Strawberry Film

橋本健太

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第66話 Soccer Kingdom

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 6月10日、W杯が行われるブラジルへ向かった。日本との時差は12時間。時差ボケのダメージは少しあったが、薫はコーヒーを飲んでリフレッシュした。ブラジルのメインストリート リオデジャネイロに到着し、ホテルにチェックイン。打ち合わせを行う。
「日本の試合の日程と会場。それぞれ結構離れとる。」

20th2014FIFAW杯ブラジル大会
2014年6月14日 第1戦 コートジボワールVS日本@レシフェ
2014年6月19日 第2戦 日本VSギリシャ@ナタール
2014年6月24日 第3戦 日本VSコロンビア@クイアバ

中5日ペースで試合は行われる。それぞれの都市を調べる薫。

レシフェ・・・北東部のペルナンブーコ州の州都。港湾都市。治安は悪く、殺人は日常茶飯事。
ナタール・・・北東部のリオ・グランデ・ド・ノルト州の州都。自然保護区と美しい海岸と砂浜が観光地である。
クイアバ・・・中西部のマットグロッソ州の州都。内陸部に位置し、パラグアイ川の支流の都市。川を下ると、ボリビアとの国境に達する。

「めっちゃ離れてるな。ブラジル、殺人事件多いな。」
「せやで、薫。個人で活動するんはええけど、夜に1人でブラブラ町を歩かへんことやで。」
博信の警告に、薫は静かに頷く。リオデジャネイロに滞在。モデルのチョン・テミンと合流。
「アンニョンハセヨ!オッパ!!」
「テミン、W杯楽しみやな。」
チョン・テミンは、韓国代表アンバサダーとしての側面もあり、6月の間は韓国代表の試合を追う。撮影は7月からとなり、その時にはリオデジャネイロが再会する。

2014年6月17日 第1戦 ロシアVS韓国@クイアバ
2014年6月22日 第2戦 韓国VSアルジェリア@ポルト・アレグレ
2014年6月26日 第3戦 韓国VSベルギー@サンパウロ

クイアバは中西部、ポルト・アレグレとサンパウロは南部と、これまた距離がある。
「ヨーロッパ2チームとアフリカ1チームか。頑張れよ。」
「薫さん、日本と一緒に決勝トーナメントへ行きましょう。」
薫はテミンと別れ、撮影の準備を行う。

 6月12日、20th2014FIFAW杯ブラジル大会が開幕。サンパウロで開幕戦が行われた。ブラジルVSクロアチアは、11分にマルセロがオウンゴールをしてしまい、これが大会初ゴールとなった。その後、ブラジルは反撃し、ネイマールが2得点を挙げ、オスカルがダメ押しゴールを挙げて、3-1と逆転勝利した。翌日、サルヴァトールで行われたスペインVSオランダは、オランダが5-1と前回の決勝のリベンジを達成した。波乱の幕開けとなったW杯で、薫はレシフェに移動して、日本の試合を撮る。6月14日、夕方にリオデジャネイロから飛行機で2時間。レシフェに移動した。簡素な夕食で、チキンとポテトを平らげ、ブラジル名物ガラナ・アンタルチカというジュースを飲んで、試合撮影に臨む。

2014年6月14日 第1戦 VSコートジボワール
日本は、アフリカの雄 コートジボワールと対戦。これまでの大会で、日本はアフリカ勢に連勝(02 VSチュニジア ◯2-0 10 VSカメルーン ◯1-0)しており、相性は良い。日本は、序盤に攻勢を強め、16分に本田圭佑がゴールを挙げて、日本が先制した。
「よっしゃあ!!」
「持ってるな。本田は!!」
歓喜に暮れる薫。だが、コートジボワールのパワープレーに、日本は徐々に押される。前半は1-0で日本がリードして折り返す。後半、コートジボワールのエース ディディエ・ドログバが入ると、流れは一変。64分にセットプレーからボニーに決められ、同点に追いつかれると、66分にジェルビーニョに同じ形で決められて、逆転される。そのまま押され、1-2と逆転負けを喫した。
「同じ形で、何で2度も…。」

 テミンがアンバサダーを務める韓国代表は、ロシアに1-1と引き分けた。勝ち点1と0では全然違う。深夜の便で、リオデジャネイロに戻った薫は、ホテルで爆睡した。写真を編集し、次の試合の準備をする。ギリシャは、初戦でコロンビアに0-3で敗れた。
「次勝たな厳しいで。」
「初戦落とすと、ホンマにキツい。」
気持ちを切り替えて、博信と薫は仕事に励む。

