いで右後ろ足に潜り込んだ【モブ包丁】たちも足にくくりつけ終わったようで、一旦抜け出してきた。
「よしっ!これで!
おーい、ペド……じゃなくて【ペグ忍者】ぁ!
その手に持っているペグをジェーに刺してくれ!
【槌鍛治士】が槌で撃ち込むぞ!」
回避行動に専念しているため聞きづらいと思い大声で叫ぶ。
変態にも作戦が伝わらないとせっかくの行動が無駄になるので、力一杯叫んだ。
「うるさいのら~流石蛮族しゃんなのら!
そんなに叫ばなくても聞こえるのら~!!
でも、作戦は了解なのら」
猫耳頭巾の忍者が回避に専念した行動をやめ、ジェーの背中へと器用に登った。
そして、片手で持っていたペグを両手でぐっと握り振り上げ……
突き刺した!
「最高だ、【ペグ忍者】ぁ!
後は【槌鍛治士】お前の見せ場だ!」
「頼むのら~」
「頼まれた!
行くぞ、ジェー!」
ガチムチのおっさんはその筋肉量が凄い体で飛び上がると背中にしがみつき。
なんとか目印として背中に残っていた【ペグ忍者】の元へとたどり着いた。
3人がかりで足を抑えていなければ間違いなく登りきれていなかっただろう。
【槌鍛治士】の動きを見ていると、あそこまで軽々たどり着いた【ペグ忍者】の変態っぷりがありありと分かるな。
「【槌鍛治士】しゃん、やるのら~!」
「これが全力のっ!!
振り下ろし攻撃だっ!」
黒々と輝くジェーに刺し込まれているペグに向かって、手に持った槌を力一杯撃ち込んだ!
【≠^〇^∠#†∠^≠「「#≠#Ж「ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ】
ジェーの悲鳴が新緑都市アネイブル全体に響き渡る。
ペグが撃ち込まれたところを中心にウサギ部分の体色である、紫色のポリゴンが飛び散る。
そして、フィールド全体が白い光に包み込まれた。
【釣竿剣士】の【発光】とは比べ物にならない光量だ。
これは……
「倒したのかっ!?」
「やったか!?」
「俺たちの勝利だ!」
「帰ったらあの娘に結婚を申し込むんだ!」
お、おいっ!
余計なフラグを立てるな!
そして光が収まろうとし始めた時にそれは起こった。
ジェーがいた場所で巨大な光が立ち上った、あの光は……
【ability【会者定離】が起動しました】
はあ……?
それどころじゃないんだが……っ!
「不味いっっっ、あれはジェーの極太レーザーだっっっ!
いつもとパターンが違うが来るぞっ!」
「ぐわー!!」
「何っ!?」
「倒せてなかったのか……」
「俺の婚約が……」
極太レーザーにどんどん灰にされていく【モブ】たち。
このままだと俺もあの【モブ】たちのようになってしまう。
くっ、極太レーザーが真横から凪ぎ払うように迫ってくる……
万事休す……
そう思った瞬間、あいつが後ろからぬっと現れた。
頭の花形髪飾りがゆらりと風に靡いている。
「ここが踏ん張りどころですね。
釣竿一刀流【渦潮】っっ!!」
後ろから現れ、俺とその後方に配置されている【検証班長】たちを守るように前方へ仁王立ち。
そして、トーチトワリングでもするかのように釣竿を振り回し始めた。
釣竿が回転する様子はまさに渦潮、見事なものだ。
その回転する釣竿によってあの凶悪な極太レーザーが俺たちのいる部分まで届かず、千切りにされた。
なお、【釣竿剣士】がいるところを通り過ぎたらまた極太レーザーの形を取り戻したが……あくまで凪ぎ払いのような攻撃パターンだったし。
「なるほど、極太レーザーを前にも防いだことがあるって聞いたがこうやって防いでいたのか!
何はともあれ助かった!」
「当然ですよ、生産プレイヤーなら。
というよりも、私たちには【約束】がありますからね。
レイドボス討伐のために最優先で守るべきだと思ったのは【包丁戦士】さんと、【検証班長】さんだと考えたまでです!」
「いや、普通の生産プレイヤーは極太レーザーを千切りにする事なんてできないからなっ!」
できないはずだ。
ちなみに約束というのは、先日沼地エリアで交わしたあの約束だ。
【釣竿剣士】はあの約束を果たすために出し惜しみをせず、ここのレイドバトルで戦ってくれているようだ、頼もしすぎる。
こうして極太レーザーをやり過ごした俺たちだったが、向こうからの動きが無いため、完全に光が収まるまで動きを止めていた。
そして、その光が開けた後そこにいたのは……
「!?
