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第94話 職場体験8
しおりを挟むマッサージが終わり、俺たちは完全にリラックスしきっていた。鳥丸天道が再び現れて、俺たちの前に立った。
「さぁ、雷丸君。リラックスしてもらったところで、今度は我々崇拝派がどんな活動をしているか、見てもらおうかな?」
俺はベッドから起き上がり、まだ体に残る余韻を感じつつ、鳥丸に視線を向けた。焔華も雪華も貴音も、少し疲れた顔をしながらも興味津々だ。
「活動って……どんなことをやってるんだ?」
俺は少し警戒しながら尋ねた。
鳥丸は笑顔を浮かべながら手を広げた。
「我々崇拝派は、妖怪を神とし、そのご加護を受けながら人間界に平和をもたらす活動をしているんだ。さぁ、ついてきて!」
俺たちは鳥丸に案内されて、寺院のさらに奥へと進んだ。やけに広い廊下を抜け、立派な扉を開けると、そこには――
「これは……?」
広い部屋の中央には大きな祭壇があり、その周りを多くの信者たちが囲んでいた。彼らは深く頭を垂れ、まるで神に祈りを捧げているようだった。祭壇には奇妙な模様が刻まれ、そこには何かの像が置かれている。
「おぉ……神聖な儀式の最中だな。これは毎日欠かさず行われている祈祷だ。我々はこの儀式を通して妖怪の加護を得て、世界に平和をもたらそうとしているんだよ。」
「妖怪の加護……?」
俺はちょっと戸惑いながら祭壇を見つめた。像はどう見ても人間のものじゃない。鳥丸が崇める妖怪ってのは、こういう感じなんだな……。
「見た目はちょっと怖いけど、この妖怪、空亡様はとても優しい存在なんだ。ほら、信者たちもみんな平和を願っている。雷丸君も、もし興味があれば、この儀式に参加してみないか?」
「え、俺も?」
突然の勧誘に、俺は一瞬後ずさりした。いくらハーレム王でも、いきなりこんな儀式に巻き込まれるのはちょっと……。
貴音が俺の袖を引っ張りながら、小声で「お兄ちゃん、これ……なんだか怪しくない?」と不安そうに囁いた。確かに、何か怪しい雰囲気はある。でも、ハーレム王たるもの、ここで怯むわけにはいかない。
「ま、まぁ、ちょっとだけ見学って感じで……」と俺は言葉を濁しながら鳥丸に答えた。
鳥丸はニヤリと笑って「そうかそうか、無理にとは言わないさ。」
その後、鳥丸天道は、まるでこの瞬間を待っていたかのように、得意げに声を張り上げた。
「やーみんな!!一旦お祈りは中断して!!今日は特別ゲストを連れてきたよ!」
突然の大声に俺たち全員がビクッと反応した。部屋の中にいた信者たちも、いっせいに鳥丸の方を振り返り、俺たちを見てから、ざわめきが起こる。
――ちょ、ちょっと待て!これってまさか、俺たちが今から全員の前に出るとか、そんな展開じゃないよな……?
「異世界帰りのハーレム王、飯田雷丸!そしてその頼れる仲間たち!みんな、拍手ー!!」
天道が誇らしげに俺を紹介するやいなや、信者たちは大げさに手を叩き始めた。――ちょ、ちょっと待てよ!なんで俺が紹介されてんだよ!?こんな壮大な寺院の中央で、しかも『ハーレム王』って肩書きでだぞ!?
貴音は目を見開いて、明らかに驚いている。「お、お兄ちゃん……これって一体……?」雪華と焔華も、信者たちの拍手の中で微妙な表情を浮かべている。いや、俺だって同じ気持ちだ!
そして、天道が手を広げて宣言する。
「まずは妖怪の雪華ちゃん、焔華ちゃんだ!」
雪華と焔華が前に出ると、信者たちの間から感動のため息が漏れた。「はぁぁ……」なんだそのリアクション!まるで聖女が降臨したかのように見てんじゃねぇよ!そして、なぜか次の瞬間、彼らの目からツーッと涙が流れ始めた。
「なんと……尊い……」
「これは……奇跡だ……」
「生きててよかった……」
いやいや、待て待て待て!お前ら、そこまで感動するか!?ただの紹介だぞ!俺はその異様な光景に動揺しつつ、信者たちの号泣っぷりに唖然としていた。
「雪華様!焔華様!生きててよかった!」
「私の人生、これで救われました!」
「もう何もいらない……この瞬間だけで、すべてが報われました!」
なんと信者たちは全員地面に頭をこすりつけ、ガチ泣きしながら崇拝モード全開。え、ちょっと待て。これって俺のハーレムメンバーだぞ?こんな崇拝対象になるなんて、予想外すぎんだが?
