異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴

文字の大きさ
97 / 189

第97話 職場体験11

しおりを挟む



「答えはもう少し考えさせてもらってもいいか?」


 俺は少し頭を抱えながら鳥丸に頼んだ。何しろ、10兆円とか跡取りとか、さすがに即答できる話じゃねぇ!

「うん、いいよ。」鳥丸はにこやかに答える。あまりにもあっさりとした返事に、逆に俺がびっくりしてしまった。



 ――何だこの軽さ!? 10兆円の話だったはずだよな?



「じゃあさ、連絡先交換しない?LINEでいい?」



 ――え、LINE!?

 俺は目を見開いて思わず確認した。




「お前、鳥丸家の当主で住職で、そんなノリでLINEかよ!?」



 鳥丸は真剣な顔をしながらも、あっさりと言い放つ。



「もちろんだよ。時代は変わってるからね、連絡手段も最新がいいだろ?」



 ――いや、どう見てもそんな現代的なキャラじゃないだろ!朱色の柱に囲まれた寺院に住んでてLINE交換って、ギャップがすごすぎるだろ!!

 
「じゃあこれ、QRコードね!」と、さっとスマホを差し出す鳥丸。――いや、その対応、どんだけ現代的なんだよ!俺は半ば呆れながらも、鳥丸とLINEを交換することになった。

 
「……マジかよ……これで10兆円の交渉をLINEで進めるのか?」と心の中でツッコミを入れつつ、俺はスマホを握りしめていた。


 

 ――――――――――――――――





「だーっ!!疲れた!!」



 俺は全身の力が抜けて、伊集院家のソファにダイブした。まるで溶けるかのように体を沈めていく。二日連続で黒瀬と鳥丸、あんな濃ゆいメンツと話したんだから、そりゃあ疲れも倍増ってもんだ。



「お兄ちゃん、お疲れ様」



 ――ん?肩に優しく触れる手が。振り返ると、そこには貴音が俺の肩を揉んでくれていた。俺の肩にぴったり寄り添いながら、無邪気な笑顔を浮かべてる妹。

 
「お前だって疲れてるだろうに……なんて優しい妹なんだ……」俺は思わず感動で涙ぐみそうになった。

 
 でも、俺はそこで気づいた。

 
 ――ん?この展開、ハーレム王としては完璧すぎじゃねぇか!?ちょっと待てよ、俺、今このソファで贅沢すぎる癒しを受けてんじゃねぇか!?



「いやいや、さすが俺の妹!お前、将来のハーレム女王だな!俺の肩を揉むなんて、完璧なスキルだぜ!」



 と思わず口走りながら、俺はまたソファにぐでーっと沈んでいった。

 
 貴音は苦笑いしながらも、「お兄ちゃん、褒めすぎだよ」と言いながら、肩揉みを続けてくれる。

 
 ソファで至福のひとときを味わっていたところ、突然現れた静香さんの冷静な声が響いた。




「雷丸君。貴音ちゃんから纏めてもらったレポートを見たわ。」



 ――レポート?何だそれ!?そんなの知らなかったぞ!


 
 俺が驚いて貴音を見ると、彼女は少し恥ずかしそうに、ふわっと微笑みながら言った。



「文章に自信はないけど……お兄ちゃんの負担を少しでも減らしたくて……」

「お前、ハーレムの秘書かよ!!」



 思わず俺はそう叫んでしまった。妹がこんなにできる子だったとは……!

 
 俺がその場で慌てて体を起こすと、静香さんは淡々と、しかし少し楽しそうに続けた。



「あなた、相当二人に気に入られてるわね……黒瀬禍月と烏丸天道、両方から。」



 ――そうなんだよなぁ。全然嬉しくねぇんだけども!

 
 俺は心の中で叫びながら、静香さんに顔を向けた。



「でも、あの二人って、妖怪殲滅派と崇拝派のリーダーだぞ!?両方から気に入られるとか、ハーレム王として困る相手すぎるだろ!!俺、平和にハーレム王やってたかったのに!」



 そんな俺の焦りをよそに、静香さんはニヤリと笑い、まるで子供の戯言を聞いているかのように軽く返してきた。



「まぁ、あなたにはそれだけの魅力があるってことよ。どっちも、貴方を自分の陣営に欲しがってるんだから、ある意味では羨ましいわ」



 ――羨ましくねぇ!!どっちもヤバい奴らだぞ!?誰かこの事態を止めてくれよ……!


 
 それでも静香さんは、そのまま優雅にティーカップを持ち上げ、「あなたがどうするかは、ハーレム王としての手腕にかかってるわね」と、またも他人事のように言い放った。



「――――ねぇ、雷丸君?」



 突然の静かな声に、俺は驚いて振り返った。静香さんが、いつもと違う、何か重いものを感じさせる表情で俺を見つめていた。



「もし貴方が伊集院家ではなく、他の陣営に行っても、私は文句は言わないわよ?」

「――え?」




 思わず口を開けてしまう。そんなこと言われるなんて、予想してなかった。

 
 静香さんは、少し微笑みながら、でもその目はどこか寂しそうに続けた。



「だって、すごい条件じゃない。黒瀬につけば、大統領の後継者としての名声が手に入る。鳥丸につけば、大富豪としての富が得られるのよ。」

「それは……確かに、そうだけど……」



 俺は言葉を探しながら、静香さんの言葉に頷いてしまった。実際、あの二人の提示してきた条件は、普通の人間なら飛びつきたくなるようなものだ。
 

 静香さんは、少し目を伏せて続けた。




「それに対して、私が貴方にあげられるものは何もない。それなのに、貴方を伊集院家に縛り付けておくのは……申し訳ないのよ。」

「静香……」




 俺は、彼女の言葉の重みを感じて、胸がギュッと締め付けられる思いだった。静香さんは俺を信頼して、ずっと支えてくれていたのに、今は何か迷っているように見える。



「大事な決断よ。しっかり考えなさい。」



 静香さんはそう言い残し、静かに部屋を出て行った。俺はただ、その背中を見送るしかなかった。
 

 ――何も言い返せなかった。あの二人の提示してきた条件は、確かにすごすぎる。俺はハーレム王として、どうすべきなんだろう……?
 

 でも、俺は……静香さんを見捨てるなんて、そんなこと……できるわけがないじゃないか!

 
 俺はソファに深く腰を下ろし、天井を見上げながら、これからの道について真剣に考え始めた。

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

沢田美
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

処理中です...