92 / 189
第92話 職場体験6
しおりを挟む――――――――――後日
東京某所
俺、雪華、焔華、そして貴音。全員が揃って口をポカーンと開けたまま、まるで異次元に迷い込んだかのように目の前の光景に釘付けになっていた。
目の前にそびえ立つ「寺院」――いや、もう寺院なんてレベルじゃない、完全に宮殿だ。朱色の柱は天にまで届きそうな高さで、その壮大さに圧倒される。言葉を失うって、こういう時に使う言葉なんだろうな。ディズニーランドのシンデレラ城ですら、これを見たら嫉妬しそうだ。
「……これが、寺院かよ……?」
思わず漏れた俺の独り言に、雪華がポツリと返す。
「これ、本当に日本の建物なんですか?……異世界の宮殿にしか見えません……」
その感想、全く同感だぜ。異世界帰りの俺ですら、このスケールにはビビる。
そして、焔華を見ると――おいおい、なんで戦闘モードに入ってんだよ!どこで見つけたのか知らないけど、肩にはトゲトゲのパッド、手にはバット。こいつ、ここを戦場だと勘違いしてるだろ!しかも鼻歌まで歌って、テンションがマックスだ。頼むから冷静になってくれ!
「ふふ、いいのう!この場所、燃やしがいがありそうじゃ!」
焔華、お前何考えてんだ!?燃やしちゃダメだろ!
貴音はというと、完全に固まってる。目をパチクリさせて、口をパクパクさせてる姿は、初めてディズニーランドに来た小学生のリアクションそのものだ。
「お、お兄ちゃん……これ、本当に寺院なの?めっちゃ広いし、怖いんだけど……」
俺も正直、ビビってる。まるでホラー映画のセットに迷い込んだ気分だが、ハーレム王がこんなところで尻尾巻いて逃げられるか!
「……あ、あぁ……とりあえず中に入るぞ……!」
俺が言うと、みんなが少し不安そうな顔をしながらもついてくる。いやいや、俺も内心めちゃくちゃビビってんだよ。でも、ハーレム王たるもの、ここで弱気を見せてどうする?
――そうだ、俺は異世界帰りのハーレム王だ。魔王だってぶっ倒してきたんだ。こんな宮殿、ちょちょいのちょいだろ!
「みんな、心配するな!ハーレム王の俺がついてる!この宮殿、俺が制覇してやるぜ!」
そう言い放って、俺は元気よく先頭を切って朱色の柱をくぐった。――が、雪華たちの顔を見ると、全然不安は拭えてないみたいだ。
まぁ、俺もビビってるけどな!
で、玄関に入ってすぐ。ちょっとだけ勇気を振り絞って、受付に声をかけた。
「す、すみません……雷丸ですが……」
恐る恐る言ったんだが、受付の人はニコニコしながらすんなり俺を通してくれた。
「どうぞ、雷丸様。お待ちしておりました。」
おいおい、VIP扱いかよ!?俺、完全に特別待遇じゃねぇか!これがハーレム王パワーか、それとも異世界帰りの英雄だからか?何にせよ、これ悪くないぜ。
俺たちは堂々と受付を通過し、さらにその奥にある宮殿のような内部へと進んだ。
巨大な扉が目の前でゆっくりと開かれる。俺たちは一歩一歩、朱色の柱の間を進みながら、この謎の寺院――いや、もはや迷宮のような建物の中へと足を踏み入れた。
「さぁ、ハーレム王らしくカッコよく決めるぞ!」と自分に言い聞かせ、俺たちはまるで映画の主人公になった気分で、未知の領域に進んでいった――って、待てよ、これほんとに寺院なんだよな?
いや、まぁ、ハーレム王だから関係ないか。
奥に進むと、突然目の前に現れたのは――
「やぁやぁ!!雷丸君!!」
大きな声と共に、まるで舞台から飛び出してきたかのような勢いで現れたのは、今回のお目当ての人物「烏丸天道」だった。
――――――――――――
まるで舞台から飛び出してきたような勢いで、烏丸天道が現れた。まぶしい笑顔と共に、俺の手をしっかり握りしめると、ブンブンと力強く振り回してくる。
「雷丸くーん!!今日は来てくれて本当に嬉しいよ。ようこそ、烏丸家へ!!」
握手というか、もう腕を引っこ抜こうとしてるんじゃないかってくらいの勢いで振られる。おいおい、俺の腕ちぎれるぞ!
そして、そのままのテンションで貴音、焔華、雪華にも目を向ける。フルスロットルのテンションは一切衰えない。
「君たちも一緒に来てくれて、本当に嬉しいよ!ハーレム王の仲間なら、みんな大歓迎だ!」
――いや、何そのテンション!さっきまでの荘厳な雰囲気どこ行ったんだよ!?まるでホストクラブのVIPルームに入ったみたいなノリじゃねぇか!
