失恋ゆで理論

ごったに

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失恋ゆで理論

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「そもそもキン肉マンに女キャラは必要なのかというところでして」

 そう言って生ジョッキを空けたAの表情はどこか遠い目をしていて、寂しそうで・・・

「だから最近のには女キャラいないんじゃないの?」

 僕はとりあえず同調してみる。こういう時のオタクなAはどこかでスイッチが入るか分からないからだった。

「それなんだよ!!」

 どれなのかわからないのである。

「要はね、連載再開以降ってのはかつて読者だった編集者によってキャラの深掘りや当時の読者の意見を反映させすぎなんだよ!!わかる!?」

「えぇ・・・それって良い事なんじゃないの?」

「よくない!!」

 お前は昔の劇場版ドラえもんか 

「いいかい?これはつまりカタルシスやエモさの押し付けな訳でライブ感のないただの熱い漫画になってるんだわ!!」

「いや、ライブ感はともかく良い事じゃない?というか昔の漫画の再開物にライブ感っているの?」

 このスイッチの入ったAは否定もされたくなければ全肯定もされたくないという厄介極まりないのだが、今日くらいは優しくしてあげよう。程よく疑問形で返してあげるのであった。

「平松伸二先生を見てみろ!!打ち切られたけど自分のエッセイ漫画ですら当時のライブ感しかないぞ!?」

 打ち切られるのはダメなんじゃないかなあ

「このままじゃあね!!君!!当時のファンを喜ばせるだけで新規のファンは増えないの!!こうやって文化は過疎化してくんだよ!!この危機わかる!?」

「まあ、でもどのジャンルもそんなもんじゃないの?」

「そうだよ!!だから危機感持てって話だよ!!ゲーセン行ってみ!?新規でデラやってる学生いるか?ガンダムと鉄拳を今の高校生が溜まってやってっか!?」

「いや、まず学生あんまいないし僕もゲーセン最近行ってないし」

「そういうことなんだよね~!そういう事!!」

 このオタクめんどくせえなあ。

「結局はね、最盛期にいたファンを喜ばせることしかしないんだよどのジャンルも!!それも廃れきってから!!最初はね。こんな面白いの出来たからもっと面白いのが出るはずって打ち切ったり改悪してって、それから何年か不毛だと慌てて復活させてで。テレビ見てみ?結局TVっ子世代がファンだった有名人呼んで昔の曲流せば良いんだから」

 まあ僕からしたらこういう面倒くさい人が多いからなのではと思うのだが、ちょいちょい言わんとすることは判るという内容である。だって

「そんなに言うんだったらさ」

「なに?」

「はじめからフラなきゃ良かったんじゃない?」

「・・・・・」

「別れてから『やっぱりお前じゃなきゃダメ』とか、『昔お前が欲しいって言ってたもの買ったよ』とかしょーじきキツイって」

「はい・・・」

「ってかさ、当時聞かなかったけどなんで別れたのさ?」

「俺モテ期なんじゃね?というライブ感と・・・もっと良い女がいるんじゃないかなという慢心です」

さっきまで批判していた物そのものであった。

「とりあえず、飲もっか?今日は奢るからさ」

「玉子とみそ汁もつけてな」

「お前にロビンマスクは無理だって」



キン肉マン再アニメ応援しています。
~おしまい~
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