召喚？それでは第2の人生はじめます！私、ブラック魔力の持主ですって。

7.いきなり現場ですか？！

連れて来られたのは沢山の人が行き交う街道だった。
男性が多いが馬車に乗る女性や子供の姿も見える。

街道沿いの茶店の中からしばらく眺めているとフランクが小声で皆に伝えた。

「いたぞ。青い服の男だ。どうする？」

「もう少し先で仕掛けましょう。行くわよ。」

マリリンに腕を引っ張られ街道に出ると早速、青い服の男の後へついた。
よく見ると男の影が本人とは別の動きをしている。

「何？！何ですかアレ！」

あんなの見た事が無い。
マリリンに小声で質問をした。

「ブラッククラウドって言うのよ。
あの男はブラッククラウドに寄生され操られているの。」

えつ～！そんな気持ちの悪い事がある？影以外はどう見ても普通の人にしか見えないのに。

「このへんで良いかな。レイナは街道脇にケイトと火を焚くのを手伝っていて。私達は先へ回り込み追い込むわ。さあ、始めるわよ。」

焚き火はケイトの風魔法の威力ですぐに大きな焚き火に変化した。
男を3方向に取り囲みスタンバイできるとマリリンが声をあげた。

「止まりなさい！」

合図に皆んなが一斉に魔法で男を追い込んで行く。

男は言葉がわかるようでビクッとするときた道を引き返しだした。

「フランク！もっと風力をあげて。ジョイは、もっと防御魔法を強くして跳ね返えして！」

ドンドン魔法の精度を上げていく。
やがて堪らなくなったブラッククラウドは男から離れた。
薄黒い人型の影が男の影から現れた。
男はその場に倒れブラッククラウドが身軽になったせいかスピードをあげて走り出した。
そこへマリリンが魔法石の粉を振りかけた。
動きが鈍くなったブラッククラウドは魔法の壁に三方向を囲まれる形で焚き火の中に押し込まれ炎の中で消えてしまった。

「ふぅー。この調子よ。ジャンジャンいくわよ。」

ジャンジャン行くって、、
言葉の通り次から次と見つけ出してあっという間に10匹のブラッククラウドを退治した。

「いつもこんな感じなんですか？」

「そうだよ。ブラッククラウドを退治するのも我々の仕事さ。古代遺跡から奴らは湧き出て人に憑依するんだよ。だから遺跡周り調査チームは調査以外に近くの街道を見回り退治をするんだよ。もっと広範囲は別の所轄がしているよ。」

ジョイさんが丁寧に教えてくれた。
マリリンさん達は、退治師だったのか。

「連れてこられたって事は私にもいずれやれと言う事？」

「はははっ！まさか。きっと、マリノにブラッククラウドを見せたかったんだろうな。」

飲み物を持ってきたケイトさんも大丈夫よ。と声をかけてくれた。

「憑依されて周りが気づかずに生活している事もあるのよ。大抵は人格が変わるのでわかるんだけど。接触した時に乗り移られる事もあるし気をつけてね。
ほら、そこ！」

「ひぇ？！」

素っ頓狂な声を出して指差した後ろを見ると皆んながケタケタと笑っている。
はめられた。

「もうやめて下さい！皆さんと違って初めて見るんですから。」

「ま、影に気をつける習慣をつけろって事よ。さあ、最後に近くの遺跡を見回りに行くわよ。」

マリリンの号令で林の奥にある古代神殿後に向かった。

「何故だかわからないのだけど、古代遺跡からブラッククラウドが湧き現れるのよね。」

「遺跡の中は調査したんですか？」

「うん。それは他のチームがしているわ。ほら。」

紋章の入ったケープを羽織った一団が遺跡の入り口に待機をしていた。