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7.秘密の告白
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店が終わり1階のリビングでくつろいでいると家のドアをノックする者がいた。
「誰?こんな夜中に」
「アルベルト・ギャンだーだ。」
懐かしい声。自分から彼の元を去ったのにその声に胸がドキリとした。まさか使いではなく本人が来てくれるなんて!
そっとドアを開けると深く外套服のフードを被った彼がいた。
「アル、ベルト、、、あなたがわざわざ来てくれたのね、、ありがとう。ど、どうぞ。」
アルは外にいる誰かに頷くと部屋に入りドアを閉め外套を脱いだ。5年ぶりに会うアルは、変わらずに筋肉質でイケメンで素敵だった。
けれど以前とは違い厳しい顔で笑顔はない。そりゃそうよね、結婚を約束したのに黙って逃げたのは私だもん。許してくれる訳がない。
「ハルナ。こんな田舎にいたんだな。」
「うん、、、その、、座って。お茶を淹れるから。」
か細い声で言うと逃げるようにキッチンへ向かった。手紙で「助けて」とお願いをしたけれど、いざ顔を合わすと何から話したら良いのか頭がぶっ飛んでしまう。
その時、スッと後ろから手が伸びて軽く抱きしめられた。思わず身体がビクリとして硬くなった。
嫌いになって去った訳じゃない。だけどこれはマズイ。拒否しなきゃと思うけど身体が固まって動かない。やめてと言う?振り解く?一瞬の迷いのうちに回されている腕には力が入りキツく抱きしめられた。
スッと彼の顔が耳元に降りて名前を呼ばれた。
「ハルナ、生きてて良かった。」
そう言って大きく息を吐き肩に額を置いた。彼の温もりと髪が耳に触れる。近かすぎる。どうにかして離れないとおかしくなりそう。
「あの、、アル、アルベルト」
「探したぞ。顔をよく見せてくれ。」
アルの手が頬に触れ顔を後ろに向けさせた。至近距離で目が合い堪らず視線をずらした。彼の唇が重ねられそうになり、慌てて振り返り彼の身体を押し返した。
「アル、、ベルト、ダメよ。もう私達は、、」
「シッ。黙って。」
彼に簡単に手を取られ見つめられる。
ダメだ。直視出来ない。
その時、2階で物音がして、その気配にアルベルトが見上げた。
「2階に誰か、、誰かと一緒に住んでいるのか?」
「う、うん。」
その返事をした瞬間に彼が手を離した。
そらしたままの視線は彼に戻す事が出来ずにいるから彼がどんな顔をしたかわからない。
「ソファで待ってて。お茶を、、、持って行くから。」
「ああ。」
感情のない声だわ。
これからお願いする事も合わせて説明をしないといけないけど、上手く伝えれるかしら。
お茶を持って行くと彼が探るように見つめている。けど、また直ぐに目をそらしてしまった。震える手でお茶を置き向かいに座ると、彼はポケットから緑の石のネックレスを机の上に置いた。私がマリーに伝言を頼んだ時に身分を証明する為に預けた物だ。アルからもらった私の大切な大切な宝物だ。
「これはハルナに返す。まだ持っていて嬉しかったぞ。それで、重要な要件で助けて欲しいと言う事情を詳しく聞かしてくれ。」
「う、うん。この町の町長が所有する荷馬車の前に子供が飛び出して、助ける為に私も飛び出したの。私達を避ける為に荷車が別の荷馬車にぶつかってね。2台分の弁償代が高額で、その、、、侯爵様から頂いたお金とこの家を売ったお金でも足りないの。」
「父上が渡した金額は、平民なら一生働く事なく暮らせる額だったはずだ。」
「それが王室への献上品もあったらしいの。それで、、その、、お金を払わなければ子供を奴隷に売り私は町長の嫁になれと言われてしまって。」
アルベルトがドンと拳で机を叩き大声をあげた。
「何だって?誰が誰の嫁だって?そもそも荷馬車の運転手の避け方が悪かったからだろ?」
「うん、でもね、飛び出したのはこっちだから。」
「何だって飛び出したんだ?あっちの世界でも車の前に飛び出せばどうなるかわかるだろ?」
「だって、、、子供が飛び出したから。」
「ハルナが優しいのは知っている。だからと言って自分を犠牲にする必要はないだろ?その子供の親にも責はあるんだから。」
「だからね、アルベルトにも手伝ってもらえないかなって。」
「何を?言ってる意味がわからない。」
「だから私達の子供が飛び出したの。貴方は私の事を恨んでると思う。だけど貴方の子供のグリーンベルトの為に助けて欲しいの。」
ああ。やっぱりだ。アルベルトが呆気に取られている。思ってもない告白に口を開けて目を大きく開けている。
彼はお茶をがぶ飲みすると言葉をしぼりだした。
「何処にいる?直ぐに会わせてくれ。」
2階の寝室へ案内をすると彼は膝を折り子供の顔を注視した。
彼に似た赤髪の男の子。
「名前は?」
「グリーンベルト。信じてくれるの?」
「俺がハルナを疑う訳がないし、俺達は寝室を共にしていたんだ。」
そう言うとグリーンの髪をそっとなぜ手を握りしめた。
「ハルナ、何故もっと早くに教えてくれなかったんだ?子供を隠していた事は許さないぞ。町長の件は俺が解決するから終わり次第、ハルナとはじっくりと話をしなければな。わかったか?」
彼の背中越しに発する声は声を潜めているけれど怒りに満ちていた。
「ごめんなさい。本当に、、ごめんなさい。」
私の謝罪に返事はなく彼は立ち上がると部屋を出てそのまま玄関へ向かった。
「明日、また来る。子供をグリーンベルトを宜しく頼む。」
それだけ言って扉は閉められた。怒りを宿した瞳はもう目を合わせてくれない。
当然よね。彼の初めての子供を隠していて奴隷に売られそうになったんだから。
アルからどんだけ恨まれても構わない。どんな罰でも受けるわ。
これで町長の件が片付くんなら。
「誰?こんな夜中に」
「アルベルト・ギャンだーだ。」
懐かしい声。自分から彼の元を去ったのにその声に胸がドキリとした。まさか使いではなく本人が来てくれるなんて!
そっとドアを開けると深く外套服のフードを被った彼がいた。
「アル、ベルト、、、あなたがわざわざ来てくれたのね、、ありがとう。ど、どうぞ。」
アルは外にいる誰かに頷くと部屋に入りドアを閉め外套を脱いだ。5年ぶりに会うアルは、変わらずに筋肉質でイケメンで素敵だった。
けれど以前とは違い厳しい顔で笑顔はない。そりゃそうよね、結婚を約束したのに黙って逃げたのは私だもん。許してくれる訳がない。
「ハルナ。こんな田舎にいたんだな。」
「うん、、、その、、座って。お茶を淹れるから。」
か細い声で言うと逃げるようにキッチンへ向かった。手紙で「助けて」とお願いをしたけれど、いざ顔を合わすと何から話したら良いのか頭がぶっ飛んでしまう。
その時、スッと後ろから手が伸びて軽く抱きしめられた。思わず身体がビクリとして硬くなった。
嫌いになって去った訳じゃない。だけどこれはマズイ。拒否しなきゃと思うけど身体が固まって動かない。やめてと言う?振り解く?一瞬の迷いのうちに回されている腕には力が入りキツく抱きしめられた。
スッと彼の顔が耳元に降りて名前を呼ばれた。
「ハルナ、生きてて良かった。」
そう言って大きく息を吐き肩に額を置いた。彼の温もりと髪が耳に触れる。近かすぎる。どうにかして離れないとおかしくなりそう。
「あの、、アル、アルベルト」
「探したぞ。顔をよく見せてくれ。」
アルの手が頬に触れ顔を後ろに向けさせた。至近距離で目が合い堪らず視線をずらした。彼の唇が重ねられそうになり、慌てて振り返り彼の身体を押し返した。
