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華蓮~カレンの幼年期
ep11:華蓮視点①
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陽太くんと美月ちゃんは、私にとって家族のような存在だった。
私の両親は貿易商をしていて、商品の買い付けのため頻繁に海外へ行く。
そんなとき、私を預かってくれるのが、お隣の日向家なの。
「華蓮ちゃんなら、いつでも泊まりに来ていいよ」
日向家のおじさんとおばさんは定食屋を経営していて、自宅とお店は同じ建物になっている。
家族の食事は、お店の仕込みのついでに作っていた。
だから、子供が1人増えても平気だよ、って、言ってくれるの。
私にとっては、日向家のごはんが、食べ慣れた「家庭の味」だった。
「一緒にお昼寝しよう」
「華蓮ちゃんが真ん中ね」
陽太くんと美月ちゃんは、お昼寝のときは私を真ん中に寝かせてくれた。
寒い冬の日には、左右から2人がピッタリくっついてくるので、私はいちばん温かく眠れた。
公園で遊ぶときは、必ず3人で出かけた。
私は、滑り台で遊ぶのが、ちょっと怖い。
上がらずに近くで見ていると、陽太くんが手をひいてくれた。
「ほら華蓮ちゃん、一緒に滑ろう」
陽太くんはそう言って、私を背中から包むように抱いて滑ってくれる。
そうしてもらうと、滑り台の高さも速さも、ちっとも怖くなかった。
年上の男の子たちにブランコを横取りされそうになったとき、美月ちゃんは絶対に退かなかった。
悪いことは許さないってハッキリ言える美月ちゃんは、いじめっ子と喧嘩することもあった。
「順番でしょ! 横入りしないで!」
「なんだよ! お前、生意気だぞ!」
身体の大きい男の子は、美月ちゃんを突き飛ばそうとした。
でも、美月ちゃんには、頼もしい味方がいる。
素早く間に入った陽太くんが、いじめっ子の手を掴んで止めた。
陽太くんはもう片方の手で男の子の腕を持つと、肩に担ぐみたいに持ち上げて投げ飛ばした。
テレビで見た、柔道の技に似てる。
陽太くんは武道は習っていなかったけど、見様見真似で出来てしまうセンスを持っていた。
「大きいからって威張るな!」
陽太くんに怒鳴られて、大きい男の子は慌てて逃げ出した。
自分から喧嘩を売るようなことはしないけれど、美月ちゃんや私を守るときの陽太くんは強い。
勝てる相手じゃないと、いじめっ子も悟ったらしい。
その後、男の子は大人しく順番を待つようになった。
幼稚園、小学校、中学校、高校……私たちはいつも一緒だった。
宿題をこなすのも、遊ぶのも、いつも3人で。
ずっとこのまま、一緒にいられると思っていたのに……
列車事故が、私たちを引き離した。
ガラスの破片から私と美月ちゃんを守ってくれた陽太くんは、大怪我をしてしまった。
ハンカチで押さえて止血しようとしても、どんどん血が噴き出して止まらなかった。
あのとき、陽太くんは、もう事切れていたのかもしれない。
必死で押さえ続けた首の傷は、頸動脈の位置にあったから。
助けたかった。
助かってほしかった。
私はもっと、陽太くんと一緒にいたかった。
伝えられなかった想いは化石になって、私の心の隙間に入り込む。
幼馴染という関係で終わってしまった、私の片思い。
大切な人の死が重くて辛くて、胸の奥が痛くなる。
もう、恋をするのはやめよう。
陽太くんへの想いまで失くすのは嫌だから。
そんな悲しみを抱えて、私は転生した。
公爵家の長女として。
カレン・フィーユ・ラ・ミシオン。
それは、私と美月ちゃんが遊んでいたゲームに出てくる、悪役令嬢の名前だった。
私の両親は貿易商をしていて、商品の買い付けのため頻繁に海外へ行く。
そんなとき、私を預かってくれるのが、お隣の日向家なの。
「華蓮ちゃんなら、いつでも泊まりに来ていいよ」
日向家のおじさんとおばさんは定食屋を経営していて、自宅とお店は同じ建物になっている。
家族の食事は、お店の仕込みのついでに作っていた。
だから、子供が1人増えても平気だよ、って、言ってくれるの。
私にとっては、日向家のごはんが、食べ慣れた「家庭の味」だった。
「一緒にお昼寝しよう」
「華蓮ちゃんが真ん中ね」
陽太くんと美月ちゃんは、お昼寝のときは私を真ん中に寝かせてくれた。
寒い冬の日には、左右から2人がピッタリくっついてくるので、私はいちばん温かく眠れた。
公園で遊ぶときは、必ず3人で出かけた。
私は、滑り台で遊ぶのが、ちょっと怖い。
上がらずに近くで見ていると、陽太くんが手をひいてくれた。
「ほら華蓮ちゃん、一緒に滑ろう」
陽太くんはそう言って、私を背中から包むように抱いて滑ってくれる。
そうしてもらうと、滑り台の高さも速さも、ちっとも怖くなかった。
年上の男の子たちにブランコを横取りされそうになったとき、美月ちゃんは絶対に退かなかった。
悪いことは許さないってハッキリ言える美月ちゃんは、いじめっ子と喧嘩することもあった。
「順番でしょ! 横入りしないで!」
「なんだよ! お前、生意気だぞ!」
身体の大きい男の子は、美月ちゃんを突き飛ばそうとした。
でも、美月ちゃんには、頼もしい味方がいる。
素早く間に入った陽太くんが、いじめっ子の手を掴んで止めた。
陽太くんはもう片方の手で男の子の腕を持つと、肩に担ぐみたいに持ち上げて投げ飛ばした。
テレビで見た、柔道の技に似てる。
陽太くんは武道は習っていなかったけど、見様見真似で出来てしまうセンスを持っていた。
「大きいからって威張るな!」
陽太くんに怒鳴られて、大きい男の子は慌てて逃げ出した。
自分から喧嘩を売るようなことはしないけれど、美月ちゃんや私を守るときの陽太くんは強い。
勝てる相手じゃないと、いじめっ子も悟ったらしい。
その後、男の子は大人しく順番を待つようになった。
幼稚園、小学校、中学校、高校……私たちはいつも一緒だった。
宿題をこなすのも、遊ぶのも、いつも3人で。
ずっとこのまま、一緒にいられると思っていたのに……
列車事故が、私たちを引き離した。
ガラスの破片から私と美月ちゃんを守ってくれた陽太くんは、大怪我をしてしまった。
ハンカチで押さえて止血しようとしても、どんどん血が噴き出して止まらなかった。
あのとき、陽太くんは、もう事切れていたのかもしれない。
必死で押さえ続けた首の傷は、頸動脈の位置にあったから。
助けたかった。
助かってほしかった。
私はもっと、陽太くんと一緒にいたかった。
伝えられなかった想いは化石になって、私の心の隙間に入り込む。
幼馴染という関係で終わってしまった、私の片思い。
大切な人の死が重くて辛くて、胸の奥が痛くなる。
もう、恋をするのはやめよう。
陽太くんへの想いまで失くすのは嫌だから。
そんな悲しみを抱えて、私は転生した。
公爵家の長女として。
カレン・フィーユ・ラ・ミシオン。
それは、私と美月ちゃんが遊んでいたゲームに出てくる、悪役令嬢の名前だった。
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