転生トリオのシナリオ改変~ゲーム知識で断罪も滅亡も回避します~

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陽太~アストルの幼年期

ep41:陽太視点①

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 意識が戻ったとき、聞き覚えのある男女の声が聞こえた。
 誰だろう? 最近聞いた気がする声だけど、家族や友人たちの声じゃない。
 目を開けても視界はぼやけたままで、人の顔も風景もほとんど分からなかった。

 俺、どうしたんだっけ?
 美月や華蓮ちゃんと一緒に、電車に乗ってた筈だけど。
 途中で列車が大きく揺れて、咄嗟に2人を抱き寄せて庇ったところまでは覚えてる。
 首の横を何かが掠って、今まで感じたことがないような激痛と同時に、首から凄い勢いで血が噴き出して、急速に意識が遠のいていったような……
 ……そこから、現在までの記憶が無い。

 それにしても、間近で泣いてる赤ん坊、誰だ?
 って思ったら、声は自分の口から出てる?

 困惑していると、不意に誰かに抱き上げられた。
 身体に、凄い違和感がある。
 そもそも、身長180センチ超えの俺が、そんな軽々と抱き上げられるか?

「おお、幼いながら美しい顔をしておるな」
「陛下と同じ、夏空のように青く澄んだ瞳ですわ」

 男性と思われる低く深みのある声と、女性らしい柔らかく澄んだ声が聞こえる。
 その会話を、ほんの少し前にも聞いた気がする。
 どこで聞いたんだっけ?
 視界がぼやけていてよく分からないが、2人に顔を見つめられてるような気配を感じる。

「髪はそなたと同じ黄金色か」
「光属性を持っているかもしれませんわ」

 んんっ? 
 なんか、中二病ハートをくすぐるワードが出たような?
 意識を失う前の記憶と、身体が小さくなってるらしい今の状況、まさか……
 ……って考えてたら、俺を抱えていた男性らしき人物は、ベッドに横たわっているっぽい女性の横に俺を寝かせた。
 それから告げられた言葉は、俺を仰天させるものだった。

「この子の名はアストルにしよう。アストル・プランス・ル・ソレイユだ」

 ちょっと待て!
 その名前は……

「ありがとうございます。この子も乳母には預けず、わたくしが育てますわ」
「それがよかろう。聖女の力をもつそなたが育てたなら、心身共に健やかに育つであろう」

 この2人のやりとりも、少し前にも聞いた記憶がある。
 実在の人物ではなく、映像の中で。

 映画【星空の彼方~亡国の王子~】。
 その冒頭シーンと同じじゃないか!
 俺は、どうやら転生してしまったようだ。

 もしもこのまま、映画の通りに進んだら……。

 この国は、アストルが5歳の誕生日を迎えた日に、高位魔族の襲撃を受けて滅びる。
 アストルは連れ去られて生き残り、魔王城に幽閉されて洗脳を受ける。
 15歳になる頃には、自我の無い操り人形みたいになってたっけ。
 最後は聖女ルナと攻略対象キャラたちに倒されて、肉体を失うのと引き換えに洗脳から解放されるんだ。

 ……そんな未来は、嫌だ。

「愛しい子。あなたが健やかで幸せであるように、毎日神様に祈ってあげますからね」

 母である人の、優しい声。
 その腕の中は、暖かくて心地よい。
 乳を含ませてもらえば、自分の意志とは無関係に口が動いて腹を満たしていく。
 赤ん坊が乳を吸うのは、生きるための本能だ。

 俺は生き残りたい。
 現世の家族を失いたくない。
 この国が滅びるなんて嫌だ。

 大切なものを守る力が欲しい。
 そのために何をすればいいか、考えよう。
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