2014年6月19日 第2戦 VSギリシャ
リオデジャネイロから3時間かけてナタールに移動。ギリシャと対戦。守りを固めるギリシャに、日本は中々ゴールを奪えない。38分にコンスタンティノス・カツラニスが退場となり、ギリシャは1人少なくなる。これで有利になるかと思いきや、ギリシャは割り切って自陣深くに引いて守りを固めてきた。日本は、最後までゴールを奪えず、0-0と引き分けた。コロンビアはコートジボワールに2-1で勝利し、2連勝で決勝トーナメント進出。日本とギリシャは1分1敗の勝ち点1。負けに等しい引き分けとなった。
「これは、キツいな…。」

 グループステージは第2戦が終了。決勝トーナメント進出は、オランダ・チリ・コロンビア・コスタリカ・フランス・ベルギーの6チーム。グループステージ敗退は、カメルーン・スペイン・オーストラリア・イングランド・ホンジュラス・ボスニア・ヘルツェゴビナの6チーム。残り20チームが当落線上に居る。韓国はアルジェリアに2-4と敗北し、絶体絶命である。

2014年6月24日 第3戦 VSコロンビア
クイアバに移動した。絶体絶命の中で、コロンビアと対戦する。日本は、攻めるしか無い状況。17分にPKを与えてしまい、クアドラードに決められ、先制される。日本は45+1分に岡崎慎司のゴールで同点に追いつき、前半は1-1で折り返す。勝ち越そうと前掛かりになる日本だが、その隙を突かれる形でカウンターの餌食となり、55分と82分にマルティネスに連続ゴールを決められ、90分にハメス・ロドリゲスのダメ押しゴールで1-4と敗北。1分2敗 勝ち点1 2得点6失点の最下位でグループステージ敗退となった。
「自分達のサッカーに、こだわり過ぎたんや。」
「そんなに甘くなかった…。」
日本のワールドカップは、ここで終了。博信達は、翌日に帰国。薫は残って、StrawberryFilm3の撮影に入る。韓国はベルギーに0-1で敗れ、1分2敗で敗退となった。

 失意に暮れる薫。撮影した写真は、博信に提出。テミンと再会し、気持ちを切り替えて撮影に入る。リオデジャネイロとブラジリアに移動して、グラビア撮影に入る。南半球の国であるため、冬なのだが、温暖な気候なので水着で撮影もある。ブラジルは美女大国で知られ、現地の芸能事務所からも美女達を紹介された。
「君が、世界のカメラマン カオルか。よろしく。」
プロデューサーのジャン(40)。恰幅の良いオジサンで、ブラジル人らしく陽気な人柄。彼は、グラビアアイドルのプロデューサーをする前は、アダルトビデオの監督をしていた。
イメージビデオの撮影に協力してくれるようで、ビデオに出演させたいモデルを紹介してくれた。ブラジル国内では、決勝トーナメントが始まり、各地で熱戦が繰り広げられていたが、日本と韓国は敗退したため、薫とテミンはW杯から閉め出された心境である。彼のサンパウロの別荘に行き、プールで撮影。テミンはビキニに着替えた。
「この人、スゴいお金持ちなのね。」
「まぁ、そうやろな。」
サングラスをかけ、カメラを持参したジャン。共演するモデルを連れてきた。
「私の推薦するモデル達だ。こっちだよ。」
2人の美女が来た。

サンティ(20)
リオデジャネイロ出身
髪を結っている。カラフルなビキニを着ており、童顔で可愛らしい。色黒。

ウィンダ(26)
サンパウロ出身
黒髪ロングの白人。白ビキニを着ており、お尻が大きい。

「チャオ。ウィンダです。」
「チャオ、サンティ。よろしく。」

プールで泳ぐ所や、水着姿を撮影。リオデジャネイロのホテルをチェックアウトし、サンパウロのホテルに移動。イメージビデオでは、ヌードも撮る。ベッドの上で裸になり、四つん這いでお尻をアピールする。
「ちょ、恥ずかしい…。」
赤面するテミン。サンティとウィンダは、セクシーさをアピール。ブラジルでは、ミス・ブンブンという美尻コンテストがある。ヌードを撮り、満悦したようだ。イメージビデオとグラビア撮影は終了。大会期間中だが、一足先に帰国した。

 アメリカを経て、韓国に到着。ここでテミンと別れる。その前に、テミンと共に韓国グルメをいただく。タッカルビや参鶏湯に舌鼓を打つ。
「マシソヨ~!帰って来た感じ~!」
韓国料理に満悦したテミン。撮影のお礼を言い、薫は韓国から帰国した。帰国後、写真を編集。次の撮影の準備をする。W杯の結果を知ったのは、数日後であった。
「ドイツが優勝か。ブラジルは…。えっ?!ドイツに1-7?!何がどうなったら、そんな点差で負けるん?!」
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