異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴

文字の大きさ
104 / 189

第104話 ターニングポイント7

しおりを挟む


 朝食を食べ終わった後、俺たちは各々まったりしていた。焔華が少ししょんぼりした顔で、ポツリと呟いた。



「正しい判断とは分かっておる……しかし、10兆円……あの財宝は欲しかったのぅ……」



 俺はそんな焔華の様子に、軽く肩をすくめながら冗談を返した。



「まぁ、10兆円はゲットできなかったけど、牛角くらいならいけるぜ?」

「本当か!!??」



 突然、焔華が飛び跳ねる。さっきまでのテンションはどこへやら、まるで大当たりのガチャを引いたかのような喜びっぷり。

 その瞬間、静香さんがニッコリと微笑んで口を開いた。



「今回は伊集院家で出すわ。雷丸君が伊集院家を選んでくれた記念に、私がご馳走するわよ。」

「おおっ!さすが静香さん!豪華な牛角パーティーかよ!」



 俺もテンションを上げて拳を握りしめる。牛角がこんなに嬉しいと思った日は、これが初めてだ。

 すると、焔華は目を輝かせながら一瞬でテンションを切り替えた。



「おおっ!?さすが静香!ならば、わしは牛角カルビをたらふく食うぞ!」

「わ、私は……霜降り牛タンがいいです!」



 雪華も少し控えめに手を挙げるが、その期待に満ちた表情からは、彼女の肉欲(?)が溢れ出していた。

 一方、貴音は可愛らしく両手を合わせながら、俺に微笑んで「お兄ちゃんが伊集院家を選んでくれて、本当に嬉しい!」と言ってきた。俺はその可愛さに、思わず頬が赤くなってしまう。

 
「牛角でもハーレム王的には最高だな!よし、みんな、今夜は焼肉パーティーだ!」と俺は胸を張って堂々と宣言する。これがハーレム王の特権ってやつだぜ!

 
 みんなが一気に盛り上がり、さっきまでの緊張感なんてどこへやら。麗華もそんな俺たちを静かに見守りながら、「まったく、雷丸君ったら……」と呆れながら微笑んでいた。
 

 ――さて、10兆円は手に入らなかったが、俺たちのハーレム王生活は、牛角カルビと共に新たな一歩を踏み出すのだ!



 ――――――――――



 
 夜になり、俺たちはついに牛角へと向かった。車での移動中、みんなのテンションはすでにマックス。まるで子供がテーマパークに行く前夜のようなワクワク感が、車内に溢れ出している。



「おお、わしは焼き肉を食べに行くのじゃ!!肉だ!肉がわしを呼んでおる!」



 焔華は窓の外に向かって腕を振り回しながら、まるで戦いに向かうかのような気合いを入れている。肉を食べる気満々だ。



「雷丸様、今日は特別に食べ放題コースを予約してますから、何でも好きなだけ頼んでくださいね」


 
 雪華がにっこりと微笑みながら、既に焼き肉のシミュレーションでもしているのか、タブレットでメニューを眺めている。

 貴音は少し控えめに座りながら、「お兄ちゃんとみんなで焼き肉、すっごく楽しみ!」と瞳をキラキラさせて、可愛らしく微笑んでいる。貴音が楽しみにしているなら、俺もやる気が出るってもんだ。

 そして、麗華と静香さんは、相変わらず落ち着いた様子で運転席と助手席に座っているが、どことなく期待しているような雰囲気が漂っている。

 ――そんなこんなで、俺たちは牛角に到着した。

 店内に入ると、俺たちは特別な個室に案内された。焼き肉屋なのに個室。これがハーレム王とそのメンバーの特権ってやつだ。



「さぁ、みんな、注文は好きなだけ頼めよ!」



 俺が言うと、全員が一斉にタブレットに手を伸ばした。まるで肉戦争の始まりだ。

「カルビ、ロース、ハラミ、全部頼むぞ!」と焔華がすぐに大盛りのメニューを選び始める。



「じゃあ、私はサラダもお願いしようかな……でも、やっぱり霜降り牛タンも欠かせません!」



 雪華が落ち着いた声で注文しながらも、その目は肉に対する情熱で輝いている。

 貴音は「私は……じゃあ、柔らか牛ヒレをお願い……!」と、可愛らしくメニューを選んでいる。やっぱり貴音はこういう場でもおしとやかだなぁ。

「飯田君、今日はお母さんの奢りだから、好きなだけ頼むといいわよ」と麗華がにっこりと微笑む。

 そして、静香さんは微笑みながら、俺に優しく声をかけてくる。



「雷丸君、何か特別に食べたいものはあるかしら?」



 俺はしばらく考えた後、にやりと笑って「じゃあ、全部マシマシで頼んでくれ!」と答えた。全員が爆笑しながら、テーブルにどんどん肉が運ばれてくる。

 こうして、牛角の夜は始まった。肉を焼きながら、俺たちは笑い合い、肉の香りが店中に漂う。誰が一番食べるかっていうのは言うまでもなく――



「もっと食わせろ!まだまだ食うぞ!!」



 焔華がカルビを掴んで叫び続けるのだった。


 肉を焼き、どんどん注文が運ばれてくる中、俺たちはまるで戦場のように肉を消費していった。特に焔華はもう止まらない。まるで肉の猛者みたいにカルビやロースを次々と平らげていく。



「うぉぉぉ!!肉の神よ、我に力を!!」



 焔華は勢い余って、牛角の個室で大声を上げている。店員さんに「ちょっとお静かに……」と注意される始末だが、そんなこと気にするはずもなく、さらに肉を焼き続けている。

 
 雪華はというと、落ち着いた表情で、じっくりと霜降り牛タンを焼いている。

 
「焼き加減が一番大事なんです……これくらいがちょうどいいですね」と、じっくりと育てた牛タンを丁寧に食べる姿はまるで焼き肉マスター。見てるだけでプロフェッショナル感が漂ってる。

 
  貴音はというと、控えめながらも楽しそうに「お兄ちゃん、一緒に食べよう?」と俺にお肉を渡してくる。そんな優しい妹の一言に、俺はついつい感動してしまいながらも「おぉ、ありがとな!」とカルビを一緒に頬張る。

 
 麗華は上品にサラダを食べながらも、ちらりと俺の方を見て、「飯田君、食べすぎてお腹壊さないでね?」と微笑む。おいおい、麗華に心配されるなんて、俺もまだまだハーレム王として守られてる感じだな。

 
「さぁ、みんな、もっと食えよ!今日の夜はハーレム焼き肉パーティーだ!」と俺が声をかけると、全員が「おぉー!」と元気よく返事をして、さらに注文が増えていく。



「いやぁ、牛角最高だな。伊集院家のご飯もいいけど、やっぱり焼き肉ってのはこういう賑やかな場所が一番だよな!」



 俺がそう言うと、静香さんも優雅に微笑んで、「そうね、雷丸君が楽しんでくれて嬉しいわ」と穏やかに答えてくれた。

 気づけば、俺たちは次々に焼いては食べ、焼いては食べ、テーブルがどんどん空っぽになっていく。店員さんが少し困った顔をしながらも、追加注文を続けてくれる。



「もうお腹いっぱいだ……」



 貴音が小さく呟くと、雪華も「私ももう限界です……」と少し笑いながら答えた。焔華もついに「……さすがにもう動けん……」と倒れそうになっている。

 俺はそんな彼女たちを見て、満足感で胸がいっぱいになった。



「みんな、今日はよく食ったな!これがハーレム王の力だぜ!」



 こうして、俺たちの牛角パーティーは大成功に終わった。満腹で幸せな気分になりながら、俺たちは家に帰る準備を始めるのだった。


 ――――――――――



 牛角パーティーを満喫し、いよいよお会計の時間がやってきた。俺は自信満々にレジの前に立ち、財布を取り出した――が、そこで目の前の数字を見た瞬間、目が飛び出しそうになった。



「えっ……合計、え、えぇぇぇぇっ!?」



 ――なんだこの額!?牛角ってこんな高級店だったっけ!?