なんか色々変形したり、変わったりしてないか!?」
雰囲気……というより見た目が色々変わったジェーの姿がそこにあった。
第2形態とかあるのかよぉぉぉおぉ!!
俺の悲痛な叫びは他のプレイヤーの叫びと重なり木霊となってフィールド全体に響き渡った。
レイドボスの攻撃パターンが体力減少で変わるのは定番ですよ?
底辺種にはそこまで頭が回りませんか。
【Bottom Down-Online Now loading……】
「おい、【槌鍛治士】」
「なんだ!
また変なことでも思いついたのか!?」
また、とはなんだ。
いつも真っ当なことしか思いついてないだろうに。
「【ペグ忍者】が持っているあのペグをお前の槌でジェーに撃ち込むことって出来ないか?
ペグって地面に撃ち込む器具ということを聞いたんだが、同じ感じで体の内部まで差し込めたら面白くないか?」
妙案を思いついてしまって思わずにやけてしまった。
「あっ、これが狂人の笑みっ!?
これから私PKされちゃうんだ!?」
うるさいぞ【モブ】包丁1!
「なるほどな、ペグを撃ち込むのは問題なさそうだな!
ただ、少しでも刺さっている状態じゃないと常に動き回っているジェーに槌をピンポイントで当てるのは難しいぞ!」
……少しの間でも動きが止められたらいいのか……
あっ!
「【釣竿剣士】のあれと俺のあれの力を合わせたら少しの間動きを止めることができるかもしれない!」
「何っ!
それなら【釣竿剣士】を近くに呼んで作戦会議でもするか?」
それがいいと俺も同様に思ったが、あることが脳裏によぎった。
その瞬間俺の笑顔が消えた。
「いや……、そういえば【検証班長】から【ペグ忍者】を【釣竿剣士】の近くに置くとあのペド娘が完全に無能と化すらしい。
一人でジェーを足止めできているほどの戦力を失ってまでやる作戦なのか自分ながら自信がなくなってきた……」
自分で盛り上がって、自分で盛り下がるとは器用なやつだと自分で思ってしまった。
ぐぬぬ、どうすればいいんだ?
「それ、本当に2人でやらないと無理なのか?
ワシからするとなんとなくお前なら出来そうな予感もするがな!
まあ、作戦の内容すら聞いてはおらんが!」
なんだその俺に対する信頼感!
やっぱり【槌鍛治士】は最高だぜ!
「なーに、μ素材のこのムチで足のひとつをぐるぐる巻きにして封じるだけさ。
2人居れば両足封じれるんだが……」
そう呟いたとき、さっぱり頭から抜けていた【モブ】包丁2が後ろから声をかけてきた。
いや、本当に忘れてた。
「あのー、おれのチュートリアル武器ムチなんでそれならイケるぜ?
【包丁戦士】、おれと2人でやろう!」
ほ、包丁2っっっ!!!
お前は使える右腕だ!
「そ、それなら【モブ】包丁2さんの鞭を補助で引っ張りますね……」
俺を恐れているのか、【モブ】包丁1は俺から離れられる方法を考えていたみたいだ。
俺たちとは逆方向でよくわからないリアルスキルを使い、岩を砕いている光景を作り出している【釣竿剣士】と比べると流石に見劣りするが、【モブ】2人の使い方としては及第点だろう。
「頼むぞ、包丁1包丁2!
はい!よーい、どん!」
「「はやっ!?」」
体が闘争を求めている。
【モブ】包丁たち(いや、これからは【モブ包丁】という2つ名がつくようにしたいので区切るところを変えよう。)には悪いが、このまま順調にいくと【釣竿剣士】にラストアタックが取られそうだし、焦る焦る。
ラストアタック報酬みたいなのがあるのかは知らないが、今までジェーに執着してきたので、止めくらい自分で刺したいという欲はあるのだ。
そうして【モブ包丁】たちを若干置き去りにしつつ、包丁を逆手に持ちながら先行してジェーの右前足のしたに潜り込み、足をムチでぐるぐる巻きにした。
【ペグ忍者】が連続攻撃を受けていて全ヘイトを受け持っているので、前にやってみた時よりも格段にやりやすい。
そして、後追いで右後ろ足に潜り込んだ【モブ包丁】たちも足にくくりつけ終わったようで、一旦抜け出してきた。
「よしっ!これで!
おーい、ペド……じゃなくて【ペグ忍者】ぁ!
その手に持っているペグをジェーに刺してくれ!
【槌鍛治士】が槌で撃ち込むぞ!」
回避行動に専念しているため聞きづらいと思い大声で叫ぶ。
変態にも作戦が伝わらないとせっかくの行動が無駄になるので、力一杯叫んだ。
「うるさいのら~流石蛮族しゃんなのら!
