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第129話 ワールドカップ24
しおりを挟む次に向かったのは、リオ・デ・ジャネイロの象徴的な建築物のひとつ カテドラル・メトロポリターナ だった。
幻想図書館を後にし、石畳の道を歩きながら、少しずつ見えてくるその姿に俺は目を見開いた。
「おいおい……なんだこの形……?」
視界に飛び込んできたのは、まるで巨大な円錐のような建物。
普通、教会って言ったらゴシック様式の尖塔があるイメージだろ?
でも、こいつは違う。高さ75メートル、底面は丸く、まるで近未来的なピラミッドみたいなフォルムをしていた。
「びっくりしましたか?」
隣で綾乃が微笑む。
「いや、こんな教会見たことねぇよ……!」
俺は圧倒されるままに言葉を漏らした。
「ここは1976年に建てられたんです。カトリックの教会ですが、伝統的なヨーロッパの大聖堂とはまったく異なるデザインですよね。」
「おう……正直、サッカースタジアムか宇宙基地かと思ったぜ。」
「ふふっ、それでも中に入ると……もっと驚きますよ?」
綾乃が意味深に微笑むのを見て、俺は期待と興味を胸に、彼女と並んでカテドラルの中へと足を踏み入れた。
――そして、俺は再び言葉を失った。
「……うわ、すげぇ……!」
内部は驚くほど広大で、天井の高いドーム状の空間がどこまでも広がっていた。
天井近くまで伸びる4本の巨大なステンドグラス――赤・青・緑・黄色が縦に連なり、まるで天から降り注ぐ神の光のように輝いている。
神聖で、幻想的で、だけどどこか未来的。
不思議な雰囲気に包まれながら、俺は静かに歩を進めた。
「どうですか?」
綾乃が俺の横で、そっと聞く。
「……やべぇな。こんな雰囲気の教会、今まで見たことねぇ……。」
「でしょ?」
彼女の目が少しだけ誇らしげに輝く。
静かな礼拝の空間の中、ステンドグラスから差し込む光が神秘的に揺らめく。
まるで、異世界の神殿に迷い込んだみてぇだ。
「これは……確かに、特別な場所だな。」
俺は天井を仰ぎながら、しばし無言でその空間を味わった。
ブラジルの、リオの、そしてカテドラル・メトロポリターナの圧倒的なスケールに、心を奪われながら。
天井近くから差し込む光が静かに降り注ぎ、巨大なステンドグラスが神聖な輝きを放っている。
この広大な空間に包まれていると、不思議と心が落ち着いた。どこか厳かな気持ちにさせられる。
そんな中、俺はふと、ぽつりと呟いた。
「……俺、こんな場所で結婚式あげたい。」
「え?」
隣にいた綾乃が、驚いたようにこちらを見る。
俺は視線を天井に向けたまま、静かに続けた。
「こういう壮大な場所で、みんなと一緒に最高の結婚式を挙げる――それが俺の人生の目標なんだよ。」
綾乃は少し戸惑いながらも、興味深そうに俺を見つめる。
「みんな……?」
「ああ、俺のハーレムメンバーたちとさ。」
俺は自信満々に胸を張る。
「麗華、雪華、焔華、貴音、静香さん――みんな最高の仲間であり、最高の家族だ。だったら、結婚式だって一緒にやるのが自然だろ?」
綾乃の表情が、一瞬ピクリと動く。
「つまり……ハーレム結婚式?」
「そう!」
俺は力強く拳を握りしめる。
「世界で最も盛大で、最も幸せなハーレム結婚式を挙げる! みんなに美しいドレスを着せて、最高の音楽が流れる中、誓いを立てるんだ!」
そう言いながら、俺は目を閉じて未来を思い描いた。
麗華は純白のウェディングドレスをまとい、少し照れながらも気品あふれる微笑みを浮かべている。
雪華はエレガントなエンパイアドレスを着て、静かに俺の隣に立ち、幸せそうな表情をしている。
焔華は情熱的な赤いドレスを纏い、「ほほう、なかなか似合っとるじゃろ?」と誇らしげに胸を張る。
貴音はフリルたっぷりのプリンセスドレスで、「お兄ちゃん、見て見て! 可愛いでしょ!」とはしゃいでいる。
そして静香さんは、大人の色気漂う上品なドレスを着こなし、優雅に微笑んでいる。
俺の隣には、最高のハーレムファミリーが揃っている。
ステンドグラスの光に包まれ、誓いの言葉を交わし、指輪を交換し――世界中に俺たちの幸福を見せつけるんだ。
「……完璧だろ?」
俺は自分の理想の未来を思い描きながら、満足げに頷いた。
だが――綾乃の反応はというと。
「……あの……飯田さん?」
困惑しきった表情で、戸惑いながら口を開いた。
「それ、本気で言ってるんですか?」
「当たり前だろ?」
俺は真顔で答える。
「俺は本気だ。ハーレム王たるもの、みんなを平等に愛し、みんなを幸せにする。それを証明するために、最高の結婚式を挙げるんだ。」
綾乃は言葉を失ったように俺を見つめていた。
しばらくの沈黙の後――
「……ふふっ。」
彼女は思わず笑ってしまったようで、小さく肩を震わせていた。
「な、なんだよ?」
俺が少しムッとして聞くと、綾乃は微笑みながら言った。
「いえ……なんというか、飯田さんらしいなって。」
「だろ?」
俺は胸を張る。
「俺はハーレム王だからな!」
そう自信満々に言い切る俺に、綾乃は呆れたように微笑みながら、ふとステンドグラスの光に目を向けた。
「でも……もし本当に、そんな結婚式を挙げたら……きっと、とても素敵なものになるでしょうね。」
その言葉に、俺は目を輝かせる。
「おっ! 綾乃もそう思うか?」
「ええ。……だって、飯田さんが本気でそう思ってるなら、きっとみなさんも幸せになると思いますから。」
俺は彼女のその言葉に、さらに自信を深めた。
「よし、絶対にハーレム結婚式を成功させてみせる!」
「ふふっ、頑張ってくださいね。」
綾乃は優しく微笑んだ。
「いや……お前、まるで関係ないみたいに言ってるけどな? もしお前が俺のハーレムに入ったら、お前もその式に参加するんだぜ?」
俺がニヤリと笑いながらそう言うと、綾乃は「えぇ~?」と口を尖らせながら、目をそらした。
「そ、それは……まぁ、そういうことになりますけど……」
なんだ、その微妙なリアクションは?
「嫌なのか?」
俺が探るように聞くと、綾乃は微妙に頬を染めながら、ゆっくりと答えた。
「……そ、そんなこと言ってないです。でも……飯田さん、本当にそういうの、全部本気で考えてるんですね……。」
呆れたように言いつつも、なんだかんだ嫌がっていないのが伝わってくる。
俺はそこで、ハッと思いついた。
「そうだ! 綾乃みたいなバイリンガルがいれば、俺のハーレム結婚式はさらに国際的なものになるな!」
「へ?」
綾乃が驚いた顔をする。
「お前、英語もポルトガル語もいけるだろ? ってことは、俺の結婚式で海外の招待客ともバッチリ対応できるってことじゃねぇか!」
「え、えぇ……?」
綾乃は戸惑いながらも、考えるように視線を落とす。
「まぁ……確かに、外国の方々が来るなら、通訳くらいはできますけど……」
「そうだろ? だったら決まりだな!」
俺は自信満々に頷いた。
「よし! ハーレム結婚式は国際規模で開催する! 世界中のファンに見守られながら、俺たちの愛を誓うんだ!」
「……世界規模の結婚式……?」
綾乃は、呆れと驚きが入り混じった複雑な表情で俺を見つめる。
だが、その目にはどこか楽しそうな色が宿っているのを俺は見逃さなかった。
「ふふっ……飯田さんって、ほんとにスケールが大きいですよね。」
「そりゃあな! 俺はハーレム王だからな!」
俺が胸を張ると、綾乃は小さく笑いながら「はぁ……もう」と肩をすくめた。
だが、その顔はどこか柔らかく、俺の言葉を完全に否定する様子もなかった。
――よし、これはもう、半分くらいは了承を得たも同然だな!
――俺は、みんなを幸せにする。
――俺のハーレム結婚式は、絶対に世界一の幸せな瞬間になる。
俺は堂々と、カテドラル・メトロポリターナの広大な空間の中で、未来を夢見ていた。
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