最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし

文字の大きさ
239 / 303
武人祭

説得か脅しか

しおりを挟む
「な・・・・・伝説級一体に神話級四十二体・・・・・・だと!バカな、壊れているのではないか!?」

 俺のギルドカードから詳細を書き出された紙を見て叫ぶ貴族の太った男。
 他の奴はも同じような反応だった。

 「当たり前だ!神話級が四十二などと・・・・・・そんな数がいれば、この星の生物が大半以上いなくなってしまうだろ!」

 そして一人が同意するように叫び、他の貴族たちも同調していった。
 恐らくルークさんが手引きしていたであろうワークラフトやアーリアの二人ですら、顔を青くしていた。
 ここは一応言い訳は考えてあるから、大丈夫だとは思うが・・・・・・

 「ほう……では貴族の方々は、日々丁寧に点検して何の異常も見られない我々の貴重な魔道具が壊れていると?」

 アリスが少し圧を加えて言うと、貴族の奴らが口を噤んだ。

 「神話級四十二って……神話……しん――おえっ」

 マズい、誰よりも受付嬢のサリアがダメージを受けてる!
 するとルークさんも納得できていないのか、俺に問いかけてきた。

 「アヤト君、疑うわけではないのだが・・・・・・いや、どちらかと言えば、嘘であってほしいというのが本音なのだが、これは真実なのかね?」

 ルークさんが話を進めやすくしてくれた。

 「半分当たり、半分ハズレだな」
 「どういう意味じゃ?」

 そう言ったルークさんはもちろん、他の貴族も俺の言葉の意味を理解できてなかった。

 「神話級はたしかにいた。ただそれは一体だけだ」
 「「っ!」」

 数はともかく、神話級の存在があったという事実に全員息を呑む。

 「一体だけ・・・・・・では四十二という数字はなんでしょう?」

 しかし、実際に現場を目撃したメアを覗き、唯一アリスだけは冷静な態度のままだった。

 「その魔物の特性だ」
 「特性?」

 アリスが首を傾げて聞き返してくる。さっきのルークさん同様、話を進めやすくしてくれて助かる。

 「俺やノワール・・・・・・仲間たちはそれを『超再生』と呼んでた。いくら頭や心臓を潰そうと、それこそ全てを細切れにしようとも元通りに再生していたよ。だから多分、そいつを殺した回数がギルドカードに登録されたんじゃかいか?」

 俺が説明をし終わると、一人の貴族が動揺しつつも鼻で笑った。

 「なんだ・・・・・・では単に、『再生能力が神話級だった』というだけか?そんなものを倒しても何の自慢にはーー」
 「いつ、俺がそいつの強さが再生能力だけと言った?」

 貴族の言葉を遮り、笑みを浮かべる。

 「そいつはさっき俺が使ったと同じ魔術を使ってきた。それに力も超級の比じゃない。伝説級は会った事がないから比較の対象にできないがな」
 「先程のとは・・・・・・そもそもあれはなんなのだ?」

 ワークラフトの男が聞いてくる。
 簡単に言ってしまっていいものだろうか・・・・・・
 周囲の貴族を見渡しながら悩んでいると、ルークさんを見て『ああ、そうか』と思い付く。

 「これもあまり漏洩ろうえいしてほしくない情報だ。これに関しても『口封じの契約』をしてもらえるか?」

 まずはその紙の使用許可を得るためにルークさんを見ると頷いてもらえ、辺りの貴族に視線を移すと少しは悩んでいたが、同じく頷く。
 その後、貴族たちに署名をしてもらう際に、契約書の簡単な説明をルークさんにしてもらった。
 契約書は『契約主』と『契約者』に分かれ、契約主が提示した条件に契約者が承諾のサインを書くというもの。
 たとえ契約主でも内容の破棄はできないが、魔力によって内容を書き換える事ができるのだという。
 つまり、今はとりあえず空間魔術の口外を禁止という単純で幅広いものにしておくが、後々場合に応じて一部だけ許可する、という事もできるわけだ。
 そして全員の署名が終わり、空間魔術に関してを話した。

 「空間魔術・・・・・・たしかコノハ学園の学園長が発案した、あの魔道具が元になった魔術にもそのような名の技術があったような・・・・・・?」
 「なるほど、六属性以上の適性による魔術か。常人ができぬはずだ」
 「だがそいつは魔道具も無しに発動させていたではないか。『ただの冒険者』というには常軌を逸している・・・・・・本当に人間か?」

 最後の貴族が放った言葉に、全員が俺の方を向く。
 その視線に俺は、肩をすくませた。

 「あんたらがどの程度を人間と認めるかによるが、俺を化け物と呼んで蔑んだ奴はいくらでもいたぞ」
 「そんな・・・・・・本当にこんな奴にメア様を渡す気ですか、ワンド王!?」

 机を叩いて抵抗しようと抗議する体格のいい男。
ルークさんはみんな金や地位が目的だと言っていたが、この男を含めた数人は本気でメアを心配して反論していた。
 なんとかしてこの頑固っぽいこいつらを引き込みたいのだが、どうしようか・・・・・・

 「それだけ彼を信頼しているという事じゃ。何より、この一ヶ月共にいたメアが証明しておる。男勝りだった孫娘が年相応の少女らしい表情をするようになったしのう?」

 ルークさんは確認するようにそう言って、メアの顔を見る。
 一方メアは、ふきげんそうな表情でルークさんを睨み返していた。

 「・・・・・・まぁ、変わらぬところもまだあるが」

 あまりの眼力に、ルークさんから目を逸らしてしまう。しかし気を取り直して貴族たちに顔を向ける。

 「だが孫娘が本気だと言うのなら、その恋路を邪魔する者を許すわけにはいかんのじゃよ」
 「しかし・・・・・・!」

 中々納得しようとしない貴族たちに痺れを切らしたのか、メアが立ち上がって俺のところまでやってくる。

 「メア様・・・・・・?」
 「どうした?」

 メアの突然な行動に、全員疑問を持つ。
 何かの覚悟を決めての行動らしいが・・・・・・いや、待て。
 よく見ると、メアが顔を真っ赤にしてニヤけ顔になっていた。
 うん、メアのやりたい事がなんとなくわかった気がする。

 「すまねぇな、アヤト。こんな面倒臭い事に巻き込んじまって」
 「いいさ、予想してたよりは面倒じゃなかったし。お前の気の済むようにすればいいさ」
 「そっか・・・・・・ありがと」

 俺の返答に満足したのか、満面の笑みでそう言って俺の首に両手を回して引き寄せーー

 「「んなっ!?」」

 ――俺とメアは全員の目の前でキスをした。
 ほとんどの貴族が驚いて唖然としたまま固まり、ワークラフトの男は『ほう』と感心するように呟く。
 アーリアの女は受付嬢のサリアの手を取り、お互い楽しそうにキャーキャーと騒いでいる。やはりこういうのは、貴族平民は関係ないようだ。
 そしてその時間は数十秒続いた後、メアが口惜しそうに離れて得意気ななおで貴族たちの方を向いた。

 「この通り、俺たちの仲をどうこうしようなんて無駄だぜ!」

 少し恥ずかしながらも、ニッと笑って見せるメア。
 もっと前までのメアなら、恥ずかしさのあまりこんな行動を人前でやるなんてしなかったのだが、人目を気にせずミーナに影響されて段々慣れてきてしまっていたのだ。
 いいか悪いかはともかく、結果的にこうやって貴族たちに見せ付けてしまえていた。
 するとテーブルを勢いよく叩いて立ち上がる女がいた。
 白髪が目立ち、シワなどから六十から七十代辺りの見た目をし、いかにも性格がキツそうだった。

 「なんと・・・・・・人前でなんと破廉恥なっ!?それでも王族なのですか!高貴なお方がそんな軽率に・・・・・・!」
 「それはお前らも同じだろ?」

 その女に動じる事なく、メアが言い返す。

 「お、同じ?一体何を・・・・・・」
 「俺が好きな男に一々文句言ってんじゃねえって事だ!高貴だとかなんとか抜かして、結局はてめえらの保身のために俺や爺さんを利用して食い物にしようってだけの汚ねえ話じゃねえか!」
 「それは違っ、違います!私たちはメア様に幸せになってほしくーー」
 「だったら四の五の言ってんじゃねえ!」
 「「っ!?」」

 メアの怒号に貴族たちの肩が跳ね上がる。
 おー、無意識だろうけど、ちょっとした威圧出してんな。普通の大人なら怯ませられるくらいだな。
 メアのいかる様子を見ていたアリスも感心してみている。

 「俺の幸せになる基準は俺が決めるんだ、お前らに『こうしなければ幸せになれない』なんて言われる筋合いはねぇ!好きになる男くらい、俺に決めさせろ!」

 胸を張って言い切ったメアに、貴族たちがたじろいでいた。
 すると、体格のいい男を含めた何人かの貴族が席を立ち、メアの前で平伏する。
 そして先頭にいるルークさんに近い年齢であろう老人が口を開く。

 「まだ幼き歳でありながらその覇気、さすが王のご息女でございます。あなた様の幸せがその者ならば、私たちも賛同しましょう。しかし、一つだけ提案を受け入れてほしいのです」
 「・・・・・・なんだよ?」

 ムスッとしたメアが口を尖らせながら聞き返す。

 「跡継ぎの辞退の言葉を何卒、取り消してほしいのです・・・・・・!」

 その老人の言葉に、未だ反対派であるだろう席に残った貴族たちが騒めき立つ。

 「いいのかよ、俺で・・・・・・王族の礼儀の一つも知らねえぞ?」
 「もちろん、王位に就くに伴い、必要な作法を全て身に付けていただくことになりますが」

 老人の言葉に『おえ・・・・・・』と舌を出して顔をしかめて露骨に嫌がるメア。
 しかし何を思ったのか、メアは笑った顔を俺に向ける。

 「まぁ、最悪アヤトが近くにいてくれればそれでいいけどさ・・・・・・」

 メアがそう言い放つとアリスが『ヒュウ♪』と口笛を吹き、アーリアとサリアが相変わらず騒いでいた。

 「乙女ですよ、乙女!メア様、すっごく恋してるって感じです!」
 「私もメア様のあんな顔を拝見するのは初めてですわ。あれはまさに女の顔!あそこまで女性をメロメロにするなんて、娘リリスに聞いた以上の殿方ですわね・・・・・・もし王位継承が無事に済んだら、メア様にお願いしてご相伴に預かろうかしら?」

 彼女の最後の呟きが聞こえてしまい、背筋がゾクリとする。
 何をご相伴したいのか気になるけれど、同時に聞きたくないとも思う。
 っていうか、やっぱリリスの母親だったんだな。

 「では、これで決まりじゃな」

 『何が?』と質問する前にルークさんはその席から立つ。

 「これより、アヤト君を正式にメアの婚約相手とする!」
 「な・・・・・・ちょっと待ってください、王!」

 ルークさんの発言に、反対派の貴族が憤り席を立つ。

 「まだ話は終わってーー」
 「言ったじゃろう、『決まり』じゃ。この話し合いにおいていくつかのルールがあるのを、まさか忘れたわけではおるまい?」

 ルークさんがそう言うと、貴族たちは悔しそうにたじろぐ。
 ルール?そんなもんがあったのか。

 「その一つ、議題に上がったものの可否は、わしを含めたこの場にいる者の半数以上が可決に賛成する事じゃ。そして今、おぬしらとわしら、どちらが多くいるかわかるじゃろ?」

 ルークさんの言う通り、賛成派と反対派が丁度分かれている現状となっている。
 割合で言うと賛成七対反対三、多数決制であればこちら側が有利だ。
 ってちょっと待って?さっきから思ってたけど、なんか俺が王位に着くの前提に話が進んでない?
 そうして不利となった貴族たちは、激しく音を立てながら席を立ち、俺たちの後ろに回り込んで部屋を出て行った。
 出ていく最後の男が強くドアを閉め、激しい音と共に部屋の中はシンッとした空気に包まれる。

 「なんか、やっと静かになったって気がするよ・・・・・・」

 俺が大きく溜め息を吐いてそう言うと、メアが腕を組んでくる。

 「お疲れさん、やっぱ俺たちはこういう場は合わねえな!」
 「メア様は王族なのですから、合わせてほしいのですがね」

 俺たちの会話を聞いていたミランダの父親が、苦笑いでそう言った。
 その父親は俺を視線で捉えて近寄り、笑顔と共に手を差し出してきた。


 「お初にお目にかかる、アヤト殿。私はワークラフト家当主、リンドール・ワークラフトという」
 「これはどうもご丁寧に。じゃあ、俺も・・・・・・冒険者アヤト、本名は小鳥遊綾人だ」

 俺の言葉に周囲が一瞬ざわつく。

 「タカナシ・アヤト?君は・・・・・・平民ではなく貴族だったのか?それにアヤトが家名・・・・・・?」

 混乱気味のリンドール。しかし彼だけではなく、他の貴族たちも困惑し、ルークさんも頭を抱えてしまっていた。

 「あれ、話してなかったのか、ルークさん?」
 「それもそうじゃ、君の出身は最重要機密の一つになるのだからな・・・・・・」

 俺が異世界人だという事は、たとえ貴族でも知らされてないらしい。

 「そっか、んじゃどうせだから知っといてもらうか?」
 「そうじゃな、契約書もたんまり用意してあるから問題もない」
 「了解。それじゃ、話を戻して・・・・・・俺のフルネームをこっちで名乗るとしたら外国っぽくアヤト・タカナシかな?二つ名前があるが、貴族じゃない。異世界人だ」
しおりを挟む
感想 254

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。 間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。 多分不具合だとおもう。 召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。 そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます ◇ 四巻が販売されました! 今日から四巻の範囲がレンタルとなります 書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます 追加場面もあります よろしくお願いします! 一応191話で終わりとなります 最後まで見ていただきありがとうございました コミカライズもスタートしています 毎月最初の金曜日に更新です お楽しみください!

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな

七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」 「そうそう」  茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。  無理だと思うけど。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
 毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 連載時、HOT 1位ありがとうございました! その他、多数投稿しています。 こちらもよろしくお願いします! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。