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42話 底辺種族としての戦い方

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【Raid Battle!】


 【包丁を冠する君主】



 【菜刀天子】

 【次元天子】【上位権限】【???】



 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】

 【次元をさまよい】

 【冒険者を導く】

 【聖獣を担うが故に】

 【深淵と敵対する】

 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】

 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】

 【ーーー機密事項のため開示拒否ーーー】


 【レイドバトルを開始します】


 はい、礼拝室で死に戻りをした【包丁戦士】です。
 紫チャイナ娘に袈裟斬りをしようとしたらいつの間にか死んでいたのには驚いたが、次元戦争で見せた実力を考えたら腑に落ちる気もする。

 さて、これから何をするかと言うと、【菜刀天子】がここに戻ってきてないし、この王宮から脱出して新緑都市アネイブルに出てみようと思う。








 「いくぞ~、逆風!」

 王宮を出てすぐそこにいた適当な【モブ】に切りかかる。
 逆風は別に風の名前でもスキルの名前でもない、斬撃の種類のことだ。

 俺は包丁を下方に構え、股下から切り上げる逆風を放った。
 【モブ】はそのまま左右に2分割され光となって消えていった。
 やっぱこれだよな、これ。
 プレイヤーを光に変える、これがこのゲームを始めてハマったことである。
 
 「おっおい、あっちで狂人が暴れてるぞ!?」
 「あの包丁使いまたやってるのか」
 「これだからプレイヤーキラーは嫌なんだよ……」
 「ほうPKですか、大したものですね。」
 「皆で止めるぞ!」

 おっ、なんかいっぱい来たな。
 今回は別にそこまで乱獲するつもりじゃなかったんだが向こうから来るなら話は別だ。
 さあ、パーティーの始まりだ!

 「俺のダガーの錆びにしてやるよ!」

 先陣を切ってきたのはダガー使いの薄汚い男だ、冒険者っぽいキャラクターメイクを意識しているのか。
 攻撃はリーチの短い武器を使っているからかわりと素早いが、俺からするとまだまだ遅い。

 少しするとダガーを振りかぶったので、その隙を狙い先ほどのプレイヤーに放った逆風を放とうとする。

 「やっぱ強いなトッププレイヤーは……
 だが俺たち【モブ】も進化しているということを見せてやる。
 【魚尾砲撃】!」
 「「「「俺たちも続くぜ、連鎖発動【魚尾砲撃】」」」」

 あと少しで逆風が決まろうとしていた時にレイドボスから得た新スキルの【魚尾砲撃】を発動された。
 くっ、不味いこれは想定していなかった!?

 「ざまぁ……みろっ……ってな?」

 ダガー使いにエネルギーが異常に溜まっていき抑えきれなくなったエネルギーが、ダガー使いの体を内部から突き破るようにして放出された。
 ダガー使いから放出されたエネルギーはドーム状に広がっていき拡散していった、なんか近くにいた他の【モブ】数人も誘発して発動していたので、それぞれのエネルギー爆発が繋がっていったため広範囲の攻撃になった。
 俺は緊急回避を試みたが避けきれず、右足を持ってかれた。
 ちっ、ちょっとはやるじゃないか……

 だが、考察会議で聞いた話によるとこのスキルにはデメリットがあったはず。

 「うわっ、体がっ!?」
 「ボロボロになってるぞ、おい!?」
 「こんなの聞いてない」
 「あっ、あっ、あっ!」
 「仕方ない、だが一矢報いたからな!」

 【魚尾砲撃】を放った【モブ】たちはスキルの反動で体がボロボロになり、すごい勢いで全身が光に変換されていっている。
 そして、少しするとスキルを発動した【モブ】は全員死に戻りをしていた。

 ほとんどの奴はこのスキルのデメリットを知らずに便乗して発動していただけっぽいな。
 新スキルをゲットして使う機会が来たらいきなり実戦で使いたくなるのは俺もよくわかるが、ほとんどこっちが労せず自爆していっただけのようになった気がする。
 なんか君たちスキル手に入れてから弱くなってない?大丈夫?

 「ひ、怯むな!
 数はこっちの方がまだ圧倒的に多い、そしてこいつは右足が吹き飛んでいる。
 もう勝ったも同然だ!
 全軍一斉攻撃っ、進め!」

 全軍(軍ほど人はいない)が囲むように俺に向かってきている。
 右足を失った状態でこいつらをいちいち相手にするのは面倒だし、骨が折れそうだな……
 ……そうだ、折角だし俺も新しいスキルでも使ってみるか。
 デメリットも死ぬほどじゃないしいけるいける!(慢心)

 「とっておきの調理方法で捌いてやるよ、食材はお前らだがな?
 飛翔する斬撃、【フィレオ】っ!」

 俺は包丁を横凪ぎで体が一回転するように斬撃を繰り出す。
 まだ周りには誰1人包丁の間合いにには入ってきていない。
 この奇妙な行動を見た【モブ】たちは。

 「何やってるんだあいつ」
 「とうとう頭まで狂ったか?」
 「それは今までもそうだろ!」
 「流石狂人……意味不明すぎる……」

 俺をバカにするように口々に野次を飛ばしてくる。
 だが、飛ぶのはお前たちの野次だけじゃないってことがすぐにわかるはずだ。

 「!?」
 「体が上下真っ二つになっちゃったぞ!?」
 「草」
 「えっ、何が起きたんだ」
 「俺たちも狂ったか?」

 さっき野次を飛ばしていた連中が俺の放った不可視の飛翔する斬撃【フィレオ】の餌食になって、辺り一帯には上下バラバラ人間が量産された。
 【フィレオ】は俺の放った斬撃の軌道を広げて、不可視の斬撃が飛んでいくというスキルだ。
 そこにまんまと飛び込んできた【モブ】たちは飛んで火に入る夏の虫、飛翔する斬撃に触れてしまったやつはみんな光と化している最中だ。

 そんな光景を見ていると俺の左足がスパッと綺麗な切り口で切れ、飛んでいった。
 ちっ、やっぱりデメリットで四肢が飛んでいくか……

 このスキルは不可視の飛翔する斬撃(キリッ)って感じで格好いいは格好いいんだが、斬撃一回につき自分の体の一部がキレイに切れる。
 斬撃の大きさにもよるが、攻撃に使うとなると大体四肢のどれかがランダムで吹っ飛んでいくじゃじゃ馬スキルだ。
 ランダムってところがまた実に厄介だ。

 ただ、効果はお墨付きなので辺りで騒いでいた【モブ】たちは一掃されたようだ。
 これで安心して新緑都市アネイブルを散策できるな。




 あっ、両足消えてて歩けないじゃん俺!?
 くそう、あいつら……

 とりあえず深く考えるのをやめて、持っていた包丁で自害した。
 【包丁戦士】とは死ぬこと見つけたり。














 これが底辺種族同士の戦い……
 スキルに翻弄された不毛で醜い争いでしたね……
 というよりこの人の自業自得でしかないですね、これ。

 【Bottom Down-Online Now loading……】
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