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第75話 プロリーグ2
しおりを挟むスタジアムの中は、すでにサポーターたちの熱気で沸き返っていた。俺がロッカールームを出てフィールドに足を踏み入れた瞬間、まるでロックコンサートの主役になったかのような歓声が俺を包み込む。
「雷丸ーー!頼むぞーーー!!」
スタンドから飛んでくる声援が半端じゃない。まるでゴール前に立つだけで勝てるような気分だ。自然と口元がニヤけてしまう。
今日は俺のプロデビュー戦。しかも期待のスーパールーキーとしての注目度がハンパない。
みんな、俺のためにこのスタジアムに集まったんだろ?そんな気さえしてくる。
フィールドにはすでにチームメイトたちが、お決まりのウォームアップをしている。俺も軽くストレッチをしながら周囲を見渡した。
「今日はゴールを決めるぞ、いや、決めるしかねぇな!」
ところが、ふと視線を感じて周りを見回すと、相手チームの選手たちがやけに俺をガン見している。
――そんなに俺のこと気になるか?カッコいいのはわかるけど、試合前に目で殺し合いはやめてくれよ。
「……なんだよ?」
その視線、ただの嫉妬とは違う。まるで俺に恐怖心を抱いてるような雰囲気が漂っているじゃねぇか。
「あいつだ、例の『空飛ぶ男』って噂のやつ……本当に飛んだんだよな?」
相手選手たちがヒソヒソと話してるのが聞こえる。どうやら俺の空中飛行の噂が、すでにサッカー界に広まっているらしい。
「もし試合中に空を飛び始めたら、どうやって防げばいいんだ?」
――いやいやいや、さすがにそれはないだろ!
俺は苦笑いしながら心の中でツッコミを入れた。
俺力(オレリョク)はサッカーでは使わない。それが俺の決めたルールだからな。
サッカーをする時は魔法を使わず、純粋な自分の身体能力だけで勝負する――それが俺のポリシーだ。
自分にそう言い聞かせ、俺はフィールド中央へ向かう。
スタジアムの熱気、視線、歓声。すべてが俺の背中を押してくれている。
「さぁ、やってやるぜ!」
これが、ハーレム王・飯田雷丸のプロデビュー戦だ――サッカー界に新たな伝説が生まれる日でもある。
その時――
「雷丸ーー!!!!!」
ドでかい声がスタジアム全体に響き渡る。思わず耳を疑ったが――その声の主は、焔華だ!
パッと視線を客席に移すと、そこには焔華、雪華、貴音、麗華、そして静香さんまで――みんなが観客として来てくれている。
しかも、全員お揃いのユニフォーム姿!背中には俺の背番号と、でっかく『RAIMARU』の文字がプリントされている。そして、それぞれのほっぺたには『雷丸LOVE』のペイントが……!
なんだこのチーム感!完全に俺の専属応援団じゃねぇか!?
それぞれが雷丸応援グッズを手にしているのも見逃せない。
焔華は「雷丸」と書かれた巨大なタオルを掲げ、力強く振り回している。
貴音は俺の顔がプリントされた特大サイズのうちわを全力で振っている。しかも、その笑顔がまぶしい。
雪華はキラキラ光るポンポンを手に、まるでプロのチアリーダーみたいな動きで応援している。いや、ここまでやるか?
麗華は冷静そうな顔をしながらも、実は巨大な応援ボードを掲げている。「雷丸、あんたが最高!」とデカデカと書かれたそのボードが目立ちすぎだろ!
そして極めつけは静香さん――彼女は高級そうなデザインの応援フラッグを優雅に振りかざし、まるで貴族の観戦みたいな雰囲気を醸し出している。
俺は笑いをこらえながら、胸にこみ上げる感情を抑えられなかった。
――こいつら、どこまで俺を応援してくれるんだよ!?
心臓が熱くなる。俺のためにここまでしてくれる仲間がいる。そう思うと、なんだか力が湧いてくる。
「雷丸様、ファイトーー!!!」
雪華が元気よく声を上げる。
「お兄ちゃん、がんばれーーー!!」
貴音が無邪気に叫ぶ。
「わしらの王よ!ゴールを決めてこい!」
焔華が豪快にエールを送る。
「……まあ、あんたならやれるわよね。」
麗華はツンデレ気味にボードを掲げながら呟く。
「雷丸君、ここからが本番よ。見せてちょうだい、あなたの力を。」
静香さんの落ち着いた声が、どこか優雅でありながらも力強い。
俺はスタンドに向かって拳を突き上げ、全力の笑顔で応えた。
「おう!絶対勝ってくるから見てろよ!」
サポーターの歓声と、俺専属のハーレム応援団の声がスタジアム全体を包む中、突然、巨大スクリーンに映し出されたのは――そう、俺のハーレムメンバーだった。
「おおっと!あの美少女軍団は何者でしょうか!?これは飯田選手の応援団ですか!?」
実況の声が響き渡り、スタジアム中の観客が一斉にザワつき始める。サッカーそっちのけで、俺の応援団に視線が集中しているのがわかる。
巨大スクリーンに映し出されたその瞬間――焔華がすかさずウィンク!