 目を疑いながら見返すけど、額は変わらない。店員さんも申し訳なさそうに「こちらでお間違いないかと……」と頷いている。もう一度明細を見直すと、やらかしたのがすぐにわかった。



「……あれ?食べ放題以外のメニュー、めっちゃ頼んでるじゃねぇか!」



 思わず声が裏返る。どうやら、焔華がカルビだのホルモンだの、サイドメニューまで頼みまくってたらしい。しかも、あの野郎、しれっとビールまで頼んでやがる。



「おい、焔華!焼き肉ならともかく、なんで酒までいってんだよ!?」



 焔華は悪びれることなくケラケラ笑いながら、「いやぁ、せっかくだし食べ放題だけじゃ味気ないじゃろ?」って。

 俺の頭の中はパニック寸前。焔華が暴走した結果、俺のハーレム王としての懐具合も大ピンチになりそうな気配が漂っていた。内心、「やべぇ……このままじゃ俺の財布が……!」と冷や汗をかいていたその時。

「雷丸君、任せて」と、横から静香さんがスッと現れ、クレジットカードをスマートに差し出した。



「こちらでお支払いしますね」



 その瞬間、店員さんが「ありがとうございます」と丁寧に対応し、俺は何もせずに見守るしかなかった。静香さん、さすがハーレムの大黒柱……!

 焔華が「いやぁ、静香はほんに頼りになるのぅ」としれっと言ってるけど、やらかした張本人だろお前!


 みんなが店を出る中、俺はほっと一息ついて外に出た――その時、誰も見ていないところで、静香さんが俺の肩にそっと手を添え、目を見つめてきた。



「本当に私を選んでくれてありがとう、旦那様♡」



 そう言って、静香さんが俺の頬に軽くキスをしてくれた。

 ――えっ!?今、何が起こった!?俺は一瞬で真っ赤になり、そのまま固まってしまった。

 静香さんは、そんな俺を見てニコリと微笑んだだけで、何事もなかったかのようにみんなのところへ戻っていった。俺はその場で、ただただ立ち尽くすしかなかった。

 ――ハーレム王、まさかの夜のサプライズ!これも、ハーレムの宿命ってやつか……!?
 
 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

最弱無双は【スキルを創るスキル】だった⁈~レベルを犠牲に【スキルクリエイター】起動!!レベルが低くて使えないってどういうこと⁈~

華音 楓
ファンタジー
『ハロ~~~~~~~~!!地球の諸君!!僕は~~~~~~~~~~!!神…………デス!!』 たったこの一言から、すべてが始まった。 ある日突然、自称神の手によって世界に配られたスキルという名の才能。 そして自称神は、さらにダンジョンという名の迷宮を世界各地に出現させた。 それを期に、世界各国で作物は不作が発生し、地下資源などが枯渇。 ついにはダンジョンから齎される資源に依存せざるを得ない状況となってしまったのだった。 スキルとは祝福か、呪いか…… ダンジョン探索に命を懸ける人々の物語が今始まる!! 主人公【中村 剣斗】はそんな大災害に巻き込まれた一人であった。 ダンジョンはケントが勤めていた会社を飲み込み、その日のうちに無職となってしまう。 ケントは就職を諦め、【探索者】と呼ばれるダンジョンの資源回収を生業とする職業に就くことを決心する。 しかしケントに授けられたスキルは、【スキルクリエイター】という謎のスキル。 一応戦えはするものの、戦闘では役に立たづ、ついには訓練の際に組んだパーティーからも追い出されてしまう。 途方に暮れるケントは一人でも【探索者】としてやっていくことにした。 その後明かされる【スキルクリエイター】の秘密。 そして、世界存亡の危機。 全てがケントへと帰結するとき、物語が動き出した…… ※登場する人物・団体・名称はすべて現実世界とは全く関係がありません。この物語はフィクションでありファンタジーです。

【コミカライズ決定】勇者学園の西園寺オスカー~実力を隠して勇者学園を満喫する俺、美人生徒会長に目をつけられたので最強ムーブをかましたい~

エース皇命
ファンタジー
【HOTランキング2位獲得作品】 【第5回一二三書房Web小説大賞コミカライズ賞】 ~ポルカコミックスでの漫画化(コミカライズ)決定!~  ゼルトル勇者学園に通う少年、西園寺オスカーはかなり変わっている。  学園で、教師をも上回るほどの実力を持っておきながらも、その実力を隠し、他の生徒と同様の、平均的な目立たない存在として振る舞うのだ。  何か実力を隠す特別な理由があるのか。  いや、彼はただ、「かっこよさそう」だから実力を隠す。  そんな中、隣の席の美少女セレナや、生徒会長のアリア、剣術教師であるレイヴンなどは、「西園寺オスカーは何かを隠している」というような疑念を抱き始めるのだった。  貴族出身の傲慢なクラスメイトに、彼と対峙することを選ぶ生徒会〈ガーディアンズ・オブ・ゼルトル〉、さらには魔王まで、西園寺オスカーの前に立ちはだかる。  オスカーはどうやって最強の力を手にしたのか。授業や試験ではどんなムーブをかますのか。彼の実力を知る者は現れるのか。    世界を揺るがす、最強中二病主人公の爆誕を見逃すな! ※小説家になろう、カクヨム、pixivにも投稿中。

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

沢田美
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A
ファンタジー
沢山のスキルさえあれば、レベルが無くても最強になれる。 スキルは5つしか獲得できないのに、どのスキルも補正値は5%以下。 だからレベルを上げる以外に強くなる方法はない。 それなのにレベルが1から上がらない如月飛鳥は当然のように落ちこぼれた。 色々と試行錯誤をしたものの、強くなれる見込みがないため、探索者になるという目標を諦め一般人として生きる道を歩んでいた。 しかしある日、5つしか獲得できないはずのスキルをいくらでも獲得できることに気づく。 ここで如月飛鳥は考えた。いくらスキルの一つ一つが大したことが無くても、100個、200個と大量に集めたのならレベルを上げるのと同様に強くなれるのではないかと。 一つの光明を見出した主人公は、最強への道を一直線に突き進む。 土曜日以外は毎日投稿してます。

スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~

榊与一
ファンタジー
幼い頃の鑑定によって、覚醒とユニークスキルが約束された少年——王道光(おうどうひかる)。 彼はその日から探索者――シーカーを目指した。 そして遂に訪れた覚醒の日。 「ユニークスキル【幸運】?聞いた事のないスキルだな?どんな効果だ?」 スキル効果を確認すると、それは幸運ステータスの効果を強化する物だと判明する。 「幸運の強化って……」 幸運ステータスは、シーカーにとって最も微妙と呼ばれているステータスである。 そのため、進んで幸運にステータスポイントを割く者はいなかった。 そんな効果を強化したからと、王道光はあからさまにがっかりする。 だが彼は知らない。 ユニークスキル【幸運】の効果が想像以上である事を。 しかもスキルレベルを上げる事で、更に効果が追加されることを。 これはハズレと思われたユニークスキル【幸運】で、王道光がシーカー界の頂点へと駆け上がる物語。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

ダンジョン冒険者にラブコメはいらない(多分)~正体を隠して普通の生活を送る男子高生、実は最近注目の高ランク冒険者だった~

エース皇命
ファンタジー
 学校では正体を隠し、普通の男子高校生を演じている黒瀬才斗。実は仕事でダンジョンに潜っている、最近話題のAランク冒険者だった。  そんな黒瀬の通う高校に突如転校してきた白桃楓香。初対面なのにも関わらず、なぜかいきなり黒瀬に抱きつくという奇行に出る。 「才斗くん、これからよろしくお願いしますねっ」  なんと白桃は黒瀬の直属の部下として派遣された冒険者であり、以後、同じ家で生活を共にし、ダンジョンでの仕事も一緒にすることになるという。  これは、上級冒険者の黒瀬と、美少女転校生の純愛ラブコメディ――ではなく、ちゃんとしたダンジョン・ファンタジー(多分)。 ※小説家になろう、カクヨムでも連載しています。

処理中です...