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1巻
1-3
しおりを挟む第4話 神、再び
宿で部屋を取り、鍵を受け取る時、店主らしきおじさんからニヤけた顔で「値段は安くしとくよ。あまり大声を出さずにな?」と言われた。
このエロ親父め。
部屋に入るとそこにはちゃんとベッドが二つあり、椅子と机もあり、シャワールームやトイレなども揃っていた。
その部屋を見たミーナは目をキラキラさせる。
「凄い……やっぱりいい宿は豪華!」
「豪華……なのか?」
向こうの世界だと当たり前にある設備を豪華と表現した彼女に、多少の違和感を抱く。
「私、ずっと安い宿に泊まってた。布団が地面に敷かれてるだけの狭くて小さい部屋。こんないい部屋に泊まるのは初めて。これもアヤトがあの魔物を倒してくれたおかげで、お金に余裕ができたから。心から感謝してる」
「心から感謝って……俺、そこまでのことしたか?」
「アヤトは自分のしたことの凄さをわかってない。私が追われてた時も、魔物に襲われた時も。普通なら私の全てを差し出してもおかしくないことをしてくれた」
「そこまでしなくてもいいんだがな……」
どっちも「偶然」と「ついで」が付くくらい適当だったからな。
「でもゴメン……私、今手持ちがないから二部屋も取れなかった。流石に一部屋取るのが限界」
申し訳なさそうに俯くミーナ。こっちが申し訳なくなるから気にしないでほしい。
「別に一部屋で十分だろ。着替えるにしても風呂の脱衣場があるんだし、気にする必要はない」
「そう? なら良かった」
そう言いながらミーナがローブを脱ぐ。
脱衣場があるって言った矢先にコレである。まぁ、ローブを脱ぐだけなら別にいいか。
さっきもチラッとだけ見えたのだが、ミーナのローブの下は、最低限の布で胸を巻き、ブラウンの短パンという何とも露出の多い無防備な姿だった。
「……何?」
「男がいるのにそんな格好をするのか?」
ミーナは下を向いて自分の姿を確認すると、体を抱き締めてわざとらしくクネクネする。
「私にはこれしかない……襲っちゃう?」
と言っているミーナの表情はこちらの出方を窺ってるようだった。つまりからかっているわけだ。
「残念、会ったばかりの女に手を出そうとは思わないよ」
「ん、知ってた。私を抱っこしてる時だって、下心がなかった」
やっぱり感情を読めるってのは便利だな。
ミーナが頷いてベッドに腰掛けたので、俺も向かいのベッドに座ってミーナと対面する。
「さて、じゃあさっきの話の続きだ」
俺はミーナが口にしていたギルドの話を聞くことにした。
「働かざる者食うべからず」
「……」
いきなり「働けニート」と言われた気がした。
いや、実際無職だから仕方がないけどね?