雪華は困惑しつつも微笑みを浮かべ、焔華は――おい!何でバッド振り回してんだよ!?完全に戦闘モードじゃねぇか!こっちは崇拝されてんだぞ!戦いじゃない!
俺は状況が飲み込めず、ただ立ち尽くすしかなかった。信者たちの崇拝の声が響く中、天道はさらに満足そうに腕を組んで言った。
「さぁ、みんな!これが本物の奇跡だ!妖怪たちが降臨したこの瞬間を、永遠に忘れるんじゃないぞ!」
信者たちはその言葉に再び大歓声を上げ、まるで映画のクライマックスかのような盛り上がりを見せていた。
俺の心の声は、ただ一つだった。
――何だこの宗教みたいなノリは……。
「さぁ、次は君だ雷丸君!前に出て!!」
天道が得意げに手招きする。
俺は「俺はいいって!!」と手を振って遠慮しようとしたけど、もう遅い。信者たちの期待の目線が、まるでスポットライトみたいに俺に集中してる。
――マジかよ、なんで俺がこんな場でハーレム王として前に立たなきゃならないんだ……。
天道は容赦なく俺の肩をガシッと掴み、強引に前へ押し出す。まるで何かのセレモニーみたいに誇らしげな笑みを浮かべてる。いやいや、俺、そんな特別な存在じゃねぇから!
「さぁ、みんな!この男こそ我らが尊敬すべきハーレム王、飯田雷丸だ!」
その瞬間、信者たちのざわめきが一気に沸き上がる。
――いや、待て。俺、ハーレム王だって公言する場面、ここで必要なのか!?と思ったが、天道はさらに俺を持ち上げる。
「なんと彼は妖怪を二人も娶っている!!」と言った途端、信者たちの反応が一変。会場中が一瞬静まり返り、その後――
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」という感動の叫び声が湧き上がり、まるでアーティストのライブで感極まったファンのように、信者たちは歓喜しながら泣き始めた。……ちょっと待て、これ泣く場面なのか!?
「我らが理想とする妖怪崇拝!彼はまさにその象徴となる存在だ!!」と天道が声を張り上げた瞬間、信者たちは次々に涙を流し、まるで信仰の対象が目の前に現れたかのような騒ぎになってる。
「おぉ、ハーレム王様……!」
「妖怪を二人も娶るなんて……なんて偉大なお方なんだ……!!」
「まさに我々の目指す理想だ……!」
――ちょ、ちょっと待って!そこまで崇められるつもりはないんだけど!?
信者たちが次々に感動の涙を流し、手を合わせるその光景を見ながら、俺は背中に冷や汗をかいていた。――いや、これ完全におかしい展開だろ!
「そして、その妹君の貴音ちゃん!!」と天道が突然貴音にスポットライトを当てた瞬間、信者たちの視線が一斉に貴音に向いた。
「おぉ、美しい……!!」
信者たちの感嘆の声が会場中に響き渡る。貴音は完全に戸惑っていて、目をパチクリさせたまま立ち尽くしている。いやいや、そりゃ俺の妹が可愛いのは分かるけど、なんでそんなに感動するんだよ!?と、俺も思わず突っ込みたくなる。
「雷丸様と貴音様……まるで神話の兄弟……!」
いやいや、待て待て。俺たちそんな神話レベルの兄妹じゃねぇから! 神話って、もっと壮大な物語が絡むもんだろ?なんでただの兄妹が神話扱いされてんだよ!
信者たちはまるでスターを見るかのように、感激して涙ぐむ者まで現れる。貴音は「え、え……?お兄ちゃん、これどういうこと……?」と小声で俺に助けを求めてくるが、俺もどう答えればいいのか分からず、肩をすくめるしかなかった。
――いや、俺もどうすりゃいいんだよ、この異常な状況!
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