Strawberry Film

橋本健太

文字の大きさ
9 / 89

第9話 グラビア撮影

しおりを挟む
    1994年4月、薫は大学2回生となり、写真撮影の腕も上がって来た。スーパー写真塾という雑誌を読み漁り、セクシーな写真について研究した。
「スーパー写真塾ええな。「「幽☆遊☆白書」」も終わりか。19巻ね。」
部屋で、幽☆遊☆白書の最終巻の19巻を読む。最後の1コマが、ある部屋に風が吹き込み、1枚の写真が飛ぶ。そこには楽しげな様子の幽助・桑原・蔵馬・飛影が映っていた。
「この1コマええな。」
スーパー写真塾を観て、グラビア撮影をしたいと思った。
「決めた!グラビアの撮影会に応募して行こう!!」

   春学期が始まり、写真について勉強する日々を送った。6月になり、梅雨入りした頃、薫は雑誌から応募したグラビアアイドルの撮影会に当選し、初のグラビア撮影を行えることになった。
「やったー!!グラビアアイドルを撮影出来るー!!」
具体的な日程も決まり、それまでの間、薫は上機嫌な様子で、勉強とバイトもサクサクとはかどっていた。
「薫、ここの所、上機嫌やな。」
「あぁ!念願のグラビアアイドル撮影会に、行けることになったんや!」
博信は、スポーツグッズ用品店でバイトしており、ガンバ大阪の試合がある日は、薫を誘って、一緒に観戦していた。
「負けが込んでるな…。」
「あぁ、浦和レッズと名古屋グランパスと並んで、お荷物とか言われとる…。」
友子とは、自然な感じで付き合いが続き、よく喋っていた。
「薫君、最近ご機嫌やね。」
「あぁ、7月にグラビアアイドル撮影会に行けるからね。」
「薫君、女の子の写真が撮りたいって、言うてたからね。」
「うん。夏やろ?夏と言ったら女の子の水着姿やろ?グラビアは水着が定番やからな。プロのカメラマンになるには、グラビアアイドルを撮影することが必要やと感じたからな。」
「薫君、流石やね。」
7月になり、春学期の単位はほとんど取得し、試験に向けて勉強していた。15th1994FIFAW杯アメリカ大会を、博信と観戦。時差の関係で朝に行われた。決勝はイタリアVSブラジル。司令塔 ロベルト・バッジョの活躍で僅差で勝ち進んだイタリアと、エースのロマーリオの活躍で勝ち進んだブラジルが激突。薫は博信の家に泊まり、トーストを齧り、イチゴミルクを飲みながら、決勝を見ていた。
「あの髪長い人が、バッジョ?」
「そうやで。イタリアの司令塔や。」
試合は延長戦でも決着がつかず、決勝戦で初のPK戦となった。
「PK戦か…。」
「5人蹴るんやな。」
PK戦は進行し、最後はイタリアの司令塔 ロベルト・バッジョが蹴る。しかし、ボールは大きく外れ、イタリアは敗れた。歓喜するブラジルのGK タファエルと落胆するバッジョ。
「このコントラスト、勝者と敗者という感じやな…。」
この写真は有名になり、この1枚が全てを物語る。観る者に、バッジョのここまでの道のりと、最後の悲劇を想像させた。

   W杯が終わり、蝉の声が響くこの頃。試験を控えた中で、7月25日 大阪 難波のスタジオでグラビアアイドル撮影会が開かれた。来る当日、朝6時に起床し、シャワーを浴びて、お気に入りの服に着替えた。朝食を済ませ、京都河原町駅から電車で、梅田まで向かった。梅田から地下鉄御堂筋線に乗り換え、9時に難波駅に到着。地上に出ると、日差しが照り付け、ビルが建ち並ぶゴチャゴチャした雰囲気に圧倒された。
「難波は、大都会やな。」
河原町の落ち着いた和の雰囲気とは一転した、笑いと商業のエネルギーに満ちた難波のコテコテな感じは、薫には刺激が強かった。地図をプリントアウトして、撮影場所を探す。京都の町は、碁盤の目となっており、分かりやすいが、大阪は辺り一面ビルで海も山も見えないので、位置関係が分かりにくく、ごちゃごちゃしている。撮影開始は10時。15分前に到着。このイベントは2部構成と少人数制の撮影となっており、撮影者は10人(男6・女4人)である。午前の部は、10~12時。昼休憩を挟み、午後の部は、13~15時。それぞれで女の子は異なる。
「皆さん、おはようございます。「「写真塾」」のグラビア撮影会in大阪に、当選おめでとうございます。」
スタッフから挨拶と説明があり、そこから撮影会がスタート。1人目のグラビアアイドルは、茶髪ショートの少し派手な感じの子であった。ゴールドのビキニで、見る者を湧かせた。誘うようなセクシーポーズを披露し、薫は夢中でシャッターを切る。
(ゴールドビキニか、セクシーやな。大人のお姉さんって感じやな。)
台の上で寝そべり、上目遣いで誘う。大人のお姉さんの色気を存分に、カメラ越しから感じた。撮影が終わり、ここからは1人ずつの2ショット&トークタイムである。時間制限で分刻みだが、貴重な時間である。

 薫の出番が来て、胸の鼓動が昂る。ドキドキしながら、薫は個室に入る。
「こんにちは。」
派手な見た目とは裏腹に、落ち着いた口調で薫はホッとした。簡単な自己紹介をする。
「グラビアアイドルの沙希です。」
「京都芸術大学に通ってます香塚薫と言います。カメラマン目指しています。」
「カメラマンね。薫君はグラビアに興味あるんやね?」
「はい、僕は女の子の写真を撮るのが好きで、ハイ…。今、めっちゃドキドキしてます…。」
初めて対面するグラビアアイドルに、薫はタジタジしていた。水着姿がセクシーで色気たっぷり。薫少年の恋心は揺れまくりである。
「私みたいなお姉さん、いっぱい写真撮りたい?」
「はい。あの沙希さんはいくつなんですか?」
「私?私は24歳。薫君は?」
「僕は今19歳です。」
「大人になったら、いっぱい写真撮ってね。」
最後はカメラマンに2ショットを撮ってもらい、午前の部は終了した。昼食は、難波駅周辺のうどん屋で、大阪名物のかすうどんをいただいた。
「暑い時期の熱いもん美味いわ~。」
その後、午後の部に登場した子は、肩まで伸ばした黒髪に、豊満でムッチリした身体つきで、純白のビキニを着た少女だった。
「去年まで高校生でした。大原茉莉奈 18歳です。」
高校生だった少女は、水着姿を見られて、少し赤面していた。薫は再び心を奪われる。
「可愛い、可愛いよぉ。」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

母の下着 タンスと洗濯籠の秘密

MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。 颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。 物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。 しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。 センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。 これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。 どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...