28 / 185
第28話 家なきハーレムファミリー
しおりを挟む俺たちは、麗華の家に向かって意気揚々と歩いていた。
「これで安心だ!麗華の家で匿ってもらおう!」というノリで、俺たち四人はハーレムパーティー気分を持ち続けていた。
「よーし、麗華の家で美味い飯でも出してもらおうぜ!」
俺が得意満面で胸を張り、先頭を切って歩く。
焔華も、雪華も、貴音も後ろをついてきて、まるで勝利した英雄の凱旋のような雰囲気だった。
貴音も少し不安げではあるが、期待に満ちた瞳で俺を見ている。
「麗華さんって、どんな人なの?怖い人じゃない?」
俺は自信満々に答えた。
「心配すんな!麗華は俺の情報網で完璧に把握してる!ちょっとツンデレっぽいけど、基本的にはいいヤツだからよ!」
そうこうしているうちに麗華の家に到着。
俺は堂々とドアをノックした。
――そして、ドアがギィー……と静かに開き、中から麗華が冷たい目で顔を覗かせた。
「何の用?」
おいおい、俺たちはハーレムの危機を救うためにここに来たんだぞ?
さっそく麗華に状況を説明してやる。
「麗華、ちょっと事情があってな。俺たち、しばらくお前の家に匿ってもらおうと思って……」
俺がニヤリと笑いながら言うと、麗華は一瞬驚いたように目を見開いたが、すぐに険しい顔で口を開いた。
「……却下よ。」
「……は?」
あまりにあっさりした返事に、俺は一瞬フリーズした。
いや、待て待て。今のは聞き間違いだろ?俺たち、そんなに厄介者扱いされるようなことしたか?
「いやいや、俺たちの話を最後まで聞けよ!国に狙われてて、俺たち命がけなんだって!な?だからさ、少しだけでも匿ってくれないか?」
俺は急いで必死に説明した。
でも、麗華の顔はどんどん冷たくなっていく。
「却下。……帰って。」
「えぇっ!?なんで!?俺たち、ハーレムの一大事なんだぜ!?麗華の家で安全に――」
麗華はピシャリとドアを閉めかけながら、最後に冷たく言い放った。
「そんなの、私の知ったことじゃないわ。あなたたちでどうにかしてちょうだい。」
そして、バタンとドアは閉じられた。
俺たちは、麗華の家の前で完全に置き去りにされた。
「マジかよ……」
ドアがピシャリと閉じられ、俺たちは麗華の家の前で呆然と立ち尽くしていた。
でも、こんなところで諦めるわけにはいかねぇ!
俺はすぐに立ち直り、ドアに向かってトントンとノックした。
「おーい、麗華!ちょっと話を聞いてくれよ!まだ終わっちゃいねぇんだ!」
しばらくの沈黙の後、ドアがギィーと開いて、麗華が再び現れた。
彼女は不機嫌そうな顔をしていたが、俺はお構いなしに頼み続けた。
「頼む、麗華!俺たち、今ほんとにピンチなんだよ!国に狙われてるんだぜ?少しだけでも匿ってくれよ!」
麗華はジト目で俺を見つめ、ため息をついた。
「却下よ。」
「そこをなんとか!」
俺はすぐさま食い下がった。
麗華はドアを閉めかけるが、俺はその隙間に手を挟んで、粘り強く頼み続ける。
「麗華、麗華!俺たちがここで匿ってもらえなかったら、どうなるか分からないんだぜ!雪華も焔華も貴音も、みんな命がかかってんだ!」
すると、麗華は無表情で返した。
「私には関係ないわ。」
「関係ないとか言うなよ!助けてくれよぉぉぉぉ!!」
俺が必死に訴えると、麗華はさらに冷たい声で言った。
「飯田君。あなたの盗聴器、いつから使っていたのかしら?」
俺の心臓が一瞬止まった。
「えっ……いや、それは、その……ちょっと前から……?」
麗華はふっと笑い、ドアをピシャリと閉めかけた。
でも、俺はあきらめない!
「ま、待てよ!盗聴器のことはさておき!匿ってくれたら、俺だってちゃんとお礼するから!ちゃんと麗華のために役立つことするからさ!」
麗華は一瞬考え込むような仕草を見せたが、すぐに首を横に振った。
「……いやよ。」
「ちょっとだけでも頼むって!じゃあ、期間限定でいいんだ!一週間だけ!いや、三日!一日でもいい!せめて寝る場所だけ!」
俺は必死に下がり続けた。
貴音がジト目で俺を見ながらボソッと呟く。
「お兄ちゃん、なんかどんどん惨めになってない?」
でも、俺は諦めない!これが俺の粘り強さだ!
「麗華、俺のハーレムだって守らなきゃならないんだよ!助けてくれよ!麗華、頼むって!麗華ぁぁぁ!!」
ついに俺はドアに縋りついて頼み込んだ。
すると、麗華は再びドアを少しだけ開け、冷静に一言。
「却下」
そして、バタンとドアは閉じられた。
俺たちは、麗華の家の前で完全に置き去りにされた。
「マジかよ……」
俺は呆然と立ち尽くし、ドアをじっと見つめていた。
まさか、あの麗華が却下するなんて……!
