異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴

文字の大きさ
103 / 185

第103話 ターニングポイント6

しおりを挟む



 俺はまるで自分が死刑執行を待つ囚人のように、伊集院家の豪華なソファに座らされていた。頭の中では「助けてくれ!」と叫びたい気持ちが渦巻いていたが、今、俺の前には四人の審判が立ちはだかっていた。

 
 貴音、麗華、焔華、そして雪華――まるで雷に打たれた後のような真剣な表情で、全員が腕を組み、俺を鋭い視線で射抜いている。これがいわゆる”デス・スター”ならぬ”デス・ハーレム”ってやつか。俺の心臓はドラムのようにバクバクと音を立てていた。
 

 隣を見れば、静香さんも同じくソファに座っているが――涼しい顔をして、何食わぬ表情だ。この人、本当に肝が据わってる。俺とは正反対だな。



「で?お兄ちゃん、説明してくれる?」



 貴音が冷たく氷のような声で問いかけてきた。いつもの天使のような笑顔はどこにもない。俺は心の中で頭を抱えた。



「いや、だから、その……予期せぬ出来事があってだな……」

「予期せぬ出来事って?ラブホテルに入るのが予期せぬ出来事ってどういうことよ?」と、麗華がビシッと突っ込んでくる。その鋭い目つきに俺はたじろぐ。ぐぬぬ、逃げ場がない!



「いや、あれはその……複雑な事情があって……」



「複雑な事情?」雪華がさらに追い打ちをかけるように、じっと俺を見つめる。



「報告してくれればよかったのに。私たちを置いて、ラブホテルって、どういうことですか?ねぇ、静香さん?」



 全員の視線が一斉に静香さんに向かう。俺は心の中で「頼むから、ここは何かうまいこと言ってくれ!」と祈るような気持ちで静香さんを見た。



「うふふ……ごめんなさいね。雷丸君があんまり素敵だったものだから、つい……」



 涼しい顔で爆弾を落とす静香さん。俺は思わず自分の心の中で崩れ落ちた。



「し、静香さん……それは……」

「いいのよ、雷丸君。私は大人だから、こういうことは慣れてるの」



 慣れてる!?いや、慣れちゃダメだろ!?俺は心の中で全力でツッコんだが、静香さんの余裕の表情を見た瞬間、もう絶望感が増すばかりだった。

 焔華が静かに口を開いた。



「お主、わしらを置いて何しておったのじゃ?詳しく話すがよい」



 うぉぉ、詰んだ!完全に詰んだ!もうラブホテルのことをどう説明しても、状況は火に油を注ぐだけだ。



「だ、だから……その……」

「雷丸、正直に言いなさい」



 麗華がさらに詰め寄る。四人の目が「すべて白状しろ」と言わんばかりに俺を圧迫してくる。

 そんな時、静香さんがまた一言。



「彼ったら、とっても優しかったのよ。だから次はもっと積極的に……」

「うわぁぁぁ!静香さん、余計なこと言わないでください!!」



 俺はついに叫んだ。だが、叫んだところで状況は変わらない。むしろ四人の視線はさらに冷たく鋭くなっていく。今にも俺を叩きのめしそうな雰囲気が漂っている。

 その時、貴音がにっこりと微笑んだ。



「今日はじっくり話しましょうね、お兄ちゃん♪」



 その笑顔が怖すぎる!俺はその場で固まり、ついに運命の時が訪れたのを感じた。伊集院家の廊下には、俺の絶叫が響き渡った。


 ――その日の説教は、まるで無限ループの地獄のように、一晩中続いたのだった。




 ――――――――――

 



 次の日の朝、俺はまるで生き地獄から戻ってきたような状態で、伊集院家のダイニングに座っていた。目の前にはいつもと変わらない豪華な朝食が並んでいるんだけど、正直、食欲なんてまるでない。なぜなら――昨日の「無限説教地獄」が頭から離れないからだ。

 
 貴音、麗華、焔華、雪華に囲まれて、静香さんの余計すぎる発言で燃え上がったあの「地獄の夜」。まるで囚人のようにソファに縛り付けられ、終わりの見えない追及を受け続けた。あれはまさにデス・ハーレムの威力……。

