異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴

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第29話 伊集院家

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 麗華が渋々ドアを開けてくれた瞬間、俺たちはホッと胸を撫で下ろし、ようやく中に入ることができた。



「よっしゃ、通してもらったぜ!」



 俺が意気揚々と入ったその先、広がっていたのは――



「で、でけぇ……」



 俺たちは完全に圧倒された。
 目の前に広がるのは、まるで時代劇のセットみたいな立派な日本家屋。
 床はピカピカに磨き上げられ、障子やふすまがまるで美術館の展示物かのように整然としている。



「こ、ここが伊集院家か……」



 焔華は目をきょろきょろさせながら、壁に掛けられた掛け軸や、日本庭園が見える廊下を指さしている。



「なんという広さじゃ。まるでお城のようじゃな!」



 雪華も静かに頷いているが、その表情は少し緊張しているように見えた。



「……ここは冷やかな空気が漂っておりますね。」



 一方で、貴音は俺の背中にぴったりとくっついている。


 
「お兄ちゃん、なんか怖いよ……」



 おいおい、貴音。頼むからそんなこと言うなよ!俺だって心の中は不安でいっぱいなんだから!

 そして、俺たちをさらに緊張させる存在がいた。それは――使用人たちと、明らかに鍛えられたボディガードたちだ。着物姿の使用人たちが整列し、俺たちをじっと見つめている。その目はまるで「なんでこの野郎どもがここにいるんだ?」と言いたげだ



「なんか……すごい見られてるな……」



 俺がボソッと呟くと、貴音が小声で囁いてきた。



「お兄ちゃん、これ……不審者扱いされてるのかな?」



 その一言に、俺は思わず顔をしかめた。不審者だと!?確かに俺たちは不審者みたいなテンションで押しかけてきたけど、ここでビビってたら俺のハーレム王としてのプライドがズタズタだ!


 
「落ち着け、俺……ここは毅然とした態度で……」



 しかし、振り返ると、使用人の一人が俺を頭の先からつま先まで舐め回すように視線を送ってきた。その目はまるで「この男、大丈夫か?」と言わんばかりだ。



 そんな中、麗華は何も気にしていない様子でスタスタと廊下を歩いていく。


 
「こっちよ。」



 俺たちは麗華の後を追いながら、緊張感に包まれるまま進んでいく。広い廊下を歩くたびに、使用人たちの視線が突き刺さる。いや、あれはもはやレーザービームだろ……。



「……この視線、慣れないなぁ……」



 俺がボソッと呟くと、焔華がニヤリと笑いながら言った。



「ふむ、さすが雷丸じゃな。これだけの緊張感の中でも、動じぬとは。」

「いや、動じてるから……心の中は結構ヤバいから……」



 俺たちがヒソヒソ話をしていると、麗華が立ち止まった。


 
「ここよ。」


 
 その声に俺たちはピタッと足を止め、心臓がドキドキする中で麗華の指さす先を見た。

 そして、俺たちの目の前に広がったのは――豪華すぎる応接間。高級そうな畳に、これまた高級そうな調度品が並び、障子越しに見える庭園はもはや芸術品だ。そして、そこに座していたのは――


 
「ようこそ、伊集院家へ。当主の伊集院静香と申します。」



 静かで落ち着いた声が部屋に響く。俺は、その声の主を見た瞬間、完全に硬直した。

 
 目の前にいるのは――

 
 長い艶やかな黒髪が肩の下まで流れ、前髪は綺麗に整えられた完璧なライン。端正な顔立ち、鋭い目元、知的でありながらもどこか冷たい大人の雰囲気。さらには、彼女が纏う優雅な和装が、まるで日本画の中から抜け出してきたような貫禄と美しさを際立たせていた。


 
「……!」



 俺の心臓は、まるでドラムロールでも鳴っているかのように激しく鼓動を刻み始めた。


 思わず、心の声が口から漏れ出した。


 
「……綺麗だ……」



 その言葉が自分の口から出たことに気づいた瞬間、俺はハッとして現実に戻った。

 
 おいおいおいおい!何言ってんだ、俺!?目の前にいるのは麗華の母親だぞ!?相手は当主だぞ!?いくら美人だからって、ここで口に出すとか、完全にアウトじゃねぇか!
 

