猫が導く異世界。珍獣扱いはウンザリです！

19.山小屋

ドン！バン！バン！バリ！

突然、ドアを蹴破られる音がした。

「盗賊だ！」

玲奈は騒がしい音に目が覚めた。

「何？何が起こっているの？」

恐ろしさに部屋の隅で小さくなっているしかなかった。
ドスンと何かがぶつかる音とキン！と金属のぶつかる音がする。

「ううっ」

「大人しくしろ！逃げ道はないぞ！」

騒がしい声が遠くなって行く。

「どうしたらいいの？」

不安で押し潰されそうになった時、ドアが開けられた。
灯りで部屋に入って来たので眩しさと怖さでギュッと目をつぶった。

「玲奈？」

「えっ？」

小さな声がした。恐る恐る目を開けると村の男のような服装をしたジェイクだった。

「ジェイク！どうしてここに？」

「怪我は？どこか痛い所は無いかい？」

玲奈の手を取り立たせながら優しく声をける。

「あの、、どうして？」

コウキから王都からの追っ手が来ても半日は追いつけないと聞いていたのに。

「どうしてここに？」

「うん。」

ジェイクはなんだかいつもと様子が違った。

「怪我がないようで安心したよ。さあ、皆んなの所へ行こう。ゆっくりで良いからね。」

「あの、、ジェイク。どうしてなの？何故わかったの？」

「うん。ルナが、、知らせてくれたんだ。」

「あっ、、」

ルナと聞いた途端、玲奈は凍りついた。

「ルナをコウキが斬ったの。私、、止められなかった。それにそのままにしたわ。」

涙がパタパタ落ちて来た。

「うん。」

玲奈はジェイクがさっきから「うん」ばかり言うので不安になって来た。

「さあ、馬に乗って。森を抜けたら馬車に乗れるから眠るといいよ。」

「あの、、」

「しっ。馬車までは声を出さないようにしてほしい。盗賊がウヨウヨしている地域だからね。」

いつもと違うジェイクに戸惑う玲奈だった。