まず天道は貴音に近づく。
「貴音ちゃん!いやぁ、君は本当に清純な美しさだねぇ!雷丸君も良い妹を持ったもんだ!将来が楽しみだな!」
貴音は戸惑いながらも、丁寧にお辞儀して言った。
「ありがとうございます……でも、何の将来ですか?」
「そりゃもちろん、崇拝派の未来さ!」
と、天道は満面の笑みを浮かべながら謎の言葉を放った。貴音はその場で一瞬固まり、まるで頭の中で電卓を叩いてるかのように考え込んでいた。俺も意味が分からんけど、貴音はもっと困ってる。
続いて、天道は焔華の方に目を向ける。
「そして焔華ちゃん!その熱いオーラ、最高だよ!君こそ、崇拝派にぴったりだ!いつでも炎を燃やす準備ができてるんだろう?ハハハ!」
焔華はそれを聞いて、大きく頷いた。「ふむ、その通りじゃ!わしはいつでも炎を燃やしておる!天道、なかなか良い目をしておるのう!」と、まさかの意気投合。
――ちょ、ちょっと待てよ焔華!お前までノリノリになるな!
そして、最後に天道は雪華に目を向け、優雅に手を差し出した。
「そして、雪華ちゃん……君はこの寺院の冷たい空気にぴったりだ。妖怪を崇拝する者として、その凛とした冷静さが崇拝派には欠かせないよ!」
雪華はその言葉に一瞬戸惑いながらも、クスリと微笑みを浮かべた。そして、しなやかに手を差し出して天道の手を握ると、口元をさらに柔らかく緩めながらこう返した。
「ありがとうございます。でも、崇拝派に欠かせないのは冷静さじゃなくて、もっと熱いものじゃないですか?鳥丸さんみたいに……テンションとか?」
天道は少し固まったものの、次の瞬間には大爆笑。
「ハハハ!いやぁ、確かにその通りだね!僕のテンションが崇拝派を支えてるってことだよ!そう言われると嬉しいなぁ!」
彼は嬉しそうに雪華の手をさらに力強く握ると、ニコニコと笑いながら続けた。
「いやぁ、雪華ちゃん、冷静な中に鋭い洞察を持ってるね!素晴らしいよ!むしろ君が崇拝派の広報担当になってくれたら、さらに勢いがつくかもしれない!」
雪華は微笑みを崩さず、静かに手を引きながらさらっと答える。
「それは光栄ですが、私は雷丸様のハーレム広報担当で忙しいので……ごめんなさい。」
天道はその返しにもまた大笑いしながら拍手を打った。
「ハーレム広報担当!いやぁ、素晴らしい!雷丸君、本当にいい仲間を持ったね!」
俺は苦笑いを浮かべながら「そうだろ、俺のハーレム、最高だろ!」と胸を張った。雪華のさりげない返しが場を和ませつつ、天道のテンションをさらに上げるという絶妙なバランスを取った瞬間だった。
天道はニコニコしながら、まるでファミリーの一員を迎え入れたかのように、三人に満面の笑みを浮かべている。いや、フレンドリーすぎだろ!そのテンション、崇拝派の狂信者とは思えないくらい軽いぞ!
「鳥丸さん……あの、その、何か妙に元気ですね?」
貴音が困惑しながら聞くと、鳥丸天道は俺の肩をバンバン叩きながら、まさかの満面の笑顔。
「そりゃそうだよ!!だって、あの『異世界帰りのハーレム王』が来てくれたんだ!!うちは名門だけど、雷丸君みたいな大物が来るのはそうそうないからねぇ!!」
――俺が大物?名門寺院でVIP待遇を受けるハーレム王って、どういうことだよ?俺、プロサッカー選手でもあるけど、住職がそんなにハイテンションで迎えるもんか?
横を見ると、焔華はテンション高すぎる鳥丸に乗り遅れないように、なぜかバッドを振り回し始めてる。
俺は内心、冷や汗をかきながら鳥丸を観察した。彼はまるで遊園地に行く前の子供みたいな興奮状態で、俺たちをどんどん奥へ案内する。こいつ、本当に住職なのか?もしかして、寺院の住職ってこんなにアグレッシブなのか?俺、全然知らなかったぞ!
「さぁさぁ!今日は特別な歓迎会を用意するよ!!楽しみにしてくれ!!」
――歓迎会!?いやいや、ここって寺院だろ?なんでそんなノリで歓迎会なんかしてんだよ!なんかおかしくねぇか?
鳥丸は手を振って、俺たちをさらに奥へと案内していく。その笑顔がやけに眩しい。いや、眩しすぎて怖ぇよ!何が待ってるんだよ、この先……。
寺院らしさゼロの異常なテンションで進んでいく鳥丸と、微妙に不安げな俺たち。ハーレム王の俺ですら、この寺院の異様な空間に違和感しか感じていなかった。
――まぁ、でも……何が待ってるか、ちょっと楽しみだな。
0
あなたにおすすめの小説
最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~
華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』
たったこの一言から、すべてが始まった。
ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。
そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。
それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。
ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。
スキルとは祝福か、呪いか……
ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!!
主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。
ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。
ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。
しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。
一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。
途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。
その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。
そして、世界存亡の危機。
全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した……
※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。
【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~
エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】
【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】
~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~
ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。
学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。
何か実力を隠す特別な理由があるのか。
いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。
そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。
貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。
オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。
世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな!
※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。
学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について
沢田美
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。
クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。
~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる
僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。
スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。
だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。
それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。
色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。
しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。
ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。
一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。
土曜日以外は毎日投稿してます。
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。
彼はその日から探索者――シーカーを目指した。
そして遂に訪れた覚醒の日。
「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」
スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。
「幸運の強化って……」
幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。
そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。
そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。
だが彼は知らない。
ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。
しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。
これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。
悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業
ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~
エース皇命
ファンタジー
学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。
そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。
「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」
なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。
これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。
※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる