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7.ジェイクのバカ

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ジェイクが忙しい合間に何とか時間を作り玲奈に会いに来た。

「玲奈貴人、中々会いに来れなくてすまない。この世界に少しは慣れたかい?」

ジェイクは第二王子。王族として勤めがあり予定が詰まっている。彼の予定に合わせて行動する多くの者の予定も狂わせるから庶民のようにその日の気分で仕事を休む訳にはいかない。

「ねえ、知ってる?私ね、毎日朝から夕方まで役人の人達に私の世界の話をしているの。毎日、毎日よ。もううんざり。お願い。帰して。無理なら、、自由にして。」

玲奈は、警護隊がサポートするようになり少し明るくなったが、ジェイク相手だと本音が溢れて止まらない。秘書のアンナに訴えてもやんわりとかわされるからだ。

「ここを出て、どうやって生活をなさるのですか?奴隷ですか?物乞いですか?」

「そんな、、、」

だから最近では機会的に毎日をこなしていた。
こんな状況になった原因であるジェイクを責めたくはない。だけど、言わずいられなかった。

「せめて町に住む事を許可して。こう見えてお料理も家事もできるのよ。一人でも大丈夫。だから、、お願い。」

「すまないが、城で保護する事は決定事項なんだ。役人達との会談は半分にする様にする。約束する。だから、、すまない。我慢して欲しい。」


ジェイクには、自分を助ける為に神獣の猫のルナが玲奈を連れてきた負い目がある。

「嫌。嫌よ!バカ!バカ!皆、嫌い。ここも大嫌い!」

「すまない。」

ジェイクは、怒りをあらわにして声を上げて泣く玲奈の肩を抱きしめるしかなかった。
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