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第65話 修学旅行25
しおりを挟むみんなが飲んだり食べたり騒いだりしている中、雪華がふとジョッキを置いて感慨深そうに言った。
「でも、麗華さんを入れて、雷丸様のハーレムも五人になりましたね。最初と比べて随分増えましたねぇ……」
「おいおい雪華、その言い方だと俺がコレクターみたいじゃねぇか!」と俺が慌ててツッコむと、「すごく賑やかだよね!麗華さんも入ったし、ますます楽しくなりそう!」と貴音が笑顔で応じる。
――お前は何でも楽しそうだな。その無邪気さが大好きだけどさ。
一方で焔華は、豪快にジョッキを掲げて宣言した。
「ふむ、これだけ揃えば天下統一も可能なんじゃないか!?」
「焔華、お前どこに向かうつもりだよ!?それ、もうハーレムじゃなくて戦国時代だろ!」と俺が呆れて返すと、焔華は「ふはは、冗談じゃよ!」と大笑い。――いや、本気に聞こえたぞ!
麗華はというと、腕を組みながらみんなをじっと見て、「……貴方達、本当にどうかしてるわね。まぁ、良いけど」と呆れ顔でため息をついた。
俺はふと思いついて、ジョッキを軽く傾けながら尋ねた。
「それにしても、焔華はともかく、雪華と貴音は俺が『ハーレムハーレム』言っても嫌がらなくなったよな?なんか心境の変化でもあったのか?」
雪華と貴音が顔を見合わせた後、まず貴音が口を開いた。
「確かに最初はそうだったよ!でも私はお兄ちゃんの隣にいられればなんだっていいし、こうやってみんなで家族みたいに騒ぐのがすごく楽しいんだもん!」
……おい貴音、そんなストレートに言われると俺が照れるだろ。
次に雪華が、少し頬を赤らめながら静かに続けた。
「私も……最初はハーレムなんて嫌でしたけど……メンバーが増えても雷丸様はずっと変わらず優しくしてくれたり、その……可愛がってくれますし……。それに、貴音さんと焔華さんも良い人ですから……」
なんでそんな照れながら言うんだよ!その顔反則だろ!俺の心が爆発するぞ!
そして、麗華が腕を組みながら、ため息交じりに言った。
「可愛いとか家族みたいとか、貴方達、本当に気が緩みすぎよ……。飯田君が調子に乗るだけなんだから、もう少し自覚を持ちなさい」
だが、そんな麗華もジョッキを口に運びながら、小さな声で「……まぁ、楽しいのは認めるけど」と呟いたのを俺は聞き逃さなかった。――お前も結局楽しんでるじゃねぇか!ハーレムの一員として完全に馴染んでるな!
すると、焔華がジョッキを掲げながら言い出した。
「しかし雷丸よ、これだけの美女を集めて、何か目標でもあるのか?」
「おいおい、自分を美少女呼ばわりかよ!」と俺がすかさずツッコむと、
「当然じゃ!わしは美しくも勇ましい美少女、焔華じゃ!」と堂々と言い放つ焔華。――いや、確かに美少女だけど、そこまで堂々と言えるのはお前くらいだな。
「いやいや、俺はそんな大それたことを狙ってるわけじゃないけどさ……」と俺が苦笑いすると、「じゃあ、せいぜいこの宴を天下一楽しいものにするのが目標じゃな!」と焔華が胸を張って言い切った。
――まぁ、確かにそうだな。この賑やかさが、俺の「ハーレム王」としての一番の財産だ!
俺はジョッキを掲げながら、改めてみんなに言った。
「これからもみんなで楽しく過ごそう!最高のハーレムファミリーとしてな!」
全員が「うん!」と笑顔で応じてくれた。その瞬間、俺は心の底から思った――
――やっぱり、俺のハーレム王ライフは最高だぜ!
――――――――――
宴もたけなわ、そろそろ帰る時間だ。楽しい時間も終わりに近づき、俺は店員さんに声をかけた。
「さて、会計は――」
店員さんが伝票を差し出した瞬間、俺の目が見開かれる。
「オリオンビール × 15杯」
「な、なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!?」
――焔華、お前、一人でビール何杯飲んでんだよ!
振り返ると、焔華は悪びれる様子もなく、満面の笑みで言い放った。
「ふむ、沖縄の酒を堪能した結果じゃな!」
「堪能しすぎだよ!限度ってものを考えろ!」
「男ならこういう時は笑って済ませるのが粋というものじゃ!」と焔華はケラケラ笑いながらジョッキを掲げる仕草までしている。――いや、まだ飲む気か!?
一方、雪華は小さく頭を下げながら、「ごめんなさい、雷丸様……私がもっと止めていれば……」と申し訳なさそうに俯く。
「私も……お兄ちゃん、迷惑かけてごめんね」と貴音も小声で謝る。――お前たちは悪くないんだよ!悪いのは焔華だ!
さらに麗華が、若干引きつった顔で「……大丈夫?払えるの?」と心配そうに聞いてくる。――麗華、お前まで心配顔はやめろ!ハーレム王の威厳が崩れるだろ!
俺は深呼吸をして覚悟を決めた。
「結局、これもハーレム王の宿命か……」
伝票を握りしめ、俺はレジへ向かう。財布の中身が空になる未来を思い浮かべながらも、堂々と支払いを済ませた。――これが男のプライドだ!いや、ただの散財だろ!
レジを済ませて店を出ると、焔華がケラケラ笑いながら俺の肩をガシガシ叩いてくる。
「ふはは!これぞ男の器というものじゃな!いやぁ、最高じゃ!」
「お前、それを言えば許されると思ってるだろ!器の前に俺の財布が破壊されそうなんだよ!」と俺が文句を言うと、安心せい!次はわしが何か奢ってやる!」と焔華が豪快に宣言。――いや、お前がまた飲むだけだろ!
そんな騒ぎの中でも、雪華が「本当にすみません。でも、今日はとても楽しかったです」と優しい笑顔を見せ、
貴音が「またみんなで来ようね!」と無邪気に言う。
麗華も「……まぁ、たまにはこういうのも悪くないわね」と小さく呟く。
俺は彼女たちの笑顔を見ながら心の中で思った。
――財布は空でも、俺のハーレム王ライフは満たされてるんだ!
だがその余韻も束の間、焔華が突然声を上げた。
「さて、帰りにコンビニで酒でも買いに行くかのぅ!支払いは勿論雷丸じゃ!」
「おいおいおい!ちょっと待て!」俺は反射的にツッコむ。――さっき15杯も飲んだのに、まだ飲む気なのかよ!
焔華は堂々と胸を張り、「なんじゃ、わしの胃袋は無限じゃ!」と自信満々。いやいや、そういう問題じゃねぇだろ!
雪華は「あの……焔華さん、それは流石に……」と困った顔でたしなめようとするが、
「心配するな!支払いは全て雷丸がやるから問題ない!」と焔華が断言。――問題しかないだろ!俺の財布はもう限界突破してるんだよ!
貴音は「お兄ちゃん、また大変だねぇ……」と笑顔で呟くが、それ、全然慰めになってないから!
麗華は腕を組みながら呆れた顔で、「飯田君、ハーレム王として試されてるわね」と冷静にボソリ。でもな麗華、お前も少し笑ってるじゃねぇか!
焔華が「よし、さっさと行くぞ!」と先頭を切って歩き出す中、俺は心の中で静かに決意した。
そして、俺はコンビニに向かう彼女の背中を見ながら呟く。
「次はお前の財布から出させてやるからな……覚悟しとけよ!」
そう決心しつつも、彼女たちと過ごすこの賑やかな時間が、結局は何よりも楽しいのだと気づいてしまう俺だった。
――――――――――――
焔華、雪華、貴音をホテルに送り届けた俺。ロビーで一息ついたところ、貴音がふとこちらを見て言った。
「お兄ちゃん、私たちの部屋で泊まったら?」
「え?」
突然の提案に思わず聞き返す。
「ここ、料金を追加すれば泊まれるみたいだよ?ベッドの数は変わらないけど、私たちだったら一緒に寝ても全然気にしないし!床で寝るよりこっちの方がいいよ!」と、無邪気な笑顔で提案してくる貴音。
その言葉に、雪華も優しく微笑みながら頷いた。
「そうですね、雷丸様は怪我人ですから、ベッドでしっかり体を休めるべきです。無理しないでください。」
彼女の声には、俺を気遣う真摯な想いが込められていて、胸が少し温かくなる。雪華のこういうところ、本当に天使だよな……
そんな中、焔華が腕を組みながら堂々と宣言した。
「よし、雷丸、わしのベッドに来い!今日は飲みすぎて迷惑をかけたからのぅ!そのお詫びに、今夜は――――」
「ストップストップ!焔華、周りに人がいるから!」
慌てて手を上げて焔華を制する俺。ロビーには他の宿泊客たちがいるというのに、焔華はまったく気にする素振りもない。むしろ、周囲の視線を堂々と受け止めているのが焔華らしいっちゃらしいが……。
「なんじゃ、遠慮する必要はないぞ!」
焔華は豪快に笑いながら肩をすくめている。――いやいや、そういう問題じゃない!俺が焦っているのがわかっていないのか?