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」
観客の悲鳴にも似た歓声が響き渡る。完全に観客の心を鷲掴みにした焔華のウィンクに続き、隣の雪華が優雅に手を振り、さらなる歓声を巻き起こす。
貴音もカメラに気づき、満面の笑みを浮かべた。そんな中、麗華はクールに決めつつも、しっかりとボードを掲げて「雷丸、あんたが最高!」とアピールしている。
静香さんも一切動じることなく、優雅にフラッグを振り、場をさらに盛り上げていた。
カメラマンとインタビュアーがすぐさま俺のハーレムメンバーに向かい、マイクを差し出した。
「えーっと、こちらには飯田選手の応援に駆けつけた美しい方々がいらっしゃいます!まず、お名前をお聞きしてもよろしいですか?」
焔華がウィンクを交えつつ、大きな声で答える。
「わしは焔華じゃ!!雷丸の応援に全力で来ておる!試合、めちゃくちゃ楽しみじゃ!」
その迫力と堂々たる態度に、スタジアム中の観客が「おおおっ!」と感嘆の声を上げる。応援団席に注目が集まり、スタジアムがさらに盛り上がる中、インタビュアーもノリノリで質問を続けた。
「ありがとうございます!すごく熱心な応援ですね!雷丸選手とはどういうご関係なんですか?」
焔華は胸を張り、自信たっぷりに答える。
「雷丸は、私の旦那じゃ!」
その一言に、スタジアム中が一瞬静まり返った後、観客のどよめきが爆発する。
「え!?飯田選手、結婚してんの!?」「旦那ってマジかよ!?」「あのイケメン、既婚者だったのか!?」
インタビュアーも驚きで目を見開き、しばらく言葉を失う。
「そ、そうなんですね!旦那さん……ということで、飯田選手のご活躍を楽しみにされていますね!」
次にマイクが渡された雪華はほんのり頬を染め、控えめな笑みを浮かべて答えた。
「雪華です。雷丸様のことをずっと支えてきました……今日は彼が一番輝く瞬間を見届けに来ました。」
控えめで品のある自己紹介に、観客たちは一瞬で引き込まれた。「おお、清楚系か……」「おしとやかで可愛いな」と、ささやきがスタジアム中に広がる。
インタビュアーも「ありがとうございます!とても素敵な応援ですね!」と感心した様子で頷く。
だが――その次の一言が、スタジアム全体を混乱の渦に叩き込むことになる。
「そして雷丸様は……私の旦那様です。」
瞬間、スタジアムが静まり返った。誰もが耳を疑い、次の瞬間には観客席からどよめきが湧き上がる。
「はぁぁ!?旦那って言ったか今!?」「さっき焔華さんも旦那って言ってたぞ!?何だこの状況!?」「嫁が二人目!?」
興奮と混乱が一気にスタジアムを包む。インタビュアーも明らかに動揺しており、汗をかきながら次の言葉を探している。
「え、ええと……その、旦那様というのは本当に?」
雪華は優雅に頷き、控えめに微笑んだ。
「ええ、本当です。」
その言葉に、観客たちからさらなる衝撃の声が上がる。
「マジかよ……」「飯田雷丸、ただのプロ選手じゃねぇ……伝説が生まれるぞ!」
動揺したインタビュアーが次にマイクを向けたのは貴音だった。彼女は少し緊張したように顔を赤らめながら、元気いっぱいに自己紹介を始めた。
「私は飯田貴音です!お兄ちゃんの試合、絶対に勝つからみんな応援よろしくお願いします!」
無邪気で純粋なコメントに、観客たちは「可愛いな……」「妹さんか、いい応援だ!」とほっこりした空気に包まれる。
しかし――その次の言葉がまたもやスタジアムを騒然とさせる。
「それと……お兄ちゃんは私の旦那さんでもあります!」
「えええええ!?」「お兄ちゃんで旦那ってどういうことだよ!?」「飯田雷丸、どこまで規格外なんだ!?」「もう頭が追いつかねぇ!」
観客たちの驚きが収まらない中、インタビュアーはもはや何を言えばいいのか分からない様子で頭を抱える。
「え、ええと……旦那様……?それは、どういう意味で……?」
貴音は無邪気な笑顔を浮かべながら答えた。
「そのまんまだよ!お兄ちゃんは私の旦那さんなの!」
その純粋さに観客たちは頭を抱えるしかない。
「飯田雷丸って、サッカー界に何をしに来たんだ!?」「いや、もはや新しいジャンルを作りに来たのかも……」
スタジアム全体が混乱の渦に包まれ、実況ブースからも興奮した声が響く。
「これはとんでもない展開ですね!飯田雷丸選手の応援団……いえ、ハーレム応援団と言っても過言ではないでしょう!」
インタビュアーも笑顔を引きつらせながら次に進もうとする。
「え、えっと……次の方にお話を伺いましょう!」
次にマイクを向けられるのは麗華。
インタビュアーが「助けてください……」と無言で訴えるような表情を浮かべる中、麗華は軽くため息をつき、冷静な声で口を開いた。
「三人とも……インタビュアーさんが混乱してるじゃない。」
