異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴

文字の大きさ
64 / 185

第64話 修学旅行24

しおりを挟む



 俺たちは首里城の事件後、雪華、焔華、そして貴音が滞在しているホテルへ向かった。

 今回の一件を彼女たちに報告するためだ。何があったのかをきちんと共有する――それがハーレム王たる俺の責任ってもんだ。 報連相(報告・連絡・相談)はハーレム王の鉄則、これを怠るわけにはいかない!

 
 だが、ホテルのロビーで俺の姿を見た瞬間、三人の反応が予想以上に衝撃的だった。ボロボロの俺を見て、それぞれの顔色が一気に変わる。


 まず最初に動いたのは雪華だった。普段は控えめで落ち着いている彼女が、俺の姿を見た途端、目を見開き、声を震わせながら駆け寄ってきた。


 
「雷丸様、大丈夫ですか!?その傷……!」 


 
 雪華は泣きそうな顔で俺の全身を見て、あちこちに視線を巡らせる。いつも冷静な彼女が、まるで迷子になった子供みたいにオロオロしている。


 
「いえ、本当に……痛くないんですか?こんなに……血が……」 


 
 雪華の手が震えながら俺の腕に触れる。その手の冷たさが、彼女がどれだけ動揺しているかを物語っていた。やばい、こんな雪華を見ると、俺まで不安になりそうだ。


 続いて焔華が、目をぎらりと光らせながら俺に近づいてきた。彼女の拳がギュッと握られ、血管が浮き上がるほどの力が込められている。


 
「雷丸……!?誰にやられたんじゃ!!」 



 その声には怒りが滲み出ていて、今にも爆発しそうだ。焔華は俺の体をざっと見回し、深い息を吐くと、拳を振り上げたまま、どこかへぶっ飛ばす勢いで一歩踏み出す。


 
「言え、雷丸!どの奴じゃ!今すぐ八つ裂きにしてくれるわ!!」 


 
 焔華は拳をギュッと握りしめ、まるでその手で山でも砕こうとしているかのように震えてる。こいつが本気でキレたらヤバい……。

 
 そして最後に、貴音が俺を見て――その場に立ち尽くした。

 

「おにい、ちゃん……!?」 


 
 普段は冷静でしっかり者の貴音が、俺のボロボロの姿を目にした途端、顔を青ざめさせ、その場に崩れ落ちそうになる。


 
「どうして……こんな……」 

 

 その声には震えが混じり、視線を逸らすことすらできない様子だった。唇を噛みしめ、俺をじっと見つめるその瞳には、明らかな動揺と痛みが滲んでいる。


 三人とも、まるで俺が死にかけているとでも思ったかのような反応だ。



 いや、確かに見た目は酷いかもしれないけど――そんなに心配しなくても、大丈夫だって!

 

 俺は笑って彼女たちに声をかけた。


 
「ちょ、ちょっと待て、そんな大げさに心配すんなよ!俺はこれくらいでへこたれるような男じゃねぇって!」 


 
 だが、彼女たちは俺の言葉を聞いても、その動揺を隠しきれないようだった。これだけ心配されると、嬉しい反面、なんだか申し訳ない気持ちにもなるな……。


 
「いやー、やっぱハーレム王って大変だよな!あっちこっちで戦いがあるし、俺も体がいくつあっても足りねぇぜ!」



 と、俺は少しカッコつけてみた。

 ――だが、返事がない。みんな、俺のノリについてこれるほどの余裕がないらしい。そりゃそうか……この姿じゃ、さすがに冗談も通じないよな。



「雷丸様、もう無理しないでください……!私……雷丸様がもし死んでしまったら…………どうしたらいいか……」




 雪華は今にも泣きそうな顔で俺の腕をそっと掴む。その手が小さく震えているのが伝わってきて、俺は余計に申し訳なくなる。



「バカ者!!なぜわしらを呼ばなかったんじゃ!」



 焔華は怒り混じりに俺の頭をポンと叩いた。力は抑えてくれているが、それでも十分痛い。おいおい、それでも俺は怪我人だぞ……。



「……お兄ちゃん、少しは自分を大事にして……」



 貴音は青ざめた顔で、手際よく俺に包帯を巻いてくれている。その動きは冷静だが、指先がわずかに震えているのを見て、妹にまでこんな思いをさせてしまったことに胸が痛んだ。俺のハーレム王としてのプライドがちょっとだけ傷つく。


 その時、不意に麗華が口を開いた。普段の毅然とした雰囲気とは違い、彼女の声はどこか控えめで、申し訳なさそうだった。

 

「――――雪華、貴音、焔華。飯田君の怪我に関しては私のせいなの。本当にごめんなさい。」


 
 その場の空気が一瞬張り詰める。雪華が驚いたように顔を上げ、困惑した表情を浮かべる。

 

「え、どういうことですか……?」


 
 彼女の声には戸惑いと不安が混じっていた。麗華は短く息をつき、視線を一度下げてから静かに続けた。

 

「……私が闇の呪術で飯田君を傷つけてしまったの。」


 
 その一言が放たれた瞬間、部屋の空気がさらに重くなる。だが俺はすぐに慌てて声を張り上げた。

 

「いや、麗華のせいじゃねぇだろ!?お前は操られてたんだし、しょうがねぇって!」

 
 
 俺は必死にフォローを試みるが、麗華は首を横に振り、静かな声で言葉を返す。


 
「でも、貴方を傷つけてしまったことは事実よ。」


 
 その声には、自責の念と静かな決意が込められていた。彼女は俯きながらも、俺をまっすぐに見据える。その瞳には、自らの行いを償おうとする強い意志が宿っていた。


 
「詳しく……教えてもらえますか?」


 
 雪華が少し糾弾するような目線を麗華に向けながら、静かに問いかけた。その目には、麗華を責める気持ちだけでなく、何があったのかを知ろうとする真剣な思いが滲んでいる。

 

 麗華はその視線をしっかりと受け止めると、静かにうなずいた。そして、一度深呼吸をしてから、今回の一部始終を話し始めた。

 
 彼女の声は抑揚がなく、冷静に思えるほどだったが、その一言一言には苦悩と後悔がにじみ出ていた。焔華は黙って拳を握りしめたまま、麗華の話を聞いている。貴音も手を止め、麗華の言葉に耳を傾けながらじっと顔を見つめている。
 

 麗華が語るたびに、俺の怪我の理由が具体的に明らかになっていく。雪華の顔が徐々に青ざめ、焔華の目には怒りの炎が灯り始める。そして貴音はただ、静かに麗華を見つめながら聞き入っていた。
 

 話が終わった時、部屋は深い沈黙に包まれた。


 
「……私が、アカマターに洗脳されたばかりに……」


 
 麗華がぽつりと漏らす。その言葉は、彼女がどれほど自分を責めているかを痛感させた。


 
「雷丸……本当にお前は馬鹿者じゃのぅ。」


 
 沈黙を破ったのは焔華だった。彼女は静かに立ち上がり、俺の肩をポンと叩く。その目には、俺への強い信頼が込められている。


 
「でもまぁ、無事で良かったわい。」


 
 そう言うと、焔華は大きく息をついて席に戻った。雪華も涙をこらえながら、俺の手をそっと握りしめて言った。


 
「雷丸様……本当に無理だけはしないでくださいね。私たち、雷丸様がいないと……」


 
 貴音は静かに包帯を巻き終えると、俺を真剣な目で見つめて一言。

 

「お兄ちゃん、次はこんな無茶しないでね……。絶対に、約束して。」


 
 俺はその言葉に、黙ってうなずくしかなかった。みんなの心配と優しさに胸が温かくなり、改めてこの仲間たちを大切にしようと決意した。
 



「貴方たちの大事な家族に、こんな怪我をさせて……本当にごめんなさい。」

 

 麗華が深々と頭を下げて謝罪する。その声には、これ以上ないほどの真剣さと後悔が込められていた。

 
 三人は麗華をじっと見つめる。だが、その瞳に怒りや非難はなく、代わりに安堵と優しさが浮かんでいるのがわかった。

 

「でも、麗華さんも無事でよかった……本当に、よかったです……。」


 
 雪華が小さく呟く。その言葉に、場の空気が少しだけ和らいだ。

 
 俺はその瞬間を逃さず、ふとニヤリと笑った。――よし、ここは一つ、ハーレム王として華麗に報告してやるとするか!


 
「でもさ、みんなにいい報告もあるんだぜ!」


 
 俺が胸を張って言うと、雪華が涙目のまま不安そうに俺を見上げた。


 
「え、何ですか?」

 

 一方、焔華は腕を組みながら、眉をひそめてこう聞いてくる。


 
「何じゃ?また無茶をしたんか?」



 ――いやいや、違ぇよ!ここはそんな重い話じゃねぇ!俺は大きく息を吸い込んで、ドヤ顔で宣言した。


 
「麗華が、ハーレムメンバーに正式に加わった!!」

「えええええ!!??」


 
 その瞬間、雪華、焔華、そして青ざめていた貴音の三人が、まるで信じられないという顔で俺を見た。その反応を見て俺は内心ガッツポーズ。やっぱり驚くよな!あのクールでツンデレな麗華が仲間に加わるなんて、誰だって驚くってもんだ。

 
 誇らしげに胸を張りながら麗華の方をちらりと見ると――


 
「……うぅ……」

 

 麗華は顔を真っ赤にして、恥ずかしそうに俯いているじゃねぇか!まさかのこの反応、破壊力バツグンすぎるだろ!

 

「え、本当に!?麗華さんが、ハーレムに!?」



 雪華が驚愕の声を上げ、焔華は腕を組み直しながら「さすが、ただでは転ばん男じゃのぅ!」と、どこか感心したように俺を見ている。
 

 一方、貴音は瞳を輝かせてこう叫んだ。

 

「わーい!家族がまた増えた!」

 

 その無邪気な喜びの声に、場がさらに明るくなる。だがその中、麗華だけは顔を隠すように俯いたまま、恥ずかしそうに小さな声で言った。

 

「あ、あんまり……騒がないでよ……」

 

 ――その仕草がもう可愛すぎて、俺は思わずドキッとしてしまった。


 
「いやぁ、これでハーレム王もさらにレベルアップだな!みんな、これからもよろしく頼むぜ!」


 
 俺がドヤ顔で宣言すると、焔華が唐突に拳を高く突き上げた。

 

「よし、これを祝して、ハーレムパーティー歓迎会を開くぞ!」


 
「えっ、歓迎会……?」と麗華が眉をひそめるが、焔華はノリノリだ。

 

「ホテルじゃ騒げんからな、居酒屋にでも行くぞ!ガンガン飲んで騒ぐぞ!」


 
「い、居酒屋?」と雪華が不安そうに呟くが、貴音は「楽しそう!行こうよ!」と大喜び。

 こうして、急遽「ハーレム歓迎会」が開かれることになった。


 

 ――――――――――――――



 

 居酒屋に着くと、暖簾をくぐった瞬間に「いらっしゃいませー!」という店員の元気な声が響く。焔華は迷うことなく一番奥の広いテーブル席を確保すると、腰をドカッと下ろした。

 

「ここでええじゃろ!さぁ、飲むぞ!」


 
 焔華のテンションに引きずられ、俺たちは席につくが、雪華は周囲をキョロキョロ見回して緊張した様子。


 
「こ、こういう場所、初めてで……ちょっと緊張します……」


 
「大丈夫、大丈夫!」と俺が軽く肩を叩くと、「じゃあ、雷丸様、隣にいてください……」と恥ずかしそうに小声で言う。――おい、そんな可愛い顔で言われたら、隣どころか一生そばにいたくなるだろ!

 
 一方、貴音は既にメニューを見て「あっ、これ美味しそう!」とワクワク顔。麗華はというと、しれっとした顔で「とりあえずお冷をください」とオーダーしてる。おい麗華、居酒屋でお冷って……もっと楽しめよ!


 みんなでメニューを覗き込むと、沖縄ならではの居酒屋料理や飲み物が並んでいた。名前だけで南国感が溢れてる!


「私は沖縄バヤリースオレンジ!」と貴音が嬉しそうに宣言。無邪気でいいぞ、貴音!

 
「じゃあ、私はシークワーサージュースで……」と雪華が控えめに注文。爽やかさと可憐さを両立してるな。

 
「俺はコーラだな!定番の勝利!」と俺も自信満々にオーダー。王道を選ぶのがハーレム王の務めだろ?