俺の頭の中には、過去に彼女たちと過ごした夜の記憶が浮かんでしまう。焔華の情熱的で大胆な姿、雪華の優しく包み込むような愛情、そして貴音の一途で無垢な可愛さ――それぞれが、俺にとって特別な瞬間だった。
焔華がさらに言葉を続ける。
「ほれ、わしのベッドは広いからのぅ、のびのび寝られるぞ!体の痛みもすぐに取れるよう、温めてやるわい!」
――いやいや、そういうことをロビーで大声で言うな!周囲の視線が痛いって!
そして、貴音が一歩近づいてきて俺の腕を軽く引っ張る。
「お兄ちゃん、みんなで一緒に休もうよ。大丈夫だよ、私たち、もう慣れてるから。」
貴音が無邪気な笑顔でそう言う。言葉自体は何気ないものの、その内容は誤解を招きかねない。
どうしようかな――。
俺は一瞬だけ悩んだ。正直、ホテルのベッドで休むのはめちゃくちゃ魅力的だ。怪我の体にとって、床で寝るのは辛い。ここで甘えるのもアリか……と思いかけた、その時。
ふと、麗華に目を向けた。
彼女は少し離れたところで立っていたが、その瞳にはどこか寂しげな色が宿っていた。顔には出していないつもりなんだろうが、俺にはわかる。妙に肩が落ちてるし、視線も下に向いてるし……。
――そりゃそうだよな。
麗華にとって、今日はいろんな意味で大きな日だった。操られていたとはいえ俺を攻撃してしまったこと、そしてハーレムに加わる決意をしたこと。どちらも彼女の中で簡単に片付けられるものじゃないはずだ。それなのに、俺がほかのメンバーと楽しそうにしてたら、そりゃ複雑な気持ちになるに決まってる。
俺は軽く息をついて、ふっと笑った。
「三人とも、ありがとうな。でも今日は――麗華と一緒に過ごしたいから。」
そう言って振り返ると、焔華がニヤリと笑った。
「ほぅ……そうじゃのう。今日は麗華が初加入日じゃからな。譲ってやるか。」
焔華の言葉に、俺は反射的に突っ込んだ。
「いやいや、そういうのじゃねぇから!」
雪華は少し驚いた顔をしたが、すぐに微笑みを浮かべて頷いた。
「そうですね、麗華さんも今日はいろいろと大変でしたから。雷丸様、どうぞ二人でゆっくりしてください。」
貴音も嬉しそうに手を叩き、「わぁ、いいなぁ!麗華さん、お兄ちゃんと一緒に過ごせるなんて羨ましい!」と笑顔を見せてくれる。
一方の麗華は、目を丸くしてこちらを見ていた。
「え……私と一緒に?」
驚きと戸惑いが入り混じった声。彼女は自分の胸を指差しながら、まるで信じられないというように確認してくる。
俺は軽く肩をすくめて答えた。
「お前さ、今日はいろいろあっただろ?疲れてると思うし、ちゃんと話しておきたいこともある。だから――今日は俺と一緒に過ごそうぜ。」
麗華の頬が一瞬赤く染まる。その視線はどこか恥ずかしそうで、けれど微妙に嬉しそうでもある。彼女は少し黙った後、小さく頷いた。
「……わかったわ。」
彼女の声はいつもの冷静なトーンだけど、どこか柔らかいものが混じっていた。
「よし決まり!じゃあ三人とも、またな!」
俺が笑顔でそう言うと、焔華は「まぁ、仕方ないのぅ!」と豪快に笑い、雪華と貴音は「おやすみなさい」と温かく見送ってくれた。
その後、俺は麗華とともに少し離れた部屋へ向かった。部屋に入る前、麗華が少しだけ俺の袖を引っ張って、恥ずかしそうに小さく言った。
「……ありがと。」
――それだけで、今日の疲れなんて吹き飛ぶ気がした。
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