その一言に、場の空気が一瞬引き締まる。麗華の落ち着いた態度が、まるで混乱の中心に一条の光を差し込んだかのようだった。
「私は伊集院麗華。飯田君はハーレム王を目指しているんです。そして、ここに集まったのは彼のハーレムメンバー。」
「は、ハーレム王!?」「何それ!?」「本当にそんなこと目指してんのかよ!?」
スタジアム中にどよめきが広がり、観客席から笑いと興奮の声が飛び交う。
「飯田雷丸、やっぱただの選手じゃねぇ……」「ハーレム王とか新ジャンルすぎる!」
インタビュアーは完全に混乱しながらも、懸命に質問を続ける。
「は、ハーレム王……!?それは、その……プロ入団式の時の、あの宣言のことですか?」
麗華は軽く頷き、クールに答えた。
「そう。彼がプロ入団式でハーレム募集宣言をしていたのを、ニュースで何度も見たでしょう?」
「あ、はい……確かに見ました。あれは、てっきりジョークだと……」
インタビュアーの言葉に、麗華は淡々と微笑んで答えた。
「ジョークなわけないじゃない。」
その一言が、再び観客たちを騒然とさせる。
「マジかよ!?本気でハーレム目指してんのか!?」「いや、でもここまで堂々としてたら逆に応援したくなるな……!」
麗華は観客たちのざわめきを背に、インタビュアーに向かって続けた。
「彼は真っ直ぐで、自分の目標に向かって全力で突き進む人。その目標が“ハーレム王”であっても、彼はそれを実現するために全力を尽くしているわ。」
「うおおおおお!!麗華さんまで!?」「いや、これ完全にリアルハーレムじゃねぇか!」「飯田雷丸、恐るべし……!」
観客たちの声援と驚きがさらに大きくなる中、インタビュアーは言葉を失いながらも「そ、そうなんですね……!?」と頷くしかなかった。
麗華は最後に、静かに微笑みながら一言付け加えた。
「彼がどんな目標を持っていても、私は彼を信じている。それだけよ。」
最後にインタビュアーがマイクを向けたのは、堂々とした佇まいと気品を漂わせる静香さんだった。彼女は優雅に微笑みながら、落ち着いた声で答える。
「私は伊集院静香。麗華の母です。そして、将来、雷丸君の……義理の母になるかもしれませんね。」
インタビュアーが目を見開き、「そ、そうなんですか!将来、お義母様に……!」と興奮気味に声を上げる。
インタビュアーが「雷丸選手にはどういう印象をお持ちですか?」と尋ねると、静香さんは少し微笑み、穏やかな口調で話し始める。
「雷丸君は、とても真っ直ぐな子です。少し騒がしいところもあるけれど、その熱意や情熱は、娘を大切にしてくれる人だと信じています。」
観客たちが「お義母さん、めっちゃ信頼してるじゃん!」「雷丸、愛されすぎだろ!」とざわつく中、静香さんはさらに続けた。
「初対面の時、彼が“ハーレム王”を目指しているという話を聞いた時は少し驚きましたが……ふふ、彼らしいと言えば彼らしいわね。」
「すげぇ、お義母さんまで公認なのかよ!」「ハーレム王を認める親って何!?」「もうこれ、次元が違う世界の話だわ!」
スタジアム全体がさらに盛り上がり、観客たちは静香さんの冷静な物言いと堂々とした態度に感嘆の声を漏らす。
インタビュアーが「雷丸選手へのメッセージがあれば、ぜひ一言お願いします!」と促すと、静香さんはカメラに向かって微笑みながら答えた。
「雷丸君、麗華を幸せにしてあげてくださいね。そして、今日の試合でもその真っ直ぐさを見せて、全力で頑張ってください。」
その言葉に、観客たちは一斉に拍手と歓声を送る。「お義母さん、マジでかっけぇ!」「雷丸、プレッシャー半端ないけど負けるな!」
インタビュアーが「素晴らしいメッセージをありがとうございました!雷丸選手、あなたは本当に幸せ者ですね!」と締めくくろうとした、その瞬間――
静香さんがふと微笑みながら、さらりと続けた。
「あぁ、それと……彼は私の義理の息子になる予定ですが……実は私の旦那様でもあります。」
「な――――――――!!!!!!?」
観客たちが一斉に立ち上がり、驚愕と笑いが入り混じった大混乱に陥る。
「旦那様!?お義母さん!?なんだそれ!?」「飯田雷丸、何次元の話してんだよ!」「いやいや、ハーレム王ってここまでやるのか!?」
インタビュアーは目を大きく見開き、額から汗を流しながら声を絞り出す。
「こ、これは……まさにサッカー界に新たな伝説が誕生した瞬間ではないでしょうか……!!!」
観客の大混乱をよそに、俺はピッチで拳を握りしめた。
「よし、最高のハーレム応援団のために、今日は絶対にゴールを決めてやる!」
こうして、俺のプロデビュー戦は、サッカー史に名を刻む熱狂と混乱の中で幕を開けた――!
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