 
 そして、朝。俺はやっと解放された――と思いきや、また彼女たちがダイニングに揃っている。まぁ、昨日のことをちゃんと話さなきゃならないんだよな……。



「お兄ちゃん、昨日のこと、ちゃんと話してくれる?」



 貴音がニッコリと微笑んで言う。――が、その微笑みの裏には何かしらの圧力を感じざるを得ない。



「お、おう……昨日は、その……他の家に行くかどうか迷ったんだ。でも、伊集院家を選んだのは、やっぱりお前たちが大事だからさ!」



 そう、俺はあえて黒瀬家や鳥丸家ではなく、伊集院家を選んだ。もちろん、他にも色々あったが、結局は自分の本心に従ったってわけだ。

 すると、麗華が冷静な目で俺を見つめた。



「つまり、私たちのために伊集院家に来たってことね?」

「そ、そうだよ!」



 俺が力強く言うと、今度は焔華が「ほほぅ、お主もやるのぉ」とニヤリと笑いながら言った。



「感謝せねばならんな。まぁ、お主が伊集院家を選んだのは妥当じゃが、やはり次からはもっと早く報告せい!」



 焔華が得意気に言う。俺は軽く汗をかきながら頷く。



「そうだよな、次はちゃんと連絡するよ……」



 すると、今度は雪華が頷きながら俺に向かって言った。



「そうですね、雷丸様。連絡を怠ったのは少しいただけません。これからは私たちにちゃんと状況を伝えてくださいね。でないと……」




 彼女は言葉を止め、じっと俺を見つめる。

 ――でないと、何? 何が起きるんだ?



「……でないと、また昨日のようなことになりますよ♪」



 雪華のその柔らかい声と微笑みに、俺は心臓がキュッと締め付けられるような感覚を覚えた。あの無限説教地獄が再びやってくる可能性を示唆されるだけで、俺の全身から汗が噴き出してくる。



「わ、わかった!絶対に次からはすぐ連絡する!誓うよ!」



 俺は必死に手を挙げて誓う。すると、貴音が「うん♪」と可愛く微笑みながら、軽く肩を叩いた。



「それでいいのよ、お兄ちゃん♪ちゃんとみんなのことも大事にしてね♪」



 その笑顔が……怖い!天使のように見えて、裏にはデビルの微笑みが隠れてる!

 麗華も深く頷いて「それでよし」と言った。



「まぁ、とりあえず今回の件はこれで良しとしましょう。でも――次は絶対に連絡をしなさい。」

「絶対に……!」



 四人の視線が一斉に俺に集まる。

 俺はうなだれるようにして、もう一度頷いた。



「……わかったよ……もう絶対に連絡する……」



 そして、朝の平穏な時間が流れていく――と思いきや、内心ではまだ、いつ説教が再開するかビクビクしている俺だった。



「助けてくれ……」

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

男:女=1:10000の世界に来た記憶が無いけど生きる俺

マオセン
ファンタジー
突然公園で目覚めた青年「優心」は身辺状況の記憶をすべて忘れていた。分かるのは自分の名前と剣道の経験、常識くらいだった。 その公園を通りすがった「七瀬 椿」に話しかけてからこの物語は幕を開ける。 彼は何も記憶が無い状態で男女比が圧倒的な世界を生き抜けることができるのか。 そして....彼の身体は大丈夫なのか!?

【完結】オレの勇者パーティは全員アホだが強すぎる。

エース皇命
ファンタジー
 異世界に来て3年がたった。  オレの所属する勇者パーティ、イレギュラーズは相変わらず王都最強のパーティとして君臨している。  エルフのクリス、魔術師のジャック、猫耳少女ランラン、絶世の美女シエナ。  全員チート級の強さを誇るけど、どこか抜けていて、アホ全開である。  クリスは髪のセットに命をかけて戦いに遅刻するし、ジャックは賢いもののとことん空気を読まない。ランランは3歩あるくだけで迷子になるし、シエナはマイペースで追い詰めた敵を見逃す。  そんなオレたちの周囲の連中もアホばかりだ。  この世界にはアホしかいないのか。そう呆れるオレだったけど、そんな連中に囲まれている時点で、自分も相当なアホであることに気づくのは、結構すぐのことだった。  最強のアホチーム、イレギュラーズは今日も、王都を救う! ※小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

異世界帰りの少年は現実世界で冒険者になる

家高菜
ファンタジー
ある日突然、異世界に勇者として召喚された平凡な中学生の小鳥遊優人。 召喚者は優人を含めた5人の勇者に魔王討伐を依頼してきて、優人たちは魔王討伐を引き受ける。 多くの人々の助けを借り4年の月日を経て魔王討伐を成し遂げた優人たちは、なんとか元の世界に帰還を果たした。 しかし優人が帰還した世界には元々は無かったはずのダンジョンと、ダンジョンを探索するのを生業とする冒険者という職業が存在していた。 何故かダンジョンを探索する冒険者を育成する『冒険者育成学園』に入学することになった優人は、新たな仲間と共に冒険に身を投じるのであった。

処理中です...