でも俺はちゃんと働くからな? 『明日から本気出す』なんて、絶対本気を出さないであろう奴のセリフ、俺は言わんぞ……結局時間的には明日からになるけど。
「ギルドは個人から国まで、いろんな人の依頼が集まる場所。内容は採取、護衛、討伐みたいに種類がある。依頼を完遂してギルドに報告すれば報酬が貰える。今のあなたならそれが一番手っ取り早く稼げる」
つまり仕事の仲介役のようなものがあり、そこで仕事を貰って来いと。
「依頼を受けるには試験を受けてギルドに登録する。合格すれば晴れて冒険者」
「なるほど」
「冒険者にはE、D、C、B、A、S、SSといったランクがある。最初はEから。魔物を倒していくとポイントが貰えてランクが上がる。そして魔物にも強さによる階級のようなものがある。『下級』『中級』『上級』『超級』『伝説級』『神話級』の順に強くなってく。強ければ強いほど貰えるポイントも増えて、ランクも上がりやすくなる」
俺はミーナの説明に頷いて、疑問に思ったことを尋ねた。
「ちなみに、高ランクの依頼を受ければその分報酬が増えるのか?」
「そう、理解が早くて助かる。冒険者ランクに応じた依頼が受けられる。SSランクの依頼であれば、一回で一生遊んで暮らせるぐらいの報酬」
ミーナが自慢気に語る。だがすぐにその表情に影が差した。
「だけどSSランクの冒険者でも、SSランクの依頼を完遂した人なんて誰もいない」
「誰も? SSランクの依頼が達成されたことはないのか?」
ミーナはフルフルと首を横に振る。
「過去に二回。今までの歴史の中で、その二回だけ依頼は達成されてる」
「それはどういうことだ?」
ミーナは頭の中を整えようとしているようで、「うーん」と唸りながら首を捻っていた。
「……依頼と言ったけど、相手によっては国そのものが動く。討伐参加人数を考えれば、もう戦争に近い。神話級の魔物はその名の通り、神様みたいな存在とされてる」
「だけど依頼を達成したんだろ? そいつらは……」
「相打ちで全滅。二回とも。依頼はたしかに達成したけど、報酬を受け取る人が誰もいない。しかも相手を討伐したわけじゃなく、撃退で終わってる」
ミーナの話を聞いた俺は、ソワソワと落ち着かなくなっていた。
そんな俺をミーナがジト目で睨んできた。
「……もしかしてワクワクしてる?」
「何も言ってないんだが?」
「わかる。多分私じゃなくてもアヤトの顔を見れば誰でも」
俺の顔にマジックペンで直接書かれてるのかねぇ?
「そうかよ。犠牲になった奴らには悪いけど、やっぱ人の手に余るって聞くとどうもね」
「……普通なら正気を疑うセリフだけど、アヤトなら本当に一人で神話級の魔物と対等に渡り合うか倒してしまう気がする」
「そこまで褒めてもらえると嬉しいね」
褒めてないとでも言いたげに呆れるミーナ。
「でもSSランクの依頼自体、数百年に一度あるかどうか。だからあんまり期待しない方がいい」
「……それもそうか」
そんな国が動くレベルの魔物がポンポン出てきたら、この世界はとっくに滅びてるわな。
ミーナからギルドやこの世界のことに関してもう少し聞いてから、俺たちは明日に備えて寝ることにした。
眩しい……もう朝か? 学校の準備を……いや、そういえば前にもこんなことがあったな。
ゆっくりと目を開くと、見覚えのある白い空間がどこまでも広がっていた。
前と違うのはすでに目の前に、手をヒラヒラとこっちに振るシトが座っていたことだ。
「やぁ、一日ぶりだね、アヤト君」
「あぁ、一日ぶりだな、神さんよ」
「他人行儀だなー、どうせ『様』を付けないくらいだったら、僕のことはシトって呼んでよ」
「あー、はいはい。わかったよ、シト」
俺は名前を呼びつつ顔面を殴ろうと拳を構えた。
「わーー! 待って待って待って待って! ごめんごめん!」
「おいシト。お前、俺の呪いを完全じゃなくとも多少は解いたんじゃないのか? むしろ元の世界にいる時より酷くなってる気がするんだが」
シトは頭を掻きながら乾いた笑いを上げる。
「いやー、それは僕も想定外でね。まさか解いたのにそうなるとは思わなくて」
「そうなる、ってのはつまり?」
「君のトラブル体質は、元々それだけのものだったってこと。まさか君の世界でいうゲームやアニメの主人公みたいな体質だったとは……はははっ。ある意味呪いや加護よりもレアかもね! ってちょ、まっ、わかったごめんて!」
シトの煽りにムカついて殴りかかってみたが、全て躱されてしまった。実はこいつって強い?
すると「あ、そうそう」と余裕そうにシトが話を切り出す。
「もう気付いていると思うけど、君の身体能力、結構上がってるでしょ?」
シトの言葉にピクリと体が反応してしまった。
「上がってるどころの騒ぎじゃない。やっぱりお前が原因か?」
殴るだけ無駄だと理解した俺は、構えを解く。
「違う違う、それは君の世界の環境が原因なんだ」
「環境?」
「そ。君の世界は、重力の負荷がこっちの何十倍もあってね。僕の世界と比較すると、地獄みたいな場所なのさ」
ああ、なるほど。と一瞬頷きそうになるが、他の疑問が出てきた。
「……だけど無重力とかってわけじゃねえよな? 俺が魔物に向かって跳んだ時とか違和感なかったし、あっちにいた時と変わらない速度で落ちたぞ?」
「でも普段はどうだった? 体が軽くなったような感覚じゃないかい?」
思い出すと、たしかにフワフワとした感覚があったかもしれないな。
「正確には、重力による負荷がほぼ取り除かれた世界なんだ。だから物の落下速度とかは変らない」
「ずいぶんご都合主義な世界だな」
「全ての生物が暮らしやすくなるよう、チョチョイといじったからね。むしろなんで君の世界はそんな過酷な環境設定になってるのか僕が聞きたいくらいなんだよ? ……まあ、だからこそ君たちはこっちの世界で超人みたいな身体能力を発揮できるんだけど」
「それって俺、この世界だと化け物扱いされるんじゃねぇか?」
思わず口を突いて出た言葉に、シトは首を横に振る。
「それは君の使い方次第さ」
俺は「そっか」とだけ答え、確かめるように手を開いたり閉じたりする。
「あぁ、後もう一つ。これはあまり伝える意味がないと思ったけど、一応伝えとくよ」
シトは一旦言葉を切ってから、にこやかに告げる。
「ここでは君の世界とは言語も文字も違うんだけど、そこのところは都合よく全て理解できるようにしといたから」
かなり重要なことをさらっと口にしたシトをジト目で睨む。
「それ結構重要なことだけど、今更言うのか? まあ、異世界に来てまで、魔法ならまだしも言語を一から勉強なんて勘弁だから、ありがたいけど」
そこまで言ったところで、あることを思い付いた。
「なぁ、シト。俺には『神の加護』とやらも付いてたよな? それも外せるか?」
「え!? いや、たしかにできるけど……せっかくの神様からの加護を捨てちゃうのかい? それがあったから君はこれまで……」
シトが目を丸くするが、俺は気にせず続ける。
「いいんだよ。だってそれってたしか、『絶対に死ぬことがない』とかいう効果じゃなかったか? そんなもん持ってたら、この先俺を殺すほどの強者と会えないんじゃないかって思って。そんなイージーモードは要らん」
「へぇ、意外と考えてるんだね。まぁ、正確には『絶対に死なない』んじゃなく、『寿命以外の死を必ず回避する』だけど。いいよ、外しておく。後で返してって言っても遅いからね?」
「言わねぇよ。どうせなら俺じゃなく別の奴に送っとけ」
俺はそう言って手で軽くシッシッと追い出す動作をする。
「フフッ、そうだね。そうしとくよ」
シトが俺の胸元辺りに手をかざすと、フワフワと光のようなものが現れてシトの手に吸い込まれていった。
気のせいかもしれないが、その瞬間、体に穴が空いたような、少し寂しくなったような感じがした。
「さて、大体の用件は伝えたし、そろそろ君には起きてもらうかな。もう朝になる頃だろうから」
「そうか……なんか寝た気がしねぇな」
「大丈夫、起きればちゃんと体は全快してるから♪」
「体はな。俺はお前と話した後の精神的な疲れの方が心配だ」
「酷いなぁ。これでも心配してあげてるのに」
俺の皮肉にシトが苦笑いを浮かべると、飛ばされた時と同じく再び足下が光り出し、それに俺は包み込まれた。
「またね」
最後に嬉しそうに呟くシトの声が頭の中に響いた。
……体が怠い。
やっぱあれか、あいつと喋ってると心身共に疲れるんだな、きっと。
いや、なんだこの揺さぶられるような感覚は? というか物理的に重い。
それに頬にも変な感触が……
「……はにをひてひる?」
俺がゆっくり目を開けると、ミーナが俺の上に跨っており、両頬をツネってきていた。おかげでまともに喋れない。
「……目覚まし?」
首を傾げ、疑問形で答えるミーナ。
美少女が乗って起こしに来るとか、普通の男だったら卒倒してるな。少なくとも俺の友人は、鼻から血を流して二度寝するテンプレ行動をしてくれるだろう。俺はしないが。
俺の目が覚めたのを確認して、ミーナが降りる。
「せめて疑問形はやめてくれ……あと普通に起こしてくれ」
「もう九時。寝坊」
ちょっと不機嫌そうに頬を膨らませ、眉をひそめられる。
ミーナの言葉で渋々と体を起こす。ミーナがどいたのに怠い……? あ、これ絶対シトのせいだ。
シトとのやり取りを思い出し、なんとなく頭が痛くなってきた。
「まだ九時だろ? ギルドは十時からだったはずだ」
「ご飯……朝食を食べないと。お腹ペコペコ。このままでは行けない」
ミーナは腹をさすって、可愛らしく頬を膨らませながら言った。
飯なんて一人で行けばいいだろと思ったが、そこで思い出す。
コイツを一人にすると、またあのチンピラみたいな奴らが狙ってくる可能性がある。
ミーナはそれを危惧したのかもしれない。俺と一緒に食いたがってると思うのは、流石に自意識過剰だろう。
「悪い、じゃあ飯食いに行くか」
「ん♪」
俺の答えに満足したのか、ミーナはご機嫌な様子で部屋から出る。
宿の下の階に降りてテーブルに着くと、昨日のオッサンではなく若い女性が朝食を持って来てくれた。
あれ? まだ頼んでないのだが……
「昨日はお父さんが失礼なこと言っちゃってごめんなさいね? これはお詫びよ」
なんと昨日のエロ親父の娘か! ……似てないな。
養子で引き取ったんじゃないかってくらい似てない。もしくは全部母親似。
そんな下らないことを考えながら女が持って来てくれた朝食を見ると、ハンバーグと米、味噌汁だった。
米まであるのか……日本にいる時と変わらない食事だな、ありがたい。
「おぉ、美味そうだな。いただきます」
「……」
俺が早速ハンバーグを頬張ると、ミーナやお姉さんがこちらをジッと見てくる。
……なんすかね? そんな見られると食いにくいんですけど。
「アヤト、『イタダキマス』って何?」
「んえ?」
口に含んだ瞬間に言葉を発しようとしたため、変な声が出てしまった。
ミーナの言葉に、お姉さんもコクコクと頷いていた。
そうか、こっちではそんな習慣はないのか。
「俺が住んでたとこの、食べる前の感謝の祈りみたいなものかな」
「「感謝?」」
ミーナとお姉さんの声がハモった。
「そう。食材になったもの全てに、食べさせてもらえることを感謝しよう、みたいな感じでな」
再び二人が「「へぇ」」とハモる。
「でもいちいちそんなことして疲れないの?」
お姉さんが素朴な疑問をぶつけてきた。
「別に、習慣になってるからな。ほとんどの奴は言うけど、言うこともなく食べ始める奴だっていたよ」
「でもアヤトは言うんだね?」
「まぁ、俺のは子供の頃に通ってた学校の習慣だからな」
「「ふーん」」
君たち仲良いね? 打ち合わせでもした?
あまりに息が合っていたのでそう思ってしまう。
あと、「学校」って単語に特に反応がないってことは、やっぱりこっちにもあるんだろうな。
もし魔法を学べるなら、ちょっと行ってみたいかも。
考え事をしながら箸を進めていると、いつの間にか完食していた。
ミーナの方も完食したらしい。
「ごちそうさまでした」
「それも感謝?」
「かな? これも習慣であまり意味は考えたことがないな」
「……ゴチソウサマデシタ」
……なんだろう。幼い妹が自分の真似をしてくる時って、こんな感じなのかな。
ミーナの頭を撫でたくなる衝動を抑えた。
「さて、時間もそろそろ丁度いいし、ギルドに行くか!」
「ん、待って。ハンバーグお代わり」
……さっきのごちそうさまの意味は?
第5話 登録するにも一苦労
食事を終えて、俺たちはギルドに向かった。
建物の中に入ると、ミーナと同じくらいの見た目の子供や大剣を担いだ大男、杖を持った老人などで賑わっていた。
それによく見ると変なのが混ざってるような……?
「エルフ、ドワーフ、森鬼、蜥蜴族。他にもたくさんの種族が、ここで冒険者をしてる」
俺が興味深そうにしていたのが気になったのか、ミーナが答える。
「本当にいろんな奴がいるんだな」
「でも、人間以外の種族が冒険者をする街はあまりない」
「そうなのか? 勿体無いな……んで、登録ってどこでやるんだ?」
「あそこの受付」
「ミーナはもう冒険者なのか?」
「ん。これが冒険者プレート」
ミーナが頷いて、銀色のプレートを見せつけてくる。
そこには三つの情報が表記されていた。
冒険者 ミーナ
レベル 75
ランク D
左詰めに書かれており、横にはミーナの写真が貼られている。
「私はこれしか稼ぎ口がないから」
「そういえばそうか。ま、とりあえず行ってくる」
「ん、行ってら。私は受けてた依頼の報告をしてくる」
受付には窓口が三つあったが、その内の二人が忙しそうにしてたので、残りの暇そうにあくびをしているベレー帽を被った青髪の女のところに行く。俺が向かってきていることに気付いた受付嬢は「あっ……」と声を漏らし、焦りながら髪や帽子を整えて笑顔で迎えてくれた。
「どうしましたか?」
「ここで冒険者の登録ができるって聞いたんだけど」
「かしこまりました、冒険者登録ですね。ではまずは試験を受けていただきます」
受付嬢がそう言って、奥から別の男を呼ぶ。
そしてその男に案内され、いくつかの机と椅子、そして彼が座るであろう教壇が置かれている部屋に通された。
適当な机に座ると、早速男が裏返しにされた書類を差し出してくる。
「ではこちらを。用紙の問題を一時間以内に解いてください。七十点以上で合格、それ以下で追試、四十点以下で不合格でございます」
おおう……まさかのペーパーテスト……
魔法とかこの世界の知識に関する試験内容とかだったら、落ちるかもれん。
ていうか、この試験落ちたら俺、本格的に無職の役立たずなんじゃ……
「では始めてください」
合図を受けてハッと意識を戻し、紙を表にする。
「……ん?」
しかし俺は紙に書かれた文字を見てフリーズした。なぜならそこには……
632+553=
4193+6270=
45×3=
22×4=
こんな感じの単純な計算が五十問ほど。
これを一時間もかけて?
あれか? 何か引っ掛けがあったりとか?
しかし紙を裏表じっくり見ても、何か変わりがあるわけでもなさそう。
俺は試されてんのか? それともバカにされてる?
とりあえず試験官の男が訝しげな目で見てくるので、問題をさらさらと解いていく。
きっと、このレベルの計算もできないようじゃ、冒険者としてやっていけないってことなんだろう。
そして十分もかからず試験問題を解き終わった。
「もう終わったんだけど……どうすればいい?」
「……何?」
試験官の男が「そんなわけないだろう」とでも言わんばかりの顔で紙を見た。
しかし紙を手渡すと、正解集らしき紙と見比べるうちに表情が変わり、目を見開きワナワナと震え出した。
「な……このスピードで全問正解!?」
男はありえないとでも言わんばかりに言葉を零す。
いやまぁ、俺の世界ですと基本中の基本ですし。
……え、まさか本当にこれが本題?
「問題ないのか?」
「え? あ……あぁ、はい。それじゃあ、受付近くの椅子に座って待っていてください……」
何か落胆した様子で試験官の男は部屋から出て行った。
言われた通り受付のところに戻ると、受付の女にも同じように驚かれた。
「どうしたのですか? もしかして具合でも……?」
「いや、終わっただけだけど……」
「え!?」
やけに驚いた様子の受付嬢を横目に、俺はミーナのところへ戻った。
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