 

 すると、焔華がメニューを指さしながら、「なんじゃこのオリオンビールとかいうもんは!」と興味津々な様子。沖縄の名物ビールを見つけた彼女は、当然のように「わしはこれにするぞ!これぞ南国のビールじゃろうが!」と即決。――なんという勢いの良さだ。

 
 

「麗華はどうする?」


 
 俺が聞くと、麗華は軽くため息をつきながら答えた。


 
「私はウーロン茶でいいわ。……それより焔華、飲みすぎないでよ?」

 

 おお、麗華が早速仲間を気遣っているぞ!新入りとして優秀じゃねぇか!――と思ったその瞬間、焔華が満面の笑みで麗華の背中をバシバシ叩き始めた。

 

「麗華!気が利くのぅ!さすが新入りハーレムメンバーじゃ!」

 

 ――おい、焔華、力強すぎだろ!麗華が若干引いてるぞ!「や、やめてよ!」と顔を赤くしながら抗議する麗華。だが、焔華の手は一切止まらない。

 

「宴の中心におるのはおぬしじゃぞ、麗華!存分に楽しむのじゃ!」


 
「……宴の中心はあなたでしょ……」と麗華が冷静にツッコむも、焔華は既にオリオンビールを頼む準備万端。メニュー片手に「店員!ジョッキで頼むぞ!」と気合いが入りまくりだ。



 飲み物が揃うと、焔華が勢いよくジョッキを掲げた。


 
「よっしゃ!麗華加入を祝して、乾杯じゃ!!」


 
「か、乾杯……!」と雪華が少しおずおずとジョッキを持ち上げる。彼女の控えめな乾杯が可愛すぎて、俺の心がほっこり温まる。一方、貴音は「わーい!」と元気いっぱいにジョッキを掲げ、テンションMAXだ。そして麗華は、ため息をつきながらも渋々ジョッキを掲げた。

 
 
「それじゃあ、麗華、これからもよろしくな!」


 
「……よろしくね」と、麗華が少し照れたように返事をする。その瞬間、焔華が「おい、照れてるぞ!」とからかい始めた。

 麗華の顔がみるみる真っ赤になり、「からかわないで!」と必死に反撃するが、焔華は全く聞く耳を持たない。むしろ、「新入りが可愛い反応するのは、先輩として嬉しいのぅ!」と余計に煽っている。

 
「ま、まぁまぁ、飲んで楽しもうぜ!」と俺が場を取りなそうとするが、焔華と麗華の言い合いはすでにヒートアップ。「照れてない!」「照れてるじゃろ!」「照れてないったら!」――いやいや、麗華、お前完全に照れてるだろ!

 
 そんな中、雪華はマイペースにシークワーサージュースを一口飲み、「あ、これ甘酸っぱくて美味しいですね!」と目を輝かせている。その笑顔に俺はまたもや癒される。ほんと、雪華は癒し系のプロだな!

 
「雷丸様、ぜひ一口どうぞ」と、彼女がジュースを差し出してくれる。

 
「お、おぉ……それじゃ、遠慮なく……」と飲んでみると、確かに美味い!でも、雪華の笑顔の方がもっと甘酸っぱい気がするのは俺の気のせいか?


 貴音も沖縄バヤリースオレンジを飲んで「これ美味しい!」と大喜び。その無邪気さに、焔華が「ほれほれ、わしのオリオンビールも飲んでみるか?」とジョッキを突き出す。

 
「えぇ!?お酒なんて飲んだことないよ!」と貴音が目を丸くすると、「初めての一杯はわしが教えてやる!」と焔華が自信満々で勧める。おい焔華、未成年に酒を勧めるな!

 
 そんな焔華はというと、早速オリオンビールをグビグビ飲み、「これが沖縄の味か!最高じゃ!」と大声で絶賛。さらに「この苦味が癖になるわ!」と何杯でもいけそうな勢いだ。いやいや、焔華、スタートダッシュ全開すぎるだろ!そのうち顔だけで沖縄の夕焼けと同化しそうだぞ。


 
 そんな焔華を横目に、お通しのモズク酢が到着。次いでクーブイリチー、海ぶどうと、沖縄料理が次々にテーブルを彩る。

 
「おい、なんじゃこれは!」と焔華がモズク酢を見つめる。


「これは海藻の酢の物ですね。ヘルシーで体にいいんですよ」と雪華が穏やかに説明。だが焔華は「ほぉ、ヘルシーか。ならビールのつまみにちょうどええな!」とモズク酢を一気にかき込む。――焔華、それはつまむってレベルじゃない!


