異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴

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第76話 プロリーグ3

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 スタジアム全体にホイッスルの鋭い音が響き渡る。観客たちの歓声が一層大きくなり、その熱気がピッチの隅々まで伝わってくる。俺の心臓が高鳴り、全身にアドレナリンが駆け巡るのを感じた。


 
「ついに来た……俺のプロデビュー戦!」



 ピッチに立つと、その広さと緊張感が改めて実感される。目の前には、これまでテレビや雑誌でしか見たことがなかった有名選手たちがずらりと並んでいる。だが――。


 俺の胸にあるのは、恐怖じゃない。興奮だ。


 試合が始まると、俺は軽く動きながら、周囲の状況を見渡す。ボールを受け取り、チームメイトとパスを交換。まだ初めてのプロの舞台だからな、焦る必要はない。相手の動きや隙をじっくり観察しながら、ピッチ全体を把握していく。


 ボールを足元に収め、ふと顔を上げると、相手チームのディフェンダーがじりじりと間合いを詰めてくる。鋭い視線が俺に突き刺さる。だが、俺はそのプレッシャーを受け流すように、軽いタッチでボールをさばきながら前進する。


 
「今日は絶対に決める――いや、むしろ決めて当然だ!」



 心の中でそう叫ぶと、自然と体が軽くなるのを感じた。観客たちの熱狂的な声援、俺を信じて応援してくれているハーレム応援団の存在――その全てが俺の背中を押してくれている。


 相手のプレスをかわしながら、俺は前方のスペースを見据える。これまでの練習や努力の全てを、この瞬間にぶつける時が来た。


 俺はボールを丁寧に扱いながら、視線を先に向ける。ゴール前の混戦を避けるため、一度味方に預けるべきだ。体を軽くひねりながら、相手ディフェンダーの動きを観察する。背番号10の味方ミッドフィールダーが、わずかに空いたスペースに走り込んでいるのが見えた。


 
「――ここだ!」



 俺は右足のインサイドでボールを軽く転がし、次の瞬間、味方の足元に正確なパスを送る。ボールはスムーズに転がり、相手ディフェンダーの足先をすり抜けるようにして、味方のもとへ届いた。
 

 
「ナイスパス、雷丸!」



 味方が短く声をかけながら、素早く次の動きに移る。俺はその声に軽く頷きながら、ボールを追う視線を切らさない。味方がワンタッチでさらに前線の選手にボールを送る動きに合わせ、俺は空いたスペースへと走り込む。


 
「いい流れだ……このまま攻め続けろ!」



 相手ディフェンダーが焦りを見せ始める中、俺たちの攻撃は徐々にゴール前に迫っていく。味方のパスワークはリズムを崩さず、相手を翻弄している。


 
「雷丸、次はお前だ!」



 味方がパスを繋ぎながら声を飛ばす。俺は自分に来るタイミングを冷静に見極めながら、動き続ける。ボールを追うのではなく、ボールが来るべき場所に自分を置く。それがプロとしての立ち回りだ。


 視界の端に、焔華たち応援団が見えた。彼女たちは大声で俺の名前を叫び、手を振っている。その光景に心が燃え上がる――絶対に失敗できない。

 

「ここだ――勝負はこれからだ!」


 
 ボールが再び俺に渡った瞬間、ピッチの空気が変わった。観客席からの歓声が一段と大きくなるのが分かる。相手チームのディフェンダーたちが警戒心を露わにしながら、一気に間合いを詰めてくる。

 

「来いよ、プロの洗礼ってやつを受けてやる!」



 心の中でそう呟きながら、俺はディフェンダーの動きをじっくり観察する。相手が足を出そうとした一瞬――俺は左足で軽くタッチし、ボールを右側に流した。ディフェンダーの足が空を切る。


 
 スルリ――抜けた!



 観客席が沸き上がる中、俺は一気にスピードを上げる。目の前に広がるスペース。ゴールまでの距離は約30メートル――ここだ、勝負するなら今しかねぇ!



 一人、また一人――



 次に立ちはだかるのはセンターバック。体格は俺より一回り大きいが、動きが鈍いのが見て取れる。俺は軽くフェイントを入れ、タイミングをずらして右に突破。次の瞬間、もう一人のディフェンダーが迫ってくる。


 
「甘いんだよ!」



 右足のアウトサイドでボールを転がし、体を一瞬ひねる。そのフェイントに引っかかった相手がバランスを崩した隙を見逃さず、俺はボールを左足でキープしながら加速する。


 ペナルティエリアに入った瞬間、相手ゴールキーパーと目が合う。キーパーはじりじりと前に出て、シュートコースを狭めようとしている。だが――俺には見えている。



 右隅が空いてる。ここしかねぇ!



