Strawberry Film

橋本健太

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第72話 2015トラベル

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 その後、東京と広島での撮影を終えて、薫は休息を過ごす。広島の原爆資料館は衝撃的だった。シャワーを浴びて、エアコンに当たりながら、素麺をすすった。熱帯のマレーシア・シンガポール、そして、中国の中でも、3大ボイラーと呼ばれる武漢・南京・重慶の猛暑はキツかったようだ。家の庭で、娘の京香と桃香と一緒に水遊び。
「パパー。」
今年で5歳になる長女の京香、幼稚園の年中組。幼稚園での、プール遊びも楽しんでいるようだ。次女の桃香は、2歳だが、少しずつ自分で立とうとしている。娘達と無邪気に遊び、童心に還る薫。子どもたちが寝静まった夜、薫は久美に、今後の夢を語る。
「久美ちゃん、俺ね。いつか、自分で芸能事務所を立ち上げたい、って思ってるんよ。」
薫の突然の告白に、久美は驚いたが、すぐに落ち着いた。
「薫君らしくていいや。私もね、薫君と一緒にグラビア撮影していた時が、1番楽しかった。薫君と一緒なら、私も出来るかな?でも、京香と桃香は、まだ小さいけど…。」
「そこは、俺が今までの経験で培った人脈と稼いだ印税とかで、何とかする。立ち上げるに当たっては、具体的なプランを立てるし、出資者や親会社を探す。俺は、グラビア撮影で思った。「「写真というのは、人の人生のほんの一部を切り取ったもの。あとで見た時に美しい、と思えるようにするもの。写真家はそういう仕事」」やと。」
これは、薫の父親が、写真家として活動していた時の言葉。後に、薫がグラビア写真集を見て、被写体のグラビアアイドルの水着姿や制服姿に惹かれ、ジュニアアイドルなら、蕾の状態の可愛さと未熟なカラダを、グラビアアイドルなら、成熟したカラダと大人の女の色気を、写真として収めたい、と思うきっかけになった。グラビアカメラマンになった薫は、数々の女子中高生の制服・水着・ヌードグラビアを撮影し、その可愛さを引き出した。その経験を基に、今度は自分が、グラビアアイドルを発掘し、育成して、羽ばたたせてあげたい、夢へと向かう背中を押してあげたい、と決心した。久美は、コップに入った麦茶を飲み干して呟く。
「薫君、一緒に頑張ろう。」
「あぁ。京香と桃香もな。」

 博信と、今後について話した。サッカー関係の撮影だが、2018年のロシアW杯まではオファーを停止することにした。グラビアアイドルの事務所立ち上げの準備と運営のためである。
「そうか。頑張れよ。」
一方、W杯アジア2次予選は、6月の試合が終わった時点で波乱が起きていた。グループCでは香港が2連勝し、グループDでは格下と思われていたグアムが、トルクメニスタン・インドを破り、2連勝で首位に立った。日本は1分 勝ち点1で4位にいる。ここから巻き返せるか。

21th2018FIFAW杯ロシア大会 アジア2次予選
2015年9月3日 第2戦 VSカンボジア H
4位からの巻き返しを狙う日本。引いて守るカンボジア。その牙城は、アンコールワットのようだ。28分に本田圭佑のゴールで先制し、前半は1‐0で折り返す。後半に入ると、50分に吉田麻也、61分に香川真司が決め、3‐0で勝利した。日本は1勝1分、カンボジアは3連敗となった。
「ここからや。」

2015年9月8日 第3戦 VSアフガニスタン N
アフガニスタンは、内戦のため、アウェイゲームを中立地のイラン・テヘランで開催。香川真司と岡崎慎司が2点決め、森重真人と本田圭佑も決めて、6-0でアフガニスタンを一蹴した。

2015年10月8日 第4戦 VSシリア N
シリアも内戦のため、アウェイゲームは中立地となり、オマーン・マスカットで開催。3連勝で首位に立つシリアに苦戦し、前半は0-0で折り返す。後半に反撃し、55分に本田圭佑がPKを決めて先制。70分に岡崎慎司、88分に宇佐美貴史が決めて、3-0で勝利。3勝1分で首位に浮上した。

 10月の試合が終わった時点で、順位はこうなった。

1 シリア 4 0 1 18 5 12
2 日本 3 1 0 12 0 10
3 シンガポール 3 1 1 7 2 10
4 アフガニスタン 1 0 4 3 18 3
5 カンボジア 0 0 5 1 16 0

シリアが首位に立ち、日本とシンガポールが勝ち点で並ぶ。予想外なのが、シンガポールの健闘だ。GKイルハン・マブフートを中心とした堅守で、ここまで5試合で2失点に抑えている。過去に東南アジアサッカー選手権で、4度の優勝を誇る実績があるだけに、ポテンシャルは高いのかもしれない。

 11月になり、薫は会社設立のプランを建てる。本拠地は、京都府京都市。阪急電鉄 京都河原町駅周辺の雑居ビルに、オフィスを構える。出資者をどうするかだ。喜美子にも相談した。
「薫君、芸能事務所持つとね?すごかよ。」
「あぁ、計画は立ててある。出資者をどうするかや。」
「そうやけんね。事務所の社長さんにも相談してみるけん。」
「ありがとうな。」
「良かよ。薫君も社長やけんね。」
親友の喜美子にも協力してもらえそうだ。これで何とかなりそう。
「後は、社員を…。まず、俺が社長か?」
ロシアW杯は3年後、翌年には設立して、2017年には本格的に開業という計画を立てた。
 
2015年11月12日 第5戦 VSシンガポール A
アウェイ4連戦の後半戦は、東南アジアでの連戦となった。勝ち点で並ぶ両者の一戦。3万人を超す観客が見守るアウェイゲーム。日本は20分に、金崎夢生のゴールで先制すると、26分に本田圭佑のゴールで追加点を奪い、2-0で折り返す。シンガポールも反撃するが、日本は守りきり、88分に吉田麻也のダメ押しで3-0と快勝。首位に立った。
「よっしゃ!!」

2015年11月17日 第6戦 VSカンボジア A
アウェイ4連戦ラストは、カンボジアで対戦。カンボジアは6連敗で敗退決定。都市国家シンガポールとは打って変わって、牧歌的な発展途上国のカンボジア。首都プノンペンのオリンピックスタジアムは、芝が荒れており、パスが繋がらない。苦戦を強いられ、前半は0-0で折り返す。51分にオウンゴールで先制、90分に本田圭佑がPKを決めて、2-0で勝利。

グループE
1 日本 5 1 0 17 0 16
2 シリア 5 0 1 20 6 15
3 シンガポール 3 1 3 8 7 10
4 アフガニスタン 2 0 4 6 18 6
5 カンボジア 0 0 7 1 21 0

シンガポールに引き分けた日本だったが、その後は5連勝で首位を奪った。シリアと一騎打ちになる。2015年は、アジアを冒険し、その中で新たな夢を見つけた。
「来年、京都にグラビアアイドル事務所を、立ち上げるぞ!!!」
「薫君。そしたら、私は社長秘書でええかな?」
「もちろん!!!」
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