異世界帰りのハーレム王

ぬんまる兄貴

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第105話 ターニングポイント8

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 車内は焼肉の香ばしい余韻を残しながら、エアコンの涼しい風が心地よく流れていた。腹いっぱいで眠気に襲われそうになりつつも、ふと頭をよぎった考えを口にした。



「なぁ、今俺たちって……やばいよな?」



 助手席に座っていた麗華が驚いたように振り向き、俺を見つめた。



「何が?」

「いや、ぶっちゃけ、伊集院家が今、黒瀬家と鳥丸家に攻撃されたらどうなるんだろうって思ってさ。黒瀬家は次期総理大臣の座が確定してるし、鳥丸家は財力がとんでもねぇ。そんな連中に攻められたら、俺、ハーレム守れるのか?」



 言葉が重く響いた車内に、運転席の静香さんの落ち着いた声が流れる。


 
「…………確かに貴方の心配は的を射ているわ。正直なところ、私たちは崇拝派や殲滅派が本気で動けば、対抗できる術がほとんどない。彼らの勢力を考えれば、勝ち目は薄いと言わざるを得ないわ。」



 その言葉に、車内は再び沈黙に包まれた。冷房が効いているはずなのに、なんだか息苦しい。俺も色々と考えを巡らせるが、どれも曖昧な答えばかりだ。


 しかし、このまま黙っているのも性に合わねぇ。俺は自分に言い聞かせるように、小さく呟いた。



「……でも、諦めるわけにはいかねぇだろ。」



 全員が俺の言葉に注目した。


 
「ハーレム王として、俺には絶対に守らなきゃならないものがある。それがなんであれ、黒瀬家だろうが鳥丸家だろうが、どんな相手だって俺は立ち向かうぞ!」



 その瞬間、後部座席から貴音の小さな声が聞こえた。


 
「お兄ちゃん、かっこいい……!」



 さらに雪華も、柔らかな笑顔を浮かべながら続ける。


 
「ハーレム王様、頼もしいですね。私たちもついて行きます!」



 焔華が「ふむ、それでこそわしの雷丸じゃ!」と拳を握りしめ、静香さんがミラー越しに「頼もしいわね」と微笑んだ。車内の雰囲気が少しだけ明るくなる。


 
「で、俺は考えたんだよ。俺にも力が必要だってな。けど、俺の一番の武器はやっぱり影響力だろ?だから、それをもっと伸ばすことにしたんだ!」



 麗華が興味津々に身を乗り出してくる。


 
「へぇ、具体的にどうやって?」



 俺はニヤリと得意げに笑い、少し溜めてから自信満々に宣言した。


 
「実は俺さ……サッカーのワールドカップの日本代表に選ばれたんだ!!まだ世間には発表されてないからオフレコな!」


 
「えぇっ!?すごいじゃない!」と麗華が大きな声を上げ、雪華と貴音も「おめでとうございます!」と拍手を送ってくれる。静香さんはミラー越しに「流石ね」と目を細めた。

 だが、その中で焔華が、一人だけ眉をひそめて首をかしげる。


 
「なんじゃと!?ワールドカップじゃと!?」



 
「お、驚いたか?俺ってすごいだろ!」と胸を張る俺を見ながら、焔華はさらに真剣な顔で聞いてきた。


 
「で、その……ワールドカップというのは、なんじゃ?」



 その瞬間、車内にズッコケる音が鳴り響いた(もちろん俺の頭の中でだが)。


 
「おいおい、ワールドカップって言ったらサッカーの世界一を決める大会だろ!?常識だぞ!?」

「ほほう、世界一か。つまり武道大会のようなものかのう?」

「いや、全然違うから!蹴るのはボール限定だ!」



 俺の必死の説明に、焔華は「ふむ、ならばわしもそれに出るぞ!」と拳を握りしめた。どうしてこうなるんだよ!?



貴音が「お兄ちゃん、焔華には分かりやすく教えてあげないと……」と小声で助言してくれるが、俺はもう説明する気力が尽きかけていた。


 それでも、俺は気合を入れ直して、焔華に向き直る。


 
「とにかく、世界で一番注目される大会ってことだ。ワールドカップだからな!」



 焔華は目を輝かせて「ふむ、世界で一番注目される……それはまさに覇者の戦場じゃな!」と呟き、拳を握りしめる。いや、違うけど、まぁ伝わったっぽいからいいか。


 
「だからその影響力が半端じゃねぇんだよ。日本だけじゃなくて、世界中に俺の存在をアピールできるんだよ!」

「ふむ……つまり、わしらのハーレム王が、世界にその名を轟かせるということか?」



 焔華は妙に真剣な顔で頷いている。よし、なんか伝わってきたぞ!俺はさらに話を盛り上げるべく、ちょっと胸を張って続けた。

 

「そういうことだ。しかもだぞ、俺がその大会で活躍して――いや、世界一になっちゃったりしたら、どうなると思う?」



 その言葉に、車内が一瞬静まり返る。雪華が少し考え込むように首をかしげ、「世界一……つまり、雷丸様が世界で最も有名な存在に……?」とぽつりと呟いた。




「そういうことだ!」



 俺は自信満々に頷きながら、声を張り上げた。



「最強のインフルエンサー、飯田雷丸爆誕ってわけよ!俺が発信すれば、世界が動く。俺が呟けば、ハーレムも守れるって寸法だ!」



 俺が意気込んで話すと、車内がちょっとした興奮の渦に包まれる。



「雷丸君、それ本当にいい案だわ……!!」


 
 静香が俺に感心した様に言う。



「SNSのフォロワー200万人を使って伊集院家の危機を乗り切ったこともあるし、インフルエンサーの力は実証済みだものね」

「だろ?俺もそう思ってさ!!」

 
 俺は胸を張って、堂々と答えた。俺の提案がこの場を盛り上げてるのが分かる。ハーレム王としての俺の影響力はどんどん拡大してるってことだな!



「インフルエンサーの力は絶大だ!俺がつぶやけば、日本中が世界中が動くんだぜ!まるで異世界帰りの俺が現代に魔法を使ってるみたいなもんだ!」



 貴音も目をキラキラさせて、興奮気味に俺の話に食いつく。



「お兄ちゃん、本当に天才だね!さすがハーレム王!」

「おぉ、俺ってやっぱりすげぇよな!」



 俺は得意げに鼻を鳴らしながら、周りのリアクションを楽しんだ。車内が完全に俺のアイデアに乗っかって盛り上がってる。

 焔華が腕を組みながら、ニヤリと笑う。



「ふむ、雷丸の案は面白いのぉ。それに、世界中のフォロワーを使えば、情報戦でも敵なしじゃ。」



 雪華も微笑みながら静かに頷いている。


 
「雷丸様の影響力を考えれば、今後どんな危機にも対応できるでしょう。」



 俺が話すたびに、みんなが乗ってきて、車内のテンションはますますヒートアップ。これなら、どんな問題も乗り越えられるって気がしてきたぜ!


 
「それだけじゃねぇ!俺力ってのは、自己肯定感が強いほど強くなるだろ?だから世界中が『雷丸最高!』って状態になったら、俺力も爆上がりするわけよ!」



 俺は熱く語りながら、拳を握りしめた。



「そうなりゃ俺の戦闘力も上がりまくって、黒瀬や鳥丸とも同格になるんだ!」

「だからこそ、世界一のプロサッカー選手になるってのは、俺がハーレム王になる上でのマスト条件なんだよ!」


 
 自信満々に俺が宣言すると、車内の空気が一瞬止まり、次の瞬間――

 

「飯田君、貴方、馬鹿だと思っていたけど、意外としっかり考えているのね……感心しちゃったわ。」



 麗華が冷静に言った。

 

「誰が馬鹿だ!!」



 俺はムキになって反論する。

 

「いや、想像以上に論理的思考過ぎて……貴方、本当にその方向で突き抜けてるのね。」




 麗華が少し呆れつつも納得している様子で続けた。


 後部座席から雪華がクスクスと笑いながら口を挟む。


 
「世の中には『俺、馬鹿だからよくわかんないけどさ……』って言いながら、妙に核心をつく人っていますよね。雷丸様、まさにそのタイプかもしれません。」

「おい、なんでみんな俺をバカ扱いするんだよ!」



 俺はさらにムキになって叫んだ。


 確かに、俺は天才ってわけじゃねぇけど、こういう危機感くらいはちゃんと持つんだよ。ハーレム王としてな!


 
「まぁまぁ、雷丸君。」



 静香さんが穏やかに口を開く。



「そんなにムキにならなくてもいいじゃない。みんな、貴方の考えに感心しているだけよ。」

「……そうか?」



 俺は照れ隠しで頭を掻きながら答える。

 

「よし、決まりだな!」




 俺は勢いよく声を上げた。




「俺のハーレムインフルエンサーパワーで、俺たちハーレムファミリーの未来は安泰だ!みんな、次の展開を楽しみにしてくれよ!」



 車内には笑い声が広がり、俺たちは牛角で腹いっぱい食べた満足感と、少しだけ楽になった気持ちを共有した。やばい状況だってのは変わらないけど、こうしてみんなで笑い合えるのが何よりの力になるんだろうな。



 ハーレム王、ここにあり――って感じだ!

 
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