 全身の力を足元に集中させ、強烈な踏み込みを左足で行う。その瞬間、芝の感触が足裏に伝わり、全身の筋肉が一気に弾けるように動き出す。


 ボールに向けて右足を引く。その動きは鋭く、正確だ。


 一瞬、時間が止まったような感覚――観客の歓声、仲間の声、すべてが遠くに聞こえる。集中するのは、目の前のボールとゴールだけ。

 

「行け――!」



 俺は全力でボールを蹴り抜いた。足に伝わる感触は、まさに理想的。スパイクの内側にボールがしっかりと乗り、意図した通りのカーブがかかった。


 ボールは鋭いカーブを描きながら、キーパーの伸ばした手をほんの数センチでかわす。観客席からは悲鳴のような歓声が一斉に上がった。


 
「……行け――決まれ――!」



 ボールの軌道は、ゴール右隅――誰も触れることのできない場所に向かっている。

 
 次の瞬間、ボールがゴールネットを弾いた。ネットが大きく揺れ、その光景が目に焼き付く。

 

「ゴール――――!!!」



 スタジアム全体が爆発したような歓声で包まれる。まるで地響きのように、観客たちの声が俺の耳に突き刺さり、心臓を震わせる。


 
「雷丸――!!!」
「最高だ――!!!」
「デビュー戦でゴール!?ありえねぇだろ!!!」



 観客席からの歓声が押し寄せる中、俺は両手を広げて走り出す。スパイクが芝を蹴る感触が、全身を駆け巡る喜びと一体化している。

 
 背後から、チームメイトたちが次々と駆け寄ってくる。俺をプロの舞台に推薦してくれた村岡が、満面の笑みを浮かべながら、俺の頭をガシガシと撫でた。


 
「雷丸、やっぱお前すげぇよ!これ、デビュー戦だぞ!?プロだぞ!?お前、本気で空気読まねぇよな!!」



 村岡の手の力強さに、思わず笑いがこみ上げる。


 
「ははっ、当たり前だろ?俺、ハーレム王目指してんだから、プロサッカーでも天下取るのは当然だろ!」



 俺の軽口に、チームメイトたちは笑いながら肩を叩いてくる。その中には「お前、マジで伝説になるんじゃねぇのか?」なんて声も混じっている。

 その祝福の輪の中で、胸が熱くなるのを感じた。



 この瞬間、俺は確かにプロの仲間として認められたんだ――。

 

 ゴールを決めた余韻がまだ体中に残る中、俺はふと観客席に目を向けた。そこには、俺の大切なハーレムメンバーたち――俺を信じ、全力で応援してくれる彼女たちの姿がある。


 俺の胸の奥がじわりと熱くなる。彼女たちの反応を見たかった。俺が活躍することでどんな顔をするのか――それを確かめたかった。

 

「よっしゃあああ!!」



 焔華が拳を力強く突き上げ、豪快に叫んでいる。その声は、観客席のどんな歓声よりもはっきりと俺の耳に届いた。彼女の声には、炎のような情熱が宿っている。


 俺がゴールを決めたことが、まるで彼女自身の勝利であるかのような喜びを感じさせるその姿。焔華が掲げたタオルが力強く振られるたびに、まるで彼女のエネルギーが俺に注ぎ込まれてくる気がした。


 雪華はポンポンを振り続けながら、頬をほんのりと赤らめている。その姿は控えめで清楚だが、喜びを隠しきれていない様子が愛らしい。


 
「雷丸様、素敵です……!」



 彼女が呟いた言葉が、まるで俺の耳元で囁かれたかのように鮮明に響いた。その小さな声にも、俺を信じる強い想いが込められているのを感じる。

 
 貴音は観客席でジャンプを繰り返し、無邪気に両手を振り回している。


 
「お兄ちゃん、すごい!!」



 弾けるような声がスタジアムに響き渡る。その純粋さに、俺の心が自然と緩む。


 彼女の笑顔は太陽のように眩しく、俺の全ての疲れを吹き飛ばしてくれるようだった。観客たちも、そんな貴音の無邪気さに思わず笑顔を浮かべている。


 麗華は冷静に拍手を送りながら、観客席で堂々と立っている。他の誰よりも冷静に見えるその姿が、彼女の美しさをさらに際立たせていた。


 ――でも、俺には分かる。彼女の唇が微かにほころんでいるのを見逃すはずがない。


 あの麗華が感情を表に出すことは少ない。でも、今は確かに喜んでくれている。その控えめな笑顔が、俺には何よりの報酬だった。


 静香さんは、優雅にフラッグを振りながら微笑んでいる。その佇まいは、まるで貴族の観戦そのものだった。どんな状況でも冷静で、どこか余裕を感じさせるその姿。


 
「流石ね、雷丸君」



 静かに紡がれたその言葉には、温かさと信頼が込められている。俺を見守るその眼差しが、どれだけ俺を支えてくれているか分からないほどだ。
 
 

 彼女たちが俺を信じ、全力で応援してくれるその姿を目にした瞬間、俺の胸に熱いものがこみ上げてきた。俺のためにこんなにも喜び、全力で応援してくれる――その想いに応えたい。


 観客の声援も嬉しい。けど、彼女たちの存在があるからこそ、俺はどこまでも頑張れる。


 
「お前ら……もっと良いところ見せてやる。」



 俺は心の中で誓った。この試合だけじゃない。俺のサッカー人生すべてを通して、彼女たちの自慢になりたい。そして、俺の存在が彼女たちの誇りであり続けるように。



 ――お前らのハーレム王は凄いってこと、日本中に、いや、世界中に証明してやるからな。



 俺は拳を握りしめ、次なるゴールを目指すために気持ちを切り替えた。スタジアムの熱気の中、彼女たちの想いを背負って俺は走り続ける。


 
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