転生トリオのシナリオ改変~ゲーム知識で断罪も滅亡も回避します~

BIRD

文字の大きさ
4 / 57
美月~ルナの幼年期

ep03:美月視点③

しおりを挟む
 突然、列車は大きく揺れた。
 今まで経験したことがないような大きな揺れと共に、身体がふわっと浮く。
 陽太が、咄嗟に庇うように私と華蓮ちゃんを2人まとめて抱き寄せる。
 その直後、車両が何かに衝突したような衝撃と共に、窓硝子が大きく割れた。

「……今の……なに……?」

 呆然と呟きながら起き上がる私の隣で、華蓮ちゃんはへたり込むような体勢で座り、驚きに目を見開いている。
 彼女の視線を辿った先に、信じられない……いや、信じたくないものが見えた。

「陽太!」

 私の、双子の片割れ。
 生まれる前から一緒にいた。
 同じ時間を生きることが当たり前だった者が、その生命を終えようとしていた。

 陽太は目を閉じていて、仰向けに倒れたままピクリとも動かない。
 その首の左側、顎の付け根のあたりに、大きな切り傷がある。
 すぐ近くに、大きな硝子の破片が落ちているのが見えた。
 あの破片が飛んできて、陽太の首を切り裂いたのか。
 傷口から吹き出るような勢いで、大量の鮮血が溢れ出ている。

「……い……嫌……。陽……くん……」

 華蓮ちゃんの声は掠れていて、ほとんど言葉にならなかった。
 彼女は震えながら陽太を抱き起こして、ポケットからハンカチを取り出すと、溢れ出る血が止まらない首の傷に押し当てた。
 止血するには、傷口を心臓よりも高くして、布などで圧迫するんだっけ。
 華蓮ちゃんは、学校で習った応急処置で陽太の出血を止めようと必死になっている。
 白いハンカチは、あっという間に真っ赤に染まった。

「……救急車……呼ばなきゃ……」

 思考が凍り付きそうになりながら、私は肩からかけていたバッグの中を探る。
 スマホを引っ張り出して画面に片手で触れたとき、私は自分の手が震えていることに気づいた。
 コール時間が、やけに長く感じる。

「で、電車が……じ、事故……け、怪我人……た、助けて……」

 ようやく相手が出ると、私は必死で助けを求めた。
 どもって上手く話せない。

「落ち着いて下さい。列車事故ですか? 〇〇線ですか?」
「は、はい」
「救急隊は既に現場に到着しています。どの車両にいますか?」
「う、後ろ……。一番後ろです」

 救急センターのオペレーターは、すぐに理解してくれた。
 既に救急隊が到着していると聞き、自分たちの居場所を伝える。
 その直後、ギシッという嫌な音がして、車両が大きく揺れた。

「え……?」

 青ざめて固まる私の隣で、華蓮ちゃんが陽太を抱きしめる。
 私たちは、乗っている車両が今どういう状態にあるか知らなかった。

 エレベーターで高層階から下降するときのような、身体が浮き上がる感じがする。
 事故の原因は分からないけれど、大破した車両が高架から落下したんだと思う。

 私は死んだのかな。
 陽太はどうなったのかな。
 華蓮ちゃんは無事だったのかな。

 私には、車両ごと落下した後の記憶は残っていない。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

とっていただく責任などありません

まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、 団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。 この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!? ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。 責任を取らなければとセルフイスから、 追いかけられる羽目に。

だってお義姉様が

砂月ちゃん
恋愛
『だってお義姉様が…… 』『いつもお屋敷でお義姉様にいじめられているの!』と言って、高位貴族令息達に助けを求めて来た可憐な伯爵令嬢。 ところが正義感あふれる彼らが、その意地悪な義姉に会いに行ってみると…… 他サイトでも掲載中。

9回巻き戻った公爵令嬢ですが、10回目の人生はどうやらご褒美モードのようです

志野田みかん
恋愛
アリーシア・グランツ公爵令嬢は、異世界から落ちてきた聖女ミアに婚約者を奪われ、断罪されて処刑された。殺されるたびに人生が巻き戻り、そのたびに王太子マクシミリアンはミアに心奪われ、アリーシアは処刑、処刑、処刑! 10回目の人生にして、ようやく貧乏男爵令嬢アリーに生まれ変わった。 もう王太子や聖女には関わらない!と心に決めたのに、病弱な弟のために王宮の侍女として働くことに。するとなぜか、王太子マクシミリアンは聖女ミアには目もくれず、男爵令嬢アリーを溺愛し始めて……。 (頭を空っぽにして笑えることを目指したコメディです。2020年に執筆した作品です。本作を読みたいというお声があったため再掲します)

天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】

田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。 俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。 「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」 そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。 「あの...相手の人の名前は?」 「...汐崎真凛様...という方ですね」 その名前には心当たりがあった。 天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。 こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。

【完結】 メイドをお手つきにした夫に、「お前妻として、クビな」で実の子供と追い出され、婚約破棄です。

BBやっこ
恋愛
侯爵家で、当時の当主様から見出され婚約。結婚したメイヤー・クルール。子爵令嬢次女にしては、玉の輿だろう。まあ、肝心のお相手とは心が通ったことはなかったけど。 父親に決められた婚約者が気に入らない。その奔放な性格と評された男は、私と子供を追い出した! メイドに手を出す当主なんて、要らないですよ!

お兄ちゃんは、ヒロイン様のモノ!!……だよね?

夕立悠理
恋愛
もうすぐ高校一年生になる朱里には、大好きな人がいる。義兄の小鳥遊優(たかなしゆう)だ。優くん、優くん、と呼んで、いつも後ろをついて回っていた。  けれど、楽しみにしていた高校に入学する日、思い出す。ここは、前世ではまっていた少女漫画の世界だと。ヒーローは、もちろん、かっこよくて、スポーツ万能な優。ヒロインは、朱里と同じく新入生だ。朱里は、二人の仲を邪魔する悪役だった。  思い出したのをきっかけに、朱里は優を好きでいるのをやめた。優くん呼びは、封印し、お兄ちゃんに。中学では一緒だった登下校も別々だ。だって、だって、愛しの「お兄ちゃん」は、ヒロイン様のものだから。  ──それなのに。お兄ちゃん、ちょっと、距離近くない……? ※お兄ちゃんは、彼氏様!!……だよね? は二人がいちゃついてるだけです。

聖女は支配する!あら?どうして他の聖女の皆さんは気付かないのでしょうか?早く目を覚ましなさい!我々こそが支配者だと言う事に。

naturalsoft
恋愛
この短編は3部構成となっております。1話完結型です。 ☆★☆★☆★☆★☆★☆★ オラクル聖王国の筆頭聖女であるシオンは疑問に思っていた。 癒やしを求めている民を後回しにして、たいした怪我や病気でもない貴族のみ癒やす仕事に。 そして、身体に負担が掛かる王国全体を覆う結界の維持に、当然だと言われて御礼すら言われない日々に。 「フフフッ、ある時気付いただけですわ♪」 ある時、白い紙にインクが滲むかの様に、黒く染まっていく聖女がそこにはいた。

酒の席での戯言ですのよ。

ぽんぽこ狸
恋愛
 成人前の令嬢であるリディアは、婚約者であるオーウェンの部屋から聞こえてくる自分の悪口にただ耳を澄ませていた。  何度もやめてほしいと言っていて、両親にも訴えているのに彼らは総じて酒の席での戯言だから流せばいいと口にする。  そんな彼らに、リディアは成人を迎えた日の晩餐会で、仕返しをするのだった。

処理中です...