異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴

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第19話 武勇伝

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 俺が異世界に召喚されたのは、あの日突然だった。いつものように家でゲームをしていたら、テレビ画面に突然こんなメッセージが出たんだ。


 
「異世界で過ごしたいですか?YES/NO」



 ……いや、普通に考えたらこれヤバいやつだろ?詐欺メールかウイルス警告みたいなもんだ。でも、その頃の俺は現実に疲れてたし、ゲームの世界に入り込むのが唯一の楽しみだったから、迷わず 「YES」 をポチっと押したんだよ。

 で、次の瞬間、画面がパッと光ったと思ったら……体がぐるぐる回り出して、気づけば俺は知らない場所に立っていた。マジでこれ、異世界召喚じゃねぇか!!ってテンション上がったのも束の間――

 

「――――君が異世界の勇者だ。」



 どこからともなく現れたマーリンっていう美人が、俺にそんなことを言い放つんだ。「勇者として、魔王を倒せ」とか、「世界を救え」とか……え、いや、俺、何も聞いてないんだけど!?しかも「根源」 ってやつの力を目覚めさせられて、俺の体から雷がバチバチ出るし!!もう何が何だかわからねぇ!

 
 それからは怒涛の日々だよ。
 

 まずは 御前試合 っていう、武闘大会に放り込まれた。俺を拾った国の王様が、「コイツが本当に勇者なのか試す!」とか言い出してさ、半分見世物じゃねぇか!と思いながら出場したけど、戦ったのは美人剣士の リディア。

 結果?ボッコボコだよ!!
 でも試合後、リディアが「根性だけは認めるわ」と言ってくれて、剣の基礎を叩き込んでくれた。俺は涙を流しながら思ったね―― 「この人、超怖ぇけど頼りになる……」


 次に旅の仲間がどんどん増えていくんだ。
 

 リリィ:ドジっ子エルフ。「はわわ~」とか言いながら、俺の後ろをついてくるが、怒ると超強い。

 セレーネ王女:王族なのに俺にやたらと優しくて、「結婚してください」なんて言われて、もうどうしたらいいかわからん!

 アリア:猫耳の盗賊少女。「にゃっはっは!」って笑いながら俺に懐いてくる。壮絶な過去を背負ってて、守りたくなるんだよな。

 ラティーナ: 母性的で優しい人魚の魔法使い。旅の途中でマリディスの海底王国で出会った。おっとりした性格だけど、いざとなると頼りになるお姉さんタイプ。戦闘では水魔法で俺たちを支えてくれる。だけど、その「母性」全開の態度で俺を全力で甘やかしてくるから、正直たまに困る……!

 ハーレムっぽく見えるけど、全員強すぎるし、俺がいじられまくるから全然主人公感がないんだけど!?


 各地を回りながら魔王軍と戦ってるんだけど、敵がどいつもこいつも規格外。たとえばーー

 邪神三神:魔王軍のトップ3で、「死」「絶望」「混沌」を象徴する化け物ども。出会った瞬間、「あ、これ詰んだわ」って思った。

 でも仲間たちと力を合わせて、どうにか少しずつ魔王軍から世界を解放していくんだよな。
 
 
 そんなこんなで、ハーレムを引き連れてついに魔王城に到達。
 で、ついに対面した魔王――これがまた、ビジュアルがいかにも最終ボスって感じで、めちゃくちゃ強そうだった。



「よくぞ来た、勇者よ!だが、ここで終わりだ!」



魔王の笑い声が響く中、俺の心の中では一瞬、帰りたい……!って思った。
 でも、ここでビビるわけにはいかねぇ!俺はここまで来たんだ!



「黙れ!俺が世界を救うんだ!」



 そう叫びながら、俺は魔王に突撃した。
 思ったよりも激しい戦いだったけど、俺のハーレムメンバーたちのサポートもあって、最終的には必殺技「雷丸パンチ」で魔王を見事に討伐!



