異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴

文字の大きさ
82 / 185

第82話 魔性の女5

しおりを挟む


 朝日が柔らかく差し込むリビングに、俺と静香が並んで降りていく。いつもよりほんの少し距離が近い――いや、明らかに親密さを漂わせている。リビングにはすでに雪華、焔華、貴音、麗華の4人が集まっていた。彼女たちの視線が一斉にこちらに集中する。


 俺はぎこちなく口を開いた。


 
「……お、おはよう」

「おはよう、みんな。……ええと昨夜は、雷丸君を独占してしまってごめんなさいね」 


 
 静香も落ち着いた様子で微笑みながら皆に挨拶をした。だが、その頬はわずかに赤らんでいる。
 

 焔華が勢いよく立ち上がり、声を張り上げた。

 

「んん~?なんじゃなんじゃ、二人とも、距離がやけに近いんじゃないか?ほぉ~、ふふふ……よっぽど楽しい夜を過ごしたようじゃな?」



 焔華は両手を腰に当て、ドヤ顔で俺たちを見下ろしている。そのストレートすぎる発言に、俺の顔は一瞬で真っ赤になった。



「なっ――!」



 慌てて否定しようとする俺を無視して、焔華はさらに追い打ちをかける。


 
「いやいや、その顔と静香の雰囲気で全部バレバレじゃ!まったく、おぬしもやるのう、雷丸!」

「や、やめろって!焔華!」



 必死の抗議もむなしく、焔華はからかい続ける。笑いながら何度も俺を指差し、「これからは『夜の雷丸』とでも呼ぶかのう!」と爆弾発言を放つ。
 

 そんな焔華の言葉を聞いて、麗華は腕を組みながら深々とため息をついた。

 

「……あぁ……本当に、頭痛がするわ……」


 
 麗華は天井を見上げるようにして目を閉じ、その表情には戸惑いが見て取れる。そして、さらに呟くように続けた。

 
「こういう時が来るのはもちろん覚悟してたわ。でも、実際に自分の母親が自分の恋人と一夜を共にしたと分かると……色々と考えることがあるわね」



 その冷静すぎる言葉には、彼女の中に渦巻く複雑な感情が滲み出ていた。俺は思わず視線を逸らし、どう言葉を返せばいいのか分からなくなる。

 静香は麗華の言葉を静かに受け止め、少し困ったような表情を浮かべながら優しく声をかけた。


 
「麗華、気持ちは分かるわ。でも……私は雷丸君を愛しているの。」



 その言葉には、静香の揺るぎない想いと、麗華に理解を求める切実さが込められていた。彼女はそっと麗華の隣に座り、少し身体を傾けて目線を合わせる。

 

「難しいかもしれないけど、受け入れてくれないかしら?私はこれからもみんなで仲良くやっていきたいの。」



 その言葉を聞いた麗華は、しばらく無言のまま静香を見つめていた。


 その空気を打ち破るように、焔華が腕を組んで豪快に笑い出した。


 
「ふん!まぁ、麗華もそのうち慣れるじゃろ!雷丸のハーレムなんて、まだまだこれからもっと賑やかになるかもしれんしのう!」



 彼女のその無邪気さに場の空気が少し和らぐ。
 

 焔華の言葉に、麗華は再び深いため息をついた。そして、静かに目を閉じると、肩の力を抜いて穏やかな声で呟いた。

 

「まぁ、慣れるしかないんでしょうね……」



 彼女は静香を見つめ、微かな笑みを浮かべながら続けた。


 
「分かったわ、お母さん。私も、これからもみんなで仲良くやっていきたい。」



 その言葉には、彼女なりの覚悟と、静香への信頼がはっきりと込められていた。感情を抑えつつも、麗華は静香に対する愛情と敬意を精一杯伝えようとしているのが分かる。静香はその言葉を聞き、柔らかな微笑みを浮かべた。

 

「ありがとう、麗華。」



 静香はそっと麗華の手を取り、その手を優しく握り締めた。その仕草は、とても静かで、暖かく、母親としての愛情が滲み出ている。その瞬間、静香の瞳がわずかに潤んでいるのが見えた。

 その場の空気が少し感動的に染まりかけた瞬間、焔華が勢いよく声を上げた。


 
「ほら、麗華もいい感じに受け入れてくれたのう!やっぱり我がハーレムファミリーの一員たるもの、大人の対応ができるんじゃな!」



 焔華は満足げに腕を組みながら、豪快に笑う。その元気な声が、少し重くなりかけていた空気を一気に軽くしてくれた。麗華は少し呆れたようにため息をついたが、どこか照れくさそうに視線を逸らしている。


 俺は心の中で、焔華に静かに感謝する。微妙な雰囲気になりそうな時、あいつの明るさと勢いが場を救ってくれることが多い。今回もその例外じゃなかった。


 俺は焔華を横目で見ながら、改めて思う。あいつは単に元気なだけじゃない。場の空気を察し、皆が笑顔になれるように動ける――そういうところが、本当にすごい。俺は内心、焔華のこうした気配りを尊敬していた。

 
 雪華はいつもの柔らかな笑顔を浮かべ、控えめに静香に声をかけた。

 

「静香さん、良い時間を過ごせましたか……?最近お疲れのようでしたから……。」



 その声には、どこか安心したような優しさが込められている。雪華は他の誰よりも、静香の疲れや悩みを気にかけていたのだろう。

 静香はその問いかけに軽く頷き、微笑みを返す。


 
「ええ、おかげさまで……とても素敵な時間を過ごさせてもらったわ」



 その言葉に雪華は安心したようにふっと笑みを浮かべ、「それならよかったです」と静かに呟いた。
 

 一方、貴音は状況を完全に理解しているのか、それとも全く気にしていないのか、無邪気な笑顔を浮かべながら静香に駆け寄った。その表情には、一切の疑いも気負いもない。

 

「静香さん、なんだか今日は顔色がいいね!昨日はちょっと疲れてたみたいだったから、心配してたんだよ。」



 その言葉に、静香は一瞬驚いたようだったが、すぐに優雅な微笑みを浮かべ、さらりと答える。


 
「えぇ、雷丸君にたくさん癒してもらったの。」



 貴音はその返事に満面の笑みを浮かべ、大きく頷く。


 
「そっかぁ~!静香さんが元気になってよかった!お兄ちゃん、もっと静香さんを元気にしてあげてね!」



 その純粋すぎる言葉に、俺と静香は一瞬目を合わせ、少し戸惑ったように苦笑する。それでも、その無邪気さが場の空気をさらに柔らかくしたのは間違いなかった。

 
 
「おう!これからもみんなが幸せになれるように、ハーレム王として全力を尽くすぜ!」



 そんな俺の言葉に、静香が穏やかに微笑み、麗華がため息をつきながらも小さく笑みを浮かべる。
 
 雪華は控えめに拍手しながら、「雷丸様ならきっと大丈夫です」と優しく呟く。そして、焔華は腕を組みながら「頼りにしとるぞ、王様!」と豪快に笑い、貴音は「お兄ちゃん、みんなのこと頼んだよ!」と元気に声を上げる。


 こうして、俺たちのハーレム生活は、少しの波乱を交えながらも穏やかに続いていくのだった。


 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

【完結】オレの勇者パーティは全員アホだが強すぎる。

エース皇命
ファンタジー
 異世界に来て3年がたった。  オレの所属する勇者パーティ、イレギュラーズは相変わらず王都最強のパーティとして君臨している。  エルフのクリス、魔術師のジャック、猫耳少女ランラン、絶世の美女シエナ。  全員チート級の強さを誇るけど、どこか抜けていて、アホ全開である。  クリスは髪のセットに命をかけて戦いに遅刻するし、ジャックは賢いもののとことん空気を読まない。ランランは3歩あるくだけで迷子になるし、シエナはマイペースで追い詰めた敵を見逃す。  そんなオレたちの周囲の連中もアホばかりだ。  この世界にはアホしかいないのか。そう呆れるオレだったけど、そんな連中に囲まれている時点で、自分も相当なアホであることに気づくのは、結構すぐのことだった。  最強のアホチーム、イレギュラーズは今日も、王都を救う! ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

処理中です...