隣では、焔華がふんふんと頷きながら、口に手を当てて考え込んでいる。
「ふむ、麗華は中立タイプじゃったな。つまり、わしらの問題には介入せんというわけか。……なるほど。」
「いやいや、納得してる場合じゃねぇだろ!」
俺は叫んだが、貴音がジト目で呟いた。
「……お兄ちゃん、盗聴器でそんなに麗華さんの家のことを把握してるなら、もう少し彼女の気持ちも察してあげたら?」
「おいおい、まさかここまで冷たくされるなんて予想外だろ!」
俺が言い訳をしようとしたその時、雪華が静かに溜め息をつきながら一言。
「さて、麗華さんの家はダメみたいですし……他の対策を考えましょうか、雷丸様?」
みんなの冷静な反応に、俺は肩を落としながらうなだれた。
「はぁ……次の手を考えるしかねぇのかよ……」
いや、待てよ……ここは一つ、作戦を変えるしかないな。
俺はニヤリと笑い、小声でみんなに言った。
「よし、みんな。俺に任せろ。とっておきのネタがあるんだ。」
焔華が狐耳をぴこぴこと動かしながら首を傾げた。
「ほぅ、どんな手を使うつもりじゃ?」
雪華は冷静に不安げな目を俺に向ける。
「……雷丸様、まさか、また奇策では?」
いやいや、奇策じゃねぇ。これは必勝の奥義だ。
俺は自信たっぷりにドア越しに声をかけた。
「おーい、麗華!開けてくれよ!俺たち、本当に困ってるんだって!」
ドアの向こうから、麗華の冷たい声が返ってくる。
「却下よ。帰って。」
「……ふむ、そうくるか。」
俺は一瞬、うんうんと頷き、そして――ニヤリと悪い笑みを浮かべた。
「いいのか、麗華?」
ドア越しに俺の声が響く。麗華は返事をしないが、俺は構わず続ける。
「俺さぁ……前にお前の家の盗聴器で、麗華がトイレに入ったときの音、ぜーんぶ聞いてたんだぜ?」
その瞬間、空気が凍りついた。いや、実際は麗華の家のドアが一瞬揺れた気がする。俺は確信した。これ、完全に効いてるぞ。
「あの時さぁ、麗華がトイレで『ブリッ』って音を立てたの、今でもよーく覚えてるんだよなぁ~。しかも、その後、便器の水を流す音とかも、めっちゃクリアに聞こえてさ……あれ、麗華って案外普通の人間だなって思ったよ?」
焔華が横で目を丸くし、雪華は手で顔を隠しながらも、肩が震えている。
貴音は絶句して、俺を見つめている。
だが、俺は手を緩めない。これが俺の最終兵器だからな。
「なぁ、麗華。もしドアを開けてくれないなら、俺、この話をみんなに広めるけど……どうする?」
ドアの向こうで沈黙が続く。俺はさらに攻めることを決意。
「お前、あの時、確か2回目の『ブリッ』が……」
ガチャリッ!突然、ドアが勢いよく開いた。その瞬間、麗華が現れる。顔は羞恥で真っ赤になり、今にも泣き出しそうな目で俺を睨んでいる
「……やめて………………入れるから」
その一言に、俺は勝利を確信し、ニヤリと笑った。
「ほらな、やっぱり開けてくれたじゃん。」
その瞬間、麗華の顔がさらにすごいことになった。片方の目はピクピクと痙攣し、眉間には深い皺が刻まれ、口元は今にも毒を吐きそうに震えている。
「飯田雷丸………………いつか絶対に殺す」
俺はヘラヘラ笑いながら、手を上げて言った。
「わかったわかった、もう言わないから!じゃあ、俺たち入れてくれるんだよな?」
麗華は大きなため息をつき、渋々ドアを開ける。俺は得意気に振り返り、メンバーにウィンクを飛ばした。
なんだかんだで、俺の粘り強さと悪知恵が功を奏したな!
焔華が苦笑い。「さすがじゃのぅ、雷丸。わしはトイレの話で勝負が決まるとは思わんかったわ。」
雪華もやれやれという顔で肩をすくめる。「……雷丸様、もっと他に普通の方法はなかったのですか?」
貴音は完全に呆れ顔でため息をつき、俺に一言。「お兄ちゃん、次はもっとまともに頼んでよ……。」
でも、なんだかんだで麗華の家への潜入に成功した。これでハーレムパーティーの続行が可能だ!俺は拳を突き上げながら、力強く宣言した。「さぁ、みんな!麗華の家で新たな宴を始めるぞ!」
麗華が小声でボソリと呟いたのが聞こえた。「なんでこんな奴らを入れちゃったんだろう……。」だが、そんなの気にしない!俺たちのハーレム劇場は続くのだ!!
0
あなたにおすすめの小説
【完結】オレの勇者パーティは全員アホだが強すぎる。
エース皇命
ファンタジー
異世界に来て3年がたった。
オレの所属する勇者パーティ、イレギュラーズは相変わらず王都最強のパーティとして君臨している。
エルフのクリス、魔術師のジャック、猫耳少女ランラン、絶世の美女シエナ。
全員チート級の強さを誇るけど、どこか抜けていて、アホ全開である。
クリスは髪のセットに命をかけて戦いに遅刻するし、ジャックは賢いもののとことん空気を読まない。ランランは3歩あるくだけで迷子になるし、シエナはマイペースで追い詰めた敵を見逃す。
そんなオレたちの周囲の連中もアホばかりだ。
この世界にはアホしかいないのか。そう呆れるオレだったけど、そんな連中に囲まれている時点で、自分も相当なアホであることに気づくのは、結構すぐのことだった。
最強のアホチーム、イレギュラーズは今日も、王都を救う!
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
強制ハーレムな世界で元囚人の彼は今日もマイペースです。
きゅりおす
SF
ハーレム主人公は元囚人?!ハーレム風SFアクション開幕!
突如として男性の殆どが消滅する事件が発生。
そんな人口ピラミッド崩壊な世界で女子生徒が待ち望んでいる中、現れる男子生徒、ハーレムの予感(?)
異色すぎる主人公が周りを巻き込みこの世界を駆ける!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる