93 / 110
第93話 職場体験7
しおりを挟む鳥丸天道の勢いに押されるまま、俺たちは寺院の奥へと進んだ。
「さぁさぁ、こっちだ!君たちをびっくりさせる準備が整ってるからね!」
やがて大きな扉の前で立ち止まる鳥丸。彼は意味深な笑みを浮かべながら、その扉をゆっくりと開けた。
――その瞬間、俺たちの視界に飛び込んできたのは、まさかの豪華なパーティー会場だった。
「歓迎会、スタートだ!!」
――え? ここ、ほんとに寺院だよな?中華な感じ。
満漢全席だ。長いテーブルには豪華な料理がズラリと並んでいる。しかも、着物姿の妖怪っぽい人たちが並んでいて、まるで高級ホテルのパーティー会場みたいだ。
焔華が目をキラキラさせて叫んだ。
「おおおおお!宴じゃ、宴じゃ!!燃え上がれ!!」
いや、燃やさなくていいから!!
雪華は完全に引いてる。
「……雷丸様、ここは本当に寺院なんでしょうか……?」
貴音は目をパチクリさせて、「お兄ちゃん、これはちょっと……異常だよね……?」
俺は頭を抱えながら、鳥丸に向き直った。
「おいおい、これ、どういうことなんだよ!?寺院ってこんな豪華なパーティーやんのか?」
鳥丸は満面の笑みで答えた。
「そうさ、これが鳥丸家の流儀だよ。妖怪を崇拝し、共に祝う――これが我々の本当の姿なんだ!」
――おいおい、これ、どこが寺院なんだよ!?完全にハイテンションなホストがいる豪華パーティーじゃねぇか!
フルコースが並べられた長いテーブルには、俺が普段口にしたことがないような高級料理がズラリ。
「え、これマジで寺院なのか……?」
俺は呆然としながら、目の前のフルコースを見つめていた。
鳥丸天道は上機嫌で、俺たちに向かって杯を掲げた。
「さぁさぁ!今日は特別だ!思う存分楽しんでくれ!!」
――いやいや、どこの寺院がこんなに豪華な宴会開くんだよ!?頭が追いつかねぇ!!
焔華はすでに目を輝かせ、肉の塊をかぶりついている。
「うおおお!!美味い!この肉、めちゃくちゃ美味いぞ!もっと持ってこい!!」
「焔華、落ち着け……」
俺は言葉をかけようとしたが、彼女のテンションには追いつけない。彼女は既に宴会モード全開だ。
雪華はというと、目の前に出された高級な寿司を恐る恐る見つめている。
「雷丸様……これ、食べてもいいんでしょうか?あまりにも豪華すぎて……」
「まぁ、出されたんだから食べていいだろ……たぶん。」
俺も不安だったが、雪華が箸をつけるのを見て、俺も少し安心した。
貴音は――完全に固まっている。目の前のフォアグラをじっと見つめたまま、動けなくなっていた。
「お、お兄ちゃん……これ、私が食べていいの……?」
「いいんだよ、食えよ!こんな豪勢な料理、そうそう食えねぇぞ!」
俺は笑って貴音に言ったが、自分も心の中で「これほんとに食べて大丈夫か?」と少し不安になっていた。
鳥丸天道はそんな俺たちを見て大笑いしている。
「雷丸君!君たちは本当に素直だねぇ!今日は特別な夜だ。心配せず、全力で楽しんでくれ!」
こんなに豪華すぎると逆に緊張するんだよ!!俺は普通のハーレム王だぞ、こんな高級パーティー慣れてねぇんだよ!
それでも、俺たちは出された料理を次々と口に運び、気がつけばすっかり鳥丸家のもてなしを堪能していた。
――――――――――――――
宴会が一段落した頃、鳥丸天道がまた大げさな手振りで俺たちに近づいてきた。
「雷丸君、まだ終わりじゃないぞ!今日は特別なもてなしを用意してるんだ!」
「え、まだ何かあるのか?」
俺が驚いていると、鳥丸はニヤリと笑って言った。
「そう、最高級のリラクゼーションだ。さぁ、ついて来い!」
俺たちは鳥丸の案内で奥の部屋に通された。部屋に入ると、そこには豪華なベッドやソファが並んでおり、見るからに高級そうなリラクゼーションルームが広がっていた。部屋には癒し系の音楽が流れ、アロマの香りが漂っている。
「マジか……これは一体?」
「さぁ、リラックスしてくれ。今日は君たちのために超高級マッサージを用意した。普段は皇族や大富豪しか受けられない施術だぞ!」
鳥丸が得意気に説明する。
「皇族とか大富豪……!?」
俺は完全に呆然としながら、目の前にいるマッサージ師たちを見つめた。全員、プロフェッショナルのオーラが漂っている。
「雷丸様、これは……少し気が引けますが……」と、雪華は遠慮がちに言うが、鳥丸はニッコリ笑って答えた。
「遠慮はいらない!今日は特別だからね。さぁ、ベッドに横になってリラックスしてくれ!」
俺たちは促されるままベッドに横になった。すぐにマッサージ師たちが動き出し、超高級な施術がスタート。まず俺の肩に触れた瞬間、心地よい力加減で全身が解けていくような感覚が広がった。
「……これ、ヤバいな……」
俺は思わず声が漏れた。プロの手技が、まるで魔法みたいに体の疲れをどんどん消し去っていく。もう天国みたいな気分だ。
焔華もベッドでごろりと横になり、目を閉じながら満足そうに「うぅぅ、気持ち良いぞぉ……」と呟いている。戦闘モードだった彼女も、さすがにこのリラックス感には勝てないらしい。
雪華は「ふぅ……癒されます……」とため息をつき、貴音はマッサージ師に恐縮しつつも、「お、お兄ちゃん……これ、本当にいいの?」と、ちょっとだけ照れた顔で言っていた。
「いいんだよ、今日は特別だからな!」
俺は豪勢なマッサージを受けながら、ハーレム王としての最高級のもてなしを、体いっぱいに堪能していた。
まさに、至福の時間だった。
0
あなたにおすすめの小説
異世界翻訳者の想定外な日々 ~静かに読書生活を送る筈が何故か家がハーレム化し金持ちになったあげく黒覆面の最強怪傑となってしまった~
於田縫紀
ファンタジー
図書館の奥である本に出合った時、俺は思い出す。『そうだ、俺はかつて日本人だった』と。
その本をつい翻訳してしまった事がきっかけで俺の人生設計は狂い始める。気がつけば美少女3人に囲まれつつ仕事に追われる毎日。そして時々俺は悩む。本当に俺はこんな暮らしをしてていいのだろうかと。ハーレム状態なのだろうか。単に便利に使われているだけなのだろうかと。
クラスの陰キャボッチは現代最強の陰陽師!?~長らく継承者のいなかった神器を継承出来た僕はお姉ちゃんを治すために陰陽師界の頂点を目指していたら
リヒト
ファンタジー
現代日本。人々が平和な日常を享受するその世界の裏側では、常に陰陽師と人類の敵である妖魔による激しい戦いが繰り広げられていた。
そんな世界において、クラスで友達のいない冴えない陰キャの少年である有馬優斗は、その陰陽師としての絶大な才能を持っていた。陰陽師としてのセンスはもちろん。特別な神具を振るう適性まであり、彼は現代最強の陰陽師に成れるだけの才能を有していた。
その少年が願うのはただ一つ。病気で寝たきりのお姉ちゃんを回復させること。
お姉ちゃんを病気から救うのに必要なのは陰陽師の中でも本当にトップにならなくては扱えない特別な道具を使うこと。
ならば、有馬優斗は望む。己が最強になることを。
お姉ちゃんの為に最強を目指す有馬優斗の周りには気づけば、何故か各名門の陰陽師家のご令嬢の姿があって……っ!?
魔法使いが無双する異世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです
忠行
ファンタジー
魔法使いが無双するファンタジー世界に転移した魔法の使えない俺ですが、陰陽術とか武術とか忍術とか魔法以外のことは大抵できるのでなんとか死なずにやっていけそうです。むしろ前の世界よりもイケてる感じ?
サバイバル能力に全振りした男の半端仙人道
コアラ太
ファンタジー
年齢(3000歳)特技(逃げ足)趣味(採取)。半仙人やってます。
主人公は都会の生活に疲れて脱サラし、山暮らしを始めた。
こじんまりとした生活の中で、自然に触れていくと、瞑想にハマり始める。
そんなある日、森の中で見知らぬ老人から声をかけられたことがきっかけとなり、その老人に弟子入りすることになった。
修行する中で、仙人の道へ足を踏み入れるが、師匠から仙人にはなれないと言われてしまった。それでも良いやと気楽に修行を続け、正式な仙人にはなれずとも。足掛け程度は認められることになる。
それから何年も何年も何年も過ぎ、いつものように没頭していた瞑想を終えて目開けると、視界に映るのは密林。仕方なく周辺を探索していると、二足歩行の獣に捕まってしまう。言葉の通じないモフモフ達の言語から覚えなければ……。
不死になれなかった半端な仙人が起こす珍道中。
記憶力の無い男が、日記を探して旅をする。
メサメサメサ
メサ メサ
メサ メサ
メサ メサ
メサメサメサメサメサ
メ サ メ サ サ
メ サ メ サ サ サ
メ サ メ サ ササ
他サイトにも掲載しています。
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
ある日、俺の部屋にダンジョンの入り口が!? こうなったら配信者で天下を取ってやろう!
さかいおさむ
ファンタジー
ダンジョンが出現し【冒険者】という職業が出来た日本。
冒険者は探索だけではなく、【配信者】としてダンジョンでの冒険を配信するようになる。
底辺サラリーマンのアキラもダンジョン配信者の大ファンだ。
そんなある日、彼の部屋にダンジョンの入り口が現れた。
部屋にダンジョンの入り口が出来るという奇跡のおかげで、アキラも配信者になる。
ダンジョン配信オタクの美人がプロデューサーになり、アキラのダンジョン配信は人気が出てくる。
『アキラちゃんねる』は配信収益で一攫千金を狙う!
異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める
自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。
その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。
異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。
定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる