俺の息子の息子が凶悪な件

把ナコ

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第一章 柊編

新しい生活

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 俺には可愛い息子がいる。今日5歳の誕生日を迎えたところだ。
 目の前に座る息子(たける)は俺が作ったケーキを、口いっぱいほおばって、顔を汚しながら食べていた。
 満面の笑みで食べる尊は本当に天使だ。

「尊、美味いか?」
「うん! パパがつくったケーキはせかいいち!」
「そうか、世界一か。パパも作った甲斐がある」
「かいがある!」
「ははは」
「おたんじょうびはたのしいね!」
「そうだな、楽しいな」

 楽しんでいる尊には申し訳ないが、今日、俺は妻に別れを告げようと思う。
 尊の誕生日会を家族3人ですると伝えていたにも関わらず、呑みに出掛ける現状を見て、我慢するのも疲れてしまった。

 妻は妊娠中から、母性を持ち合わせていない人だった。

 妻の行動がおかしくなったのは結婚して1ヶ月が経ち、妊娠がわかった頃からだ。
 妊娠を喜ぶ俺を疎ましそうに見ては暴言を吐くようになった。妊婦になると精神的に不安定になる事があると聞いていたし、俺は子供のために彼女を支えることを選んだ。慣れない家事全般を俺がすることで、妻の体調と心の安静を最優先にした。

 しかし、俺が良かれと思ってやったことも全て妻にとっては悪手だったのだろう。臨月を迎える頃には、妻との仲は崩壊していた。

 いくら注意しても酒やタバコをやめず、身重の身体で夜な夜などこかへ出かけて行った。空も白んでくる時間に、けだるい雰囲気で酒臭い匂いをまき散らしながら帰って来るのだ。

 産まれたときは、胎児アルコール症候群にならなかっただけましだと、産婦人科医に呆れられたほどだった。

 産んでからもそれは変わらず育児は放棄して、毎日出掛けては、呑み歩いていた。常にアルコールを含んでいた母乳を与えるわけにもいかず、尊は必要な免疫を受け取れなかったため、人より病気がちで熱を出すことも多かった。

 家からアルコール類をすべてなくしても、どこからか手に入れて飲んでいるようだった。妻のアルコール依存も、尊が大きくなれば少しはましになるだろうと、気長に母性が現れることを待っていたが、一向にその気配はなかった。

 尊も、なんとなく母親から愛されていないことはわかっているようで、いやいや期が来るまでは妻に母のぬくもりを求めていたが、それが始まったころから出かけていく妻を冷めた目で見るようになった。


 そして先日、興信所の調べで外に男を作ったことを知った。いや、俺が気付かなかっただけで今までも居たのかもしれない。
 興信所の淡々とした説明を聞きながら、妻のことで悩むのは、もう辞めにしようと思った。

 妻は仕事をしていない。離婚して放り出してしまえば生活は立ち行かないだろう。
 調査結果で男にお金を援助して貰っていると聞いているが、今の男と続かない可能性もある。 
 そのため、家はやろうと思っているが親権を渡すつもりはない。尊と穏やかな生活を送る為なら今の全てを投げ打つ覚悟だ。
 俺は、とにかく尊の生活から妻を完全に切り離したい一心だった。



 日付もとうに変わったころ、家に戻った妻を捕まえて、離婚を切り出した。

 妻にとってこれ以上無い条件を突きつけたつもりだったが、意外にも親権をよこせと言ってきた。あんなにうっとうしそうにしていたが、やはり母親としての愛があったのだろうか。
 それに、俺から離婚を切り出されたことが余程予想外だったのか、随分と取り乱していた。
 言い争い、と言うよりほぼ一方的に妻が怒っていたのだが、尊が妻の怒鳴り声で起きてしまった。
 尊はゆっくりと俺たちの前に歩いてくると、とはっきりとした口調で告げた。

「ぼく、パパといっしょにこのいえでてくね。ママ……いまのおはなし、ろくおんしたよ」

 そう言って子供用スマホをまるで印籠のように掲げた。

 それから1ヶ月後、新しいマンションで尊との新生活が始まり、3ヵ月後正式に離婚した。

 妻と別れてから尊は随分と笑顔が増えた。 
 毎日楽しそうにしているのを見ると、別れて良かったと心から思った。

 ◆

「パパ、おふろはいろ」
「お湯溜めてくれたのか? ありがとうな。じゃあすぐ準備するから先入っとけ」
「すぐきてね! すぐだよ」
「わかったわかった」

 尊は、2人で生活するようになって甘える事が増えた。以前は怒鳴る母の横で我慢していたのかもしれない。
 もう少し成長して思春期を迎えれば、こんなに甘えてくることも無くなるだろうから、今のうちに楽しんでおこうと、思いっきり甘えさせた。

 小学生になって、友達も増えてやんちゃになり始めたのが最近の変化だ。

「パパ、どうしてパパのとボクの、こんなにおっきさもかたちもちがうの?」
「ん? そうだな、尊も大人になったら同じように大きくなるし、そのうち剥けてくるよ」
「ぷにぷにしててきもちいね」
「こらこら、そこはこんなふうにして遊んで良い場所じゃないぞ」
「さわっちゃだめ?」
「ダメじゃないが……」
「わっ パパすごい! ちょっとおっきくなってきたよ!」
「そんなに弄《いじ》られたら、そりゃ成長もするだろ」
「ボクのは触ってもせーちょーしないもん」
「それもそのうち硬くなるようになるさ。とりあえずその手を離してくれ」
「さっきダメじゃないっていったもん」
「大事なところなんだから、いたずらにいじっちゃダメ」
「じゃあ、だいじにさわる!」
「あっ、おい。そんな風に触んなって、んあっ……こらっ、もうおしまい」
「じゃあ、またあしたにする!」

 男の子はみんな通る道なんだろうが、どうにも困った。尊が生まれてから元妻とは数えるほどしか致してないし、ここ数年はセックスどころか抜いてさえなかったこともあって、軽い刺激で直ぐに勃ってしまった。

 それからというもの、尊は風呂に入るたびに揉んだり触ったり、時には尻や背中でグリグリしたりと、毎回のように興味を示していた。

 数回繰り返せば、俺も流石に慣れてきて途中から余程揉まれなければ勃たなくなった。
 だが、それからが大変だった。
 勃たなくなったことで尊はどうにかして勃たせようと揉み方が巧みになってきたのだ。

 どこで覚えてくるのか、小学生とは思えない手つきで俺の息子を育てようとするおかげで、息子に息子を掴まれるたびに充血させる変態親父が誕生した。

 とはいえ尊は硬くなるのを見ると満足するようで、それ以上は触らないから飽きるまでだと考えて好きにさせた。
 
 俺の予想は余所に、全く飽きを見せることなく中学に上がるまでの日課になってしまった。



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