そんなに叫ばなくても聞こえるのら~!!
でも、作戦は了解なのら」
猫耳頭巾の忍者が回避に専念した行動をやめ、ジェーの背中へと器用に登った。
そして、片手で持っていたペグを両手でぐっと握り振り上げ……
突き刺した!
「最高だ、【ペグ忍者】ぁ!
後は【槌鍛治士】お前の見せ場だ!」
「頼むのら~」
「頼まれた!
行くぞ、ジェー!」
ガチムチのおっさんはその筋肉量が凄い体で飛び上がると背中にしがみつき。
なんとか目印として背中に残っていた【ペグ忍者】の元へとたどり着いた。
3人がかりで足を抑えていなければ間違いなく登りきれていなかっただろう。
【槌鍛治士】の動きを見ていると、あそこまで軽々たどり着いた【ペグ忍者】の変態っぷりがありありと分かるな。
「【槌鍛治士】しゃん、やるのら~!」
「これが全力のっ!!
振り下ろし攻撃だっ!」
黒々と輝くジェーに刺し込まれているペグに向かって、手に持った槌を力一杯撃ち込んだ!
【≠^〇^∠#†∠^≠「「#≠#Ж「ЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖЖ】
ジェーの悲鳴が新緑都市アネイブル全体に響き渡る。
ペグが撃ち込まれたところを中心にウサギ部分の体色である、紫色のポリゴンが飛び散る。
そして、フィールド全体が白い光に包み込まれた。
【釣竿剣士】の【発光】とは比べ物にならない光量だ。
これは……
「倒したのかっ!?」
「やったか!?」
「俺たちの勝利だ!」
「帰ったらあの娘に結婚を申し込むんだ!」
お、おいっ!
余計なフラグを立てるな!
そして光が収まろうとし始めた時にそれは起こった。
ジェーがいた場所で巨大な光が立ち上った、あの光は……
【ability【会者定離】が起動しました】
はあ……?
それどころじゃないんだが……っ!
「不味いっっっ、あれはジェーの極太レーザーだっっっ!
いつもとパターンが違うが来るぞっ!」
「ぐわー!!」
「何っ!?」
「倒せてなかったのか……」
「俺の婚約が……」
極太レーザーにどんどん灰にされていく【モブ】たち。
このままだと俺もあの【モブ】たちのようになってしまう。
くっ、極太レーザーが真横から凪ぎ払うように迫ってくる……
万事休す……
そう思った瞬間、あいつが後ろからぬっと現れた。
頭の花形髪飾りがゆらりと風に靡いている。
「ここが踏ん張りどころですね。
釣竿一刀流【渦潮】っっ!!」
後ろから現れ、俺とその後方に配置されている【検証班長】たちを守るように前方へ仁王立ち。
そして、トーチトワリングでもするかのように釣竿を振り回し始めた。
釣竿が回転する様子はまさに渦潮、見事なものだ。
その回転する釣竿によってあの凶悪な極太レーザーが俺たちのいる部分まで届かず、千切りにされた。
なお、【釣竿剣士】がいるところを通り過ぎたらまた極太レーザーの形を取り戻したが……あくまで凪ぎ払いのような攻撃パターンだったし。
「なるほど、極太レーザーを前にも防いだことがあるって聞いたがこうやって防いでいたのか!
何はともあれ助かった!」
「当然ですよ、生産プレイヤーなら。
というよりも、私たちには【約束】がありますからね。
レイドボス討伐のために最優先で守るべきだと思ったのは【包丁戦士】さんと、【検証班長】さんだと考えたまでです!」
「いや、普通の生産プレイヤーは極太レーザーを千切りにする事なんてできないからなっ!」
できないはずだ。
ちなみに約束というのは、先日沼地エリアで交わしたあの約束だ。
【釣竿剣士】はあの約束を果たすために出し惜しみをせず、ここのレイドバトルで戦ってくれているようだ、頼もしすぎる。
こうして極太レーザーをやり過ごした俺たちだったが、向こうからの動きが無いため、完全に光が収まるまで動きを止めていた。
そして、その光が開けた後そこにいたのは……
「!?
なんか色々変形したり、変わったりしてないか!?」
雰囲気……というより見た目が色々変わったジェーの姿がそこにあった。
第2形態とかあるのかよぉぉぉおぉ!!
俺の悲痛な叫びは他のプレイヤーの叫びと重なり木霊となってフィールド全体に響き渡った。
レイドボスの攻撃パターンが体力減少で変わるのは定番ですよ?
底辺種にはそこまで頭が回りませんか。
【Bottom Down-Online Now loading……】
応援ありがとうございます!
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