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【猛猫リンネの物語】2024.4.15〜

第17話:パンチのタイミング

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「発射5秒前、4,3,2,1……」
「カッ! (カウントすんな!)」
「はい発射。パンチいただきました」
「ウゥゥ~ッ! シャーッ! (呑気に撮ってないでメシよこせ)」
「トイレ掃除するよ~」
「シャーッ! カッ! (近寄るな! 殴るぞ!)」
「リンネ、トイレに手を突っ込まないで。砂がこぼれるよ」
「ウアーオ! カッ! (もう1発食らえ!)」
「ほら、こぼれちゃった。ホウキ使うよ」
「シャーッ! ウァウ! (なんだこいつは!)」
「ホウキ噛まないで~、離して~」
「ガウガウガウ……(←噛みつき連撃中)」

 緊張感をほぐそうとする保護主の気持ちなんか、どうでもいいらしいリンネ。
 毎回律義にパンチを飛ばすので、もはや挨拶代わりに思えてきた。
 砂がこぼれたのをホウキで掃こうとすれば、ホウキに噛みつく。
 そんな母猫を平然としながら傍観するチビたちは、「あ~またやってる」くらいに思っているのかもしれない。

「はい、掃除終わったよ」
「ウアーオ! (腹減った!)」
「ゴハン入れるよ~って、それ噛んでも出てこないから」
「アウアウア……ウーッ (早くカリカリを出せ)」

 リンネ、待ちきれなくてドライフードを注ぐ前のサランラップの芯をガブガブする。
 噛んでも出てこないぞと言うと口を離して唸るけど、この時だけは僕が近くにいてもパンチはしない。
 ドライフードをザラザラーッと注ぎ入れる途中で待ちきれずに顔を突っ込んで唸りながら食べている。
 シャーパン猫にマテを教えるのは、きっと無理だろう。
 ガツガツ食べるリンネは、チラチラと横目でこちらを睨んでいる。

「リンネって必ずこっち見るよね」
「シャーッ! ウ~ゥゥゥ (目ぇ逸らしてたら殴れないからな)」

 リンネは常にこちらを見ている。
 携帯を向けても見ている(近づき過ぎるとパンチするけど)。
 これまで撮ったリンネの画像がほぼ全てカメラ目線なのは、動物としては珍しいかもしれない。

 うちの飼い猫たちや飼い犬たちは、携帯を向けると大体目を逸らす。
 庭に居るスリゴロ地域猫は、すぐにグイグイ迫ってくるのでマトモに撮れない。
 リンネは射程内に入らない限りは睨むだけなので、ケージ越しならカメラ目線バッチリで撮れる。
 きっと本猫としては、携帯をロックオンしているつもりなんだろう。

「はい、ちゅーる。今日も早食いだね~」

 液状オヤツを舐めている間だけ、リンネは静かになる。
 といってもすぐ完食するので、静かなのは数秒程度だけど。
 もうちょっとゆっくり味わえばいいのに。

「ウーッ、アウアウアウ (ちゅーるが終わったらお前に用は無い)」
「はいはい、あとはゆっくり食べてて」

 リンネは今日もふりかけ(三ツ星グルメ)無しでピュリナワングレインフリー完食。
 1食50gを、ペロリと平らげている。
 去年の出産猫レミも同じくらい食べていたので、産後2週間過ぎた母猫はこのくらいが標準かな?
 人慣れしていない猫の多くはハンガーストライキをするけれど、リンネにそれはない。
 人間を脅してでもゴハンを貰うのが猛猫流?
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