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第103話 ターニングポイント6
しおりを挟む俺はまるで自分が死刑執行を待つ囚人のように、伊集院家の豪華なソファに座らされていた。頭の中では「助けてくれ!」と叫びたい気持ちが渦巻いていたが、今、俺の前には四人の審判が立ちはだかっていた。
貴音、麗華、焔華、そして雪華――まるで雷に打たれた後のような真剣な表情で、全員が腕を組み、俺を鋭い視線で射抜いている。これがいわゆる”デス・スター”ならぬ”デス・ハーレム”ってやつか。俺の心臓はドラムのようにバクバクと音を立てていた。
隣を見れば、静香さんも同じくソファに座っているが――涼しい顔をして、何食わぬ表情だ。この人、本当に肝が据わってる。俺とは正反対だな。
「で?お兄ちゃん、説明してくれる?」
貴音が冷たく氷のような声で問いかけてきた。いつもの天使のような笑顔はどこにもない。俺は心の中で頭を抱えた。
「いや、だから、その……予期せぬ出来事があってだな……」
「予期せぬ出来事って?ラブホテルに入るのが予期せぬ出来事ってどういうことよ?」と、麗華がビシッと突っ込んでくる。その鋭い目つきに俺はたじろぐ。ぐぬぬ、逃げ場がない!
「いや、あれはその……複雑な事情があって……」
「複雑な事情?」雪華がさらに追い打ちをかけるように、じっと俺を見つめる。
「報告してくれればよかったのに。私たちを置いて、ラブホテルって、どういうことですか?ねぇ、静香さん?」
全員の視線が一斉に静香さんに向かう。俺は心の中で「頼むから、ここは何かうまいこと言ってくれ!」と祈るような気持ちで静香さんを見た。
「うふふ……ごめんなさいね。雷丸君があんまり素敵だったものだから、つい……」
涼しい顔で爆弾を落とす静香さん。俺は思わず自分の心の中で崩れ落ちた。
「し、静香さん……それは……」
「いいのよ、雷丸君。私は大人だから、こういうことは慣れてるの」
慣れてる!?いや、慣れちゃダメだろ!?俺は心の中で全力でツッコんだが、静香さんの余裕の表情を見た瞬間、もう絶望感が増すばかりだった。
焔華が静かに口を開いた。
「お主、わしらを置いて何しておったのじゃ?詳しく話すがよい」
うぉぉ、詰んだ!完全に詰んだ!もうラブホテルのことをどう説明しても、状況は火に油を注ぐだけだ。
「だ、だから……その……」
「雷丸、正直に言いなさい」
麗華がさらに詰め寄る。四人の目が「すべて白状しろ」と言わんばかりに俺を圧迫してくる。
そんな時、静香さんがまた一言。
「彼ったら、とっても優しかったのよ。だから次はもっと積極的に……」
「うわぁぁぁ!静香さん、余計なこと言わないでください!!」
俺はついに叫んだ。だが、叫んだところで状況は変わらない。むしろ四人の視線はさらに冷たく鋭くなっていく。今にも俺を叩きのめしそうな雰囲気が漂っている。
その時、貴音がにっこりと微笑んだ。
「今日はじっくり話しましょうね、お兄ちゃん♪」
その笑顔が怖すぎる!俺はその場で固まり、ついに運命の時が訪れたのを感じた。伊集院家の廊下には、俺の絶叫が響き渡った。
――その日の説教は、まるで無限ループの地獄のように、一晩中続いたのだった。
――――――――――
次の日の朝、俺はまるで生き地獄から戻ってきたような状態で、伊集院家のダイニングに座っていた。目の前にはいつもと変わらない豪華な朝食が並んでいるんだけど、正直、食欲なんてまるでない。なぜなら――昨日の「無限説教地獄」が頭から離れないからだ。
貴音、麗華、焔華、雪華に囲まれて、静香さんの余計すぎる発言で燃え上がったあの「地獄の夜」。まるで囚人のようにソファに縛り付けられ、終わりの見えない追及を受け続けた。あれはまさにデス・ハーレムの威力……。
そして、朝。俺はやっと解放された――と思いきや、また彼女たちがダイニングに揃っている。まぁ、昨日のことをちゃんと話さなきゃならないんだよな……。
「お兄ちゃん、昨日のこと、ちゃんと話してくれる?」
貴音がニッコリと微笑んで言う。――が、その微笑みの裏には何かしらの圧力を感じざるを得ない。
「お、おう……昨日は、その……他の家に行くかどうか迷ったんだ。でも、伊集院家を選んだのは、やっぱりお前たちが大事だからさ!」
そう、俺はあえて黒瀬家や鳥丸家ではなく、伊集院家を選んだ。もちろん、他にも色々あったが、結局は自分の本心に従ったってわけだ。
すると、麗華が冷静な目で俺を見つめた。
「つまり、私たちのために伊集院家に来たってことね?」
「そ、そうだよ!」
俺が力強く言うと、今度は焔華が「ほほぅ、お主もやるのぉ」とニヤリと笑いながら言った。
「感謝せねばならんな。まぁ、お主が伊集院家を選んだのは妥当じゃが、やはり次からはもっと早く報告せい!」
焔華が得意気に言う。俺は軽く汗をかきながら頷く。
「そうだよな、次はちゃんと連絡するよ……」
すると、今度は雪華が頷きながら俺に向かって言った。
「そうですね、雷丸様。連絡を怠ったのは少しいただけません。これからは私たちにちゃんと状況を伝えてくださいね。でないと……」
彼女は言葉を止め、じっと俺を見つめる。
――でないと、何? 何が起きるんだ?
「……でないと、また昨日のようなことになりますよ♪」
雪華のその柔らかい声と微笑みに、俺は心臓がキュッと締め付けられるような感覚を覚えた。あの無限説教地獄が再びやってくる可能性を示唆されるだけで、俺の全身から汗が噴き出してくる。
「わ、わかった!絶対に次からはすぐ連絡する!誓うよ!」
俺は必死に手を挙げて誓う。すると、貴音が「うん♪」と可愛く微笑みながら、軽く肩を叩いた。
「それでいいのよ、お兄ちゃん♪ちゃんとみんなのことも大事にしてね♪」
その笑顔が……怖い!天使のように見えて、裏にはデビルの微笑みが隠れてる!
麗華も深く頷いて「それでよし」と言った。
「まぁ、とりあえず今回の件はこれで良しとしましょう。でも――次は絶対に連絡をしなさい。」
「絶対に……!」
四人の視線が一斉に俺に集まる。
俺はうなだれるようにして、もう一度頷いた。
「……わかったよ……もう絶対に連絡する……」
そして、朝の平穏な時間が流れていく――と思いきや、内心ではまだ、いつ説教が再開するかビクビクしている俺だった。
「助けてくれ……」
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