 一方、貴音は「クーブイリチー……?」と興味津々で箸を伸ばしている。

 
「これは昆布と野菜を炒め煮にした料理みたいだぜ」と俺が説明すると、「ん~、優しい味で美味しいね!」と満面の笑み。――貴音の笑顔はそれだけで一品だな。

 
「ほぉ、それは健康的じゃのぅ!」と焔華もクーブイリチーを一口。「んん!これもビールに合う!最高じゃ!」――焔華、全てをビール基準で考えるのやめろ!
 

 
 次にやって来たのは海ぶどう。

 

「この海ぶどうというもの……なにやら海藻の形が珍妙じゃの。これ、食べられるのか?」



 焔華が真剣な顔で海ぶどうをつまんでいる姿は、まるで生物学者が未知のサンプルを研究しているかのようだ。俺は笑いをこらえながら答えた。


 
「大丈夫だって、焔華。食べてみろよ。プチプチして美味いぞ。」

「ふむ……そうか……では、いただくぞ!」



 焔華は少し緊張しながら口に海ぶどうを運び――


 
「おお!これ、なんと不思議な食感!まるで海の宝石を食しておるようじゃ!」



 大喜びする焔華。まるで新しい食べ物に出会った子供みたいだな。
 

 
 そして、いよいよ問題のニンジンシリシリーが運ばれてきた。


「ニンジンシリシリーです!」と店員さんが明るい声で料理名を告げる。

 
 その瞬間、貴音が一瞬キョトンとした表情を浮かべた。そして――
 
 

「……シリシリー!?なんでそんな名前なの!?可愛すぎ!」と、突如爆笑し始めた。

 
「いやいや、名前だけでそんなに笑うか?」と俺が突っ込むと、「だって、シリシリーだよ!?響きが可愛すぎて……あははは!」と貴音はテーブルに突っ伏して笑い続ける。


 その様子に雪華が「そんなに可笑しいですか?」と小首をかしげ、焔華は「なんじゃ、この子は面白いのぅ!」とビール片手にケラケラ笑い始める。――いやいや、居酒屋でそんなに爆笑する話題じゃないだろ!周りのお客さんが「何がそんなに面白いんだ?」って顔して見てるぞ。


 麗華だけは「……ニンジンを細くする音を表現してるらしいわよ」と冷静な顔で説明しているが、口元が微妙に緩んでる。――おい麗華、お前も笑いを我慢してるのが丸わかりだぞ!
 

 
 全員が「シリシリー」だけで盛り上がりながら料理を堪能していると、焔華が再びジョッキを掲げて声を張り上げた。

 

「麗華も完全に馴染んだことじゃし、もう一度乾杯じゃ!」

 

「え、また乾杯?」と麗華が戸惑う間に、焔華は彼女のジョッキを半ば強引に持ち上げた。

 

「ほれ麗華、わしらの仲間になったからには乾杯くらい堂々とやらんかい!」


 
「……仕方ないわね」と麗華は呆れた顔でジョッキを掲げたが、その頬がわずかに赤いのを俺は見逃さなかった。
 
 



 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

【完結】オレの勇者パーティは全員アホだが強すぎる。

エース皇命
ファンタジー
 異世界に来て3年がたった。  オレの所属する勇者パーティ、イレギュラーズは相変わらず王都最強のパーティとして君臨している。  エルフのクリス、魔術師のジャック、猫耳少女ランラン、絶世の美女シエナ。  全員チート級の強さを誇るけど、どこか抜けていて、アホ全開である。  クリスは髪のセットに命をかけて戦いに遅刻するし、ジャックは賢いもののとことん空気を読まない。ランランは3歩あるくだけで迷子になるし、シエナはマイペースで追い詰めた敵を見逃す。  そんなオレたちの周囲の連中もアホばかりだ。  この世界にはアホしかいないのか。そう呆れるオレだったけど、そんな連中に囲まれている時点で、自分も相当なアホであることに気づくのは、結構すぐのことだった。  最強のアホチーム、イレギュラーズは今日も、王都を救う! ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

処理中です...