 俺が慌てて顔を赤くしながら言い訳を考えていると、横で焔華がクスリと笑った。


 
「ほぅ、雷丸。お主、麗華の母君に惚れてしまったのか?」
 
「違ぇよ!そんなわけねぇだろ!」



 俺は慌てて否定するが、焔華の笑いは止まらない。

 さらに、貴音がぽつりと呟いた。


 
「……お兄ちゃん、やっぱり美人に弱いんだね。」



 おい、やめろ!その天然の一言が一番効くんだよ!


 雪華は冷静な表情で口を開いた。


 
「雷丸様、失礼のないように。伊集院当主に対して、そのような無防備な感想を述べるのは控えたほうがよろしいかと。」

「わかってるよ!わかってるけど、つい……」



 俺が汗を拭きながら必死に言い訳していると、静香さん――麗華の母親が、ピクリと片眉を上げた。


 
「綺麗、ね……。なかなか面白いことを言うわね。」


 
 その冷やかな視線が俺に突き刺さる。その一言だけで、俺の背中に冷たい汗が流れる。なんだこの圧力……ただの一言が、まるで凍てつく冬の風のようだ。

 俺は咄嗟に頭を下げた。


 
「失礼しました!つい美しさに見惚れてしまって……!」



 焔華がさらにニヤニヤしながら囁く。


 
「さすが雷丸じゃ。母娘セットで攻略する気か?」

「だから違うって!!」



 俺は顔を真っ赤にしながら、心の中で絶叫した。


 
「あ、あの……お邪魔してます。」
 
 

 俺は思わずゴクリと喉を鳴らしながら、深々と頭を下げた。この場面で失礼なんて働いたら、確実に命の危機だ――いや、社会的にも抹殺されそうだ!

 
 それなのに、麗華の母――伊集院静香さんは、微動だにせず俺を見つめたまま、静かに口を開いた。


 
「麗華から聞いております。あなたたち、しばらくここに滞在するつもりのようね?」



 その冷たい声に、俺は心臓がバクバクしながらも、とりあえず正直に答えるしかなかった。


 
「は、はい! その、一晩だけでも……泊めていただけたら……」



 俺の声が震えてるのは気のせいじゃない。なぜなら、この状況、尋問という名の公開処刑感が半端ねぇんだよ!

 しかし、静香さんは俺の動揺を完全に無視し、ふと目を細めて冷静に続けた。


 
「……あなた、確か麗華のプライベートに不正に関与していたとか?」

「えっ!?」



 俺は一瞬で青ざめた。背中に汗がどっと噴き出し、心臓が止まりかけた。麗華が何とも言えない視線をチラッと俺に向けてきて、それだけで俺の罪悪感が膨らむ。



「い、いや、その、ちょっとした勉強の一環でして……」



 必死で言い訳を重ねていると、静香さんは俺をじっと見つめながら、静かに微笑んだ。その笑顔、怖ぇよ……!


 
「なるほど。では、あなたの『勉強』とやらを、しっかり見届けましょう。」



 周りの使用人たちが、一斉に俺たちを睨みつけた。まるで処刑人のごとく迫るその視線に、俺の精神はすでに限界突破していた。


 
「いやいや!見届けなくていいですって!ほら、俺たち、ハーレムの平和を守りたいだけで――!」

 

 麗華が、半分呆れながら低い声で呟く。


 
「この状況で『ハーレム』とか言ってるあたり、飯田君、本当にバカよね……。」



 俺は麗華の言葉に泣きそうになりながら、必死に使用人たちに目で訴えた。


 
「ねぇ、笑って許してくれる世界線とか、ここにはないんですか……?」



 焔華が横でニヤニヤしながら肩をすくめる。


 
「ふむ、雷丸、さすがじゃな。このピンチでなお口が達者とは。」



 貴音が俺の袖を引っ張りながら囁く。


 
「お兄ちゃん、大丈夫……なの?」



 大丈夫なわけねぇだろ!今、俺は人生の終わりを迎えそうなんだぞ!

 その時、静香さんが手を軽く上げると、使用人たちがピタッと動きを止めた。静かに俺を見つめたまま、冷静に言った。

 

「まずは晩餐を共にしましょう。その後、あなたたちが本当にここに滞在する価値があるかどうか……見極めさせてもらいます。」



 晩餐!?見極め!?これ、絶対に普通のご飯じゃ終わらねぇだろ!?



 俺は心の中で絶叫しながら、せめてもの希望を胸に、静香さんの後をついて行った。さて、この家で無事に朝を迎えられるのか――俺の命運は今、伊集院家の晩餐にかかっている!


 
 
 ――――――――――――――




 
 晩餐の時間がやってきた。伊集院家の食卓に通された俺たちは、豪華すぎる和食が並べられたテーブルを前に、完全に圧倒されていた。

 
「これ、食べていいの……?」と、貴音が小声で俺に囁くが、俺も「多分な……」としか返せない。



 金箔まで乗っかった刺身、湯気が立ち上る豪華な土瓶蒸し、そして、見たこともない高級そうな日本酒が添えられている。正直、どれも美味しそうだが……俺の胃は完全に緊張でキュッと縮み上がっていた。

 
「さぁ、召し上がってください」と静香さんが微笑むが、その笑顔はどう見ても「毒味しなさい」という圧力にしか感じられない。


 俺は手を震わせながら箸を取り、まずは一番無難そうな刺身に挑戦した。口に入れる。……美味い、はずだ。だが――
 

 
 味が全然しねぇ……!!!



 緊張で舌が麻痺してるのか、何を食べても「食感のある空気」を噛んでいるような気分だ。隣を見ると、焔華が豪快に食っている。

 
「ふむ、この魚、なかなかじゃな!もっと持って来い!」と満足げだが、場の空気を読めてない!静香さんの冷たい視線が俺に突き刺さる!


 雪華はというと、箸を持ったままピクリとも動かず、「雷丸様、これ……箸の持ち方で減点されている可能性があります……!」と小声で囁く。

 

「減点!?なんだそれ!?これ、食事じゃなくて試験かよ!?」



 一方、貴音は刺身を一口食べた瞬間、目を潤ませながら俺の袖を引っ張った。


 
「お兄ちゃん、これ……美味しいの!?なんか緊張して全然味が分からないよ!」

「ああ、俺もだ。今の俺たちには美味しいとか分かる舌がねぇ……」



 そんな中、静香さんが静かに箸を置き、俺を見つめて言った。

 

「飯田君、どうですか?伊集院家の料理の味は。」



 おいおい、この質問、完全に地雷じゃねぇか!?下手に答えたら「味覚がないのかしら?」とか言われる未来しか見えない!

 俺は心の中で必死に言葉を捜し、なんとか絞り出した。


 
「そ、その……まさに……高貴な味わいと言いますか……口の中で……その、踊るような……」

「つまり、具体的にはどういう味なのかしら?」



 具体的に!?そんなの分かるか!俺の舌、死んでるんだぞ!?

 その時、焔華が大声で助け舟(?)を出してきた。


 
「うむ、わしには分かるぞ!これは……高級感が爆発した味じゃな!あと、見た目が金持ちっぽい!」

「……金持ちっぽい?」



 静まり返る空気の中、静香さんの視線が鋭く焔華に突き刺さる。その「金持ちっぽい味」発言が完全にアウトだったのは、場の空気を見れば一目瞭然だ。

 
 焔華も「やべぇ」と思ったのか、箸を握ったまま固まり、目だけが泳いでいる。

 そんな最悪の瞬間、横に座る雪華がそっと立ち上がった。彼女の動きはまるで舞台女優のように優雅で、まるでこの場を支配しようとでもしているかのようだった。


 
「静香様、どうかお許しください。焔華さんは、豪華なお食事を前に感動のあまり、言葉を選ぶ余裕を失ってしまったのです。」


 
「感動」だと!?いや、焔華はただ『爆発』とか言っただけだぞ!? 俺は心の中でツッコむが、雪華は微動だにせず続ける。


 
「お料理の美しさと繊細な味わいが、彼女にとってあまりに眩しく、感想が単純化してしまっただけなのです。これも伊集院家のお料理が持つ力の証明でしょう。」



 その言葉に、静香さんの目元が少しだけ緩む。おいおい、本当に効いてるじゃねぇか!?


 
「……そうですか。そういうことなら、構いません。」



 静香さんが納得した様子で頷いたのを見て、俺は心の中で「雪華、すげぇ!」と叫んだ。
 

 しかし、雪華のフォロー劇場はまだ終わらない。彼女はさらに、凛とした声でこう続けた。


 
「それに、焔華さんが申し上げた『金持ちっぽい』という表現――これは、私たちの感覚では最高の誉め言葉です。」


 
「……ふぅん?」静香さんの眉がピクリと動く。


 雪華はその反応を見逃さず、まるで勝利を確信したかのように微笑んだ。

 

「つまり、このお料理の上品さや贅沢さが、我々のような庶民には夢のような存在であると。その感動が言葉にならず、最終的に『金持ちっぽい』という表現に集約されたのでしょう。」



 おいおい、めっちゃ無理やりな理屈じゃねぇか……と思いつつ、静香さんが頷いているのを見て、俺は内心ガッツポーズを決めた。

 

「……なるほど。庶民の方にはそう感じられるのですね。少しは理解しました。」



 こうして、雪華の神業フォローによって、焔華の致命的発言は奇跡的にリカバリーされた。


 焔華は感謝の目で雪華を見つめながら、ボソッと呟いた。

 

「助かったぞ、雪華……お主がいなかったら、わし今頃茶柱にされておったかもしれん。」

「二度と不用意な発言をしないようにしてくださいね、焔華さん。」



 雪華の冷静な返しに、焔華は「わかったぞ!」と威勢よく頷いたが、また何かしでかす未来が見えたのは俺だけじゃないはずだ。


 貴音はというと、俺の袖を引っ張りながら、小声で呟いた。

 

「お兄ちゃん、雪華って……やっぱりすごいね。」

「だろ?俺のハーレムは、こういう有能なメンバーが揃ってるんだよ!」



 俺は自信満々に胸を張る。確かに、雪華のフォロー能力はプロフェッショナルの域だ。あの場で当主の冷徹な視線を一瞬にして和らげたんだから、さすが雪華としか言いようがない。



 ……とはいえ。

 
 
 ――――それにしても雪華、この間までコンビニの廃棄弁当を食べてたとは思えないぜ。



 心の中で、ついそんな感想が漏れてしまう。いや、だって想像してみろよ?


 深夜、人気のないコンビニの裏口。ゴミ捨て場の近くで、ひとり寂しく雪華が佇んでいる。しかも、その表情は真剣そのもの。周りをキョロキョロ見渡し、誰もいないことを確認してから、そっとゴミ箱を開ける。


 
「……これ、まだ食べられるかも……。」



 彼女は袖で手を覆いながら、お弁当を慎重に取り出し、中身を確認する。そして、ほんの少しほころぶその笑顔――いや、反則だろ!可愛すぎるだろ!!



 
「お兄ちゃん、何ニヤニヤしてるの?」貴音が怪訝そうな顔で俺を覗き込む。

「あ、いや、なんでもない!雪華がすごいって話だよ、うん。」



 そう誤魔化しながら、俺は改めて思った。雪華、やっぱりハーレムの中でも異彩を放つ存在だわ。廃棄弁当からハーレムの外交担当までこなすなんて、やっぱりただ者じゃねぇ!

 

 当主の静香さんがゆっくりと口を開いた。


 
「さて、本題に入りましょう。麗華から聞いておりますが、あなたたち……我が家に匿われたいという話がありましたね。」



 俺はゴクリと唾を飲み込みながら、うなずいた。


 
「は、はい。国に追われてるんで、ここが安全かと思いまして……」




 当主は、まるで俺の心の中を見透かすように、少し微笑みながら答えた。


 
「なるほど。国からの追跡……そんな状況で、どうしてここに逃げ込もうと思ったのかしら?」



 え、そんなのハーレム守るために決まってるじゃねぇか!でも、さすがにそんなこと言ったらマズい気がして、俺は言葉を飲み込んだ。


 
「……えっと、麗華が信頼できる呪術師だと思って……」



 その瞬間、当主はふっと笑みを浮かべ、俺に視線を向けて言った。


 
「その信頼に、盗聴器で応えていたのかしら?」

「ッッッ!!!」



 俺の心臓が再び停止した。いやいや、何でその話を持ち出すんだ!?


 俺は一瞬でパニックモードに突入。まるでコンビニの店員に夜中に廃棄弁当を漁るところを見られた雪華のような気分だ。


 
「あっ……えぇっと、それは、その、違う話で……!」



 麗華が横でチラッと俺を睨みながら、ため息をつく。


 
「お母様、彼は少し『独特』ですので……」



 独特……いや、まぁその表現ありがたいけど、これ助け船になってねぇよな?
 当主は微笑みを浮かべながら、俺に釘を刺すように言った。


 
「まぁ、少しだけなら滞在を許してあげましょう。ただし……」



 その声色が一変し、冷たい響きが部屋全体に広がった。


 
「あなたの『独特な行動』は、我が家では許されません。つまり……」



 当主が俺をまっすぐに見つめ、怖い笑顔で続ける。


 
「盗聴器や奇妙な行動は、今後一切禁止。違反した場合は、私たちの家のしきたりに従って……しっかりと『罰』を与えます。」

「……罰?」



 俺はその言葉に思わず反応してしまった。え、罰って何!?冗談だよな?でも、この雰囲気だと冗談じゃ済まされねぇ!


 俺の脳内に、あらゆる日本の伝統的なお仕置きのイメージがフラッシュバックしていく。

 
 俺は正座しながら、額にじっとりと汗を浮かべて答えた。


 
「そ、そんなことしません!盗聴器なんて、もう二度と使いませんから!!」

 

 当主は満足そうに頷き、冷静に言い放った。


 
「よろしい。では、あなたたちの滞在を認めましょう。」


 
 その瞬間、俺は心の底からホッと安堵した。


 
「や、やったぁ!」


 
 思わずガッツポーズを決めようとしたが、隣で貴音がジト目で俺を見ていた。



「お兄ちゃん、さっきから危なっかしいから、少し落ち着こうよ……。」

「わ、わかってる!」



 俺は貴音の冷静な言葉に耳を傾け、なんとか体勢を立て直した。

 焔華がニヤリと笑い、雪華が微かに肩を揺らしてクスッと笑っている。



「雷丸様少し冷や汗をかいておられましたが……結果的にはよろしいでしょう。」

「さすが雷丸じゃの。罰を免れたこと、心から祝福するぞ!」



 俺はヘラヘラ笑いながら、彼女たちにうなずいた。
 よし、なんとかここは切り抜けたぞ!

 これで、一晩は安全な場所で過ごせる……たぶん。
 
 
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