近江一族物語1『融合』

七々虹海

文字の大きさ
4 / 59

晴空①

しおりを挟む
 俺の双子の弟、凪は生まれつき体が弱く病気がちだった。
 一緒に遊びたくても凪は熱を出して寝込んでる時が多かった。熱を出しやすい子供だったんだ。

「風邪が移るから晴空は向こうで遊んでて」母さんからはよくそう言われた。
「ぼく、じょーぶに生まれたんでしょ?だから、だいじょーぶ!」
 いっつも逆らって凪の隣に寝そべって、熱いおでこを冷やそうと触ってた。

 最初は風邪が移るからと、俺を引き剥がそうとした親達も、俺が凪からの風邪箘をもらって寝込むなんて事がなかったから、隣にいても何も言わなくなった。
 一人で遊んだってつまらなかったし、友達と遊んでたって凪が気になったし、なにより、発熱でボーっとしてる中、たまに目を開けて俺を見ては安心して笑う凪が可愛かったから。

 同じ顔に向かって可愛いなんて変かもしれないけれど、好きなぬいぐるみが可愛いっていう気持ちと同じように、俺はずっと凪は可愛いとしか思えなかった。
 同じ顔なのになんでだろう。
 同じように笑ってるはずなのに、凪だと優しく見える。一卵性双生児だから同じ顔のはずなのに。
 可愛い動物を見たって、「この子可愛いわね」って親が話してるアイドルを見たって、凪以上に可愛いって思える事はなかった。


 小学校にあがり、双子なはずの俺たちは完全に見分けがつくようになっていた。
 髪は短くないとうっとうしくて、すぐ切ってと母さんに短くしてもらうのが常だった俺。
 対して凪は、長めが好きなようで、いつだったか「晴空とお揃いに切ろうか?」って母さんが冗談混じりに言った言葉を酷く怖がった。
「これがないとダメなの」
 か細くそう言った声に、凪にとって髪は大事なものなんだって子供ながらに分かった。
 凪の事も凪の髪も俺が守ってやる。

 俺達の小学校は一学年一クラスしかない小さな小学校だった。
 凪と同じクラスでずっと一緒にいられる。俺が守るんだ。そのためにはケンカも強くなきゃならない。みんなが憧れるような存在になれば弟の凪も虐められない。

 元々の運動神経も手伝って、外遊びが得意な俺はどんどん体育で活躍するようになった。
 凪を楽しませるために、積極的にお笑いの人の真似をした。結果、俺の周りには友達が集まってきたし、その友達は凪にも親切に見えたんだ。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

処理中です...