「やったぜ!俺、世界救っちゃった!!」



 魔王を倒して帰った俺たちを、村人たちが大歓迎。「勇者様!ありがとう!」とか「英雄様!」とか、まさにスター気分だった。



「俺、人生最大の見せ場だなこれ!」



 ――そして今、俺は再び日常に戻り、ハーレム計画を再開するのであった。

 
 
「なんか適当?」



 いや、なんか俺、異世界から帰ってきてから記憶が曖昧なんだよな。

 でも間違いないのは、俺が魔王を倒したってこと!
 それだけは絶対に覚えてる!そこは譲れねぇ!


 だからこうやって、俺は堂々と胸を張って言えるわけだ。
 


「俺、異世界を救ったんだぜ!」
 

 
 
 
 ――――――――





 リビングで堂々と構え、俺は焔華と雪華に自分の英雄譚を語っていた。
 二人とも真剣に聞き入っていて、その瞳には期待の色が宿っている。

 まぁ当然だよな!だって俺は異世界を救った英雄なんだからな!


 
「――――って言うわけ!」



 胸を張って自慢げに締めくくった俺に、焔華が首を傾げながら質問してきた。


 
「でも、どうして雷丸は元の世界に戻ってきたのじゃ?」

 

 その質問に、雪華も不思議そうに頷いて加勢する。


 
「そうですよ。世界の英雄となり、ハーレムも築いてまで、この世界に戻ってきた理由は?」



 鋭い質問だが、俺は冷静に対応する。
 カッコよくキメるため、わざと少し間を置いてから、ニヤリと笑いながら口を開いた。


 
「そりゃお前――――――」



 ――――ブリッ!



 その瞬間、部屋に置いたステレオ盗聴システムから、とんでもない音が響き渡った。

 
 そう、あの音だ。

 
 麗華がトイレで排便している音だ。
 しかも、リアルすぎるぐらいの音で。

 俺の口はそのまま固まり、頭が真っ白になった。

 

「ちょ、ちょっと待て!!今の音、何だ!?」



 英雄らしさを最大限に見せるつもりが、無情にも部屋中に響き渡った“リアル排便サウンド”。
 俺は一瞬で顔が引きつり、言葉を失った。


 対照的に――俺の隣では、焔華と雪華が明らかに笑いをこらえている。

 
 雪華は肩を小刻みに震わせ、手で口元を押さえながら必死に笑いを堪えていた。
 焔華なんて、狐耳がピコピコ動きすぎて明らかに壊れかけてる!

 

「雷丸様、今の音……え、ええと……麗華さんの……?」



 雪華が震え声で絞り出すように言った。
 いや、質問しないでくれ!今は触れちゃいけない!!

 
 焔華も、もうダメだ。
 口元を押さえながらも、漏れそうな爆笑を必死に抑えている。


 耳が完全に「面白いモード」に突入してる。


 
「ふふふ、雷丸……“世界の英雄”の話が麗華のトイレ音で中断するとは……滑稽すぎるのじゃ!」



 とうとう焔華が爆笑しながら言い放った。


 俺はなんとか冷静を取り戻そうと深呼吸する。
 だが、耳元からさらなる追撃――水を流す音が響いてくる。


 
〈ゴボゴボ……〉



 ああ、もうダメだ。
 麗華、今トイレで完璧なタイミングで水を流した……。

 
 頭を抱える俺の隣で、焔華は大爆笑して床を転げ回っている。


 
「ぎゃははは!雷丸、話の締めがトイレ音とか新しすぎるのじゃ!!」



 俺は拳を握りしめ、顔を真っ赤にして言い返す。
 


「いや、今のは完全にタイミング悪かっただけだ!!話の続きはまた後でだ!」



 でも――やっぱり、あの音の衝撃が強すぎて、俺の偉大な功績は全部かき消された気がする。



「ったく、なんでこんな時に排便の音が聞こえてくるんだよ!」



 
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