「アル、、ベルト、ダメよ。もう私達は、、」
「シッ。黙って。」
彼に簡単に手を取られ見つめられる。
ダメだ。直視出来ない。
その時、2階で物音がして、その気配にアルベルトが見上げた。
「2階に誰か、、誰かと一緒に住んでいるのか?」
「う、うん。」
その返事をした瞬間に彼が手を離した。
そらしたままの視線は彼に戻す事が出来ずにいるから彼がどんな顔をしたかわからない。
「ソファで待ってて。お茶を、、、持って行くから。」
「ああ。」
感情のない声だわ。
これからお願いする事も合わせて説明をしないといけないけど、上手く伝えれるかしら。
お茶を持って行くと彼が探るように見つめている。けど、また直ぐに目をそらしてしまった。震える手でお茶を置き向かいに座ると、彼はポケットから緑の石のネックレスを机の上に置いた。私がマリーに伝言を頼んだ時に身分を証明する為に預けた物だ。アルからもらった私の大切な大切な宝物だ。
「これはハルナに返す。まだ持っていて嬉しかったぞ。それで、重要な要件で助けて欲しいと言う事情を詳しく聞かしてくれ。」
「う、うん。この町の町長が所有する荷馬車の前に子供が飛び出して、助ける為に私も飛び出したの。私達を避ける為に荷車が別の荷馬車にぶつかってね。2台分の弁償代が高額で、その、、、侯爵様から頂いたお金とこの家を売ったお金でも足りないの。」
「父上が渡した金額は、平民なら一生働く事なく暮らせる額だったはずだ。」
「それが王室への献上品もあったらしいの。それで、、その、、お金を払わなければ子供を奴隷に売り私は町長の嫁になれと言われてしまって。」
アルベルトがドンと拳で机を叩き大声をあげた。
「何だって?誰が誰の嫁だって?そもそも荷馬車の運転手の避け方が悪かったからだろ?」
「うん、でもね、飛び出したのはこっちだから。」
「何だって飛び出したんだ?あっちの世界でも車の前に飛び出せばどうなるかわかるだろ?」
「だって、、、子供が飛び出したから。」
「ハルナが優しいのは知っている。だからと言って自分を犠牲にする必要はないだろ?その子供の親にも責はあるんだから。」
「だからね、アルベルトにも手伝ってもらえないかなって。」
「何を?言ってる意味がわからない。」
「だから私達の子供が飛び出したの。貴方は私の事を恨んでると思う。だけど貴方の子供のグリーンベルトの為に助けて欲しいの。」
ああ。やっぱりだ。アルベルトが呆気に取られている。思ってもない告白に口を開けて目を大きく開けている。
彼はお茶をがぶ飲みすると言葉をしぼりだした。
「何処にいる?直ぐに会わせてくれ。」
2階の寝室へ案内をすると彼は膝を折り子供の顔を注視した。
彼に似た赤髪の男の子。
「名前は?」
「グリーンベルト。信じてくれるの?」
「俺がハルナを疑う訳がないし、俺達は寝室を共にしていたんだ。」
そう言うとグリーンの髪をそっとなぜ手を握りしめた。
「ハルナ、何故もっと早くに教えてくれなかったんだ?子供を隠していた事は許さないぞ。町長の件は俺が解決するから終わり次第、ハルナとはじっくりと話をしなければな。わかったか?」
彼の背中越しに発する声は声を潜めているけれど怒りに満ちていた。
「ごめんなさい。本当に、、ごめんなさい。」
私の謝罪に返事はなく彼は立ち上がると部屋を出てそのまま玄関へ向かった。
「明日、また来る。子供をグリーンベルトを宜しく頼む。」
それだけ言って扉は閉められた。怒りを宿した瞳はもう目を合わせてくれない。
当然よね。彼の初めての子供を隠していて奴隷に売られそうになったんだから。
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