95 / 185
第95話 職場体験9
しおりを挟む俺たちは天道に連れられて、豪華な個室へと案内された。広い部屋にはふかふかのソファが並んでいて、まるで高級ホテルのVIPルームみたいだ。ようやく俺たちは一息つくことができ、全身の力が抜ける瞬間だった。
天道がニッコリと笑いながら、「どうだった?鳥丸家は?」と軽く聞いてくる。
俺は大きく伸びをしながら、ソファにドカッと腰を下ろし、「いやぁ……今日は色々あったな」と、感想をもらす。
「飯もマッサージも最高だったよ。けど、最後の教徒たちの熱狂っぷりはちょっと……あれだったけどな」
貴音は俺の隣に座り込み、苦笑いを浮かべている。
「お兄ちゃん、あんなに熱心に拝まれるなんて思わなかったよ……私、神様じゃないんだけど……」
――そうだよな、普通の兄妹がいきなり神話級に崇められるとか、普通じゃあり得ねぇしな。俺も貴音も完全に困惑してた。
焔華はというと、すっかりリラックスモード。ふわふわした表情で、「ふむ、わしはマッサージが気に入ったぞ。まるで雲の上に浮かんでいるようじゃった!」と、至福の表情だ。
雪華も頷きながら、「確かに、お料理もマッサージも一流でしたね。でも……その後の信者の方々の熱意には少し驚きました」と、やんわりと本音を漏らす。
「いや、あれは驚き以上だったろ!」
俺は思い出して肩をすくめるしかなかった。
「まるで俺たちがアイドルデビューしたみたいな盛り上がりだったじゃねぇか!?」
焔華がニヤリと笑い、「ハーレム王、アイドル王にもなれるかの?」と冗談を言ってくる。
「おいおい、そこまで万能じゃねぇよ!」と俺がツッコむと、天道も含めて全員が笑い出した。今日の一連の出来事はちょっと異常だったけど、なんだか楽しかったんだよな。
――まぁ、ハーレム王として、これくらいの熱狂も悪くないかもな!
天道がニヤリと笑い、軽く指をパッチンと鳴らすと、どこからともなく給仕がサッと現れた。まるで彼の合図を待っていたかのような完璧なタイミングで、俺たちの前にメニュー表が差し出される。
「何か頼んでくれ。飲みながら話そうじゃないか」と天道が上機嫌で言う。
もう、もてなしが天井知らずだ。横を見ると、貴音も目をまん丸にしてメニューを開いている。が、しかし……焔華。お前、完全に楽しむ気満々じゃねぇか!メニューをガン見してる姿、宴会モード全開だぞ。
「ハーレム王の招待にふさわしいもてなしをするのが我が鳥丸家の流儀だからね。さぁ、遠慮なく頼んでくれ!」と、天道がニコニコしながら勧めてくる。
――ここで断るのも野暮だよな。俺たちはそれぞれメニューを手に取り、仕方なく飲み物を注文することにした。
「えっと……俺は普通にコーラでいいや」
「わたしはホットチョコレートがいいです」と雪華が優雅に頼んだ。
「わしは強い酒を頼んでみるかのう」と焔華がニヤリとしながら、どうやら超高級ブランデーを選んでいる。
――おい、焔華!空気読めよ!!ここ敵の本拠地だぞ!?俺は心の中でツッコミを入れつつも、なんかもう手遅れな気がしてきた。
一方、貴音はメニューを見ながら少し迷っている。
「んー、じゃあ、私は……オレンジジュースで……」
「おいおい、こんな豪華な場でオレンジジュースかよ!」と言いかけたが、俺もコーラだ。まさか、兄妹そろって安上がりすぎるとは。
天道はメニューを一瞥し、「じゃあ私もブランデーを。焔華ちゃん、一人で飲むのは寂しいだろ?」と、スマートに注文していた。
――おいおい、この男、さっきまでのノリはどこ行った!?急に紳士モードでキメてきやがる。
「さぁ、これでみんな飲み物が揃ったら、具体的な条件について話をしようじゃないか」と天道が得意げに微笑んだ。
暫くすると、スッと給仕が現れ、俺たちの前に一つずつ飲み物が置かれ始めた。
まず、俺のコーラが目の前に運ばれてきた。グラスには氷がカラカラと音を立て、泡がシュワシュワと立ち上がっている。ストローが刺さったグラスを手に取ると、まるでいつものファミレス感覚で一口ゴクッと飲んでみた。――うん、まあ普通だな。炭酸が少し強めでスカッとするけど、特に何か特別ってわけじゃねぇ。
「ホットチョコレート、美味しいですね……」と、雪華が優雅にカップを持ち、ふわっとした笑顔を浮かべながら一口飲む。――いや、まるで高級カフェに来たみたいな雰囲気出してるけど、ここ敵地だよ?雪華、落ち着きすぎだろ!
その横では、焔華が超高級ブランデーを持ちながら、まるで時代劇の大将かのようにニヤリと笑っている。「ふむ、これはなかなか良い香りじゃのぅ!」とか言って、クルクルとグラスを回し始めた。――おい、ブランデーの味、絶対分かってないだろ!?さっきまで戦闘態勢だった奴が、なんでそんな余裕出してんだよ。
貴音はというと、オレンジジュースを両手で持ちながら、まるで温泉に浸かってるかのようにホッとした顔で飲んでいる。「……お兄ちゃん、このジュース、甘くて美味しいね」――お前は敵地の豪華な宮殿で、子供みたいなこと言ってんじゃねぇよ!でもまぁ、癒されるからよしとしようか。
そして、天道は焔華に合わせてブランデーを優雅に飲んでいる。二人でグラスを持って「乾杯」なんてやってやがる。――待て、こいつら、やっぱテンションおかしくねぇか?何がどうしてこうなったんだ?
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺
マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。
その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。
彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。
そして....彼の身体は大丈夫なのか!?
【完結】オレの勇者パーティは全員アホだが強すぎる。
エース皇命
ファンタジー
異世界に来て3年がたった。
オレの所属する勇者パーティ、イレギュラーズは相変わらず王都最強のパーティとして君臨している。
エルフのクリス、魔術師のジャック、猫耳少女ランラン、絶世の美女シエナ。
全員チート級の強さを誇るけど、どこか抜けていて、アホ全開である。
クリスは髪のセットに命をかけて戦いに遅刻するし、ジャックは賢いもののとことん空気を読まない。ランランは3歩あるくだけで迷子になるし、シエナはマイペースで追い詰めた敵を見逃す。
そんなオレたちの周囲の連中もアホばかりだ。
この世界にはアホしかいないのか。そう呆れるオレだったけど、そんな連中に囲まれている時点で、自分も相当なアホであることに気づくのは、結構すぐのことだった。
最強のアホチーム、イレギュラーズは今日も、王都を救う!
※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
第2の人生は、『男』が希少種の世界で
赤金武蔵
ファンタジー
日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。
あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。
ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。
しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる
家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。
召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。
多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。
しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。
何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる