従弟で幼馴染の一途に翻弄されてます(改稿版)

清杉悠樹

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大学生編

9 Honey

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「2人とも若く見えるのに、実は結構年取ってるとか?」
 大学に入ったばかりでもう既に結婚してるとか、珍しいからこそ永尾さんは質問が出たのだろう。
「ううん、18です」
 童顔だから若く見られることはあっても、年上に見られたのは初めてかもしれない。今回の場合、ちょっとカウントに含まれないかもしれないけど、遥はなんだか新鮮に感じた。
「一応、聞きたいんだけど。止むに止まれぬ事実があって結婚したんじゃなくて、お互い好きだからしたんだよね?」
「・・・うん」
(あははー、やっぱり、そう思うよねー。そりゃあ普通はそう考えちゃうよね、まだ十代なんだし。でも、お互い好きだからとか聞かれるとちょっと照れくさいな)
 照れているのは遥だけらしい。ちらっと横目で見た甲斐は当然という態度をとっている。

「そっかー。けど、随分思い切ったんだね、その若さで結婚するなんて」
 ですよねー。実情は甲斐の一歩も引かない熱意と、物欲に負けたって言うだけなんだけどね。
 とは、流石の遥も暴露は出来ない。曖昧に笑ってごまかした。 

 事実をあっさり受け入れてくれた永尾さん。それにしても、甲斐の容姿の事は全然気にならないみたい。自分達にごく普通に接してくれている。
 うーん、貴重だなぁ。絶対に友達になって貰おう。
 そう遥は心の中で決めた。

 それから、ぽつぽつと他の人達も移動してきた人の姿が増え始めたのが見え、遥達は教室まで向かうことにした。
 どうしても教室まで送るといって譲らない甲斐と、私がいるんだから必要ないと永尾さんとの攻防を繰り返し、結局、遥が一応甲斐にも一度来てもらって場所を知っておいて欲しいとお願いするまで続けられた。

 教室にたどり着くだけで疲れ果て、今日は吉日でもあり、厄日でもあると思った遥だった。

「後で必ず迎えに来るからここで待ってること。もし異動したら連絡を入れる事。いい?」
「はーい」
 教室の入り口の所で、法学部へと向かう甲斐からの約束に、遥は明るめに返事を返した。毎回の事なのだけど遥にとっては「家に帰る」こんな簡単なことすら死活問題。例え甲斐と喧嘩中であっても、これに関しては必ず返事はすることにしている。
「ん。じゃあ、また後で」
 甲斐は遥の頭を軽く撫でてから、背中を向けて元来た道へと歩いて行った。遥は段々小さくなっていく姿が角を曲がり姿が見えなくなるまで見送った。

 室内へと入り、後ろの空いている席に遥と永井さんは並んで座った。
「ねえ、夫婦なのは一応理解したけど。なんであんなにはるちゃんにべったりな訳?普通友達も一緒にいるのに、こんなとこまで心配だからって付いてくる?過保護を通り越して、もはやストーカーレベルじゃないの?ねえ、他にも何かされてるんじゃないの?」
 近くにいてくれた永尾さんに顔を覗きこまれ、相当心配されてしまっていた。
「されてない、されてない。誤解してるようだけど、過保護だから付いて来てくれてるんじゃなくて、私がとんでもなく方向音痴だから連れて来てるんだよ。本当に吃驚するほど方向音痴なの、私。だからストーカーとかそう言うのじゃないから」
 過保護すぎるということはあっても、別に犯罪をされているわけじゃない。
(心配してくれるのはとてもありがたいんだけど、それよりも今とても大事なこといいましたね!?私の事だよね!?)
 永尾さんの会話の中に重要な一言があったのを遥は聞き逃さなかった。

「それより友達って私の事だよね!?永尾さん、私と友達になってくれるの!?」
 中学や高校でも友達がいなかった訳ではないが、決して多くは無かったと思う。どちらかと言えばアウトドアよりインドアな友達が殆どだったから、大人しめで、地味な感じの子が多かった。永尾さんみたいに正義感が強い頼れるタイプの人は居なかった。
 大体がそう言うタイプは自分にも自信があるので、外見につられて甲斐に言い寄る確率は異様に高く、いつも一緒にいた遥は睨まれるか、無視されるか、取り込む為の足がかりにしようと企む人ばかりだった。
「というか、私からお願いします。友達になってください」
 遥は手を胸の前で組み、割と真剣に詰め寄ってしまった。誰かに必死すぎだろうと言われても、構わない。

「んもう、つぼよっ、つぼ過ぎるわっ!はるちゃん、可愛すぎっ!ああ、もう肌もつるつるね。見た目も私好みだけど、方向音痴っていうのも可愛いわぁ。私に任せておいて。卒業するまで何処へでも一緒に行ってあげるから。永尾だなんて、水臭い。私の事はあ・ま・ね♪て呼んで?もしくはハニー♪て呼・ん・で?ね?」

 ―――何故。

 またもや遥は正面から抱きしめられ再びぱふぱふされたかと思うと、今度は少し屈んだ永尾さんにお互いの頬を合わせられスリスリされた。驚愕的すぎて、反応出来ずにされるがままになってしまった。

 どうしよう。思っていたキャラと違いすぎる。
 ええーっと、色々早まったか?私・・・・・・。

 教室内にいた他の生徒からの異質を見るような目と羨望の眼差しを向けられる中、魂を飛ばしそうになりながら遥は途方に暮れた。
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